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特養必見!LIFE 加算の強化は今後の経営では必須

2021/11/17

令和 3 年度介護報酬改定を読む科学的介護 LIFE で変わる特別養護老人ホームをテーマに解説します。

 

解説者 : 株式会社ナレッジ・マネジメント・ケア研究所/統括フェロー  石垣 修一

医療法人昌平会 大山リハビリテーション病院 事務次長、
医療法人養和会 養和病院・老人保健施設仁風荘 事務長、
社会福祉法人こうほうえん 副本部長兼総合企画部長を経て
理事・評議員 社会福祉法人 若竹大寿会 法人本部 本部長・理事を経て現職に至る

なぜLIFEがはじまったのか

まずはじめに、厚生労働省はなぜLIFE加算を始めたのでしょうか。

いちばんの理由は医療のように汎用性のあるデータベースを作り出したかったのです。つまりLIFEで実現したかったことは医療のようなEBMつまりエビデンスベースメディスン同様に(下図)データベースを作り、「経験と勘の介護」から、データに基づく「科学的な介護」へと進化させたかったわけです。

しかし、科学的介護とEBCという言葉だけ先行して、これまではデータベースをきちんと作られてきませんでした。いろんな団体でいろんな方法論が語られ、各団体でバラバラなEBCというようなものが作られたのですが、結果として医療のような科学的なデータベースが作られなかったことになります。

そこで、平成 30 年の改定では厚生労働省主導で先行版が作られました。それが、VISITや CHASEになります。VISITやCHASEはリハビリや介護の改善、具体的にはADLや介護状態の維持改善に資するデーが集めたかったのです。しかし、実際データベースを提供する事業者にとってはかなり負担が大きく、つくったものの活用が全然進まなかったという状態でした。

令和3年ではVISITとCHASEを統合したLIFEという新しい概念が作られました。そして、新設加算の算定条件にLIFEのデータ提出やフィードバック活用を義務付け、LIFEを運用して、PDCAをまわしていかなければ点数は取れないという点数による利益誘導を行い、有用なデータベースを作り上げていこうということとなりました。

現在の加算はデータを入力することだけがもとめられ、ケアを提供した結果は問われていません。つまり、入力することで加算という考え方ですが、将来的には、当然結果による評価となる可能性が高く、提供したケアによって状態が改善していくとプラス評価という流れが出てくると考えられます。

特別養護老人ホームのLIFE加算について

では、特別養護老人ホームのLIFE関連加算についてご説明いたします。

最高で約907単位で、全部取ることは難しいため、多くてだいたい約80万/月ぐらいかと想定すると、年間960万から1000万近い加算となります。経営にとって大きな影響を与えるものになります。厚生労働省は今回、かなり本気ですので、次回改定においてももしデータが集まらなければ仮に点数 を上げてでもデータベース収集を行うと考えられれます。

必要なデータベース構築には厚労省は5年はかかるだろうと言っていますので、次回改定においてもまだ LIFE加算は継続・拡大するということを厚労省は言っていることになります。しかし、LIFE関連加算が増えると、当然他の支払いに充てる財源は減っていくため、LIFE関連加算の取得の強化を行っていかないと将来にわたっても法人としての経営はかなり圧迫 されるということになります。

では特養でどういう収支の変化となるのかについて解説します。

今回は、従来型個室入所定員100名という前提で考えてみましょう。比較してみると、確かに基本単位数を上っていますが、シミュレーションでは介護報酬は微減となっております。 何故かと申しますと、例えば、これまでサービス提供体制加算(Ⅰ)は、ほとんどの施設が算定していた と思いますが、今回の改正では見直しが行われ、新たな最上位区分としてサービス提供体制加算 (Ⅱ)が設けられました。 つまり、より効果的なケアを行わなければ単に提供しているだけの体制では点数を算定できないということ になっておりました、他にも栄養マネジメント加算や栄養リスク加算は基本単位数に入ってしまいました。(下図)

つまり今回の令和3年度改正では、普通にやっていくと当たり前に行っているものだけでは点数をあげませんよ、きちんとLIFE加算のデータを入れてフィードバックを活用していくことをしなければ点数はあげませんよ、という厚生労働省の意思の現れとなりますね。

特に食事については、栄養マネジメント強化加算というものが新たにできました。いわゆる栄養マネジメント加算はやって当たり前、やらなかったら減算となります。

それ以外に栄養マネジメント強化加算としてより一層を管理栄養士の役割としてご利用者の方に良い栄養マネジメントを行うように変わリました。

さらに次の図にあるように今回の令和3年度改正で、新たな加算が多くあり、これらはほとんどLIFE関連の加算となっています。

そのため、例えば入所定員100名でシミュレーショした場合、令和2年度と比較すると、令和 2年度は3億9985万程度ですが、令和3年度については4億程度となり、と若干のプラスになりますが、LIFE関連加算が算定できない場合は、収入減になります。そして将来的にも令和6年度改正はLIFE中心になることが想定されますので、LIFEの取組みはさらに重要になってくるわけです。

NDソフトではこうしたシミュレーションを行うツールをご用意しております。ご興味がございましたら下記までお問合せください。 

 

▼ Excel ツール サンプル例

LIFEへの取組みについて

LIFEに取り組むにあたり、重要なことは、施設の経営に関する影響を職員にきちんと伝えることです。今後の経営にとっても避けて通れないことを理解していただくことが重要になります。  

具体的には加算が収支・収益に影響する事をシミュレーション等用いて説明し、経営にとって不可欠ということを理解していただくこと。また、特養では今5割から 7 割ぐらいが算定を始めているLIFE関連ですが、当初は施設で算定しやすいものから算定しているとの状況があるので、どのように取り組んでいくとよいかをスタッフ間で話し合っていくことが必要です。

その上で、きちんとタイムスケジュールをたて、今すぐに取れなくても、3ヶ月、半年、1年先であったとしても必ず加算を取 るんだという合意のもと取得までのプロセスを設定していくことが大切です。 

そのためには、「推進リーダー」を各セクションに作り、同時にきちんと取得のためのプロセス工程を管理していくタイムキーパー役も任命していくことが大切です。そのためには、スタッフにとれとれということだけではなく、法人においても、環境整備を意識し、ICTを活用した電子化の推進を行い、業務負荷軽減も図っていく必要が重要になります。 

ICTの一例

まとめ

LIFEは今後において必ず核となるようなデータベースとするのが、厚生労働省の意向ですので、いかに早くLIFE関連加算を取得するかがこれからの大きな課題になると思います。

当コラムは、掲載当時の情報です。

 
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