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NDSコラム

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令和3年度介護改正 『CHASE(4月から総称としてLIFE)』の加算の新設 (1)

2021/02/22

厚生労働省は科学的介護の推進のために新たな介護系データベース、『CHASE』の稼働を開始しています。以前より稼働している介護保険総合データベース(介護DB)『VISIT』と統合し、CHASEと共に積極的活用を推進するために、令和3年度介護報酬改定ではCHASEの活用に関連した加算が新たに創設される見込みとなっています。また令和3年度からCHASE・VISITを一体的に運用するにあたって科学的介護の理解と浸透を図る観点から『LIFE』へ名称変更を予定しています。

今回は、新たな介護DBであるLIFE(CHASE・VISIT)に関連した加算が今介護報酬改定においてどのような方向性で検討されているのかを解説します。

新たな介護DB「CHASE(4月から総称としてLIFE)」とは

厚生労働省はかねてより、利用者の自立支援、重度化防止に資するケアの提供のためには質の高い介護が必要であり、科学的根拠に基づいたケアを提供していくことの必要性を指摘していました。しかし介護業界はケアの根拠となるデータを集約するシステムが存在しておらず、事業所は独自のケア方針で介護を提供するため利用者の状態改善度にバラつきがあるのが実際でした。そこで、介護保険レセプト情報を蓄積していた「介護保険総合データベース」(介護DB)、リハビリ事業所の利用者のリハビリに関する計画やケア内容を蓄積した「VISIT」というすでに稼働していた2つのデータベースに加え、介護事業所を利用する利用者の状態像や提供されたケアの内容を提供させ、3つのデータベースを統合しビッグデータとして分析することでエビデンスを集積していくことを目的に、新たなデータベース『CHASE(4月から総称としてLIFE)』を2020年度に稼働させることとなりました。
介護DB,CHASE,介護報酬改定,chase,VISIT,LIFE,多職種連携,アセスメント,センサー 今後はCHASE、VISITへの積極的な情報提供を呼びかけ集約、分析されたデータを情報提供に協力した事業所に対しフィードバックを行いながら科学的根拠に基づく質の高いケアを推進していく予定です。『CHASE』という名称は介護サービスの介入を示す「Care&HeAlth」利用者の状態を示す「Status」利用者の情報を示す「Events」を組み合わせたものでしたが、令和3年度からCHASE・VISITを一体的に運用するにあたって科学的介護の理解と浸透を図る観点から『LIFE』に名称変更を予定しています。LIFEとは『科学的介護情報システム (Long-term care Information system For Evidence;LIFE ライフ)』を意味します。

令和3年度介護報酬改定でCHASE、VISIT(4月から総称としてLIFE)を活用した加算が創設される見通し

CHASE、VISIT(4月から総称としてLIFE)の本格的な運用を積極的に推進していくため、令和3年度介護報酬改定ではそれぞれのデータベースへの情報提供と、フィードバックを活用しケアの質の向上に努めている事業所を評価する加算が多数創設される見通しです。現在創設される予定となっている加算を見てみましょう。

排せつ支援加算

平成30年度介護報酬改定により新設された加算であり、排泄状態の改善に関する支援計画を作成し、状態の改善が見られた場合に算定されるものです。事業所の質の向上をさらに図っていくために見直しが行われました。現行の予定では排せつ支援加算(Ⅰ)、(Ⅱ)、(Ⅲ)の3区分に改定される見通しです。そのすべてにCHASE(4月から総称としてLIFE)の活用が算定要件となっています。対象事業所は介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院に新たに看護小規模多機能型居宅介護が含まれました。 それぞれの加算の算定要件は以下の通りです。
(Ⅰ)
1:排せつに介護を要する入所者等ごとに、要介護状態の軽減の見込みについて、医師又は医師と連携した看護師が施設入所時等に評価するとともに、少なくとも6月に1回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、排せつ支援に当たって当該情報等を活用していること(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)
2:1の評価の結果、適切な対応を行うことにより、要介護状態の軽減が見込まれる者について、医師、看護師、介護支援専門員等が共同して、排せつに介護を要する原因を分析し、それに基づいた支援計画を作成し、当該支援計画に基づく支援を継続して実施していること
3:1の評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者等ごとに支援計画を見直していること

(Ⅱ) 加算(Ⅰ)に加えて評価の結果、要介護状態の軽減が見込まれる者について評価時と比較して、排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善するとともに悪化が無いこと、『又は』おむつ使用ありから使用なしに改善していること

(Ⅲ) (Ⅱ)と同様ですが、悪化が無いこと、『かつ』おむつ使用ありから使用なしに改善していること
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(Ⅲ)を算定するには多職種連携で計画を立て、CHASEへデータ提供を行い3ヵ月に一度計画を見直す中で利用者の状態が悪化せず、おむつが必要でない状態まで改善できた状態で算定できると見られます。現行の加算では6月を限度に100単位/月となっていますが、改定される単位数は10~20単位となる予定ですが、期間の限度が削除されるとのことです。中長期的に排せつ支援に取り組み利用者の状態像を改善していくことを想定した加算算定構造といえます。

褥瘡マネジメント加算

褥瘡マネジメントも排せつ支援加算と同じく平成30年度介護報酬改定で新設された加算です。
入所者の褥瘡発生を予防する取り組みを評価する加算ですがさらなる質の向上を図るために改定が行われる見通しです。
現行の褥瘡マネジメント加算から(Ⅰ)、(Ⅱ)の区分に分けられる予定で、それぞれの算定要件にCHASE(4月から総称としてLIFE)の活用が定められると見られます。
対象事業所は排せつ支援加算と同様、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院に新たに看護小規模多機能型居宅介護が含まれました。

こちらも排せつ支援加算と同様に褥瘡リスクが認められる利用者に対してCHASEへ情報提供を行っていること、医師、看護師、介護職員、管理栄養士、介護支援専門員等が共同して、褥瘡管理に関する褥瘡ケア計画を作成していること、計画に沿って定期的な支援を実施するとともに観察結果を記録し、実施内容を少なくとも3月に1回評価を行うことが(Ⅰ)の算定要件で、(Ⅱ)はそれに加え当初の評価後から褥瘡の発生がないことが算定要件になります。
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排せつ支援加算同様、中長期的に利用者の状態を改善することを想定していると思われます。

自立支援促進加算

自立支援促進加算は利用者の尊厳の保持、自立支援・重度化防止の推進、生活不活発病や寝たきりの防止等の観点から、全ての利用者への医学的評価に基づく日々の過ごし方等へのアセスメントの実施、日々の生活全般における計画に基づくケアの実施を新たに評価するものとして令和3年度介護報酬改定で新設される予定の加算です。介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院が算定の対象事業所です。 算定要件はは以下の通り予定されています。   1.医師が入所者ごとに、自立支援のために特に必要な医学的評価を入所時に行うとともに、少なくとも6月に1回、医学的評価の見直しを行い、自立支援に係る支援計画等の策定等に参加していること 2.1の医学的評価の結果、特に自立支援のために対応が必要であるとされた者毎に、医師、看護師、介護職員、介護支援専門員、その他の職種の者が共同して自立支援に係る支援計画を策定し、支援計画に従ったケアを実施していること 3.1の医学的評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者ごとに支援計画を見直していること 4.1の医学的評価の結果等の情報を厚生労働省に提出し、当該情報その他自立支援促進の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。 (CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)   介護DB,CHASE,介護報酬改定,chase,VISIT,LIFE,多職種連携,アセスメント,センサー   単位数は300単位/月という大きな加算となる方向性で調整されています。6カ月に一度は医師による医学的評価を実施することが必要となりますので、加算の算定のためには利用者が状態を改善でき、自立支援に繋げることができるよう毎日の観察、アセスメントが重要になってくると思われます。定期的なアセスメントには医学的アセスメント、リハビリテーション、機能訓練の必要性、日々の過ごし方(離床時間、座位保持時間、食事・排せつ・入浴の場所や方法、社会参加的活動等)を所定の様式に準じて実施する予定がされております。日々の過ごし方を細かにアセスメントするためには効率的な見守り、観察を行っていけるよう環境を整備していくことが有効になると考えられます。

利用者のアセスメントから自立支援に繋がるケアを提供していくには、改善志向の高いケアプランを作成することが非常に重要です。しかしどのようなケアが利用者にとって適切であるかは計画の作成者によって違いが生じてくる場合も考えられます。NDソフトウェアの「在宅ケアマネジメント基本システム(AI)」に搭載されております「AIケアプラン」は、過去の膨大な利用者情報、提供されたケアの情報を分析し、対象利用者様と一致率の高い状態像から、改善率の高かったケアのデータを客観的指標として提示いたします。計画書作成業務の効率化や質の高いケアプラン作成のための参考としてご活用いただけます。

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まとめ

令和3年度介護報酬改定ではCHASE(4月から総称としてLIFE)を活用した場合に算定できる加算が多く新設される見込みです。(その2)では引き続き新たに新設される加算について解説いたします。 参考URL:
令和3年度介護報酬改定の主な事項について
令和3年度介護報酬改定における 改定事項について
令和3年度介護報酬改定に関する審議報告の概要

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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