3年目は成長と飛躍。
現役選手から指導者へと転身し、今年で3年目を迎える渡邉清紘監督。就任初年度でチームの目標である全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)への出場権を獲得するなど華々しい門出を迎えたものの、昨年はあと一歩のところで結果を残すことができなかった。そして、迎えた2025年。強力な新戦力が加入し、もう一度、新年に前橋の地を目指すNDソフトアスリートクラブの“イマ”について話しを伺った。

現役選手から指導者へと転身し、今年で3年目を迎える渡邉清紘監督。就任初年度でチームの目標である全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)への出場権を獲得するなど華々しい門出を迎えたものの、昨年はあと一歩のところで結果を残すことができなかった。そして、迎えた2025年。強力な新戦力が加入し、もう一度、新年に前橋の地を目指すNDソフトアスリートクラブの“イマ”について話しを伺った。
私が就任した年はニューイヤー駅伝の出場を2年連続で逃していたので、各選手に危機感や競争心を練習の段階から感じ取れていましたが、昨年は自分達コーチ陣が提案したメニューも含め、全員が達成できるような練習に取り組む時間が多く、メンバー間での振り落としという状況に欠けていました。全員で取り組める練習メニューはチームとしての士気を高めますが、選手間での競争意識が低くなります。なので今年は練習の強度を高めています。ただ、トップダウンの形で強制的に厳しい練習を課しているわけではありません。練習前後などに定期ではありませんが、選手とのヒアリングやミーティングの回数を増やし意見交換をしながら、彼ら自身に最適な練習内容や取り組むべき課題の見極めをしています。やはり、トップダウンで“やらされている”と感じてしまう練習は、実業団では自身の成長を妨げてしまいます。普段から、駅伝の7区間の中で自分がメンバーに選ばれたらどの区間を走る、どんな記録を残したいとイメージしながら日々を過ごして練習できているのかが重要だと私は思います。
昨年と今年の大きな変化は、やはり荒生実慧と東海林宏一の2名が新たに加入したことです。2人とも山形出身で練習環境にも慣れていますし、荒生は東洋大学、東海林は中央大学と強豪校で4年間鍛えられた中で頑張り方を知っています。両名とも箱根駅伝に選手として出場できなかったこともあり、本人たちからもここでもう一花咲かせたいという気持ちを強く感じます。そんな彼らがつくる良い空気感がチーム全体に広がっています。特に加入してからずっとチームをエースとして支えてきた竹内竜真は、荒生がマラソンタイムで竹内の自己ベストを超えたことで肩の荷が降りたというか、チームのためだけではなく自分のために競技に集中できる環境になりました。(竹内選手のマラソン自己ベストは2時間08分38秒、荒生選手は東京マラソン2025で2時間08分05秒をマーク)。これまで、練習でも試合でも竹内がチームの先頭を走り続けていましたが、荒生が加入して記録を塗り替えたことで、竹内以上に強いというイメージがチーム内に植え付けられました。竹内自身も長いキャリアの中で自分の目指すマラソンがあると思いますが、今はそこに向かって自分のペースで気負いなくできていると感じています。
チームとしても荒生と同世代の下條乃將、江口清洋と中野魁人といった同年代に今まで以上の危機感が生まれたと思います。これからは、松川雅虎とボニフェイス・ムルアを含めた2000年生まれの選手がチームの中心になってくるでしょう。昨年の東日本実業団対抗駅伝は14位という結果に終わり、ニューイヤー駅伝への出場権を獲得できませんでしたが、その悔しさから下條や江口は自己ベストを更新して、中野も1年目はあまり自分の思うような走りができていませんでしたが、セカンドベストを更新しました。他の選手たちもうまく上昇気流に引っ張られ、いい刺激が生まれる中で切磋琢磨しています。今年は出場枠が13まで増える可能性がありますが、厳しい戦いになることは間違いありません。その中で、現在の高いモチベーションをキープしつつも、高望みをせずに確実に枠内でゴールすることを意識しています。周回コースとなり、確実にトラックを走らなければならない面もあり、選手の得意不得意も反映した人選をしなければなりません。風など環境変化の影響も少ない上に、前や後ろを走る選手の存在を大きく感じることになるでしょう。これまで以上に選手たちとコミュニケーションを取り、メンタル面などをより把握して、レースに挑みたいと思います。
私が監督に就任してから、チームに所属する選手の顔ぶれも大きく変わりました。これまで陸上競技だけに集中できる環境で学生生活をおくってきた新卒の選手たちが、社会人として毎日9時から15時まで働き、朝と夕方に練習するのがNDソフトアスリートクラブのスタイルです。私はこの仕事時間を大事にしてもらいたいと考えています。これまで大会会場など、全国の色々な場所を訪れていると思います。ただ、それは陸上というコミュニティーの中だけの話しです。社会という仕組みや外の空気をしっかりと感じてもらいたい。1日5時間という短い時間ではありますが、その中で自分のやりたい仕事はなにかを見つけてほしいですね。SOMPOグループに加入して支援をいただき、たくさんの人たちに認知していただきました。その中で、「アスリートを引退した後でも頑張っている」という言葉が周囲から聞こえてくるのがベストだと思いますし、実際にそういった声もあります。ただ、選手はアスリートクラブに競技を続けるために加入しているので、仕事との両立は決して容易ではありませんが、自分のやりたいこと、やるべきことをしっかりと見つけてほしいと思います。
アスリートにとって、現役引退後のセカンドキャリアはとても大切で、時に悩ましい課題です。NDソフトアスリートクラブでは、選手の競技力向上を大前提としながら、リクルーティング時から入社後を通じて、前向きにセカンドキャリアを迎えられるよう、様々な取り組みを行っています。
NDソフトウェアは関連企業を含め日本全国に拡がっており、各拠点で社員が活躍しています。この確かなネットワークの中で、実際に多くのアスリートが引退後にセカンドキャリアを築いています。またIT事業と介護福祉事業など、専門的な知識を必要とするNDソフトウェアでは、働きやすい環境を築き上げる様々な研修が用意され、中長期的なスキルアップを目指すことができます。
受託・その他
日本コンピュータシステム株式会社
介護・ASP
株式会社日本ケアコミュニケーションズ(NCC)
防災食・非常食
アルファフーズ株式会社
NDソフトウェアは2023年2月にSOMPOホールディングスにグループインしました。2025年2月に開催された「SOMPOアワード2024」では、『アスリート社員のセカンドキャリアを支援する意見交換会の実施』の取り組みにより、「カルチャー醸成」部門・優秀賞を受賞しました。
クラブ創設当初からの堅実な取り組みが実を結んでいます。
地域に根差したクラブとして、地域の人々の健やかで豊かな生活を応援し、地域社会の活性化に貢献する。
競技活動を通じて、様々なステークホルダーに夢と感動、活力を与える。
地域をはじめとする様々なステークホルダーに愛され、親しまれ、誇りとなるクラブになる。
日本最高の競技レベルで戦うことができる「強く、魅力のある」クラブになる。
常に日本最高の競技レベルで戦う為に競技力を高める
限られた時間、環境の中で最善を尽くす
競技者である前に良き社会人として、自身を磨き続ける
競技者を退いた後も、長く活躍できる人材を目指す
周囲への尊敬・感謝の念を忘れず、それを原動力とする
メンバー間の多様な価値観や背景に敬意を示し、強さに変える