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NDSコラム

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介護施設での夜勤の実態から業務負担軽減に必要な取り組みとは

2021/07/09

介護を必要とされる方々が入所する介護施設において、必要不可欠になるのが24時間体制での観察や身体ケアなどを行うための夜勤業務です。しかし夜勤業務は介護施設の環境によっては職員の心身の負担が多い場合もあり業務負担の軽減などを図ることが必要とされているものでもあります。2021年2月、日本医療労働組合連合会は「2020年介護施設夜勤実態調査」の調査結果を公表しました。今現在、介護施設の夜勤はどのような実態となっていて、夜勤の業務負担を軽減していくためにはどのような取り組みが有効なのでしょうか。

介護施設において夜勤は欠かすことのできない業務

心身のケアが必要な方々が入所される介護施設では、24時間体制での見守りを要します。介護施設は生活の場であり、日常の生活には食事、入浴、排せつなどが含まれます。介護を必要とされる方の排せつ介助や自力での体動が難しい方への体位交換介助などは昼夜を問わず必要なため、介護施設では常に職員が勤務している状態が必要です。

また認知症を有する方は場合により昼夜を判別することが困難な方もおられ、夜間においても入眠されずに動かれる方もいます。そのため介護施設では夜勤が必要不可欠な業務になります。夜勤は日中の勤務に比べ限られた人員で勤務することが多く、介護職員の業務負担が増しやすい業務でもあります。利用者へのケア以外にも介護記録を記入する、翌日の準備をするなど夜勤中には多くの仕事を限られた人員でこなします。

決して簡単なことではありませんが、利用者の健康と安全を守るためにはとても重要な業務です。

「2020年介護施設夜勤実態調査結果」から見る介護施設の夜勤の現状とは

日本医療労働組合連合会は2021年2月、「2020年介護施設夜勤実態調査結果」を公表しました。夜勤を必要とする特別養護老人ホームやグループホーム、老人保健施設や小規模多機能型居宅介護など153施設、4233名に対して行われた調査です。
介護施設の夜勤の実態を明らかにすることを目的に行われた本調査結果は、以下の結果が報告として挙げられました。

「2交代夜勤」82%、「3交代夜勤」16.5%

この度の調査結果によると2交代夜勤を行っている介護施設は回答があったうちの82%でした。3交代夜勤は16.5%で、2交代夜勤が大幅に上回る形となっています。2交代夜勤は働く時間が長いため勤務自体は負担の大きいものですが夜勤明けの翌日は休みとなる介護施設が多くみられます。ひと月あたりの夜勤の回数は約4回です。

3交代夜勤は連続して勤務に入る場合があり、一回あたりの勤務時間は2交代夜勤と比較して短いものの体感的に休みが少ないと感じやすい勤務形態であるともいえます。 前年の結果は2交代夜勤が87%、3交代夜勤が11.5%でしたので、1回の勤務時間が長くなり負担の大きい2交代夜勤を見直す介護施設が増えているという見方ができます。

ひと月あたりの夜勤回数が依然として多い

以前に行われた介護施設夜勤実態調査と比較すると、介護職員がひと月あたりに夜勤を担当する回数は2交代夜勤では1,878人中720人が「4.5回以上」と回答しています。前年は823人が4.5回以上夜勤を担当していると回答していますので回数そのものは減ったとみられますが、依然として夜勤を担当する回数が多い現状は続いているといえます。

3交代夜勤の夜勤回数は70人が月に9回以上夜勤を担当していると回答しています。前年は43人でしたので3交代夜勤を行っている事業所においては職員の夜勤日数は増加しているといえるでしょう。

「2交代夜勤」の平均休憩時間は2時間28分

3交代夜勤の平均休憩時間が平均1時間7分であるのに対し、2交代夜勤の平均休憩時間は2時間28分であるとの調査結果が出ています。2交代夜勤は平均して16時間働く勤務形態であり、2時間30分程度の休憩時間が平均であることを鑑みると、労働環境は介護職員にとって非常に負担の大きいものであることが窺えます。

また、この回答はあくまでも就業規則に定められている休憩時間を集計したものであり、夜勤中に休憩が取れていることの裏付けではないことに注意が必要です。

介護施設に入所する利用者の数によっては夜勤を1人で担当する事業所は決して少なくありません。グループホームや小規模多機能型居宅介護は1ユニットで定員が9名と決まっており、夜勤を担当する職員は1名であることが恒常的となっています。実際に1時間程度の休憩が取れているかということを考えると、利用者対応のために持ち場を離れることのできない職員は相当数いるのではないかと思われます。夜勤業務を1人で行うことは利用者の対応などで気を抜くことができず精神的に余裕がないともいえます。さらに翌日の準備などの業務も行うため、他の職員と連携した業務分担が行えない恐れがあり肉体的にも負担の大きいものといえます。そのような夜勤において休憩をしっかり取ることができないとなると介護職員の心身には相当の負担がかかることが考えられます。長時間の勤務に加え限られた人員数で利用者のケアや利用者対応にあたる心身の負担は介護職員の健康にも悪影響を及ぼすおそれがあるといえるでしょう。

人員不足が介護施設の夜勤の負担増に繋がっている

介護施設の夜勤の実態は、依然として介護職員にとって負担の大きい業務であることが分かります。夜勤業務が大きな負担になってしまう大きな理由のひとつに介護業界の慢性的な人材不足が挙げられます。

常時見守りを要する介護施設の業務に夜勤は欠かすことができません。毎日必ず職員を配置しなくてはならず、職員総数に余裕がない状態でも例外はありません。職員が不足している中で夜勤体制を確保していくためには、1人あたりの夜勤回数は必然的に増加することになります。夜勤を担当する職員を確保しなくてはならない現状から日中の勤務体制が不十分になることを余儀なくされるためケアの質が低下してしまうことも懸念されます。

解決のためには多様な人材を確保することが急務となりますが、Wワークの方や専業主婦の方などは介護の仕事に興味があったとしてもシフト制で働くことはできない方が多くおられます。介護施設の現状に合わせ日勤帯のみを働く職員や夜勤を専従で働く職員などシフト制によらずに働ける環境を整備し、介護施設内の働き方改革を行っていくことで多様な人材を呼び込む体制を整えることも有効といえるでしょう。

テクノロジーを活用した負担の軽減を図ろう

夜勤業務は限られた人員で見守りや介助を行いつつ翌日の準備や介護記録の記入などの業務も平行して行う必要があります。複数人で夜勤を担当する規模の大きな介護施設であってもナースコールの対応などに追われ職員かの情報共有が有効に行えず業務に支障が出るケースも考えられます。夜勤業務を担当する介護職員の心身の負担を図るためには人員確保と平行して夜勤にかかる業務の負担そのものを減らしていくアプローチが非常に重要です。

夜勤業務で定期的に行われる業務に「巡回」があります。利用者が安眠できているか、起きて離床しようとされていないかなどを定期的に見て回り利用者の安全を守る大切な業務です。しかし利用者一人ずつを見て回るには相当の時間を要します。巡回は大きな業務負担となり得るのです。

夜間の見守りの負担を軽減するために活用を期待されているものにテクノロジーを活用した見守りセンサーの使用があります。職員が見て回る方法以外に、IoTを活用して遠隔で利用者の状態を把握できるようにし巡回にかかる業務時間や負担を軽減しようというものです。令和3年度介護報酬改定では利用者の見守りに見守りセンサーの導入割合の緩和と安全体制の確保や職員の負担軽減等を要件に、夜勤に必要な人員基準の緩和が図られました。
実際に見守りセンサーを活用した事業所では夜間の見守り業務にかけていた時間が80分程度軽減できたという有用性も認められています。

見守りセンサーを活用して職員の負担を軽減させるのと同時に配置しなくてはならない職員数に余裕を持たせることは働く介護職員にとっては非常に強い安心に繋がるといえます。 NDソフトウェアでは各種センサーと連携できる「IoTクラウド」という製品をご用意しております。 ベッドセンサーを例に挙げますとマットレスの下に敷くだけで臥床している利用者の呼吸、心拍を感知し、入眠しているかどうかを分析できます。分析結果はパソコン等の画面に遠隔で表示されますので離れた場所であっても利用者の入眠状態を把握することが可能になり、見守りによる職員の負担軽減にお役立ていただけます。

ほかに介護施設の夜勤で業務負担の軽減が必要なことに職員間の情報共有が挙げられます。複数人が勤務している大きな規模の介護施設の場合、職員がそれぞれに動く場面がしばしばみられます。その結果情報共有が満足に行える、業務が効率的に行えないこともよくあります。テクノロジーを活用した情報共有手段として期待されているのが離れた場所でも通話することで情報共有を図ることができるインカムの使用です。令和3年度介護報酬改定で人員基準の緩和を図るための業務効率化にはICTを活用したデジタルインカムの使用も対象になっています。

NDソフトウェアではiOS端末をデジタルインカムとして活用する「ほのぼのTALK++」をご用意しております。首にかけるタイプのスピーカーデバイス「ネックスピーカー」を使用することで耳への負担を軽減することができ、周りの音も通常通り聞き取れるため安心です。また音声通話だけでなく、話した言葉が文字情報としても残りますので聞き漏らしたこともきちんと情報共有できるため、スムーズな業務をお手伝いいたします。

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まとめ

日本医療労働組合連合会が行った「2020年介護施設夜勤実態調査結果」では介護施設の夜勤にかかる負担は依然として高い状態であることがわかりました。
ICTを活用した業務負担の軽減は人件費削減が目的ではなく、業務を効率化することで介護職員の心身の負担軽減や安心して働ける職場づくりや利用者の安全のための環境づくりとして活用することが非常に大切です。誰しもが働きやすい環境づくりは働き方改革を推進し多様な人材を呼び込むことにも有効ですので、積極的にICTを活用した業務改善に取り組んでいきましょう。

当コラムは、掲載当時の情報です。

参考URL

▼ 日本医療労働組合連合会 2020年介護施設夜勤実態調査結果
http://irouren.or.jp/publication/0a02985f8028ee066692f75ef873418473ba67f4.pdf

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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