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障がい福祉サービスと介護福祉サービスを繋ぐ「共生型サービス」とは

2022/01/06

障がい福祉、介護福祉両者を対象に2018年度の法改正により「共生型サービス」が施行されました。障害者総合支援法において「共生社会の実現」は基本理念として挙げられておりその中で共生型サービスは障がい福祉、介護福祉を繋ぐ役割を果たすものです。今回は共生型サービスについての解説と、障がい福祉サービスから見た共生型サービスの現状について解説します。

共生型サービスとは

共生型サービスは2018年度の障がい福祉サービス、介護福祉サービス同時改定により新たに創設されたサービスです。障がい福祉、介護保険どちらかの指定を受けてサービスを実施している事業者がもう一方の指定を受けやすくし、障がい福祉、介護保険それぞれのサービスを同事業者が一体的に提供できるようになりました。

障がい福祉サービスの場合、障がい福祉について基準を満たし指定を受けていれば、介護保険サービスの基準を満たしていなくても共生型サービス事業所として指定申請を行うことができます。

共生型サービス創設の背景

共生型サービス創設の背景には障がい者がサービスを利用しながら地域生活を続けていくのにあたり、65歳以降になると介護保険が適用されるという制度の壁がありました。

障がい福祉サービスの対象者は支援程度区分に該当する障がい児者ですが、その方々は65歳以降になることで介護保険の第1号被保険者となります。65歳以上の者については介護保険サービスが優先という原則があります。つまり訪問介護を例に挙げると、障がい福祉サービスのホームヘルプである居宅介護、重度訪問介護を利用していた方は65歳以降になると介護保険が優先され、従来使っていたサービスを使えなくなり新たに介護保険サービスの訪問介護に移行する必要がありました。以前から基準該当サービスという形でサービスの提供は可能な場合もありましたが自治体により実施状況がバラバラであることや、報酬体系が画一的であることなどから有効な方法とはいえませんでした。

使い慣れた事業所でなじみの深い職員によるサービスを継続して受けることができるよう、障がい福祉サービスと介護保険サービスの縦割りの公的支援から一体的かつ包摂的に支援し、障がい児者との共生社会を実現させようと期待されているのが共生型サービスです。

障がい福祉サービスにおける共生型サービスの対象

障がい福祉と介護保険サービス双方の指定を受けやすくする共生型サービスの対象となるサービスは障がい福祉、介護保険サービスの類似性があるものが対象であり、現状では居宅介護サービスである訪問介護(ホームヘルプ)、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)が対象です。

ホームヘルプサービスを例に挙げれば、障がい福祉の居宅介護、重度訪問介護を提供している事業所が共生型サービスとしての指定を受ければ同事業所から訪問介護サービスを提供できることになり、そこを利用する方は65歳以上になっても同じ事業所、同じ職員から同様のサービスを受けることが可能になります。

デイサービスの場合は障がい福祉の「生活介護」⇔介護福祉の「通所介護」、ショートステイの場合は障がい福祉の「短期入所」⇔介護福祉の「短期入所生活介護」として変わらないサービスを受けることができます。

障がい福祉と介護福祉サービスに類似性がないサービスは対象にはなりませんので注意が必要です。例えば障がい福祉サービスでは就労継続支援は就労という障がい者独自の課題に対しての支援ですので共生型サービスの対象にはなり得ません。また障がい者支援施設についても介護保険の適用除外ですので共生型サービスとしては指定を受けることができません。高齢者介護も同様に介護老人福祉施設等の介護保険独自のサービスは障がい福祉の対象外となり共生型サービスの指定を受けることはできません。

障がい福祉サービスの共生型サービス実施状況

令和3年3月の調査では、共生型サービスを実施している事業者で最も多いサービス種別は「共生型通所介護」つまりデイサービスです。回答が得られた事業所の8割弱が実施しています。また約半数の事業所で共生型サービスの利用者が増加しているとの回答も得ています。利用者の年齢層では50~64歳の利用が4割弱と最も多い結果となっています。やはり介護保険に切り替わることを踏まえて共生型サービスを利用する傾向が強いことが窺えます。利用者の支援区分では区分3が最も多く次いで区分4が多い結果です。両者を合わせて約半数を占めており、ほとんどの事象者が通所介護を提供している実態を鑑みるとやはり重度の障がいがある方はまだまだ共生型サービスの利用には至っていないことが分かります。

障がいの種別では身体障がいが36%、精神障がいが26.2%、知的障がい22.9%となっています。障害者総合支援法では難病の方も対象ですが難病の方の共生型サービス利用状況は芳しくないようです。

共生型サービスの今後の課題

共生型サービスは障がい者の共生社会の実現と地域包括ケアの実現に大きな期待を寄せられていますが、現状では居宅介護、重度訪問介護といった介護サービスでいうところの訪問介護サービスの利用状況が芳しくありません。また短期入所も1割に満たないなどサービスの提供状況に大きな偏りが見られます。

共生型サービスは障がいの程度に因らず利用者本人が地域で暮らすことを包摂的に支えるものです。ニーズに応じて柔軟に対応できるよう共生型サービスの対象となる事業所が幅広く対応していくことが共生社会の実現に向けて大きな発展を見せることでしょう。介護福祉分野の介護技術などを障がい福祉サービスを提供する職員にどのようにして身につけてもらうかが今後の課題となりそうです。

また最も多く提供されているデイサービスについては「共生型介護保険サービスの利用者向けのサービスプログラムの改定」を課題に感じている事業所が3割近く挙がっています。今まで障がい児者を対象に提供していたサービスを高齢者にも適用する場合にどのようなプログラムを提供するべきかに課題を感じている事業者が多いということです。

障がい児者、高齢者ともに目指すべきところはQOLの維持、向上でありデイサービスを提供する共生型サービスの強みは障がい児者と高齢者が同時にそこを利用することにあるといえます。縦割りから包摂的な支援を目指す共生型サービスではその強みを活かしたプログラムの提供が有効になると思われます。様々な年代の方々が触れ合うことができ、一人ひとりが役割を担えるプログラムを考えていきたいですね。

今後の共生型サービスの課題としてもう一点挙げられているのが介護福祉サービスにおける小規模多機能型居宅介護です。小規模多機能サービスはデイサービス、ホームヘルプ、ショートステイを一体的に提供する地域密着型サービスで大きな期待を寄せられているサービスであり、共生型サービスにおいても訪問、通い、泊まりを組み合わせた支援は障がいの方への親和性が高いといわれています。

しかし小規模多機能型居宅介護は第三者評価の実施や職員の研修の義務などの基準が多く、障がい福祉分野が共生型サービスとしての指定を受けるには実施が困難であることが実情です。

今後さらに共生型サービスは発展させることが必要と思われますので、小規模多機能型居宅介護と障がい福祉サービスとの調和を図ることができればますます発展に拍車がかかることが期待されます。

共生型サービス事業所に必要なシステム

共生型サービスは介護保険事業所または障がい福祉事業所いずれかの指定を受けている事業所がもう一方の指定を受けやすくする特例のことです。つまり障がい福祉サービスを提供している事業所が共生型サービスを行う場合、介護保険制度の指定も受けることになります。その際に必要になってくるのが介護保険対象の方の請求に対応したシステムです。 従来の障がい福祉の請求システムとは異なるため共生型サービスを実施する場合は介護保険に対応したものでなくてはなりません。また共生型サービスでは障がい福祉の利用者と介護保険サービスの高齢者に同じサービスを提供することになります。その際に必要な利用者情報の記録は双方の連携を保てるものが望ましいといえます。

そのためには障がい福祉サービス、介護保険サービスともに情報の連携ができる同一メーカーのシステム導入が有効です。

NDソフトウェアの「ほのぼの」シリーズは介護保険に対応した「ほのぼのNEXT」、障害者総合支援法に対応した「ほのぼのmore」を取り揃えており、利用者情報からや口座情報などの連携が可能なため共生型サービスのシステムとしておススメです。

▼ほのぼのNEXT
▼ほのぼのmore

まとめ

障がい者の共生社会の実現に向けて始まった共生型サービスは障がい福祉と介護福祉の垣根を越えて包摂的な支援を可能にする大きな可能性を秘めたサービスであるといえます。どのような方でも住み慣れた地域でなじみの方々との繋がりを保ち生活を続けていくことはQOLの向上に向けた生活意欲の向上にも大きく役立つといえるでしょう。 事業所においても積極的に共生型サービスの実施を検討し、障がい者の共生社会実現を後押ししていくことは利用者層の拡大と利用数の増加、ひいては事業の安定化にも繋がるといえます。

今後ますます増加を続ける高齢者や障がいを持つ高齢者のニーズを踏まえ、共生型サービスの実施を検討してみましょう。

当コラムは、掲載当時の情報です。

参考URL

共生型サービス

共生型サービスの報酬・基準について

共生型サービス (参考資料)

共生型サービスに関する実態調査報告書

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