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NDSコラム

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科学的介護LIFE解説 特定施設
有料老人ホーム編

2022/01/17

令和 3 年度介護報酬改定を読む科学的介護 LIFE で変わる特別養護老人ホームをテーマに解説します。

 

解説者 : 株式会社ナレッジ・マネジメント・ケア研究所/統括フェロー  石垣 修一

医療法人昌平会 大山リハビリテーション病院 事務次長、
医療法人養和会 養和病院・老人保健施設仁風荘 事務長、
社会福祉法人こうほうえん 副本部長兼総合企画部長を経て
理事・評議員 社会福祉法人 若竹大寿会 法人本部 本部長・理事を経て現職に至る

なぜLIFEがはじまったのか

まずはじめに、厚生労働省はなぜLIFE加算を始めたのでしょうか。

いちばんの理由は医療のように汎用性のあるデータベースを作り出したかったのです。つまりLIFEで実現したかったことは医療のようなEBMつまりエビデンスベースメディスン同様に(下図)データベースを作り、「経験と勘の介護」から、データに基づく「科学的な介護」へと進化させたかったわけです。

しかし、科学的介護とEBCという言葉だけ先行して、これまではデータベースをきちんと作られてきませんでした。いろんな団体でいろんな方法論が語られ、各団体でバラバラなEBCというようなものが作られたのですが、結果として医療のような科学的なデータベースが作られなかったことになります。

そこで、平成 30 年の改定では厚生労働省主導で先行版が作られました。それが、VISITや CHASEになります。VISITやCHASEはリハビリや介護の改善、具体的にはADLや介護状態の維持改善に資するデーが集めたかったのです。しかし、実際データベースを提供する事業者にとってはかなり負担が大きく、つくったものの活用が全然進まなかったという状態でした。

令和3年ではVISITとCHASEを統合したLIFEという新しい概念が作られました。そして、新設加算の算定条件にLIFEのデータ提出やフィードバック活用を義務付け、LIFEを運用して、PDCAをまわしていかなければ点数は取れないという点数による利益誘導を行い、有用なデータベースを作り上げていこうということとなりました。

現在の加算はデータを入力することだけがもとめられ、ケアを提供した結果は問われていません。つまり、入力することで加算という考え方ですが、将来的には、当然結果による評価となる可能性が高く、提供したケアによって状態が改善していくとプラス評価という流れが出てくると考えられます。

特定施設 有料老人ホームのLIFE加算について

では、特定施設 有料老人ホームのLIFE加算についてご説明いたします。

100床の特定施設では、年間約140万円が見込まれます。
決して特養・老健に比べて高いものではありませんが、有効な収入として見込めます。

最初から全部加算を取ることは難しいため、ステップを踏んで、最初はADL維持加算・個別機能訓練加算から始めて、多職種の協力が必要な科学的介護推進加算へ持っていくということが一般的かと思われます。

介護保険の財源は総額が一定であるため、何かが増えれば他が減ります。
LIFE加算が増えれば、当然他が減らされるため、LIFE加算を取っていく必要は不可欠になります。

LIFE関連で提出を求めるデータ形式とは?

以下の表がLIFE加算で提出を求められるデータ様式です。
入力することによって点数が加算されますので必須のものを優先して入力を進めることが先決です。

NDソフトでは利用者1名あたりの1日の単価が自動計算できるシミュレーションツールをご用意しております。選択する加算を変更することで経営がどのように変わるかがわかりますので、ご興味がございましたら下記までお問合せください。

特定施設では、LIFE関連加算以外にも重要な加算があります。

特定施設のLIFE関連加算以外で重要な加算とは?

1つ目に「入所継続支援加算」があります。

サービス提供体制加算が入所継続支援加算Ⅱでも22、Ⅰで36単位です。

これは大変大きな金額です。テクノロジーを活用した複数の機器、例えば、見守り、インカム、記録ソフト等の3つのICTを揃え、活用し、PDCAサイクルによってアセスメント評価や人員体制の見直しを継続して行う場合、該当加算の介護福祉士の配置要件が現行の6:1から7:1と緩和されます。今後の経営を考える上でご検討いただきたい点になります。

2つ目に「自費」による徴収があります。
自費項目の考え方として、自費の徴収は純利益の増大になります。
例えば100床の特定施設が新たにおやつ代100円を徴収した場合、今まで経費であったおやつ代が純利益に変わり、年間純利益は100円×100床×365日で、年間365万円になります。
利益率5%と言われる法人であれば売り上げは7300万円となりますので自費の工夫がいかに今後の経営にとって不可欠なものかということをご検討下さい。

LIFEへの取組みについて

LIFEに取り組むにあたり、重要なことは、施設の経営に関する影響を職員にきちんと伝えることです。今後の経営にとっても避けて通れないことを理解していただくことが重要になります。  

具体的には加算が収支・収益に影響する事をシミュレーション等用いて説明し、経営にとって不可欠ということを理解していただくこと。また、特養では今5割から 7 割ぐらいが算定を始めているLIFE関連ですが、当初は施設で算定しやすいものから算定しているとの状況があるので、どのように取り組んでいくとよいかをスタッフ間で話し合っていくことが必要です。

その上で、きちんとタイムスケジュールをたて、今すぐに取れなくても、3ヶ月、半年、1年先であったとしても必ず加算を取 るんだという合意のもと取得までのプロセスを設定していくことが大切です。 

そのためには、「推進リーダー」を各セクションに作り、同時にきちんと取得のためのプロセス工程を管理していくタイムキーパー役も任命していくことが大切です。そのためには、スタッフにとれとれということだけではなく、法人においても、環境整備を意識し、ICTを活用した電子化の推進を行い、業務負荷軽減も図っていく必要が重要になります。 

ICTの一例

まとめ

LIFEは今後において必ず核となるようなデータベースとするのが、厚生労働省の意向ですので、いかに早くLIFE関連加算を取得するかがこれからの大きな課題になると思います。

Dx ツールの具体例

当コラムは、掲載当時の情報です。

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