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認知症ケアの専門家である『認知症ケア専門士』とはどのような資格かを解説
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2021/09/21
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現在日本の平均寿命が延びていることから高齢化が急速に進行しており、2025年には超高齢化社会ともいえる時代がやってきます。それに伴い懸念されているのが介護ニーズの増大です。さらに課題となってくるのが高齢化になるにつれ発症リスクの高まる認知症への対応です。認知症を有する高齢者へのケアは個人の尊厳に深くかかわる非常に重要なケア。そのために介護保険制度では認知症専門ケア加算を設けるなど、認知症ケアの質を向上させるための取り組みを行っています。また認知症ケアのスペシャリストともいえる資格に「認知症ケア専門士」があり、積極的に採用や資格の取得を促す介護事業所が増加しています。この認知症ケア専門士とはどのような資格なのでしょうか。
高齢化とともに認知症患者が増加
わが国の介護に関する課題としてしばしば取り上げられるものに「2025年問題」があります。これは戦後の第1次ベビーブームに生まれたいわゆる「団塊の世代」の方々が75歳、つまり後期高齢者になり、それに伴い介護の必要性が爆発的に高まることが懸念されている問題です。さらに現在の日本において平均寿命は増加を続けており、令和元年の時点では男性が81歳、女性が87歳を超えています。その結果2025年には日本の人口比率の30%が65歳以上になる超高齢社会が到来するとされています。
また平均寿命が延びるにつれ様々な疾病のリスクも高まることが指摘されており、そのなかで認知症を有する患者は2025年の時点で65歳以上の方の20%ほど、約700万人に増加するであろうと考えられています。
増加が予想される認知症患者に対しての介護ニーズに応えていくためには、介護職が認知症に対して適切な対応ができる専門性が非常に重要です。
認知症ケア専門士とは?
認知症介護の質を向上させる資格のひとつとして期待が寄せられているものに「認知症ケア専門士」という資格があります。認知症ケア専門士は一般社団法人日本認知症ケア学会が認定する更新制の資格で、認知症介護にあたる職員の自己研鑚および生涯学習の機会提供を目的としています。認知症に関する高い知識と技能に基づくサービスを、認知症を有する方や家族に提供できることを示す、認知症ケアのスペシャリストともいえる資格です。
認知症ケア専門士以外にもさらに専門的な知識、技能を身につけチームリーダーとしてや地域のアドバイザーとしても活躍できる「認知症ケア上級専門士」や学生や家族、地域住民が認知症に関する理解を深める機会を得ることができる「認知症ケア准専門士」の資格があります。
民間資格ではありますが今後の認知症ケアの質を高めることが求められていることを考えると、ますます需要が増えてくる資格といえるのではないでしょうか。
認知症ケア専門士は加算の対象になる?
厚生労働省は認知症への対応力を向上するための取組の推進として平成30年度介護報酬改定において「認知症専門ケア加算」を新設しました。
加算の対象となる介護事業所はグループホームや特別養護老人ホーム、介護老人保健施設やショートステイ、介護医療院といった入所型の介護施設が対象です。
加算は認知症専門ケア加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の2種類があり、双方ともに認知症に関する専門的な研修を修了した者がいることが算定の条件となっています。
しかし認知症ケア専門士は民間資格ですので残念ながら加算の算定要件には該当しません。認知症専門ケア加算を算定できる研修は(Ⅰ)が「認知症介護実践リーダー研修」、(Ⅱ)が「認知症介護指導者研修」です。
認知症ケア専門士を取得するメリット
認知症ケア専門士を取得するメリットは、何より「認知症に精通したスペシャリストがいる」ことが最も大きいメリットといえます。認知症ケア専門士資格は更新制であり、資格取得後も研修の受講や論文の提出などをしながら5年間の間に30単位を取得することが更新の条件となっています。また認知症ケア専門士は定期的に会報が発行されており、研究論文などを読むことができます。つまり認知症ケア専門士は資格取得だけで終わるのではなく、常に最新の認知症に関する情報を持っている人材ということになります。
認知症の原因疾患ごとに適切な対応方法を会得しており、心身の状態によって現れる様々な周辺症状に柔軟に対応できる認知症ケア専門士の存在は、介護事業所だけでなく働く介護職員にとっても非常に頼りがいのある存在であることは間違いありません。さらに認知症ケア上級専門士ともなると認知症の方の適切な介護計画の策定や事業所全体の認知症ケアの方向性の意思決定といった施設全体のケアの質を底上げが図ることができ、実践する介護職への指導者としての活躍も大いに期待できます。
認知症ケアのスペシャリストである認知症ケア専門士の活躍の場は入所型施設だけでなく、通所介護や訪問介護など介護事業所全般であるといってもいいでしょう。特にグループホームや認知症対応型通所介護は認知症の方が利用される施設です。そのため認知症ケア専門士がいることにより利用者個人ごとの適切な対応方法や介護計画の方向性について専門的な目線からアドバイスできることは非常に助かる存在ですよね。
認知症介護に必要な観察の視点やアセスメント方法、介護計画の作成からモニタリングといった認知症介護における介護過程の知識、技能を持っている認知症ケア専門士は、介護職員の認知症ケアの質を向上させることに役立ち、結果利用者への質の高いケアを提供できるための資格として積極的に採用する、積極的に取得を支援する介護事業所が増加しているのです。
質の高い認知症介護に有効な環境を整えよう
認知症の方がおられる介護事業所が認知症ケアの質を高めるためには認知症ケア専門士の力を最大限に発揮してもらうと同時に、認知症介護を適切に提供できるような環境を整えることが重要です。
認知症介護を適切に行うためには、利用者対応をその利用者の個性に応じて提供することは前提ですが、特に認知症の方の対応には体調変化や前後の出来事による感情の変化などを把握することが非常に重要になります。その場その場だけの応対をするのでは認知症の方への最適なケアは提供できません。
そのために必要になるのが介護記録です。例として昼間に眠ってしまった影響で夜間に眠らず徘徊を繰り返す認知症の方がいたとしましょう。認知症ケアの対応としてはその時点ですぐに入眠を促さず本人が落ち着くまで見守る、本人の話を聴くなどが基本的な対応方法となるかと思われます。
しかしもっとも大切なことは夜間に入眠できない原因を取り除くことです。なぜ昼間に眠ってしまうのか、起きている間にはどのような行動を取っているのか、日中の活動量はどのようなものなのかといった情報を細かく把握し、本人に適した解決方法を導く必要があります。この際に記録を残していないと原因を分析することができませんので利用者本人にとっても良いケアを提供することができません。
認知症の方は認知機能の障がいのため自身の現状を適切に表現することは困難な場合が多くあります。利用者本人の状態を正しく把握するには普段からの観察結果を記録に残し介護職全体で共有できることが必要なのです。
把握するべき情報をしっかりと残し、職員全体で共有し適切な認知症ケアを提供していくためには介護記録の効率化が有効です。介護記録は紙媒体で残すとなると非常に時間がかかるものとなってしまいますので、ICTを活用し電子化するのがとても効率的といえます。
NDソフトウェアの「ほのぼのNEXT」は利用者の情報管理をパソコン上で簡単な操作で入力でき、記録にかかる手間を大幅に削減することができます。グループホームの食費やおむつ使用料の把握や認知症対応型通所介護の送迎やスケジュール管理、連絡帳作成を手軽に行えるようにするなど、事業所ごとに使いやすいシステムをご用意しておりますので事業所の特性に応じた業務の効率化が可能になります。
また「Care Palette(ケアパレット)」は介護記録のほとんどをタブレット端末にて管理が行えるため、データの入力だけでなく蓄積した情報の分析も非常に効率的に行えるようになり、認知症の方に質の高い最適なケアを提供するためのサポートが可能になります。
介護記録をシステム化することは認知症介護に必要な情報を有効に残していくだけでなく、記録業務を効率化することで利用者に寄り添うことが最も大切な認知症介護の時間を確保していくことができることも大きなメリットといえます。
認知症ケア専門士の専門性を最大限に発揮し、認知症介護の質を高めていくためには非常に有効な手立てとなりますね。
【ほのぼのNEXT:認知症対応型共同生活介護事業所様向けシステム】まとめ
日本は2025年には人口の30%が高齢者という超高齢化社会に突入するとみられており、介護ニーズの増大が懸念されています。また高齢者の5人に1人が認知症になるとも見られており介護業界全体の認知症ケアの質を高めていくことが課題であると指摘されています。その中で認知症に関する専門的な知識、技能を持ち質の高い認知症介護を提供できる資格「認知症ケア専門士」はますます需要が高まっていくものと期待されています。
令和3年度介護報酬改定でも認知症ケアの質の向上への取り組みを引き続き推進していくべきであるとの議論がありますので、認知症ケア専門士の活用やICTを活用した介護記録のシステム化等、適切な認知症介護を提供できる体制づくりを行っていくことは非常に有効な取り組みとなっていくことでしょう。
当コラムは、掲載当時の情報です。
参考URL
日本認知症ケア学会 認知症ケア専門士公式サイト 内閣府 高齢化の現状と将来像 令和3年度介護報酬改定に向けて(地域包括ケアシステムの推進)おすすめ商品
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その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。