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NDSコラム

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【通所介護】科学的介護LIFE解説 収益への影響は?

2022/01/27

解説者 : 株式会社ナレッジ・マネジメント・ケア研究所/統括フェロー  石垣 修一

医療法人昌平会 大山リハビリテーション病院 事務次長、
医療法人養和会 養和病院・老人保健施設仁風荘 事務長、
社会福祉法人こうほうえん 副本部長兼総合企画部長を経て
理事・評議員 社会福祉法人 若竹大寿会 法人本部 本部長・理事を経て現職に至る

なぜLIFEがはじまったのか

まずはじめに、厚生労働省はなぜLIFE加算を始めたのでしょうか。

いちばんの理由は医療のように汎用性のあるデータベースを作り出したかったのです。つまりLIFEで実現したかったことは医療のようなEBMつまりエビデンスベースメディスン同様に(下図)データベースを作り、「経験と勘の介護」から、データに基づく「科学的な介護」へと進化させたかったわけです。

しかし、科学的介護とEBCという言葉だけ先行して、これまではデータベースをきちんと作られてきませんでした。いろんな団体でいろんな方法論が語られ、各団体でバラバラなEBCというようなものが作られたのですが、結果として医療のような科学的なデータベースが作られなかったことになります。

そこで、平成 30 年の改定では厚生労働省主導で先行版が作られました。それが、VISITや CHASEになります。VISITやCHASEはリハビリや介護の改善、具体的にはADLや介護状態の維持改善に資するデータが集めたかったのです。しかし、実際データベースを提供する事業者にとってはかなり負担が大きく、つくったものの活用が全然進まなかったという状態でした。

令和3年ではVISITとCHASEを統合したLIFEという新しい概念が作られました。そして、新設加算の算定条件にLIFEのデータ提出やフィードバック活用を義務付け、LIFEを運用して、PDCAをまわしていかなければ点数は取れないという点数による利益誘導を行い、有用なデータベースを作り上げていこうということとなりました。

現在の加算はデータを入力することだけがもとめられ、ケアを提供した結果は問われていません。つまり、入力することで加算という考え方ですが、将来的には、当然結果による評価となる可能性が高く、提供したケアによって状態が改善していくとプラス評価という流れが出てくると考えられます。

通所介護のLIFE関連加算について

通所介護のLIFE関連加算をみてみましょう。

月間利用者数が100名程度であれば、科学的介護推進体制加算や個別機能訓練加算、ADL維持加算、また栄養アセスメント加算や口腔機能向上加算などで約年間260万円程度が見込まれます。

介護保険の財源総額は一定で、何かが増えれば何かが減るといった構造になっています。LIFE関連加算はデータ収集強化されるので、結果的には他の報酬に必要な財源は減少するということになります。そのため、LIFE関連加算を取っていかなければなりません。

厚生労働省のLIFEは始まったばかりですので、フィードバックが整うまでには、厚生労働省は5年程度見込んでいるので、次回改定では収集状況によっては単位数をアップしてでもデータの収集に⼒を⼊れていくものと予想しています。

では、実際にどのようなデータを入力して、提出すればよいのでしょうか?
関連加算で提出を求めるLIFEデータの様式としては以下のものがございます。

これからのデータ様式を提出するにあたり、利用者1名1日あたりの利益が自動で計算できるエクセル表があります。

NDソフトでは利用者1名あたりの1日の単価が自動計算できるシミュレーションツールをご用意しております。選択する加算を変更することで経営がどのように変わるかがわかりますので、ご興味がございましたら下記までお問合せください。

これらの様式全てを一気に入力・提出しなければならない訳ではなく、1つずつやり易いものから提出していくことも可能です。
その際は、提出した分のみがLIFE関連加算になりますので、全てがLIFE加算されませんが、施設の入力状況や人的状況に応じて徐々に進めても問題ありません。

LIFEへの取組みについて

LIFEに取り組むにあたり、重要なことは、施設の経営に関する影響を職員にきちんと伝えることです。今後の経営にとっても避けて通れないことを理解していただくことが重要になります。  

具体的には加算が収支・収益に影響する事をシミュレーション等用いて説明し、経営にとって不可欠ということを理解していただくこと。また、特養では今5割から7割ぐらいが算定を始めているLIFE関連ですが、当初は施設で算定しやすいものから算定しているとの状況があるので、どのように取り組んでいくとよいかをスタッフ間で話し合っていくことが必要です。

その上で、きちんとタイムスケジュールをたて、今すぐに取れなくても、3ヶ月、半年、1年先であったとしても必ず加算を取 るんだという合意のもと取得までのプロセスを設定していくことが大切です。 

そのためには、多忙な主任ではなくスタッフの中から「推進リーダー」を各セクションに作り、同時にきちんと取得のためのプロセス工程を管理していくタイムキーパー役も任命していくことが大切です。そのためには、スタッフにとれとれということだけではなく、法人においても、環境整備を意識し、ICTを活用した電子化の推進を行い、業務負荷軽減も図っていく必要が重要になります。 

LIFE関連加算以外で大事なこと「通所介護のキャンセル率について」

「あなたの法人のキャンセル率は何パーセントですか?」と聞かれた場合、お答えできますか?キャンセルの発生はどのようにして生まれるのでしょうか。

まずはご自身の法人のキャンセルの特性をしっかりと把握することが大事です。
例えば、当日キャンセルで来訪にならなかった利用者のパーセントを曜日ごとのキャンセル率を4週間調べてみます。曜日ごとの特性があるはずです。

この例では金曜日と土曜日はキャンセル率が多いようですが、曜日ごとの登録利用者がそれに見合っているでしょうか。
また他の日もキャンセル率に合わせて利用登録者数を変えていく必要がありますが、そこまで想定した動きができているでしょうか。

上記表の例では、平均で5%ということは最低でも利用者定員30人であれば3~5人程度登録者数を多くしなければなりません。そうしなければ定員数まで伸びないということです。
また、キャンセル率を下げる方法はないのでしょうか。

例えば、利用者から「今日は体調が悪いのでお休みしたいと思います」という電話が施設にかかってきます。その時、事務所スタッフは「お大事にまた元気でおいて下さい、お待ちしています。」とお答えするでしょう。このお返事は正しいのでしょうか?
正解は「少しお待ち下さい。通所介護に回します」です。

この事務所スタッフは素晴らしい対応なのですが、「お待ちしてます。」と電話を切った瞬間にキャンセルは発生してしまいます。キャンセルの電話がかかってきたら通所介護のスタッフは状況を聞いた後「変わりの日は、いつにしましょうか?」と代替日をお尋ねします。これが重要です。

なぜなら、ケアマネジャーは週何日と社会参加を求めているわけですから、変わりの日を求めるのが正しいということになります。

送迎がある場合、代替日が可能かどうかを現場スタッフに聞かなければなりません。事務所スタッフでは分からないので、現場スタッフに確認が必要です。
そして、利用者は変更できることを知らないケースも多いので、いつもの決められた曜日以外でも対応できることも伝えましょう。
「変わりの日はいつにしましょうか?」というお返事を1年間続けて、あるディサービスでは11%近くもあったキャンセルが4.6%まで落ちたという実績もあります。この差はすべて純利益となり、非常に大きな財源となるのでまず試してみてください。
試してみてキャンセル率が1%でも下がることが非常に重要です。

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当コラムは、掲載当時の情報です。

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