「走り」を見つけ、一歩先へ。
王子田萌インタビュー

昨年はどんな一年でしたか?
「多少痛みがあっても走れるなら走る」というやり方に切り替えて、ケガと向き合いながらトレーニングを重ねた一年でした。今のところ「意外といけるな」という感じです。7月ごろは調子が戻っている感覚があり、今年の日本選手権の標準タイムをおそらくクリアしているであろう58秒64を出すこともできました。一昨年よりは調子を上げられたと思います。ただ、昨年のシーズン入りはグランプリと日本選手権どちらの標準タイムももっていなかったので焦っていて。記録会や試合に出すぎたのか、後半少し失速してしまいました。今年はもっと計画的に、しっかり狙いを定めながら落ち着いて取り組みたいです。
昨年、悔しかったことは?
日本選手権出場のラストチャンスがDenka Athletics Challenge Cup 2021だったのですが、出場できる標準タイムが59秒00で、5日前の試合では60秒かかっていて。5日で1秒上げられるコンディションではなかったので、半分諦めモードだったんです。とはいえラストチャンスなので「しっかり走ろう」と。ゴールして、ぱっとタイム見たら59秒09。「あーやらかした」と思いました。走っている感覚としても59秒台が出ているとは思わなかったんですよね。タイムを上げられたことはうれしかったけど「なんでもうちょっとだけ出なかったんだろう」ってすごく複雑でした。


今の調子は?
冬の間ケガで休むこともなく走ることができたので、これから春を迎える調子としては悪くないと思います。この時期は毎年、沖縄など暖かい場所でスピードを上げる練習をするのですが、コロナの影響で行けていないので、暖かくなったときにスピードを上げていけるように今は体を作っていけたらと思います。
今年の目標は?
6月9日から始まる日本選手権です。昨年の記録を使えるので、おそらく標準タイムはもう切っていて落ち着いてシーズンに入れるかなと。1年空いて、久しぶりの日本選手権なのでがんばりたいです。

今、「走り」の中で意識していることは?
最近、特にフォームを意識しています。調子が出ていない時期もありましたが、膝を前に出そうと意識することで走りやすくなってきたりして。「走りを見つけていく作業」という感じですね。走りやすいというか、力が伝わりやすいところを探しながら走っています。昨年、コーチからの助言で利き足と逆の左リード入り(一つ目のハードルを左足で飛ぶ)に変えました。直接タイムに繋がっていくのかはわかりませんが、何かいい変化だと思っています。
王子田選手にとって「いい走り」とは?
その人が出せるであろう100%に近いこと。もちろん狙うのはタイムですけど、その通過段階もあるじゃないですか。その人が持てる力を出し切ったときに「いい走りだったね」って思います。