NDSコラム

仕事 2020/04/20
介護の事故報告書はどうやって書けばいい?
書き方の注意点を解説

介護の現場には、様々な事故が起こるおそれがあります。その際には「介護事故報告書」を書く必要があります。しかし、事故報告書を書くにも明確な目的がないと「何のために書くの?」と疑問に思うこともしばしば。そこで、介護現場の事故報告書が必要な理由や、役立たせるための書き方の注意点を解説します。


 

介護現場で起こる事故はどんなものがある?

介護の現場は多くの高齢者がいるため、高齢者の特徴に則した様々な事故が起こります。
一例としてどのような事故が多いかを見てみましょう。
 

転倒

高齢者は足の筋力が弱くなり、関節の動きも固くなりがちなため歩き方が小刻みになる、すり足になるといった特徴が多く見られます。また視力の低下や首の関節が動きにくくなることにより視野が狭くなり、足もとが見えにくくなります。その影響もあり、高齢者は非常に転倒しやすいのです。
 
ただ転倒するだけならば問題ないかと思われるかもしれませんが、反応速度が鈍ると受け身が取れず頭を強打するほか、骨密度が下がり骨がもろくなっていると衝撃で骨折してしまうこともあります。
 

誤食、誤飲

認知症を有する利用者に時折見られるのが、食べてはいけないものを食べてしまう「誤食」です。
固形石鹸やおしぼりなどのタオル類、消毒用のスプレーやシャンプーを飲んでしまう「誤飲」をしてしまうこともあります。
 
私たちが「食べてはいけないものと見れば分かる」ものであったとしても、認知症を有する方はその判断ができずに食べ物、飲み物と思ってしまうために起こります。口に入ってしまったものの種類によっては胃洗浄の必要があるものや、形状によっては窒息に至ってしまう危険な行為です。
 

離設

介護スタッフの目が届かない間に、施設の外へ出てしまう方がいらっしゃいます。
こちらも認知症を有する方に多く見られます。行方不明になってしまうケースや交通ルールなどを忘れて交通事故に遭ってしまうケースも考えられます。
 

誤薬

服薬の介助が必要な利用者の薬を、他者の薬と間違えて服用させてしまう事故です。薬の内容によっては血圧を下げる薬、血流を良くする薬、血糖値を下げる薬、下剤など誤薬してしまうことで危険な状態になることもあります。
 

創傷、皮膚剥離、紫斑

高齢者は皮膚が弱くなる傾向があるため、体をどこかにぶつけたり挟んだりしてしまうと傷ができやすくなります。また治癒力が弱くなるためなかなか治りにくくなるのです。傷口から細菌が入り込んで化膿するおそれもあるので注意が必要です。
 
その他様々な事故が起こりますが、これらの介護事故を少しでも無くしていくために「介護事故報告書」を活用する必要があります。
 

 

 

介護事故報告書を書く目的は「再発防止」と
「危機管理」

介護事故報告書をなぜ書く必要があるのか。
まず、介護保険事業所は介護保険法における「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」の第37条の定めにより、感染症の事故や治療を要する事故などが発生した場合、市町村に報告する義務があります。そのために必要になってくるものが介護事故報告書です。
 
その他に事業所が介護事故報告書を書くには、以下の明確な目的があります。
 

原因を分析し、再発を防止する

介護事故が起こってしまった場合、必ず行わなくてはならないことは「なぜ事故に至ったか」の原因を分析し、明らかにすることです。そのためには発生状況などが分かりやすく記録されていることが重要になります。
 
例えば「転倒していたから、次は転倒させないように気を付ける」だけで終わってしまっては、何をどう気を付ければ転倒を防げるのかが明確ではありません。なぜ転倒に至ったのかの背景にある原因を明らかにし、同様の事故を防ぐ手立てとして介護事故報告書が有効なのです。しっかりと分析することで、利用者やスタッフだけの問題ではなく、事業所の環境などが原因だと明らかにできるのです。当事者以外の危険感受性を高める介護事故をあるスタッフが起こしたとすると、その当事者は「次は起こさないように」と気を付けるでしょう。ですが、その他のスタッフは自分のことでないため気を付けることができません。一度起こった介護事故をスタッフ間で共有し、全員が危険だと感じ取れるように危険感受性を高めるためには介護事故報告書の存在が重要です。
 

介護事故に対して行った対応の証拠になる

介護事故は、起きてしまった場合に利用者の家族や市町村に報告する必要があります。その際に、介護事故に対してしっかりと対応していたとしても、その証拠となる記録がないと隠ぺいを疑われるばかりか、事業所の管理が不十分だと指摘を受けてしまいかねません。仮に訴訟に発展してしまうといくら口頭で説明しても証拠能力がないため証明は難しいでしょう。起こってしまった事故の被害を最小限に留める「危機管理」には介護事故報告書は欠かせません。
 
その際に介護事故報告書を書いておくことで発生状況や対応方法などの証拠を残すことができるのです。
 

介護事故報告書の書き方は「状況を詳細に」

介護事故報告書は先述の通り、ただ報告するだけのものではなく、「原因を分析する」「スタッフ全員で共有できる」ものでなくてはなりません。そのために必要なことは「事故発生時の状況を詳細に書く」ことです。そのためには、事故状況の記録には「5W1H」(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識して書きます。
 
書き方の一例を転倒事故の場合で簡単に説明しますと、
「×月×日×時×分(いつ)〇〇号室(どこで)で、ドスンという音(何を)がしたため訪室。居室内でAさん(誰が)ベッドから入り口に向かってうつ伏せに(どのように)倒れている状態を発見する。意識は清明。「どうして倒れたのですか?」との問いに「トイレへ行こうとしたら足もとがフラついて、つまずいてしまった」との返答あり。自力で立ち上がりベッド脇に座る。痛みの部位の聞き取りには「右肩が痛い」との返答。視認すると右肩前面を中心に約3センチ、円状にやや赤くなっている。発赤箇所を指で押さえるも痛みの反応は特にないため(なぜ)緊急性は低いと判断した」
 
といった客観的な記録が必要です。
事故の当事者は自分の目で見ているため、つい自分が分かる介護事故報告書を書いてしまいます。
しかし、全スタッフで共有できることを考えるのならば、誰が読んでも同じ場面が頭に浮かべられるように書くことが、原因の分析に重要な意味を持ちます。
 
原因には様々な要素が関係している場合が多く、利用者やスタッフの危険につながる行動によるもののほか、施設の業務手順に関しての問題点が見えてくること、施設内や居室の環境の問題が見えてくることもあります。それらを全て記録に残すことは非常に困難でしょう。
 
そこでおすすめしたい方法が、「画像として事故状況を残す」というものです。画像ならば誰が見ても一目瞭然であり、非常に客観的な記録になります。
しかし、個人のカメラなどでは個人情報の管理が不十分といえますので、事業所全体で使う端末があるとよいでしょう。
「Care Palette」などのソフトを用いてタブレット端末に記録すれば、一度で介護事故報告書の記録ができるため、時間もとられずスムーズな対応ができるでしょう。

 

 

介護事故報告書のテンプレートは市町村への報告書式に倣うといい

一般的に用いられている場合の多い介護事故報告書の書式には
 
・発生月日
・発生時間
・利用者情報(名前、年齢、性別、要介護度、既往歴など)
・事故の種別
・発生場所
・事故の内容
・行った対応
・医療的な処置の有無
・家族、行政への連絡日時
・原因分析と再発防止策
 
などの項目別に書かれています。
項目別に分けることで、「いつ、どこで、だれが」を省略できるため詳細の記録がある程度簡素化します。
 
 
皆さんの事業所がある市町村のウェブサイトなどで、介護事故が起きた場合の市町村への報告書様式が公開されています。その様式に沿った報告書を作成し、テンプレートとして用いれば市町村への報告は事業所で作成した介護事故報告書に加え、フェイスシートなどから利用者の基本情報を添付すれば様式に代えることができる場合があります。ぜひ一度市町村のウェブサイトから「介護事故報告書」と検索してみてください。
 
なお、市町村の方針によっては市町村の報告様式で提出しなければならない場合もありますのでご注意ください。
 

まとめ

介護事故は高齢者には常につきまとうリスクといえます。事故を少しでも減らすためには、「起こった事故の原因を分析」して再発防止策を立てる他に、「全スタッフが同じ危険意識を持つ」ことが重要です。そのためには介護事故報告書を活用することが必要になります。
 
他者が見ても状況が理解できるように5W1Hを意識した書き方をすることや、Care Palleteなどを活用して画像を残すことで全員で分析と対策にあたることができます。結果、全スタッフが「事故を無くそう」という意識を持って取り組めば、介護事故は大きく減少させることができます。ひいては業務の負担が減っていくのです。
ぜひ、事故報告書を活用していきましょう。

 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
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