NDSコラム

仕事 2020/04/27
令和2年度の診療報酬改定で在宅医療・訪問看護はどう変わった?改定のポイントを解説

改定の中身は大きく分けて健康寿命の延伸と少子化を見据えた「全世帯型社会保障の実現」地域の実情に応 じて、可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように身近で分かりやすい医療の実現を目指す「患者・国民に身近な医療の実現」そして医師など医療従事者の長時間労働などの負担を減らす「医師等の働き方改革」です。その詳しい改定のポイントを解説していきます。

令和2年の4月、診療報酬が改定されました。改定率は、診療報酬 +0.55%、薬価-0.99%、材料等-0.02%となりました。
在宅医療や訪問看護の自宅へ伺うサービスにも変更が加えられました。
在宅医療や訪問看護は「住み慣れた地域で暮らす」という希望を叶えるために関わる医療として大きな役割が期待されています。在宅医療、訪問介護において令和2年度診療報酬改定は「医療的ケアの裾野を広げ、質の高さを確保する」ことと「地域包括ケア推進のため、自治体や介護施設との連携強化が」ことが図られたといえます。
では、令和2年度の診療報酬改定で在宅医療・訪問看護はどう変わったのか、ポイントを解説します。
 

令和2年度の診療報酬改定で求められるのは
「質の高い医療」

令和2年度の診療報酬改定における在宅医療と訪問看護に求められるポイントは「質の高い在宅医療と訪問看護の確保」といえます。病院受診から入院、退院までの病院の関わりはもちろん重要な役割を持ちますが、障がい者や高齢者が住み慣れた地域で暮らしを続けていくことを支えるのには在宅医療や訪問看護の役割がとても重要になってきます。平成30年度に改定された内容を踏襲したうえでさらに役割を明確にしたものが令和2年度の診療報酬改定の特徴であり、全体としてはマイナス改定となりましたが診療報酬自体はプラス改定であり、質の高い医療を提供する事業所においては加算できる要件が増え、収益を上げることができるようになったといえます。

 

 

令和2年度の診療報酬改定における在宅医療、
訪問看護の具体的な改定ポイント

では令和2年度の診療報酬改定を受けて質の高い在宅医療、訪問看護を目指しどのような改定が図られたかを以下に見てみましょう。
 

複数の医療機関による訪問診療の明確化

前回の診療報酬改定で新設された「在宅患者訪問診療料(Ⅰ)2」に変更が加えられました。
こちらは、かかりつけ医以外の専門的な診療を要する場合などに、他の医療機関の医師が求めを受けて訪問診療を行った際に「6か月を限度として」算定できるものでした。それが今回の診療報酬改定を受けて、かかりつけ医と情報共有をして訪問診療にあたる場合に要件を満たせば12か月を超えても算定できるものとされました。つまり皮膚疾患や精神疾患、口腔疾患など複合的に疾患を併せ持つ患者であったとしても、在宅で専門的な訪問診療を受け続けられるようになったということです。医療依存度の高い方でも在宅で暮らせるようになった他にも、それぞれの専門医が力を発揮しやすくなったといえます。
 

在宅医療における褥瘡管理の推進

褥瘡(じょくそう)管理を行う必要が認められる患者に対して、以前は保険医、管理栄養士、看護師又は連携する他の保険医療機関等の看護師が共同して、褥瘡管理に関する計画的な指導管理を行った場合には、初回のカンファレンスから起算して6月以内に限り、当該患者1人につき2回に限り所定点数を算定する。 となっていたものが、他の保険医療機関の管理栄養士も含むことになりました。さらに、2回に算定可能となっていた要件が初回カンファレンス時にも可能になり、計3回の算定ができるようになりました。
 
他の医療機関との連携を密にできるようになったほか、
在宅での褥瘡管理がより効果的に行えるものになったといえるでしょう。
 

小規模多機能型居宅介護等への訪問診療の見直し

小規模多機能型居宅介護施設を利用する方への訪問診療に対し、従来は宿泊サービスを利用する30日前に利用者の自宅へ訪問診療を行っている場合にのみ訪問診療が算定可能でしたが、令和2年度の診療報酬改定で退院直後に小規模多機能型居宅介護の宿泊を利用した利用者に対しては事前の訪問診療の有無に関わらず訪問診療を算定できるようになりました。
 
これにより、自宅へ戻ることが困難で小規模多機能型居宅介護施設を利用せざるを得ない利用者であったとしても訪問診療が受けやすくなり、自宅へ戻りやすくなったといえます。
 

機能強化型訪問看護ステーションに係る
人員配置要件の見直し

24時間体制や医療依存度の高い利用者の受け入れ、終末期に関わるターミナルケアに積極的に取り組む訪問看護ステーションへの評価として「機能強化型訪問看護管理療養費」を算定できるものとし、平成26年度に新設されたものですが、看護師の確保が難しいなどの問題がありました。
そこで令和2年度の診療報酬改定で人員配置要件の見直しが図られ、配置基準に定められた看護職員のうち1名は非常勤を常勤換算してもよいものとなりました。
 

子育て等、時短で働く非常勤の看護師にも活躍の場が広がったとともに、機能強化型訪問看護管理療養費を算定できる事業所が増えることで質の高い訪問看護を提供できる機会が広がることが期待できます。
しかし、看護師、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士といったリハビリ職などを含めた職員の割合で、看護職が6割以上との基準も新たに定められました。リハビリ職の多い訪問看護ステーションは注意が必要かもしれません。
 

医療機関における訪問看護に係る加算の新設

機能強化型訪問看護ステーションはあくまでも訪問看護事業所に対しての評価であり、医療機関の訪問看護は対象外でした。
質の高い訪問看護の充実を図るため、令和2年度の診療報酬改定で医療機関における訪問看護についても、悪性腫瘍の患者への緩和ケア、褥瘡ケア、人工肛門、人工膀胱ケアの専門性の高い看護師の訪問看護ステーションと連携しての同行訪問や小児、ターミナルケア、難病等の患者への訪問看護を行うと月に1度算定可能な「訪問看護・指導体制充実加算」が新設されました。
 

小児への訪問看護に係る関係機関の連携強化

患者の情報提供を自治体に行った際に算定できた加算に15歳未満の小児を含むという算定要件が追加されました。
また、医療的ケアを要する義務教育課程の児童等に対し必要な情報を学校へ提供する際に月1度算定可能であった加算が「学校等」となり、保育所や幼稚園に対して情報提供を行った際にも算定可能となりました。
しかし、「各年度に1回」と算定可能回数が少なくなったことに注意が必要です。なお、入園入学、転園転学など、当該学校に初めて在籍する月に関して情報提供を行った際には別に1度加算ができるようになりました。
小児に対しての自治体等との連携が強化された形です。
 

訪問看護における特定保険医療材料の見直し

訪問看護時に使う点滴やガーゼ類などの医療材料の費用について算定可能とするものです。さらに様々な患者に対応可能とするため、使う可能性の高い特定保健医療材料が追加されました。
これにより、訪問看護においても医療依存度の高い患者へ算定可能な要件が増えたことになりますね。
 

医療資源の少ない地域における訪問看護の充実

山間部や離島などの特別地域に対して複数の訪問看護ステーションが連携して24時間体制のサービスを提供する際などに算定可能であった要件の拡充が図られ、全国40の「医療資源の少ない地域」が追加されました。
これにより、医療資源の少ない地域であっても住み慣れた地域で暮らすことがより可能となりました。
 

同一建物居住者に対する複数回・
複数名の訪問看護の見直し

集合住宅や施設など、同一の建物に居住する利用者に対しての訪問看護を行った際、1日3人以上の場合の報酬の減算が図られました。複数名での訪問看護に関しましても、同様に減算となります。
 

理学療法士等による訪問看護の見直し

理学療法士、言語聴覚士、作業療法士による週4日以上の訪問看護を行った際の報酬の減算が図られました。
看護師とリハビリ職との役割を明確に分けた形となりました。
 

 
 

まとめ

・薬価、材料等はマイナス改定も、診療報酬はプラス改定
 
・要件を満たせば訪問診療にかかりつけ医以外の保険事業者が関わる際の加算が12か月を超えても算定できるようになった、在宅医療で褥瘡をケアする際のチームに他事業所の管理栄養士が加わったほか、加算算定回数が増えたなど訪問診療の強化が図られた
 
・機能強化型訪問看護ステーションに係る加算の人員配置基準が緩和されたほか、医療機関の訪問看護との連携強化で専門性の高い医療的ケアが提供できる加算が新設された
 
・訪問看護利用者の情報提供を行った際の加算に15歳未満の小児が追加され、自治体、教育機関等と幅広く連携が図られるようになった
 
・同一の建物内に対する1日3人以上の訪問と、リハビリ職による週4日以上の訪問看護が減算となった
 
令和2年度の診療報酬改定における在宅医療、訪問看護の改定ポイントは在宅での医療的ケアの裾野を広げた「質の高い医療の確保」と地域包括ケアの推進のため自治体や介護施設との「連携強化」が図られた形といえます。障がいや高齢であっても住み慣れた地域で暮らしを続けるためには質の高い在宅医療、訪問看護が必須です
 
 

 
 
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