考えろ、自分のために。
金田剛監督インタビュー

実業団として“本来の姿”へ
エースがいなくなり、昨年は夏くらいまで浮き足立っていたと思います。エースがいないというのはやはり大きいことなんですね。しかしニューイヤー駅伝の予選である東日本実業団駅伝で敗れ、その反省会の後から変わり始める選手が出てきました。熊倉や前山あたりです。彼らがトレーニングに貪欲になり、力をつけてきている。11月から2月までのトレーニング内容を見ていると距離も増えていますし、目つき、顔つきが変わってきました。同じスタートラインに立っている他の選手たちがこの変化を感じられないはずがないんです。これで変わらないなら、もうその選手は多分変わらない選手でしょう。そういった選手は淘汰されていくことになる。今、実業団としての本来の姿になりつつあると思っています。

チームに必要なのは“エース格”となる選手
今年の私自身の課題は、チームを牽引するようなエース格を早急に作らなくてはいけないということに尽きます。熊倉や前山が応えようとしてくれているし、4月に日立物流から竹内竜真が入部しました。やはり強いですね。タイム的には昨年辞めたエースと同じくらい。彼は山形出身で「自分の経験を山形の若い子たちに伝えたい」という思いがあるんですね。パリ五輪のマラソン出場を目指していきます。
もう一人、ラフィネグループ男子陸上長距離部から入ってくる齋藤雅英はスピードのある子で、早稲田大学在籍時に全日本インターカレッジの1500 mで優勝しています。スピードがある選手はおもしろいですよ。持久力はコツコツ取り組めばついてくるんですけど、スピードはやっぱり天性のものが多いので、あとからスピードをつけるのはなかなか難しい。宮崎合宿で見た限り貪欲に取り組むタイプなので、かなりプラスになってくれるんじゃないかなと思っています。
ルーキーの厚浦大地は本当に明るく前向きでいい子ですね。彼も「マラソンをやりたい」と言ってくれているのですが、マラソントレーニングというのはじっと我慢する練習が多いんです。本当に性格が真面目じゃないとできないので、そういった練習ができる選手であってほしいですね。入部前の大阪マラソン・びわ湖毎日マラソン統合大会ではなかなかの好成績をおさめました。これから他の選手を脅かしてほしいです。

大事なのは一人ひとりの自覚
4月から新しい戦力も加わり、今年は選手一人ひとりがチーム全体の刺激になるような、やる気のある選手だけの集団としてスタートし、最後までそういうチームでありたいと思っています。こぼれる子が出ずに、全員がやる気をもってやれたらいいですね。NDソフトは他のチームに比べると少人数です。一人ひとりの自覚がどれほど大事かということを意識してほしいです。
