NDSコラム

人材 2021/07/16
介護業界への転職や就職を支援する制度「介護職就職支援金貸付事業」「介護職の再就職準備金貸付」とは

介護業界は慢性的な人手不足が積年の課題です。厚生労働省は介護業界等の人材が不足している分野において雇用を促進するための「雇用管理改善促進事業」などの施策を実施していますが、根本的な解決には未だ至っていません。そこで厚生労働省は、2021年4月より「介護職就職支援金貸付事業」を開始すると発表しました。また、従来から存在した「離職した介護人材の再就職準備金貸付事業」をさらに拡充させることとしました。これにより介護業界への転職や就職を希望する方に一定の金額の貸付が図られることとなります。これらの事業の内容とはどのようなものかを解説するとともに、介護職として長く働いてもらうために介護事業所が整備したいポイントもあわせて解説します。

介護業界の人手不足への手立てが必要

介護業界は慢性的な人手不足が課題です。今後も介護サービスへのニーズは拡大を続けることが予想されており、需要はますます高くなると見られます。しかし需要の高まりに対して人材の確保が追い付いていないのが実情です。
そこで厚生労働省は対策として「人材不足分野における人材確保のための雇用管理改善促進事業」を打ち出す等の取り組みを行ってきました。

 

雇用管理改善促進事業とは人材確保のための雇用管理改善を図るために下記の支援を行う事業です。
・事業主による「雇用管理改善」
・労働者の「人材育成」
・求人・求職の「マッチング対策」

事業主に対する雇用管理改善セミナーや人材育成のための研修費の補助、ハローワークにおける求人・求職のマッチングの強化といった支援を2015年より実施しています。

しかしやはり現状では満足のいく成果が出ているとはいえず、さらなる施策が求められています。さらに近年の新型コロナウイルス感染症の感染防止対策や利用者が感染した場合の対応等によって高齢者介護施設等における業務が増大し人手不足が更に深刻化しています。介護業界では就職を希望する方が少ないために採用が困難であるという採用問題がかねてより挙げられており、雇用管理改善促進事業を有効に活用するためには求人増加に繋がる有効な手立てが必要であるといえます。

幅広く人材を呼び込むための施策が講じられる

介護業界の人手不足へのアプローチとして厚生労働省は新たに「介護職就職支援金貸付事業」を2021年4月より開始することを決定しました。また、2016年より実施されていた「離職した介護人材の再就職準備金貸付事業」の拡充を図る形で、介護業界に新たに就職する方や以前介護職として働いていた方の再就職を促す形で必要な資金の貸し付けを行うこととしています。

昨今の新型コロナウイルスの影響で失業された方を新たに介護業界へ呼び込める契機になることが期待できます。

介護職就職支援金貸付事業

介護職就職支援金貸付事業は介護業界で働いたことのない未経験の方を対象とした制度で、介護業界で働くことを目指す方や他業種で働いている方の参入の促進を支援することで迅速に人材確保を加速化し、新型コロナウイルス感染拡大などの影響で懸念される「介護崩壊」の恐れを未然に防止することを目指しています。

事業の実施主体は都道府県、または都道府県が適当と認める団体です。
この制度を利用するためには介護業界に就職するための介護職員初任者研修などの研修を修了する必要があります。その際の研修費用についてもハローワークの職業訓練という形で受講することで全額補助されるため無料で受講することができます。さらに受講中の生活費等についても雇用保険の加入者は受講中、失業保険の給付を受け続けることができ雇用保険に加入していなかった個人事業主等は10万円の給付を受けることができます。

研修を修了し、証明書が交付されたのちに介護事業所での就職が決定した際に20万円の支援金を借りることができます。
支援金の使い道は基本的に自由で下記などが想定されています。

・子どもの預け先を探す際の活動費
・介護に係る軽微な情報収集や学び直し代(講習会、書籍等)
・被服費等(ヘルパーの道具を入れる鞄、靴など)
・転居を伴う場合の費用(敷金礼金、転居費など)
・通勤用の自転車・バイクの購入費など

 

貸付金でありますので本来は返済の義務があるものですが、就職した介護事業所に2年間勤務することで返済は全額免除されます。

つまり介護業界に就職するための基礎研修を無料で受講することができるだけでなく2年間勤めることで返済不要な20万円が受け取れる制度ともいえます。以前から介護業界に関心があった方や他業種で働いていた方の転職などを呼び込むきっかけとなりそうですね。

なお2年を経過せずに他業種に転職等で退職してしまった場合には返済の義務が発生することに注意しましょう。

厚生労働省はこの制度を活用することで2021年度に最低でも2万2千人の利用を目指しています。

離職した介護人材の再就職準備金貸付事業

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