NDソフトウェア株式会社
NDSコラム

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導入前に知っておきたい介護ソフトの「連携」について
~今使っているソフトのデータやLIFE、センサー連携など~

2024/01/31

忙しい介護現場の業務を効率化し記録やケアの質を高めるために役立つ介護ソフトですが、「連携」を図ることでさらに便利に活用することができます。
新たに介護ソフトの導入を検討している事業所だけでなく、既存の介護ソフトからの入れ替えを検討している事業所も、介護ソフト単体だけでなく様々な連携を視野に入れて検討することでより一層介護ソフトの性能を引き出すことができるのです。
今回は介護ソフトの連携について、その種類や有用性について解説します。介護ソフト導入の検討にぜひお役立てください。

介護ソフトの様々な「連携」

介護ソフトの連携とは、介護ソフト内のデータを他のソフトと紐づけて共有すること、自動的に情報を反映・複写すること、CSVファイルとして出力や取り込みを行えることなど様々な形の連携があり、連携を活用することでさらに性能を引き出すことができます。 代表的な連携方法は以下が挙げられます。

国が提供するソフトとの連携

介護ソフトは記録や介護計画書、保険請求をデジタル化し、業務の効率化を図ることができます。これらは国が提供しているソフトと連携を図ることでさらに効率化できるものもあります。国が提供しているソフトは以下のようなものがあります。

LIFE

2021年度より新設された科学的介護推進体制加算、いわゆるLIFEは算定するために国へ利用者情報の提供が必要です。介護ソフトを導入していない場合はLIFEのサイトへアクセスし、利用者情報をひとつずつ入力する必要がありますが、LIFEと連携できる介護ソフトであれば介護ソフトに入力されている情報と紐づけてLIFEへ情報提供できるため新たに入力が必要な情報は必要最低限で済みます。

LIFEは施設系サービスや通所介護など、多くのサービスで算定が可能であり関連加算も多く創設されています。その背景には、全国から集めた利用者情報を分析し客観的評価を可能にすることで要介護度の改善等質の高いサービスにつなげること、客観的指標を設けることでPDCAサイクルをより一層推進することが期待されており、サービスの質の向上に加え経営の安定化には必ず取得したい加算です。しかし介護ソフトを導入しLIFEと連携していないと情報提供には莫大な手間がかかってしまいコスト、タイムパフォーマンスに優れているとはいえません。LIFEを積極的に進めていく上で、LIFEとの連携に対応した介護ソフトの導入は必須であるといえるでしょう。

ケアプランデータ連携システム

ケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所と居宅サービス事業所間でやり取りする必要があるケアプランを標準仕様化およびデータでのやり取りを可能にし、負担の軽減を図るシステムで2023年4月から本格稼働しています。特徴として、共通の様式を使用することで異なるメーカーのシステムを利用していてもケアプランのやり取りができることが挙げられます。

ケアプランは新規利用者のサービス開始時や区分変更時、介護保険証の更新時は居宅介護支援事業所からサービス事業所へ提供され、それに沿ってサービス事業所は新たに介護計画書を作成する必要があります。さらに毎月の利用予定を記した提供票を事業所に交付し、事業所は月終わりに実績を記入した提供票を居宅介護支援事業所に返し、それを基に給付管理を行います。

従来これらはすべて紙媒体で行われており持参する手間やFAXで送信する手間、郵送代等のコストがかかるだけでなく、すべて人の手で行うためにミスも発生しやすく返戻に繋がる等のリスクも少なくありませんでした。また介護ソフトを使用している場合でも居宅介護支援事業所と居宅サービス事業所それぞれが異なるメーカーの介護ソフトを使用している場合はやり取りができず、やはり紙媒体でのやり取りになっていました。しかしケアプランデータ連携システムを活用すると異なる介護ソフト同士でもデータのやり取りができるため手間は大幅に削減でき、介護ソフトを活用することで入力ミスも大幅に減らすことに繋がることが期待できます。

国によるとライセンス料21,000円で年間80万円程度の費用削減が見込めるとされており、手間も費用も効率化できる非常に魅力的なシステムですが、ケアプランデータ連携システムの利用には連携可能な介護ソフトの使用が前提です。どちらかがケアプランデータ連携システムに対応していない介護ソフトを利用していると連携はできませんので注意が必要です。

<参考:ケアプランデータ連携システム https://www.kokuho.or.jp/system/care/careplan/lib/231026_5113_leaflet.pdf

訪問看護オンライン請求

訪問看護は介護保険、医療保険双方から提供されるという特殊なサービスで、それぞれの保険者に対し請求する必要があります。介護保険は原則伝送ですが、医療保険への請求は長らく紙媒体で郵送するという手法が取られていました。

毎月の実績を紙に記載するか、Excel等で作成して印刷する必要があり作成の手間がかかるだけでなく、実績や被保険者番号の記載間違い等が頻発していました。

しかしようやく2024年6月から訪問看護の医療保険分もオンライン請求が可能になる予定です。伝送になる以上、介護保険からもサービスを提供する訪問看護事業所は双方の請求に対応した介護ソフトを導入することが最も効率的といえます。さらにはオンライン請求の開始と同時期にオンライン資格確認も開始予定であり、2024年の秋頃には義務化される予定です。義務化に対応するためにはオンライン資格確認を行う端末の用意だけでなく、オンライン請求と連携した介護ソフトを導入することが求められます。忙しい訪問看護サービスの業務の中、月終わりのレセプトを手書きやExcelで1日~数日かけて作成していたものがオンライン請求に対応した介護ソフトならば数時間もあれば終えることができ大幅な簡素化に繋がるほか、毎月始めに健康保険証の被保険者番号を書き写していたために記載間違い等が発生していた資格確認のミスが大幅になくなることが期待できるなど、介護ソフトとの連携は大幅な効率化に繋がることが期待できます。

医療業界は介護業界に先んじてICT化が進んでおり、介護業界もそれを追いかけるようにICT化が進められています。医療と介護双方に対応できる介護ソフトメーカーを選択することが訪問看護では重要です。

<参考:訪問看護(オンライン資格確認・オンライン請求)の概要 https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0010120

一連の業務を介護ソフトで連携して一気通貫させる

介護ソフトは記録、介護計画書管理、保険請求等の機能がありますが、メーカーによっては保険請求のみ、記録のみといった介護ソフトもあります。

その機能だけを電子化したいという希望であれば特に問題はないのですが、やはり様々な業務を電子化したほうが作業効率は上がり業務改善に繋げやすくなります。先述したLIFEにおいても一気通貫のシステムが推奨されています。LIFEには関連する加算が多く、加算に応じた記録が必要です。そしてLIFEを通してケアの質の向上を図るためには情報連携の強化やケアの時間を確保するための業務効率化が求められるためです。そしてLIFEのほかにも請求用にExcel等で作成したファイルを転記する手間がなくなる、利用者の利用データを基にグラフ作成し経営資料に活用できるなど、ひとつの介護ソフトで連携できる業務は多ければ多いほど業務効率化の選択肢は広がります。記録、介護計画書管理、保険請求がすべてひとつの介護ソフトで一気通貫だけでなく、さらに勤怠管理、人事考課等も連携できれば事業所の事務作業の多くが効率化されることが期待できます。

ICT化された見守りセンサーやナースコール等との連携

記録等を電子化する介護ソフトは、当然ながら入力の手間は発生します。それでも手書きと比較すると大幅な時間短縮に繋がりますが、やはり導入する以上はできうる限り手間は減らしたいと考える方もいるでしょう。

その際に検討したい連携がBluetooth対応バイタル測定器やナースコール、見守りセンサー等ICT機器と介護ソフトとの連携です。これらの機器と介護ソフトを連携することで以下のような業務の効率化を図ることができます。

見守りセンサー

介護の仕事では、骨折しないように転倒や転落を予防するなど、利用者の安全を確保することがとても大切であり、見守り業務は非常に重要です。しかし慢性的な人材不足である介護業界では日中の見守り要員が不足することも多く、また夜間帯は少ない職員で何人もの利用者を見守る状態のため安全を確保しにくい、職員の不安が大きい等の問題が発生しています。そこで活用が期待されているのがICTに対応した見守りセンサーです。

見守りセンサーを介護ソフトと連携させることで、利用者がベッド上から動作した場合にアラームで知らせるだけでなく時間等の情報も自動で記録する、利用者の状態を介護ソフトの画面上で確認できる等介護職員の不安軽減や見守りに要する時間の削減に繋げることができます。またICTを活用した見守りセンサーを導入している事業所においては夜勤の人員基準が緩和されており、人員確保にも役立ちます。

Bluetooth対応バイタル測定器

体温、血圧、脈拍等のバイタル測定は毎回の測定結果を利用者全員分、一旦メモ等に書き後でまとめて入力するなどの方法が一般的かと思いますが、メモに書く、入力するという2重のタスクが発生しています。タブレット端末等で都度入力する方法を取っている事業所もあるでしょうが、やはり都度利用者を選択し、バイタルの項目を選択して入力する時間は取られます。Bluetooth対応バイタル測定器と介護ソフトを連携させれば、測定結果は介護ソフト上に自動で入力されるため、これらの手間はすべて短縮されます。その結果、通所介護であれば利用者の出欠確認とバイタル測定、記録が同時にでき利用者への直接サービスを提供できる時間を確保できる、転記する必要がないため利用者から目を離す時間を大幅に減らせる等のメリットが生じます。

ナースコール

ナースコールは入所するタイプのサービスには必ずある設備です。また定期巡回サービスでは利用者の在宅に通報装置を取り付け、緊急時にはボタンを押すことでオペレーターと通話ができるようになっています。

これらはそれぞれが連携しておらず独立したものがほとんどですが、介護ソフトと連携させることでコールがあった際にナースコールの情報を介護ソフトに取り込むことで正確な時間の記載ができ、ナースコールの内容の記録の漏れを防いだり、待機する職員が即座にコールを受けられるなど、ナースコールに関連する業務の質を向上させることができます。

従来のナースコールでは、コールがあった際はまずはコールの対応に追われ、いつコールがあったかの時間まではなかなか気が回りませんし、定期巡回の場合は通話が終わった後に職員に連絡するなど緊急時でもタイムラグが発生します。介護ソフトと連携すればこれらの要素が効率化され、利用者の転倒事故や急変等のトラブルがあった際に当日のコールに職員がどう対応したかの証拠になりリスクマネジメントができる等の効果が期待できます。

他社ソフトとの連携

事業所の業務を効率化しケアの質を高めるためには、介護ソフトに様々な連携をさせることが効果的です。介護ソフトと連携が可能なソフトは、介護ソフトメーカー以外にも様々な専門分野が参入しており種類も非常に豊富です。例えば送迎業務を効率化するためにルート検索をしてくれるソフトと介護ソフトを連携させることで利用者情報を共有できる、AIを活用してケアプランを分析し客観的指標にできるなど、介護ソフトの性能を最大限引き出すにはひとつのメーカーだけでは不十分であるといえます。

介護ソフトと他社のソフトが連携することで補い、事業所にとってより使いやすい形にしていくことこそが介護ソフトの連携の強みです。そのためには、導入を検討する介護ソフトがどのような他社ソフトと連携が可能なのかを知っておくことが大切です。

まとめ

介護ソフトは単体で使うよりも、様々なソフトやICT機器と連携させることでさらに便利に使うことができ、事業所の業務改善、ケアの質の向上に大きく繋げることができます。 導入、入れ替えを検討する際は、どのような連携が可能かにも視野を広げて検討することが大切です。いきなりたくさんの機能や機器を連携させる必要はなく、まずは記録等の部分的な運用で問題はありませんが、将来的には様々な業務の効率化のため介護ソフトが幅広い連携ができたほうが有効に活用できる選択肢が広がり、さらなるケアの質の向上に繋げることができます。

介護ソフトは連携させたから役に立つのではなく、事業所の望む形を実現するひとつの手段として連携を活用するものと考えましょう。そのためには介護ソフト連携で何を効率化させたいのか、業務にどう活用していきたいのか、介護ソフト連携を図ることでどのような事業所になることを望むのかを考えることが大切です。

ぜひ検討の際は連携も視野に入れた長期的な計画で考えることをおすすめします。 しかし、どういった連携が可能かを考えるにしても情報がなく具体的なイメージができない方も多いでしょう。その際は介護ソフトメーカーに気軽に問い合わせてみるとよいでしょう。気になるメーカーに問い合わせた上で事業所に合った連携機能を備えた介護ソフトを導入できるようにしましょう。

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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