NDソフトウェア株式会社
NDSコラム

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介護事業所の書類の捺印が不要?電子サインなど新たな方法とは

2021/06/21

介護サービスには、様々な場面で署名と捺印を必要とします。初めてサービスを利用する際に締結する契約書や重要事項説明書など利用のために必要な書類や利用者に対して提供する支援計画を定めた介護計画書など、非常に多岐に渡ります。その業務負担を軽減するため、介護保険制度は令和3年度介護報酬改定にて紙媒体ではなく電子データでの契約等を認めることとし、今まで必要とされてきた署名や捺印は原則不要となりました。しかし代わりに求められているものが電子サインなどデジタルを活用した締結方法です。
今まで大きな負担であった紙媒体での署名と捺印や記録の保存を大幅に軽減できることが期待される電子データ、電子サインを活用といった新たな対応について、介護事業所はどのような方法が有効であるかを解説します。

介護業界では文書負担の軽減や効率化を課題として検討されてきた

厚生労働省はかねてより介護現場の業務負担の軽減を目標に様々な検討を重ねてきました。そのひとつに文書負担軽減や契約等手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減の推進があります。介護事業所は利用者にサービスを提供するために必要な様々な文書に署名と捺印を必要であり、それらの書類を作成し、署名と捺印をいただくには紙媒体である必要がありました。

またその書類をもって利用者、家族への説明を行い同意の上で署名捺印をし、控えの交付や事業所での原本の保管など、必要な文書に係る業務は大きな業務負担となっておりました。

介護事業所で署名や捺印が必要な書類とは

介護事業所で取り扱われる署名と捺印を要する文書は、介護サービス全体で共通したものに加え介護サービス種別ごとに定められた文書など非常に多岐に渡ります。

まず、すべてのサービスに必要な書類に「契約書」「重要事項説明書」「個人情報取り扱いに関する同意書」などがあります。そこに原則として利用前に作成しておく必要がある事業所ごとの「介護計画書」やケアマネージャーの作成する「ケアプラン」特別養護老人ホーム等で看取り介護を行う際に必要となる「看取り介護計画書」通所介護等でリハビリを提供する際に必要となる「機能訓練計画書」など膨大な数です。

利用者家族からの署名捺印以外の介護事業所として押印が必要な書類を見ても「事故報告書」といった業務に必要なものから指定申請書類、介護報酬請求書類等様々なものがあります。

これらをすべて紙媒体で作成し、かつ契約書や計画書等については利用者家族への説明と同意を得たうえでの署名と捺印をいただき適切に保管する必要があるのです。

令和3年度介護報酬改定で文書の捺印が不要となった

令和3年度4月から施行された令和3年度介護報酬改定では、業務負担の軽減を目的として「書面で説明、同意等を行うものについて、電磁的記録による対応を原則認めること」とし、さらに「利用者等の署名・押印について、求めないことが可能であること及びその場合の代替手段を明示するとともに、様式例から押印欄を削除する」との改正を行いました。
この改正は、長らく紙媒体でのやり取りが原則であった介護業界において非常に大きな変化です。

書面でのやり取りが原則であった契約書や重要事項説明書などの利用者への説明を電磁的記録=電子データ(パソコンやタブレット上に表示するデータ)で行うことを原則として認めることとし、さらに文書ごとに必要であった署名と捺印についても契約締結方法について代わりの手段を提示できれば署名と捺印は必ずしも要しないこととされたのです。

これは提供したサービスの記録や日常的な健康管理は記録ソフトの使用が推進されてきた中でも、やはり契約書等の署名と捺印を要する文書については紙媒体でのやり取りが欠かせなかった介護業界において文書に係る業務のほぼすべてを電子化することが認められたことでもあります。

しかし「様式例から押印欄を削除する」とあるように、署名捺印すべてが不要になったということではありません。捺印をいただくことは不要であると明記されていますが、「代替手段を明示するとともに」とあるように何かしらの形で当該文書に同意をいただいた証拠としての署名は必要ですので注意しましょう。

 

参考URL

▼令和3年度介護報酬改定の主な事項について
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000753776.pdf

 

▼令和2年11月13日 厚生労働省「介護分野の文書に係る負担軽減について」
P.5 介護事業者の行政対応・間接業務に係る負担軽減(3)のd https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000694498.pdf

   

※詳細は各自治体へお問い合わせ下さい。

当コラムは、掲載当時の情報です。

介護事業所に求められるデジタル化への対応

介護事業所運営に係るほぼすべての文書が電磁的記録、電子データとして取り扱えるようになることは、介護事業所にとって多くの時間を割く必要のある事務作業の大幅な効率化に繋がり、業務負担の軽減、ケアの質の向上に大きく寄与することが期待できます。

しかし、それを可能にするには介護事業所がクリアしなければならない課題が生じます。
それは捺印が不要になった契約書や重要事項説明書といった利用者、家族への説明と同意が必要な文書に対しどのようにして同意の意思を確認するための署名を得るかという点です。

この度の改正で明記されている通り、「代替手段の明示」が必要であり、その方法は「電子署名が望ましい」とも明記されています。つまり、電子署名という方法があることを明示して同意を得ることができれば紙媒体への署名捺印は不要であるということです。

電子署名とはPDFファイル等に直接デジタル印を押すものやスマートフォン、タブレットのタッチパネル等に直接契約者本人が署名することをいいます。この度の改正で押印が原則不要になったので、利用者もしくは家族が直接画面上に署名する形が適切と考えられます。

介護事業所運営に必要な文書のすべてを電子データ化し業務の大幅な効率化を図っていくためには署名の電子化、つまりデジタルサイン化をどのように行っていくかが重要な意味を持つことになります。

デジタルサイン化はどうすればいい?

デジタルサイン化していくにはいくつかの種類と方法があります。

まずひとつは、署名ではなくデジタルハンコを作成することです。デジタルハンコは先述した通り、印鑑をPDFファイル等にスタンプのように押す形で捺印に代えるものです。利用者との契約には原則として不要になりましたが、介護事業所と業者との契約等では必要となるケースが生じてきます。完全ペーパーレス化を目指すのであればその際の契約書のやり取りも紙媒体ではなく電子データで行えたほうが効率的です。

デジタルハンコを作成する方法はいくつか方法はあります。

・印影をスキャンし、背景を透過させる
・オンラインサービスで作成する
・印鑑業者等で作成する
自身でスキャンし作成する方法やオンラインサービスで作成する方法は無料でできるサービスもあり、安価で作成できるのも嬉しいところです。

しかし、場合によっては事業所や法人の角印や事業所印の印影を盗まれる可能性が否定できません。セキュリティ面を考えると多少のコストがかかっても信頼できる業者で作成することをお勧めします。

次に署名をデジタル化するデジタルサイン化があります。

デジタル署名はPDFソフトで簡単に行えますのでPDFで利用者の契約書類を作成すればよいのですが、利用者ごとに契約書類をPDFデータとして作成する手間がかかり、また漏えい防止のためにファイルの保存先などの管理を利用者ごとに厳重にする必要があります。

利用者の規模によってはファイル作成や管理に手間がかかることが考えられ、場合によっては効率的とはいえない部分があります。もっとも有効な方法がデジタルサインに対応した介護記録ソフトを利用しスマートフォンやタブレットに直接タッチペン等で署名できる形です。利用者情報やケア記録等様々な情報は、データ連携することで管理や閲覧、各種報告書作成の大幅な効率化が見込めます。様々なソフトやアプリを活用していくと操作は煩雑になりやすく、作業量によっては大きなストレスともなりますので、なるべくデータ連携が行える介護記録ソフトを利用していくことがおススメです。

NDソフトウェアの「Care Palette Home/Nurse(ケアパレット ホーム ナース)」は訪問サービスに特化したアプリで、電子署名に対応しておりますので利用者宅へ訪問し契約をいただく際の電子署名がスマートフォンやタブレットで簡単に行えます。また弊社の介護記録ソフト「ほのぼのNEXT」とデータ連携が行えるため、事業所運営に必要な事務作業のほとんどを効率化することができます。
デジタルサイン化の導入を機に効率的な業務のICT化をご検討ください。

ケアパレットホームナース

まとめ

介護事業所の文書に係る負担を軽減するために令和3年度介護報酬改定で改正された契約書類の電子化を認め、捺印を原則不要とする動きは業務の大幅な効率化に繋がり、介護事業所の運営を適正化しケアの質の向上を推進することが期待されております。

デジタルサイン化をきっかけに、事業所のデジタル化(ICT化)を図り、ペーパーレス化を推進することは今後の介護事業所運営を継続していくための手立てとなるでしょう。ぜひ積極的な推進を考えていきましょう。

当コラムは、掲載当時の情報です。

参考URL

▼令和3年度介護報酬改定の主な事項について
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000753776.pdf

 

▼令和2年11月13日 厚生労働省「介護分野の文書に係る負担軽減について」
P.5 介護事業者の行政対応・間接業務に係る負担軽減(3)のd https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000694498.pdf

   

※詳細は各自治体へお問い合わせ下さい。

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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