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NDSコラム

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介護ソフトは何を使えばいいの? クラウド型とオンプレミス型を徹底比較

2024/04/02

介護に関わる業界では、常に人手不足という大きな問題に直面しています。
しかし、日本全体で労働人口が減少している昨今において、この問題を「人手を増やす」ことで解決することは極めて困難です。
そこで重要なのが、業務管理の際にソフトウェアを活用し生産性を高めていく「業務のデジタル化」です。厚生労働省は、記録や請求業務、さらには労務管理や人事管理など、介護事業所の運営に係る事務を電子化する介護システムの活用を推奨しています。(https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-ict.html
また、2024年4月からは全ての介護事業所に事業継続計画(BCP)対策が義務付けられるため、介護事業所の大切なデータをどのように守っていくか、明確な対応指針を定めておく必要があります。

介護ソフトウェアには大きく分けて「オンプレミス型」と「クラウド型」があります。「オンプレミス型」とは、自身のパソコンや事業所内のサーバーにソフトウェアを直接インストールしてデータを管理する方法です。これに対して、「クラウド型」とは、インターネットを介してシステムを利用するサービス形態です。

この記事では、オンプレミス型とクラウド型でソフトウェアを利用する際のそれぞれの特徴や長所・短所を深堀りし、ご自身の介護事業所が、どちらの形式のソフトウェアを導入が適しているのか検討していきましょう。

オンプレミス型ソフトウェアの長所と短所

はじめに、オンプレミス型ソフトウェアについてご紹介します。

オンプレミス型ソフトウェアとは、法人や事業所にサーバーやパソコンを置いてソフトウェアをインストールし、データを管理する方法です。介護履歴などのデータは、すべて事業所内のサーバーで管理することになります。おもな長所と短所は以下の通りです。

オンプレミス型ソフトウェアの長所

自分たちで情報を管理できる安心感

すべての情報を自分たちの手の届く範囲内で管理し、自社のポリシーに沿ったセキュリティ対策を講じる事が出来るのが特徴です。

ネット環境がなくても使える

オンプレミス型ソフトウェアはインターネットがつなげずに運用することが可能です。ただし、その際、一部の機能やデータの同期が制限される可能性があります。事業所内だけでつながるよう設定することで操作やデータの閲覧などが可能なためインターネットの通信環境が不安定な場所でも、業務に支障が出にくいです。

オンプレミス型ソフトウェアの短所

初期導入の出費が大きい

オンプレミス型のソフトウェアは、新たに導入する際にはネットワークやサーバーの調達・構築など数十万~数百万の導入費がかかります。 事業所内にサーバーを設置する場合には、サーバーを起動し続けるための電気代など、見落としがちなコストも考える必要があります。

管理が大変

システムに問題が発生した場合、まずは自分たちで原因の調査や対処を行う必要があります。これには専門的な知識が必要になるため、事業所にシステム専門のスタッフがいない場合は外部の業者に対応を依頼することになり、復旧に時間がかかったり、費用がかさむことがあります。また、事業所内でバックアップやメンテナンスなどの管理をする人を確保しておく必要があります。専任を設けるのはなかなか難しいので介護職と兼務となり負担がかかる恐れがあります。

事業拡大に伴いコストが発生する

データの量は、時間が経過するたびに、基本的に増えていきます。 そのため、管理するデータがパソコン・サーバーの記憶容量を超える場合には、より容量の大きなパソコン・サーバーの購入や、システム設定の見直しが必要になります。

また、新たに職員が入社した場合にも、都度職員のパソコンにソフトウェアをインストールし、設定する必要があります。

バージョンアップ作業の負担

WindowsOSのバージョンアップやソフトウェアのバージョンアップを事業所内で行う必要があり、サーバーが事業所単位である場合などは、それぞれがシステムを使用しないタイミングを調整し、バージョンアップを実施する必要があります。

また、WindowsOSについても介護ソフトウェアだけではなく、他のソフトの対応有無も確認しながら、使用しているソフトウェアがすべて最新のOSに対応したかどうかを確認し、バージョンアップが必要となるなど、管理と作業の負担が発生します。

災害への脆弱性

事業所が火事や水害などの災害を受けた場合や、停電などでパソコンやサーバーの電源が急に落ちてしまった場合、保存していたデータをすべて失うリスクがあります。大切な情報を守るためには、別の場所にもバックアップを取るなどの対策が必要です。

クラウド型ソフトウェアの長所と短所

先述した「オンプレミス型」に対し、近年では「クラウド型」のソフトウェアが増えつつあります。クラウド型ソフトウェアは、インターネットを介してサービスやデータにアクセスし、情報を外部のサーバーに保存する方式です。このシステムは、オンプレミス型ソフトウェアの抱える課題や問題点を解決する画期的な仕組みが取られていますが、反面、導入する際には気を付けるべきポイントもあります。

クラウド型ソフトウェアの長所

初期の導入コストの削減

物理的なサーバーやインフラを事業所に設置する必要がないため、初期投資が大幅に削減されます。また、多くのクラウド型ソフトウェアが、利用者数に応じて毎月定額を支払う「サブスクリプション形式」を取っており、毎月のソフトウェア利用にかかるコストが計算しやすい点も魅力です。

柔軟なアクセス性

インターネットさえあれば、どこからでもデータへアクセスできます。このため、事業所内にいない場合、例えば在宅勤務中や外出先でも業務遂行が可能になり、柔軟な働き方ができます。事業所外でもスマートフォンやタブレット端末から介護履歴の入力・保存ができるため、適宜情報を更新することができます。

メンテナンスの手間がかからない

システムの更新やセキュリティ対策などのメンテナンスは、クラウド型ソフトウェアサービスを提供する会社が行います。そのため、ソフトウェアの利用者側はシステムに関する専門知識がなくても安心して使用できます。これにより、日々の運用が大幅に簡易化されます。また、利用者の環境変化、法律の改正などにあわせて定期的なアップデートが行われ、常に新しい状態のソフトウェアを使うことができます

※オンプレミス型ソフトウェアも、利用者に対して定期的にアップデート版をリリースしている場合があります。その際には、自分たちでソフトウェアのアップデート情報を確認し、インストールを行うことで、最新バージョンの利用が可能になります。

スケールアップが容易

オンプレミス型のソフトウェアの場合、業務の拡大やデータ量の増加に応じて自分たちでサーバーなど新しい機器の購入などの見直しが必要になります。

対して、クラウド型ソフトウェアを利用する場合、新たな機器の購入は必要なく取り扱うデータ量や利用者の数に応じてサービスのプラン変更や追加が簡単にできます。将来的な事業の成長に柔軟に対応可能です。

BCP対策に有効

データはクラウド上に保管されているため、事業所で災害や緊急事態が発生した場合でも物理的な場所に依存せずに利用できデータやシステムへのアクセスが容易です。これにより、事業所内の機器やデータが損傷したり、施設が利用できなくなったりした場合でも、クラウド上のデータやシステムにアクセスして業務を継続することができます。

また、データのバックアップやセキュリティ対策がソフトウェア提供者によって行われています。データの自動バックアップや複数個所で管理されたサーバー環境により、データの損失やシステムの停止を最小限に抑えることができます。

クラウド型ソフトウェアの短所

インターネット環境への依存性が高い

サービスへのアクセスがインターネット接続に依存しているため、インターネット環境がない場所では、そもそもソフトウェアを立ち上げることができません。また、接続が不安定な場所では使いづらく、時に業務が停滞する原因にもなり得ます。 事前のオフラインモードの設定をすることで一部機能の利用ができる場合もあるので、ソフトウェアの仕様や対応状況の確認が必要です。

データ管理とプライバシーへの懸念

ソフトウェアを提供する事業者側が万全のセキュリティ対策を行っているとはいえ、外部からの悪質な攻撃の被害や情報漏洩のリスクが一切ないとは言い切れません

また、基本的にソフトウェアにアクセスする際には、ユーザーIDとパスワードを使ってログインすることになりますが、職員がこれらの情報を紛失したり、誤って外部に漏らしてしまうリスクもあるため、これらの情報管理については、法人独自でガイドラインを定めたり、ソフトウェアを利用する職員全員に指導を行うことが重要です。

※なお、事業所内のパソコンやサーバーでデータを管理していても、パソコンがインターネット回線に繋がっていたり、USBなどの外部ストレージを頻繁に利用する場合は、情報漏洩のリスクが一切ないとは限りません。

継続的なコストがかかる

初期コストは低いものの、サブスクリプション形式の料金が継続的にかかるため、長期的にはコストが積み重なる可能性があります。利用状況に応じて、総コストを定期的に見直すことが重要です。

クラウド型とオンプレミス型の選択ガイド

それぞれの法人・事業所で業務管理のデジタル化を検討する際に、クラウド型とオンプレミス型、どちらのソフトウェアを選択するかは非常に重要です。それぞれのシステムには特長があり、事業所の状況やニーズに応じた適切な選択が必要となります。選択を行う上で考慮すべきポイントをいくつか挙げ、どちらの方式が事業所に最適かを考えてみましょう。

事業所の規模によって判断する

小規模な事業所で、将来的に大幅な拡張を予定していない場合は、初期投資を抑えられるクラウド型が適しています。一方、大規模な事業所や将来的に業務を大幅に拡張する予定がある場合は、長期的に見てコントロール性やカスタマイズ性に優れるオンプレミス型が適切かもしれません。

ITスキルと管理体制

オンプレミス型ソフトウェアを使用する場合、ソフトウェアの仕様や、パソコン・サーバーの環境について把握しているスタッフが必要です。必ずしも「ITに詳しい」「システム分野の専任スタッフである」必要はありませんが、これらの管理にはある程度の時間と負担がかかりますから、システム管理に時間をかけることが難しい場合は、メンテナンスやセキュリティ更新を提供者が担ってくれるクラウド型が適しています。

データのセキュリティとプライバシー

データのセキュリティとプライバシーを優先し外部にだすことを避けたい事業所は、物理的に自分たちの管理下にデータを置けるオンプレミス型ソフトウェアを利用するのがよいでしょう。しかし、クラウド型ソフトウェアについても、高度なセキュリティ対策を行い情報漏洩には細心の注意が必要です。各法人や事業所による独自でのセキュリティ対策よりも安全性が高い場合もありますから、サービスのセキュリティ対策を確認した上でクラウド型を選択することも一つの手です。

費用と予算

初期投資や長期的な運用コストを考慮する必要があります。クラウド型は初期費用を抑えられるものの、継続的なサブスクリプション費用がかかります。オンプレミス型は初期投資が高いですが、長期的には固定費で運用できます。ただし、オンプレミス型の場合も、環境や法律の変化に伴って、ソフトウェアに新しい機能を追加したり、新しいソフトウェアを新たに買いなおす必要がでてきます。

費用に関しては、クラウド型、オンプレミス型という区分の他に、ソフトウェアメーカーごとで法改正への対応や事業所規模、利用アカウント数など様々な要因で価格の設定の仕方が異なるので、問い合わせて自分の事業所に合ったプランを検討することをおすすめします。

アクセス性と柔軟性

在宅勤務や外出先からのアクセスを頻繁に必要とする場合、もしくはタブレットやスマートフォンでソフトウェアを利用する場合は、クラウド型が優れています。インターネットがあればどこからでもアクセスできるため、柔軟な働き方が可能になります。

まとめ

介護業界において、効率的な業務運営と質の高いケアの提供は、これからますます必要となるでしょう。本記事では、オンプレミス型とクラウド型ソフトウェアの特徴、利点、および欠点を掘り下げ、それぞれの選択が介護事業所にどのように最適かを考察しました。

NDソフトウェア株式会社の「ほのぼの」シリーズは、オンプレミス型とクラウド型の両方を提供しており、それぞれの事業所の具体的なニーズ、現状のIT環境、および将来計画に基づいて、最適なソリューションを選択することができます。クラウド版「ほのぼの」シリーズは、法改正にも迅速に対応し、さらに多くの利用者さまの声をいただきながら常にアップデートを続けております。また、ISO27001及びISO27017の情報セキュリティ管理の国際認証を取得しています。

NDソフトウェア株式会社は、「ほのぼの」シリーズを通じて、オンプレミス型またはクラウド型のどちらを選択する場合でも、介護事業所がスムーズに業務を遂行し、質の高いケアを提供できるようサポートしています。「オンプレミス型とクラウド型、どちらを導入するのが良いの?」「実際にデモ(お試し)版を試してみたい」などといったご相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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