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NDSコラム

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介護記録システムを導入すると現場はどう変わる?
4つの導入メリットを紹介

2023/12/12

介護業界は利用者の自立支援を目指すケアや日々の健康管理が主な仕事ですが、提供したサービスを記録に残したり、保険請求業務やその他事務作業をしたりと事業の運営に必要な業務はとにかく多いです。それに加え慢性的な人材不足もあることで業務に追われてしまい、最も重要な利用者のケアにかけられる時間が不足しがちです。
この現状を打破し、ケアの質を向上させるためには介護事業所の業務を効率化し生産性を高める必要があります。そして業務を効率化するには、アナログの業務をICTの活用でデジタル化することが有効であるとし、厚生労働省は積極的なICTの活用を推奨しています。
介護事業所の業務にICTを活用する代表例が記録類をデジタル化する介護記録システムですが、介護記録システムを活用した業務の効率化は、利用者へのケア、介護職員の働きやすい環境づくりなど、介護現場の質の向上に多くのメリットをもたらします。
そこで今回は、介護事業所の業務効率化に介護記録システムがどのように活用でき現場がどうかわるのか、介護記録システム導入の4つのメリットをご紹介します。

メリット1:ケアにあてる時間を増やせる

介護記録システムは紙ではなく電子データで記録を作成、保管することで、ケアにあてる時間を増やすことができます。

紙での記録はすべて手作業ですのでケース記録、利用実績報告書、事故報告書など複数の様式に同じことを書かなければいけないこともしばしばです。また利用者一人ずつにファイルを作成して記録類を綴じていきますので、ファイル保管庫から利用者ファイルを探し出す必要があり利用者数が増えれば増えるほど作業の手間も比例して増えていきます。一日で多数の利用者へケアを提供しますので、それに伴い記録を書く時間も相応に必要になります。結局記録に大部分の時間を要し、その分利用者へのケアが不十分になってしまうことはよくある話です。

介護記録システムが手書きと比べて優れている点は、記録に関する二度手間、三度手間を減らせることです。大元の情報をひとつ記録してしまえば、関連する記録を再度入力しなくてもよくなりますので相当な時間の削減に繋げることができ、記録業務そのもののスピードアップが期待できます。また以前書いた記録の検索、閲覧が容易なため一貫性のある記録を書くことも期待できます。

介護事業所の運営に記録は重要なものではありますが、記録業務に追われて利用者のケアがおろそかになってしまうのは本末転倒で、結果的に記録がサービスの質を低下させてしまう要因になってしまいかねません。しかし介護記録システムを活用して記録に関する作業を効率化させることができれば、空いた時間を利用者のケアにあてることができます。利用者に向き合う時間が確保できれば、利用者の歩行ペースに付き添う、利用者の話をじっくり聞くといった時間を要するケアも提供できるようになります。本当にやりたかった介護を実践できる機会となるでしょう。

メリット2:人・モノのコストが削減できる

介護記録システムを導入することにより効率化を図れるのは記録に関する時間だけではありません。様々なコストを削減することが期待できます。

紙の記録から電子化することで大きく変わるのは紙の消費量です。規模により差は生じますが大規模な事業所の場合、一日の業務で100枚単位の紙を消費することも珍しくありません。膨大な紙の量だけでなく、紙での記録の場合は同時に印刷のコストもかかってきます。印刷にかかるコストは目に見えにくいため分かりづらいですが、A4サイズ1枚を印刷するのにモノクロで2~4円、カラーで11~20円程度かかります。こうした印刷コストが紙記録の場合枚数に比例して必要です。一日で見ると大きな費用ではないかもしれませんが、毎日必要であることを考えると年間ではけっこうな額となるでしょう。介護記録システムは、こうした紙の消費量と、それに付随する印刷コストを削減することができます。

ほかにも、同じく目に見えにくいコストとして職員の時間も限られた労働資源=コストとして挙げられます。前段では記録の作業効率が向上することで時間を削減できると述べましたが、それ以外にも手書きと比較すると様々時間というコストの削減が可能です。例えば記録作業を行うための動作時間です。紙記録の場合は利用者ひとりの記録を手で書いたらケースファイルを保管場所に戻し、また新たな利用者のケースファイルを探して取り出すという動作が必要です。場合によっては保管庫まで取りに行く必要が生じることもあるでしょう。微々たる時間ではありますが、こうした手間も積もることで分単位の手間となることもあるのです。介護記録システムではパソコンやタブレット端末等からすべての利用者データにアクセスできますので、職員は記録のために移動することなく複数の利用者の記録をその場で入力することができます。記録を記入する時間以外にも、こうした記録に必要な動作の手間も省けることでさらなるコスト削減につながることでしょう。

介護事業所は介護保険からの報酬額が決まっているため大幅な収益をあげることは難しいです。その中で利益を出すには不必要なコストを削減することが大切ですが、例えば無駄な印刷はしないようにといった節約の周知を図っていても、どうしてもミスしてしまう場合や職員が窮屈に感じるなど、思うように定着しないことが多いでしょう。介護記録システムの導入により、こうした小さなコストを少しずつ削減する仕組みができると、1日100枚の紙を印刷、消費したとして年間で10数万円削減でき、さらには記録にかかる時間、労力のコストは大幅に削減できるため限られた人や時間を有効に活用できるのです。

メリット3:人材の定着が期待できる

介護記録システムを導入すると、様々な人材が働きやすい環境づくりに役立てることが期待できます。介護記録システムはただ記録を電子化するものではなく、記録業務をやりやすくして手間や時間を短縮し、効率化するために役立てることができるツールです。そのため記録が苦手な人でもかんたんに質の高い記録をできるように色々な機能を備えています。

記録作業そのものは、介護の仕事に数年間従事して慣れた職員にとってはそこまで難しいと感じるものではないかもしれませんが、記録が苦手という職員には記録を書き残す意味を正しく理解してもらうことがとても重要です。記録は提供したケアの状況や結果を毎日書き残し積み重ねることで、利用者の状態がどう変化しているか、ケアの成果は出ているか、適切なケアが提供できているかを評価する指針にすることができる根拠となります。そのため記録は主観ではなく5W1Hを意識して客観的に書く、利用者の様子が分るように詳細に書くなど、内容にある程度の質を求められます。また記録は書いた本人だけが読むものではなくチーム全体で共有するものです。だからこそ誰が読んでも分かる記録を求められるのが当然であり、介護経験の浅い職員や文章を書くことが苦手な職員には非常に重荷に感じやすい仕事であるといえますが、何らかトラブル等があった場合、その時にどういうケアやサービスを実施していたのかわかる記録は事業所はもちろん直接サービスを提供していた職員を守る根拠となる大事なものです。さらに近年は外国人の方が介護事業所で働くことも少なくありません。職員として働く以上記録は避けようのない業務です。日本語そのものに不慣れな外国の方にすると記録業務は非常に難易度の高い業務といえ、こうした精神的負担は離職に繋がり人材が定着しない要因となってしまいます。

介護記録システムは、記録業務そのものの補助として、食事や入浴、排せつ等のある程度決まったケアについては定型文での入力が可能など文章を書くことが苦手な人が記録を書くことのハードルを下げることにも役立ちます。

また紙の記録との違いとして以前の記録を見直す際にデータを検索することですぐに見られる点が非常に便利であり、利用者に今まで提供してきたケアを知らない、入職して間もない職員でも積み重ねてきたケアをすぐに確認できたり、過去の記録から状態を確認したり、推移を簡単に追っていくことができることで変化の気づきに繋がります。ケア実施の根拠になる記録を容易に確認できることは、介護の質の向上に繋がりますので、職員間の情報共有も活発になり新人や外国人の職員にも非常に風通しの良い職場になることが期待できます。職員間の風通しが良く働きやすい事業所づくりができれば、働きがいを感じ定着してくれることでしょう。

メリット4:利用者増が期待できる

4つ目のメリットは、介護事業所の運営に非常に重要な利用者数の増加です。しかしこれは介護記録システムを導入することで得られる効果ではなく、前述の1~3のメリットが揃うことで期待できる効果です。

利用者本人やその家族が利用したくなる事業所、またはケアマネジャーがおススメしたくなる事業所とはどのようなものでしょうか。それはひとえに「この事業所なら希望通りのケアをしてくれる」と思える事業所です。これは事業所側がいくら「希望通りのケアをしますよ」と宣伝したところで伝わるものではありません。実際の現場の様子や普段の応対の様子など利用しようと考える側は様々な面から見ているのです。

例えば利用者が事業所を見学に来たところ職員が慌ただしく走り回っている、反対に利用者は暇そうにしている。そんな様子を見るとどう感じるでしょうか。自分がここを利用したら同じ扱いをされてしまうかもしれないと感じ利用を躊躇するのは当然です。

利用したいと思ってもらえる事業所にするには、利用者のケアに十分な時間が取れることとそれを可能にする時間的なゆとりの確保が必要です。時間的なゆとりは心のゆとりを生み、職員間の風通しもおのずと良いものとなっているでしょう。「希望通りのケアをします」と自信を持って言えるのはこの時点で初めて言えるといっても過言ではありません。

ケアマネジャー視点ではケアプランに沿った介護を提供できる事業所か、情報連携はしっか取ってくれる事業所かが利用者に紹介する判断基準に入ってきます。これもやはり利用者の希望に応じて柔軟なケアを提供できるゆとりと、精度の高い情報連携を可能にするための職員間の情報共有ならびに報告手段の効率化が重要になってきます。

これらの課題をクリアし利用者から利用したいと思ってもらえる事業所、ケアマネジャーに紹介したいと思ってもらえる事業所づくりには、業務効率化を行い、多職種を含む情報連携の質の向上し、そして業務を効率化したことで確保できた時間や職員といった資源をケアの向上にあてることが大いに有効であり、そのための一つの手段が介護記録のシステム化です。

近年は物価高による経営状態の悪化や人材不足により介護事業所の廃業が増加しています。そのような状況の中で安定した経営をしていくには、職員にとって働きやすさや働きがいがある質の高いケアを提供しようと努めている事業所であることが大切です。そうするとおのずと利用者やケアマネジャーの満足度も高くなり、さらなる利用者の増加に繋がる好循環を生み出しさらなる経営の安定化に繋がることが期待できます。

また介護記録システムは利用者の記録を基にした統計やグラフの作成が容易なことが大きな特長です。利用者の増加数や経営状況をかんたんに分析、確認できると経営自体を効率化することにも役立つといえるでしょう。

介護記録システムは事業所に適したものが必要

今回紹介した4つのメリットは介護記録システムを導入・活用し業務効率化を取り組むことで得られる効果です。しかしこれらは介護記録システムであればなんでも同じ効果を得られるというわけではありません。介護事業所には業務効率化を図るには何が必要か事業所ごとに異なってくるのが当たり前です。規模や地域柄、働く職員の傾向によっても変わりますし、在宅サービスや施設サービスなどのサービス種別によっても当然業務効率化のニーズは異なります。大切なことは、事業所に適した介護記録システムを選ぶことです。

例えば外国人の方が働いている事業所であるなら、記録に関して外国の方が記入しやすい機能があるか。職員の平均年齢が高くパソコン操作は苦手という方が多ければ、スマホやタブレット、音声入力といったパソコン以外の端末での操作は可能か。こうした自身の事業所のニーズをしっかりと把握して適切な介護記録システムを導入し活用することが、業務効率化に繋がる手段となり得ます。

NDソフトウェアの介護記録システム「ほのぼの」シリーズではパソコン以外にもタブレットも使用することができ、シンプルで誰もが使いやすいデザインです。また記録の音声入力が可能のほか新人や外国の方でも使いやすいよう定型文を細かく設定できるなど、記録の入力を支援する機能を多数そろえています。

十分な知識と技量を備えた専任のサポートスタッフが、介護事業所様の業務効率化や業務改善の課題を解決するためのお手伝いをいたします。理想的な介護を提供したいのに時間がない、利用者をもっと増やしたいのに職員の余裕がない、システムを上手に活用したいのに活用方法がわからないなどのお悩みがおありでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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