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高齢者の健康を守る!服薬管理、服薬介助のポイントについて解説

2021/08/30

介護事業所の大切な業務のひとつに服薬の管理や介助があります。介護を必要とする高齢者は様々な疾病を抱えている方が多く、長期的な服薬を必要としています。

さらに、複数の疾病を抱えている高齢者も多く、一度の服薬で非常に多くの種類の薬を服用するケースもしばしばみられ、介護を必要とする高齢者ではすべて管理しきれずに飲み忘れや飲みすぎになってしまう場合もあります。

薬は健康管理のために必要なものですが服用の手順を誤ると逆に健康を損ねてしまう原因にもなるため、正しく服薬できるよう介護事業所で適切な介助や管理を行うことが必要なのです。

そこで、高齢者の健康を守るために介護職が知っておきたい服薬管理、服薬介助のポイントについて解説します。

服薬管理はとても重要

介護事業所を利用する高齢者の多くは何らかの内服薬を処方されているケースがほとんどです。その種類も非常に多種類で、私たちにもなじみのある薬や高齢者特有の薬、疾病に応じた薬など効能も様々です。さらに薬効によっては服薬のタイミングに注意が必要なものもあり、自力での服用や管理が難しくなった高齢者は介護職が確実に内服できるよう適切な介助を行い、医療職は確実に内服できるよう管理を行わなくてはなりません。もし服用の方法やタイミングを間違えたり、他者に内服させてしまったりすると、場合によっては命に関わることすらあります。高齢者が自身の薬を定められた服用方法で確実に内服することができるように、介護事業所は細心の注意を払わなくてはならないのです。

服薬のタイミングとは?

内服薬にはそれぞれ定められた服用時間があります。それを守って服用できないと場合によっては逆効果になることもあるため注意が必要です。

食前

食前と指定された薬は、食事を開始する20~30分前に内服します。食欲増進剤や糖尿病薬などが食前薬として多いです。

食直前

糖尿病薬に多く見られる食直前薬は、まさに食事を始める直前に内服する薬です。糖の上昇を抑えたり、糖の吸収を遅らせたりといった効果が多いです。

食間

食間とは食事中に内服すると思う方もいるかもしれませんが、正しくは「食事と食事の間」のことです。具体的には食後2~3時間と考えておけばよいでしょう。

食後

食後薬はタイミングとしてはもっとも多いもので、食後20~30分までを指します。食事をした後のため胃への刺激が少なく、食事と共に吸収されやすくなります。

眠前薬

眠前薬は眠る20~30分前に内服します。睡眠導入剤や安定剤、気管支を拡張し喘息の発作を抑える薬や下剤などが多いです。

起床時薬

起床時薬は骨粗鬆症の治療薬として多く用いられます。タイミングは文字通り「起床時すぐ」です。起床時薬は吸収効率が悪く、胃の中が空っぽになっているタイミングで服用しなければ効果が発揮されないためです。また、十分な水で服用後、30分間は飲食禁止とされているものが多いことに注意しましょう。

服薬介助の手順

介護職が高齢者の服薬の介助を行う際の手順は以下の通りです。

 

1. 事前に薬が用意されているかと、内服薬の内容を確認する
2. 決められたタイミングで白湯と内服薬を用意し、利用者のもとへ持参する
3. 内服を行うことを声掛けし、了承を得る
4. 利用者の手に内服薬を渡す(自力で内服することが難しければ了承を得てから口に入れるまでを介助します)
5. 白湯で飲み込むよう促し、確実に飲み込めたかを確認する
6. 物品を片付け、介助の内容を記録する

 

介護職の服薬介助や医療職の服薬管理は事故に発展する機会がとても多く、事前準備や事前確認、しっかり飲み込めたかを確認することが非常に重要です。手順通りに落ち着いて、確実に内服できるように介助、管理を行いましょう。

服薬を拒否する方への対応は?

高齢者への服薬介助を行う際にしばしば起こることに、服薬の拒否があります。飲めば具合が悪くなるなどと本人様なりの明確な理由があることや、認知症を有する方が薬を口の中に入れることに強い拒否を示す場合などです。服薬は高齢者本人の病状や体調に合わせて処方されていますので、できる限りは内服していただきたいものです。

服薬拒否が見られる方への対応の一例を紹介します。

・薬の効能と必要性を説明する

薬を服用した効果に対して否定的になり内服を拒否される方がいます。例えば、腸閉塞の既往があるため2日に一度の排便確認を要する人などは、排便を促すための下剤を内服する必要がありますが、下剤を内服することで腸の蠕動運動が活発になりお腹に違和感が出るのを嫌がる場合などです。

そういった場合には内服薬の効果とともに、その方にとってその薬を内服しなければ健康を損ねてしまうことをご理解いただけるよう説明しましょう。ご本人にとっては辛い思いをしていることに対しても共感し、思いを共有することも大切です。

・無理強いせず時間を空ける

認知症の方などは一度服薬拒否が見られると、度々促しても応じてくれないばかりか強い興奮状態に陥ることも少なくありません。そうなってしまっては服薬していただくことはさらに困難になってしまいます。

一度服薬拒否が見られた際は、介護職の声掛けの仕方や服薬の促し方に問題がなかったのかも考え、時間を空けてご本人の気持ちが落ち着いた頃にもう一度声をかけてみましょう。

落ち着いた声と柔らかな表情で促してみるとよいかもしれません。

・違う職員が対応してみる

利用者も介護職も一人の人間ですので、時には折り合いのつかない日や相性の悪い日も出てきます。昨日は飲んでくれたのに…と思って拒否される利用者に何度も促してしまってはお互いが強い興奮状態に陥ってしまうことでしょう。

その際は「今は自分じゃない職員のほうがいいかもしれないな」と前向きに考え、服薬拒否の状況を説明し、他の職員が対応できるか相談しましょう。

・食事と一緒に内服する

食後薬がほとんどの対象にはなりますが、少量の食事に混ぜて内服していただくことも一つの方法です。認知症の方は「これは薬である」と認知する機能が障害を受けるため、「これは食べ物ではない」と認識し服薬を拒否することもあります。

その際は少量ずつ食事と一緒に摂取していただく場合もあります。すべての薬を食事に混ぜてしまうと内服薬によっては青や黒など色がついてしまったり、味が変わってしまったりすることもあります。せっかくのお食事が見た目も味も悪くなってしまい、それを拒否されては元も子もありませんので、少量ずつをスプーン上で混ぜるなどして介助しましょう。

・内服しやすい状態かを確認する

飲み込む力が弱っている方や誤嚥しやすい方は、粉薬でムセてしまう場合があり、錠剤においても粒の大きい錠剤をうまく飲み込めずに口腔内に溜めてしまう場合があります。

利用者が服薬を拒否される場合は、拒否の状況や理由に加えて普段の服薬できている場合の状況も併せて観察し、記録するとよいでしょう。必要に応じて薬の種類や形状を変えるよう相談する、嚥下しやすくするために福祉用具を活用するなどの検討が有効に行えるようになります。

 

また認知症を有する方などは場合によって薬を服用したことを忘れてしまうことがあります。その結果「薬を飲んでいない」と興奮してしまうことも。

その際は、ご本人の栄養状態やアレルギーなどを確認したうえで整腸剤やビタミン剤、ラムネ菓子などを薬に見立てて(偽薬といいます)内服していただくことで落ち着くこともあります。

服薬介助時の注意点

服薬介助時は介護職がしっかりと認識しておかないと、飲み損じや他者に内服させてしまう誤薬など大事故に繋がりうるリスクが潜んでいます。安全を確保して服薬の介助を行えるよう、以下のことに注意しましょう。

・一度に複数の利用者の介助をしない

同じテーブルについている複数の利用者や同じタイミングで食事が終わった複数の利用者などの服薬介助を一気に行おうとしてしまうと、別の方に飲ませてしまう、薬が混ざってしまうなどのリスクが生じます。転倒リスクがある方に安定剤を内服させてしまったり、低血圧の方に血圧を下げる薬や血糖値の低い方に糖尿病薬を服用させてしまったりすると、最悪死に繋がるおそれもあります。

一度の服薬介助は一人の利用者に行うことを常に意識することが大切です。

・薬ごとの禁忌を把握しておく

カルシウム拮抗薬を内服している方がグレープフルーツジュースを飲むと効果が強く出すぎてしまったり、心筋梗塞や脳梗塞予防に血液をサラサラにする薬を内服している方が納豆を食べてしまうと効果が発揮されなかったりと、内服薬によっては禁忌とされる行為や食物があります。ほかにも骨粗鬆症薬は確実に飲み込まないと喉に留まり潰瘍を作ってしまうため十分な水で飲み、服用後30分は臥床してはいけないなどと決められているものもあります。利用者が内服している薬一つ一つの特徴や禁忌を把握して服薬の介助を行うことが重要です。

・服薬してもよい状態かを確認する

食事の器が空っぽになったからといって服薬介助をしてしまうと、口腔内には残渣物が残っていることもあり最悪誤嚥や窒息に至るおそれがあります。また、食後の糖尿病薬を内服している方が体調不良で食事にほとんど手をつけていなかった場合に薬を内服してしまうと、急激な血糖低下から低血糖症状に陥ることも考えられます。

服薬の介助を行う際は利用者の状態を観察し食事摂取量は適切であるか、何か変わったことはないかを確認したうえで介助を行いましょう。もし様子がおかしいと感じることがあれば記録し他の職員と共有するとともに医療職に内服させてもよいかの判断を必ず確認しましょう。

・日付、名前を目で確認し声に出す

〇〇さんの食事が終わったので服薬を介助しようと用意して向かっている際に、他の利用者に呼び止められ対応している間に記憶が混乱し、〇〇さんの薬を他者に内服させてしまうという事故は非常によく起こります。先述の通り、他者の薬を服用させてしまうことは非常に重大なリスクがあります。予防するために、服薬介助時は利用者の前で用意された薬袋の日付、利用者のお名前を目で確認してからさらに声に出して読み上げると高い確率で防ぐことができるようになります。普段から意識して行い、無意識のうちにも確認できるようにすることが大切です。

・水で飲む

濃度の高い緑茶やコーヒーなど水以外の飲み物で内服すると、薬の効果が十分に発揮できないものもあります。食事時のお茶で介助するのではなく、原則として内服時はお白湯を用意するようにしましょう。

・口腔内に入ったかを目で確認する

利用者が自分で飲むからとのことで錠剤を手に渡したものの落としてしまう場合や、口の中へ薬を入れたにも関わらず口からこぼれてしまう場合など、内服介助時は職員が目を離してしまうと飲み損じが多く発生します。どちらの場合も利用者が口腔内に薬を入れ、落ちないように飲み込むことができたところまで目を離さずに確認するようにしましょう。

・誤嚥に注意する

内服行為は形状や利用者の状態によっては誤嚥しやすいものです。粉薬を誤嚥することによって肺炎を起こすケースや薬の種類が多い利用者に一度にすべて飲み込むように介助してしまい窒息に至るケース、顔を上に向けた状態で内服薬を介助して上を向いたままお白湯を飲ませてしまい誤嚥するケースなど、これらは非常に危険な行為です。利用者の嚥下状態に応じてお白湯にトロミをつける、オブラートや服薬用ゼリーを利用する、嚥下時には顎を引いてもらうなど適切な対応が必要です。

・必ず記録に残す

服薬介助は食事時間と並行して行うことが多いため、介護職は気忙しくなりがちです。そのために誤薬事故などを起こしやすくなるほか、他の職員との情報共有が図れずに確実に服用介助を行えたかどうか自体が曖昧になってしまうこともあります。

ほかにも下剤や血圧降下剤、安定剤など利用者のその日の状態次第で内服するかどうかを判断するような薬や、副作用に注意が必要な薬もあるため、内服に関係する情報はすべて記録に残し、職員間で確実に共有できるシステムを作ることが重要になります。服薬介助にまつわる情報は紙媒体の場合は日中の観察記録、食事摂取量、薬の用意の有無、薬の禁忌情報など多岐に渡るとともに複数の書類に分かれて記入することが多く、統合した情報として確認しづらいものになっています。トラブルを未然に防ぎ安全な服薬介助を行っていくためには記録をひとつの媒体で行うことができ、かつ閲覧が簡単にできるタブレット端末などのICT化を図ることが非常に有効といえるでしょう。

服薬管理の工夫

介護事業所の利用者の内服薬を管理し、その日ごとの内服薬を用意する行為は医療行為となるため医療職の業務となりますが、事業所単位や施設、在宅など現場で飲み忘れや飲み損じを防ぐために確実に服薬管理が行えるために役立つ工夫について一例を紹介します。

・小袋にまとめる

利用者によっては一度の内服で10種類前後の錠剤を服用する場合もあり、それらがバラバラになっている状態では管理も介助も一苦労です。その際はチャック付きの小袋などにまとめて入れて用意するなどして管理すると介助時も確認しやすいものとなります。

・服薬ボックス、服薬カレンダーを活用する

服薬ボックスという仕切りなど小分けにされた箱を用いて服薬管理を行うとその日の利用者全員の服薬を確認しやすくなります。小分けされたスペースに利用者の名前をシールで貼ってもいいですね。在宅で服薬管理を行う場合は曜日と時間ごとにポケットがある服薬カレンダーを活用してそこに薬を用意すると内服した、していないが確認しやすく管理が楽になるでしょう。

・一包化してもらう

内服薬の種類が多い利用者に関しては処方代が少し高くなるため利用者、家族の了承を得る必要がありますが、病院や薬局で内服薬を処方してもらう際にひとつの袋にまとめて入れてもらう一包化も管理が楽になるために有効です。

・服薬介助後の袋、ヒートを残す

利用者に確実に内服介助を行えたかの内服管理を行うためには、服薬介助を行ったあとの空の袋やヒート(錠剤を個別包装している容器)を捨てずに残しておくと、確認を行いたい際にもすぐに確認できるため有効です。可能であれば空容器保管用のボックスなどを用意しておくとなおさら内服管理が楽に行えるようになるでしょう。

まとめ

介護が必要な高齢者は老化に伴う機能低下や疾病により様々な薬を服用するケースが多いため高齢者だけでは薬の管理が困難な場合が多いです。その際は事業所に服薬管理や服用介助を行う必要がありますが、薬は誤薬や飲み損じなどを起こしてしまうと命にかかわるケースも多々あります。リスクを予防するためには薬ごとの注意点をしっかり把握し一人の利用者ごとに一回ずつ介助するなど安全かつ確実に服薬介助を行っていく意識が必要です。もし服薬前や服薬した後に様子がおかしいと感じることがあれば、すぐにかかりつけ医や薬剤師に相談する必要があります。いざという時の連絡体制を整えておくとよいでしょう。また、服薬の副作用や与薬判断に必要な状態を観察し記録を残すことで利用者の安全な服薬管理を行えますが、記録する書類が多くなってしまい情報共有が有効に行えなくなる場合が多々あります。効果的に情報共有を図るにはタブレット端末で情報をすべて記録、共有できるCare Palette(ケアパレット)の活用することで有効に行えるでしょう。

当コラムは、掲載当時の情報です。

参考URL

高齢者とくすり 認知症の人への服薬介助の工夫 認知症高齢者への服薬介助  

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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