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【令和3年版】介護業界における文書の電子化の現状

2022/02/07

介護業界では現場の負担感の軽減や効率化を目指して様々な文書負担の軽減が模索されています。前回のコラムの方向性から、介護現場の文書の取り扱いや電子化の現状について令和3年度介護報酬改定で変更された点や、今後の見通しなどの現状を、令和3年3月17日の「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会(第8回)」から見ていきましょう。

介護現場に求められている文書負担の軽減の考え方

介護事業所は通常、提供したサービスの報酬は1~3割を利用者負担、残りの7~9割を介護保険からの給付で支払われます。また事業所により質の高い介護サービスを提供できる場合や有資格者を多く配置している場合は加算を算定することで報酬額を上げることができます。介護保険は公費と被保険者で半分ずつ保険料を捻出することで財源を成しています。

つまり介護事業所に支払われる介護報酬は被保険者の大切な保険料や国の公費ですから、報酬を支払うのに適切であるかどうかの透明性が非常に問われる業種でもあります。そのため加算を算定する場合や毎月の請求時は正当性を証明するための書類や記録類が非常に膨大な量となってしまうのです。

さらに介護事業は行政から指定を受けて営業することができる非常に公益性の高い仕事であるため、求められる施設や人員の基準や利用にあたって必要になる契約書類等が厳しく設定されています。

介護保険が施行されてから20年以上経ち、都度変化する加算や法改正のたびに追加される運営基準などでさらに必要な書類や記録類は増えていき、業務を圧迫することが問題となっていました。
そこで厚生労働省は介護現場の適性化を目指し文書の負担感の軽減や電子化による効率化といった様々な対策を講じました。現状として厚生労働省が目指す方向性は「簡素化」「標準化」「ICT等の活用」です。

令和3年度介護報酬改定までの変更点とは

令和元年より介護現場における文書の負担軽減において以前から議論されていた内容と、令和3年度介護報酬改定までに実際に変更された一例です。

押印不要

押印不要について令和元年度中の実施を目指していた提出時のルールによる手間の簡素化

指定申請報酬請求に関して、「指定(更新)申請書」「誓約書」「介護給付費算定に係る体制等に関する届出書」以外の文書に対する押印は求めないことについて、令和2年12月25日付の通知により、すべての押印が不要との通知が出されました。今後、ICTの活用も踏まえてオンライン化を図る観点からの変更です。
さらに令和3年度介護報酬改定では「利用者等への説明・同意について、電磁的な対応を原則認める。署名・押印を求めないことが可能であることや代替手段を明示する」との改正が行われ、利用者が認めれば重要事項の説明はタブレットなどの画面上で行ってもよいとされ、さらに契約書類等の押印も電子署名に代えることができるようになりました。

記録の保存・交付の電磁的な対応を認める

令和3年度介護報酬改定で変更されたもので、利用者へ提供したケアの記録などを、ICTを活用した介護ソフトで行い電子化するだけでなく、従来は紙媒体として利用者に説明・交付していた契約書類等も利用者の同意が得られれば原則として電磁的な対応を認めるとしました。
これにより、契約書類の押印不要と合わせ今まで必要であった契約書、重要事項説明書、個人情報に係る同意書といった初回利用時に必要な膨大な量の書類が大幅に簡素化されました。しかし、利用者が同意しない場合においては従来通り紙媒体での説明が必要であることには注意が必要です。

提出方法(持参・郵送等)の見直しによる簡素化
  • 新規指定申請については、事前説明や面談の機会等を含めて一度は対面の機会を設けることを基本としつつ、すでに複数事業所を運営している事業者の場合については更なる対面を必須としない
  • 更新申請、変更申請については、原則、郵送・電子メール等による提出とする。

直接提出の必要は原則なくなりましたが、直接提出を希望する事業者については持参も可能です。

運営規程の掲示の柔軟化

令和3年度介護報酬改定により変更されました。
従来は人員配置や重要事項の内容について等は事業所内に掲示する必要がありましたが、閲覧可能な形でファイル等で備え置くことを可能としました。
これにより、掲示しなくてはならないという義務がなくなり、見やすい形であればよいとされたことになります。

申請様式のホームページにおけるダウンロード

新規・変更・更新といった申請に係る書類は原則として厚生労働省のホームページに掲載している様式を活用することとされました。

文書の簡素化、標準化、ICT等の活用について今後の方向性

厚生労働省は介護業務に関わる文書や記録類の効率化について様々な取り組みを行っており、今後もさらなる簡素化、標準化、ICTの活用を図ることとしています。その大きな方向性とは簡素化・標準化を図ることでICT等の活用の前提となるという方向性です。

実際に令和3年度介護報酬改定ではリハビリに関する評価シートが標準化される、事故報告様式の標準化を推奨するなど、今まで各事業所が単独で作成していた書類の様式を統一する動きが見られました。これらの様式は厚生労働省から提示され、オンラインで作成、報告、共有が可能となるよう設計されています。また令和3年度介護報酬改定から始まった科学的介護推進体制加算についてもデータの提出には介護ソフトを活用することを推奨するなど、文書の簡素化、標準化にはICTの活用が前提となっていることがわかります。

今後の見通しとして

  • 既存の「介護サービス情報公表システム」を活用した、指定申請及び報酬請求に関する届出等の入力項目の標準化とウェブ入力の実現
  • 勤務表の項目簡素化と様式統一
  • 実地指導の実施頻度等について、さらなる効率化が図られるよう検討

などが現在も検討されています。

今後も推進されるであろう文書の簡素化や標準化には多くの部分でそれに代わる方法としてICTの活用が求められるようになるでしょう。これらに対応していくことは負担軽減以外にも、文書管理を容易にすることで災害時等のデータ保護が容易になるといったメリットや、ペーパーレス化を図ることができ経費削減にも寄与するといったメリットもあります。そしてICTを活用することで文書の簡素化や標準化を最大限活用することは、介護職員の負担軽減に繋がることが期待できます。

積極的にICTを活用してペーパーレス化を図ることで、必要な時以外は印刷を行なわず、ほとんどの文書に係る業務を電子データで行えれば人の手と比較するとその労力は大幅に減少します。その結果介護職員は利用者へ直接ケアにあたることができる時間を確保でき、さらなる質の向上に努めることができるでしょう。

介護事業所がICTを活用していくためには介護ソフトやパソコン、タブレットなどの機器が必要です。今後のさらなる文書の簡素化・標準化に柔軟に対応していくための機器の導入には、事業の規模によって差はありますが一定の費用がかかってきます。小規模の事業所では設備費用に手が回らず導入を見送っているという話も聞きますが、介護事業所を対象としたICT導入の補助金や、中小企業を対象としたIT導入補助金など、国や都道府県は様々な支援策を打ち出しています。ICT機器の導入は必要な投資であると考え、負担を軽くする補助金等の助成を積極的に活用していくことも必要でしょう。2022年4月には新たな動きも見られると思われます。今後の動向を注視しましょう。

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まとめ

厚生労働省では煩雑化した文書、記録、報告書を積極的に簡素化する、標準化するといった施策を推進しています。ただ減らす、統一するのではなくICTの活用に繋げていくことで適切な環境ができあがることが大きな方向性として見られます。これからの介護事業所の運営にはICT化を積極的に推進し時代に則した環境に適応していくことが求められます。

当コラムは、掲載当時の情報です。

参考URL

介護分野の文書に係る負担軽減について

令和3年度介護報酬改定の主な事項について

「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」 中間取りまとめ

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