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日々、利用者の様子を記載する「介護記録」とは
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2018/09/19
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介護サービスを提供する施設または事業所では、日々さまざまな記録を残し、保管することが義務づけられています。中でも、利用者ごとにサービス提供内容を経時的に記録した「介護記録」は、万が一、事故や訴訟が起きてしまった際の法的証拠になるとともに、より質の高いサービスを立案、提供するための重要な資料となります。そのため、いつ誰が読んでも介護の過程や結果を正確に伝えられるよう、意識しながら作成することが大切です。ここでは、介護サービスに欠かせない介護記録について紹介します。
介護記録とは
介護記録は、診察室で医師が作成するカルテに相当します。カルテには、患者さんの病状や実施した検査内容と結果、処方薬など、「疾患」に焦点を当てた内容が記載されるのに対し、介護記録には、介護サービス利用者の生活全般の様子、および介護サービスの内容を記載するのが特徴です。 職場によっては、介護記録をフェイスシート(サービス開始時に記載する基本情報)、個人ごとのアセスメント表、経過記録(ケース記録)などに分けて作成、保管する場合もあります。介護記録の必要性
どんなに質の高い介護サービスを提供していても、介護記録がなければそれを公に証明できません。介護記録は、利用者がそこで暮らしていた「生活の証」になると同時に、サービス提供者が利用者との契約内容に基づき、適切な介護を提供したことの証となります。 利用者またはそのご家族にとっては、介護サービス提供者に対する「信頼の証」として位置づけられるでしょう。介護記録があれば、介護サービスが提供される場面に立ち会えないご家族も、その内容を知ることができます。 介護記録は、より良い介護サービスを提供し続けるためにも欠かせません。個別援助計画立案やケアプラン作成の際は、介護記録の内容から、これまでの介護サービス経過や生活状況を振り返り、利用者一人ひとりのニーズや課題に合ったサービス内容を検討していきます。介護記録は、それまでに利用者と関わったことのないスタッフでも、なぜそのような介護が行われるかを示す「理由(根拠)」となるのです。介護記録に記載すべき主な内容
介護記録には、いつ、誰が、どのような介護を行ったかを確認できるよう、以下のような内容を記載します。介護を行った日時
何時から何時まで関わったのか、正確に記載します。「午前中」、「食後」、「夕方」といった曖昧な記載ではなく、「10:35~10:50」、「21:45~21:55」などと、開始時間と終了時間が明確になるよう記載します。具体的な介護内容
利用者に対して、介護者がどのような働きかけを行ったのかを詳しく記載します。「居室ポータブルトイレにて排泄介助」、「ホールにて談笑中、レクリエーションへ参加するよう声がけをする」などと、客観的な事実のみを簡潔に記載します。介護サービス利用者の心身状況
介護サービスを提供した際、利用者に見られた反応や変化を具体的に記載します。「『今日は、いつもより膝の調子が良い』と笑顔で話す」などと、利用者の言葉をそのまま引用したり、健康面や体調面の気づき、医師や看護師、ケアマネージャーへの申し送り内容なども記載したりします。介護担当者の署名
記載を終えたら、文末に署名をします。署名は、記載した本人が行うことで、内容に不備があったり、確認が必要になったりした場合に、スムーズな対処が可能となります。記載した内容には、記載者が最後まで責任を持たなければいけません。 介護記録は、介護サービス利用者の暮らしそのものを記録するもの、といっても過言ではありません。介護の仕事を目指す人にとっては、将来必ず求められる内容なので、概要だけでも知っておくようにしましょう。当コラムは、掲載当時の情報です。
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