NDソフトウェア株式会社
NDSコラム

介護支援ソフト「ほのぼの」シリーズのNDソフトウェアです。介護業界・障がい福祉業界の、トレンドや情報を発信しております。

介護システム導入前に知っておきたい3つの落とし穴と解決法

2023/11/16

近年、介護事業所の業務効率化にはICTを活用した業務の電子化が推奨されています。業務の電子化は利用者への直接ケア以外の業務、つまり記録類をはじめとする事務作業の多くをパソコンやタブレット端末などで管理、共有することを主に指します。
介護事業所の業務を大幅に効率化することが期待できる介護システムですが、導入してから効果が出るまでには時間がかかります。
今現在記録類を紙に手書きで行っている事業所の中には、業務効率化のために介護システムを導入しようと考えていても「業務が余計に増えた」「時間の削減にならない」などの話を耳にして躊躇しているところもあるのではないでしょうか。
介護システムを導入し業務を効率化するためには、導入する前に知っておいたほうがよい落とし穴があります。無計画に介護システムを導入してしまうとこの落とし穴にはまり、十分な成果が得られないばかりか、却って業務の負担を増してしまうことも。
そこで今回は介護システムを導入したいとお考えの事業所に、導入前に知っておくべき3つの落とし穴と、システムの導入を成功させるための解決法をご紹介します。

落とし穴その1:誰も積極的に使ってくれない

業務効率化のためにせっかく介護ソフトを導入したのに、ほとんど使ってくれない…というお悩みは多くの介護事業所で聞く話です。介護ソフトによる記録は、パソコン等の電子機器を用いて入力するのが一般的であり、パソコンキーボード操作に慣れている職員であれば手書きよりも楽な場合もあります。

しかし介護業界は実際にはパソコン操作に不慣れな職員の方が多い傾向が見られます。便利になるはずと聞いていた介護ソフトなのに、パソコン操作が不慣れなため、手書きの頃より余計に時間がかかるという方も少なくありません。手書きの頃は、時間はかかっても単純であった作業が、機械の操作が必要になることで難易度が上がってしまい、職員の強い意向により結局紙の運用に戻ってしまうケースも見られます。これではせっかくの介護システムも有効に機能しません。

【解決法1】システムのサポートを活用する

介護ソフトに限らず何かしらの新しいものを取り入れる場合は、環境の変化に順応する必要が生じます。

介護ソフトは手書きの記録から、パソコン等での電子記録に環境が大きく変化します。今までの記録に関する業務の多くが、アナログからデジタルへと変化しますので、しっかりとシステムについて理解している人が必要です。ですが介護業界全体で見れば、そのような職員は決して多いとは言えません。

そこでおすすめなのが、介護ソフトメーカーのサポートの活用です。メーカーによりサポートの体制や方法は異なります。電話対応のみの場合や、サポートスタッフが事業所まで伺い操作説明等を行うといった手厚いサポートを提供しているメーカーもあります。メーカーは介護ソフトのシステムについて当然熟知していますので、業務の中でどのような操作で介護ソフトを活用していくかについてもサポートしてくれることでしょう。詳しい人間がいることで、環境へ順応するまでの拒否反応は大きく低減されるはずです。以上から、介護ソフトを選ぶ際はサポート体制がしっかり備わっているかも確認することをおすすめします。NDソフトウェアが提供する「ほのぼの」シリーズはサポート体制の充実が好評を得ています。電話相談だけでなく、文字情報として残せるチャットでの相談など相談方法が充実しており、導入時には必要な操作についての説明やパソコンが苦手な職員様へのフォロー、記録の操作方法や運用をサポートします。導入後は「介護事務管理士」の資格を持つ専任スタッフによるお問い合わせ対応など介護ソフトに関してのお困りごとを手厚くサポートしています。

【解決法2】事業所内で助け合う体制をつくる

導入してもほとんど使ってくれない事態に陥ってしまった事業所に多く見られる傾向に、ただ介護ソフトを導入しただけで、誰も主導する職員がいない、誰に聞いたらいいか分からずただ現場が混乱するといったケースがよくあります。

パソコン等を必要としなくとも業務に従事できたアナログの業務から、パソコン等が必須となるデジタル業務への非常に大きな移行ですので、ただ「導入したから、今日から使ってね」では正直ほとんどの方は使えるはずがありません。

そこで大切なのが、導入前にシステムの運用者、責任者を決めることです。どのように業務に活用していくか、活用するために必要な機能は何か、使用方法の周知はどう図るかなど、運用者や責任者のメンバー数は事業所の規模に応じて複数でも良いでしょう。事前に事業所内でのシステム運用の役割分担を明確にし、誰に聞けばいいのか分かりやすい状態をつくれば教える職員の負担は一時的に増えますが、導入に拒否的な職員の理解も進みやすくなり、スムーズなシステム移行への環境を整えやすくなります。システムそのものの責任者以外にも、操作の理解が早い職員がいれば現場でのサポートを任せることができます。事業所の規模や職員の理解度を鑑みて、事業所内でサポートできる体制を構築することが重要です。

【解決法3】音声入力やタブレット入力が可能な介護ソフトの導入

せっかく介護ソフトを導入したのに誰も使ってくれない場合の原因に、単純にパソコンの操作が苦手な職員が多いという理由は比較的多く見られます。キーボードの操作すらままならず、手書きのほうが早く、パソコン入力の方がかえって時間がかかるなど介護ソフトの導入に否定的な職員は少なからず見受けられます。キーボードの操作は長い時間をかけて使用し続け、操作に慣れていくのが一番なのですがある日いきなり手書きをなくしパソコンで入力しろと言われると、苦手意識を持つ人たちの大きな反発が起こるのは想像に難くありません。

この問題の解決のひとつにタブレット端末での入力や音声入力があります。例えばNDソフトウェアのCare Paletteは、タブレット端末であるiPad上での記録が可能です。馴染みの薄いキーボード操作とは違いタブレットの操作なら、近年は多くの人が所持しているスマートフォンの操作と変わりませんので、心理的に受け入れやすいでしょう。またパソコンと違い持ち運びが容易ですのでどこでも記録できるメリットもあります。

そのほかにもおすすめの方法として「音声入力」があります。文字を打たなくてもパソコンやスマホ・タブレット端末に向かって記録する内容を話すことで記録するものであり、書く作業の大幅な短縮に繋がります。Care Paletteは両方を備えていますので、パソコン操作に 拒否反応や負担を感じる職員にも安心してお使いいただけます。

落とし穴その2:機能が多すぎて使いこなせない・コスパが悪い

介護ソフトの導入に失敗したという話でよく挙がるのが「機能が多すぎて使いこなせない」といった声です。介護ソフトによっては記録だけでなく請求や計画書作成、管理などの機能を備えているものも多くありますが、実際に使っている機能はごく一部で多くの機能は使っていない。せっかく高い費用をかけて導入したのに使いこなせてないなら、コスパが悪い買い物をしてしまったかもしれないと後悔する事業所も少なくありません。介護ソフトの価格帯や機能はメーカーによって大きく振れ幅がありますので、事業所の求めるデジタル化に対し機能が多すぎると感じた場合の悩みといえます。

【解決法1】効率化を図りたい業務を明確にする

まず介護ソフトを導入することでどのような業務を効率化したいと考えているのかを明確にすることが大切です。例えば記録業務のみをデジタル化したいと考えていた場合、それ以外の機能はその時点では必要ありませんが、さらなる効率化を求めるとなると記録機能のみでは効率化を進めることは困難でしょう。様々なメーカーが介護ソフトをリリースしていますが、その中からまずは自分たちの事業所は、どの業務を効率化したいのか、または先々を考えて業務効率化をどこまで推進していきたいのかをはっきりとさせましょう。その結果から希望にちょうど良い介護ソフトを選択すれば、コストパフォーマンスについても納得のいくものとなるでしょう。

【解決法2】「使いこなす必要はない」と理解する

機能が多すぎて使いこなせないと悩む事業所に言えるのは「使いこなす必要はない」ということです。例えば多くの方が使っているスマートフォンは、通話だけでなくメールやテレビ電話、音楽プレーヤー、動画撮影や編集、スケジュール管理や体調管理…などなど非常に多くの機能が備わっています。しかし、そのすべての機能を完全に使いこなしている人は周囲にどれくらいいるでしょうか。そして、これだけ多くの機能があるのに自分は使いこなせていない、コスパが悪いと考えている人もどれくらいいるでしょうか。おそらく両者ともあまり聞かないと思います。それは、自分にとって必要な機能を使えていれば満足しているからといえます。介護ソフトも同じく、事業所にとって必要な機能を使えていれば十分であると考えることが大切です。もちろんスマートフォンと同じく介護ソフトも、やりたいことがあるならばそれを叶えるための機能は付いていた方がいいです。ですが使えるようにするには少しずつ練習や部分的な運用を行い機能に慣れていくことが求められます。いきなりすべてを使うのではなく、その時に必要な機能を使えるようになれば十分と考えると、気は随分と楽になるでしょう。

【解決法3】段階的に導入するスケジュールを立てる

機能をすべて使いこなす必要はないといっても、使いたい機能があるのに使いこなせないというお悩みも当然あります。その際もいきなりすべてを使いこなすことは考えず、運用段階を設けて少しずつ業務に介護ソフトを適用していく計画的な運用がおすすめです。

介護現場で効率化したい業務はなんといっても記録が最たるものと考えるのがおそらく多数かと思います。その場合は、まずは日々の記録業務に介護ソフトを適用させていくことが第一フェーズになるでしょう。この運用がうまくいった場合、次に考えるのは記録の活用になると思います。例えばケアマネジャーへの報告のために過去の記録を参照したいなどです。いわばこの「必要になる」タイミングを狙って新たに学習会を行ったり指導を行ったりして少しずつ計画的に機能を使いこなしていけば良いのです。記録の操作に慣れてきた頃だからこそ次のフェーズにスムーズに移行でき、「あ、こんなことだったのか」と当初からは考えられないほど理解の速度が上昇し、実感できるかと思います。

このように段階的に運用する計画を立てる場合、最終的にどこまで効率化したいのか、もしくはできるならばここまで効率化してみたいといった希望を考えることが大事です。その希望を実現させる手段、機能を備えた介護ソフトを検討することが重要になります。NDソフトウェアの「ほのぼの」シリーズは介護記録だけでなく、計画書の作成や管理、記録と連動した請求業務以外にも、会計や給与システムとの連動が可能であり、事務作業の大部分をデジタル化して効率化する機能を備えています。その他、職員同士のコミュニケーションツールとなるデジタルインカムや利用料請求書をご利用者や家族のスマホに配信できるサービスなども備えております。導入時は限定した範囲の機能でスタートし、慣れてきたらさらにデジタル化する範囲を広げるという運用が「ほのぼの」だけでできると考えるのであれば、非常にコスパに優れた製品であるといえるでしょう。

落とし穴その3:導入しても業務効率化を実感できない

おそらく介護ソフトの導入に失敗したと感じているほぼすべての事業所から出るであろう感想が「介護ソフトを導入したのに全然業務が効率化したと思えない」「かえって手間が増えた」というものであろうかと思います。

バタバタと忙しい介護現場の業務が、介護ソフトを導入することによって楽になると期待したのに、むしろ操作にかかる時間が増えた、作業内容が増えたとのことであれば、介護ソフトなんて導入しなければよかったという感想を抱くのも当然といえます。結局介護保険の請求にのみ介護ソフトを利用し、その他の業務は従来通りとなることも少なくありません。一度こうした実体験を持ってしまうと「介護ソフトなんて導入しても全然効率化できないからやめておいた方がいい」との考えに至ってしまうことでしょう。ですが、それはあまりにももったいないと言えます。

【解決法1】「U字の法則」を理解する

介護ソフトを導入しても全然業務効率化を実感できないという感想は、実は正解です。

しかしそれは一時的なものです。新たな業務、しかもアナログからデジタルへの移行に必要な機器の操作への慣れが必要な環境の変化には、機能や使い方を職員が理解し慣れるためのプロセスが必要です。職員が操作に慣れるためにはメーカーや事業所で実施する勉強会や業務を通してのOJTなど事業所によって取り組みは異なりますが、すべての事業所に共通していえることはそのプロセスを実施している最中は必ず生産性が下がるという事実です。しかし操作への慣れなど理解度が上昇してくると、徐々に生産性は向上し導入前よりも効率が良くなったことを実感できるはずです。これを「U字の法則」といいます。

<参考:公益社団法人全国老人福祉施設協議会 介護ICT導入ガイドライン>

これは介護ソフトだけでなく大なり小なりではありますが、環境の変化全般に対して言えることです。例えば介護現場で言うならば下肢筋力が低下し自力移乗が困難な方に対し、今までは職員2人介助で車いすへ移乗していたところ、効率化のためにスライディングボードを導入したとします。福祉用具の導入時は誰もが取り扱いに慣れていませんので、移乗を実施する際は使用の手順をひとつひとつ確認しながら介助に臨むことになります。すると当然時間はその分取られます。これがU字の法則でいう一時的な生産性の低下です。

しかし操作に慣れてくると、手順を確認するというタスクは省略され必要最小限の時間で移乗介助を実施できるようになります。結果的に2人介助と変わらない時間で、なおかつ職員1人での移乗が可能という効率化が実現するのです。

介護ソフトを導入することは現場にとって非常に大きな変化です。その分一時的な生産性の低下は随所に見られるでしょう。しかしそれらは徐々に効率化を実感できる成果に結びついている段階であると理解することが非常に重要です。

【解決法2】一時的に効率が落ちることを加味したスケジュールを立てる

U字の法則に倣い、一時的に業務の生産性、効率が落ちることを理解したのであれば、次はそれを加味した運用のスケジュールを立てることが大切です。

U字の法則による一時的な効率の低下は、職員の理解度の進行速度によって期間が上下します。職員の理解度が早まれば早まるほど効率の低下している期間は短くなるのです。

このことを十分に理解した上で、まずどこから効率化させるための取り組みを始めるか、効率が低下すると考えられる期間の業務をどのように取り扱うかといった計画を立てたうえで「効率が下がることは当然なので、焦る必要はない」と構えることが大切です。計画を立てる際も事業所内や職員同士だけでなく、U字の法則を十分に理解して解決へのスケジュールを提案できるメーカーのサポートも併用していくことでさらなる効果を得ることができるでしょう。

「この段階まで来ると、これくらいの効率化が見込める」という指標があるだけで、現場の職員も目指すべき到達点が明確になり、介護システムへの順応へ最短距離を進んでいけるため職員にとっても事業所にとっても有益な取り組みといえるでしょう。

まとめ

介護ソフトの導入は忙しい介護現場の業務効率化に大いに役立つものですが、ただシステムを導入しただけですぐさま楽になることはほぼありません。介護ソフトそのものが業務効率化に繋がるのではなく、事業所にとって効率化が必要な部分を解決する手段に介護ソフトを活用するといった理解のほうが正しいでしょう。そのためには事業所にとって効率化のためにどこの業務を見直し、改善していくかをしっかりと検討することが大切です。またこの段階で介護ソフトのメーカーに相談してみるのも効果的でしょう。介護メーカーのサポートを最大限活用し、負担を極力減らした上で最大限の効果をねらうことで介護ソフトの導入と運用の成功が実現します。そしてそのためには事業所にとって適したシステムの選定と、サポート体制が整ったメーカーの選定が重要です。

NDソフトウェアは先述の通りサポート体制の手厚さに定評があり、事業所単位に留まらず法人全体でトータルのデジタル化を図るための製品ラインナップを多数ご用意しています。 導入時だけでなく導入前のご相談にも親身に対応いたしますので、介護システム導入をお考えの際は、お気軽にご相談ください。

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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