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NDSコラム

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【事業承継】介護業界の事業承継・事業譲渡・M&Aのポイント

2022/06/15

日本は2025年には人口の3人に1人が65歳以上の高齢者となる超高齢社会に突入すると見られています。それに伴い介護サービスの需要は大きく増加すると見られており、異業種からの介護業界への参入も活発になっているといわれています。その一方で介護業界は担い手の不足から後継者不足に悩む事業所も少なくありません。そこで近年、介護事業所を他社に承継、譲渡したり介護事業所の合併を行ったりの事業承継・事業譲渡・M&A(エムアンドエー)が注目を集めています。介護事業を承継、譲渡したい事業所と参入したい法人双方がスムーズにやり取りをするためのポイントについて解説します。

事業承継・事業譲渡・M&Aとは

事業の経営者は自身が会社の運営を継続できなくなった場合などに、会社の経営を誰かに引き継ぐことを検討する必要があります。

事業承継とは、その事業を後継者に引き継ぐことをいい、事業譲渡とは会社の事業を他者に全部または一部を譲渡することをいいます。

M&AとはMergers(合併) and Acquisitions(買収)の略で、複数の会社をひとつの会社にする合併や会社自体を買い取る買収のことをいいます。定義としては事業承継や事業譲渡もM&Aの対象といえるでしょう。

介護業界の事業承継・事業譲渡・M&Aが活発化していくと見られる

現在の日本は人口における高齢者の割合が高い高齢化社会となっており、2025年には世界でも類を見ない超高齢化社会に突入する見込みであり、それに伴い2000年から始まった介護保険制度の利用者数も年々増加し続けています。

増加を続ける利用者数とその介護ニーズに対応するためには介護サービスの安定供給が求められますが、現在指定を受けて運営している介護事業所の中でも特に小規模の事業所を中心に後継者不足という問題が生じています。その理由のひとつに、現在の経営者自身が高齢となるなどで事業を継続することが難しくなり、さらに後継者が不在の場合は事業を閉鎖せざるを得ないといった問題が あります。

介護事業所の閉鎖はその事業所を利用している利用者や従業員にも大きな環境変化を余儀なくします。できることなら後継者に引き継いで事業所を存続させていくことは誰もが望むことであるといえます。

しかしそういった背景とは別に、今後の介護ニーズの増加を理由に異業種からの介護業界への参入も増加傾向にあります。また現在介護事業所を営む法人がさらに事業拡大を考えているケースもあるようです。事業を承継したい事業所と拡大したい事業所、新規参入したい法人とのニーズがうまく一致するM&Aは、介護業界のさらなる活性化につながる機会でもあり、今後も増加していくと見られているのです。

介護事業の事業承継を考えるときの注意すべきポイント

今現在介護事業を営んでおり、特定の事業所のみの運営に集中したいという方や後継者不足に悩む経営者の中には事業継承を考えておられる方もいらっしゃるかと思います。その際に解決策のひとつとなるのが事業承継です。

利用者や職員が混乱することなくスムーズに事業承継を行うにはどのような点に注意するべきかを見てみましょう。

事業所の希望、理念を明確にする

他者に事業承継を行う場合、もっとも気を付けるべきポイントが事業所の希望や理念を尊重できるかという点です。介護事業は特に法人の方針、理念に共感して働いてくれる職員が多い傾向にあります。

その事業所を利用される利用者もやはりそういった職員のケアを求めている方が多いといってもよいでしょう。ただ承継希望があったからといって手続きを進めてしまうと、運営を引き継いだ方の方針や理念次第では職員が離れてしまうことも十分に考えられます。職員がいなくなってしまってはせっかく事業所存続のために事業承継を行ったのに営業を続けられなくなってしまいます。

さらに職員の中には経営者が他者に替わったあとでも同じ事業所で雇用し続けてもらいたいと希望される方もいらっしゃいます。経営者が替わったら自分たちは退職しなくてはならないのかと不安に思う方も多いでしょう。事業承継を考えるときは、職員一人ひとりの希望を明確にヒアリングし、承継先に事業所として守ってもらいたい理念と職員の雇用条件などの希望をしっかりと提示することが必要です。この部分の合意を形成できなければ事業承継をスムーズに行うのは困難になるでしょう。

事業譲渡の場合算定されない加算がある

たとえ長年存続してきた介護事業所であっても、他の会社に事業譲渡を行う場合に引き継げるのはあくまでも現在働いている職員や利用されている利用者といった経営基盤のみである点に注意が必要です。つまり既存の法人が他法人に介護事業を譲渡する場合は譲渡を受ける法人が新たに事業所の指定を受ける必要があるのです。それに伴い事業所の運営期間も当然ゼロからのスタートになりますので、特定事業所加算などを算定している場合は譲渡先では算定できません。その場合は収益が減収になることが多いでしょう。

職員の待遇がそれによって著しく変化してしまうのであれば、やはり職員は引き続き働いてくれるとは限りませんし、そもそもスムーズな事業承継が困難になってしまいます。事業譲渡を希望する場合は収益構造の点も改めて見直し、計画的に進めることが必要です。

現在働いている職員に法人ごと経営を引き継ぐ、外部の個人に経営者を変更するといった形であれば法人はそのまま存続しますので特に加算に関しての注意は必要ありませんが、その人がしっかりと経営を引き継いでくれるかの資質を見極める必要はあります。

計画的に行う

事業承継は急に必要性が出てきたときでもスムーズに対応できるよう、長い期間をかけて計画的に行うことが必要です。自身が経営を退く際の明確な承継者がいない場合は職員に引き継ぐのか、他社に譲渡するのかを早い段階で想定しておくことが求められます。職員に引き継ぐ場合、もっとも重要になるのが経営者としての教育です。

既存の職員は自事業所のサービスについてはよく理解してくれているでしょうが、経営については不十分な部分が多いでしょう。事業所の運営だけでなく、法人の運営については新たに学ぶことが多くありますので数年かけてじっくりと教育していくことが求められます。スムーズに教育が進むよう、日頃から経営に必要な業務や資産の情報などをリストなどデータとしてまとめておくと承継の準備は円滑に進むことが期待できます。

介護事業の合併をスムーズに行うポイント

現在経営している介護事業所を他の法人と合併する際、社会福祉法人には厚生労働省が策定したマニュアルに沿っているかを確認することが重要です。

【参考資料】合併・事業譲渡等マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000668617.pdf

民間法人の場合はM&Aを支援している機関や企業に依頼することで手続き可能ですが、実際に合併するとなった場合に問題となるのがサービスに関するデータの引き継ぎです。

合併先と利用者のデータや業務システムの連携をスムーズに行えないと、データをすべてエクセルに手作業で入力してCSVファイルとしてエクスポートして…といった膨大な作業が必要になるでしょう。また勤怠管理や給与計算などにシステムを導入していても、合併先と違うシステムを使用していると、同様にデータの移管作業が発生します。

スムーズな合併を行うためにも、検討している他法人がどのようなシステムを使用しているかを確認すると後々の問題を防ぐことにも繋がるでしょう。

また、令和4年度から厚生労働省は社会福祉法人やNPO法人等が合同で法人を設立し連携していくことで地域の福祉のニーズに幅広く対応していけることを目的に「社会福祉連携推進法人制度」を始めました。この場合も法人同士でデータの連結や共有ができることがスムーズな業務のために必要といえます。できうる限り同じシステムで統一できていることがM&Aや社会福祉連携推進法人の進行を円滑にするためのポイントといえます。

「ほのぼの」シリーズは大規模法人様向けのご提案も可能です。介護請求システムや記録システムだけではなく、財務会計、給与管理、人事管理、債権管理システムなどトータルラインナップを取り揃えております。 お客様の事業所規模に応じてご提案できますので、お気軽にお問合せください。

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▼基幹業務製品
https://www.ndsoft.jp/product/backbone/

まとめ

2025年に向けて介護業界の事業承継、事業譲渡といったM&Aはさらに活発になっていくと見られます。事業を承継、譲渡したい側、買い取りたい側どちらであっても職員や利用者が混乱しないようスムーズに進めていくために計画的に取り組むことが必要でしょう。

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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