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NDSコラム

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令和3年度介護改正:記録業務にICTの活用が図られる見通し

2021/02/16

今年4月に施行される令和3年度介護報酬改定についての方向性が明確になってきており、具体的な変更案が公開されるようになっています。平成30年度介護報酬改定からも検討されてきた介護記録等の簡素化、効率化にICTを活用し業務負担の軽減を図るための大幅な見直しが図られる予定が明らかになりました。障害者総合支援法では、先駆けて記録類にICTを活用するよう様式が変更されるなど福祉業界全体で介護記録等にICTを活用する動きが加速しています。令和3年度の介護報酬改定において介護記録はどのような変更がなされるのかを解説します。

紙ベースが基本となっていた介護記録とは

介護サービスを提供する際の介護記録等にICTを活用した介護記録ソフトを利用し電子化するという活用方法は以前から推進されていましたが、介護業界には未だに紙ベースが基本である書類が多く存在していました。
代表的なものに挙げられるのが署名捺印を要する書類です。ケアプランや介護計画書、契約書、重要事項説明書、個人情報に関する契約書などサービス利用時に利用者と交わす書類の多くには利用者の署名捺印を要するものが多く、紙媒体で交わされるのが原則となっています。介護計画書や契約書、重要事項説明書等の署名捺印を要する書類は介護サービス利用には必須であり、サービス利用が継続している間とサービス利用が終了してからも一定の期間は保存の義務があります。

令和3年度介護報酬改定で原則的に記録の電子化を容認する運び

令和3年度介護報酬改定において、ケアプランや介護計画書、契約書や重要事項説明書といった署名捺印が必要な介護記録書類に関して原則的に電子化での取り扱いを容認する方向性で検討が進んでいます。従来ではケアプランや介護計画書、契約書等の書類は利用者やその家族による署名捺印が必要であり、署名捺印がないものは無効というのが一般的でした。またその保管方法についても一般的に利用終了から5年を経過するまでは鍵のついた書棚などでの保管が義務付けられていました。ほかにも事業所の運営規定や個人情報保護方針、重要事項説明書などは事業所内に掲示する必要があるなど、紙媒体を必要とする規定が多くありました。契約書類は事業所用と利用者の控え用と2部に署名捺印の必要があるなど大変枚数が多く、契約書類の作成から保管等の事務作業においてかかる時間は決して少なくありません。
介護業界は慢性的な人材不足と、介護ニーズの増大への対応が大きな課題となっています。双方の解決に大きな期待を寄せられているのがICT、AI、介護ロボットなどのITテクノロジーの活用です。介護サービスの実施記録や利用者情報の記録にはかねてよりICT化が推進され、介護記録ソフトの活用が進んでいましたがさらなる業務負担の軽減が必要であるとの見方から署名捺印を必要とする書類をタブレットやスマートフォンなど電子機器を活用して説明する、代替的な方法を明示し署名捺印欄を削除するといった大胆な変更を行うことが明確化されました。また、事業所内に掲示する必要のあった運営規定などの書類も閲覧用としていつでも供することができる形であるならば電子化されたデータで構わないという方向性が明示されました。
介護記録の保存方法についても介護保険を運営する自治体ごとの解釈によるいわゆるローカルルールを解消することを目的とし、電子化されたデータでの取り扱いを「原則として認める」方向性に変更される予定です。令和3年度介護報酬改定では電子化されたデータでの取り扱いが可能な範囲を明確化し、介護記録等の業務にかかる負担の大きな効率化を目指す方向性で現在も議論、調整が進んでいます。ITテクノロジーを活用した業務改善は介護業界にとって必要不可欠なものといえます。

記録の電子化による介護事業所の3つのメリット

ケアプランや介護計画書、契約書などを電子化されたデータで保管できるようになることは、介護事業所にとって様々なメリットをもたらすことが大きく期待できます。 介護記録,介護報酬改定,記録の電子化,ケアプラン,介護サービス計画書,アセスメントシート,CHASE,VISIT

メリット①:契約等にかかる時間の大幅な削減と質の高いアセスメント

介護サービスは初めての利用の際には利用者宅へ訪問し、ケアプランや介護計画書作成のためのアセスメントを行います。アセスメントが不十分だと利用者の解決するべき課題が明確にできずに質の低い計画書を作成することになってしまいます。しかし初めての訪問の際には契約書、重要事項説明書、個人情報保護に関する規定など大量に説明を要する文書があり、それらの書類一枚一枚に署名と捺印をいただく必要があります。
利用者が介護サービスを始めて利用する場合などはサービス担当者会議を兼ねて様々な業種が一堂に会することもあり、利用者や家族は各サービスへ十分の対応ができず書類への記入に膨大な時間を費やすことになります。署名捺印が不要になることでこれらの時間の大幅な削減が期待でき、その分質の高いアセスメントに繋がるのです。
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メリット②:ペーパーレス化で経費の削減が図れる

契約書等の書類は一般的にA3用紙を雑誌のように綴じて作成されます。契約書一部でA3用紙5枚の10ページ前後、重要事項説明書はもう少しボリュームがある場合がほとんどです。利用者一名につき契約書だけでも用紙を約10枚以上使用することになり、長期的には契約書などの書類にかかる費用が高額になります。しかしそういった書類の電子化したデータでの保存が可能となると、契約書の作成に必要な用紙代はすべて不要になりペーパーレス化を図ることが可能になります。また契約書等の作成にかかっていた時間がすべて不要になりますので人件費の削減や業務負担の軽減に繋げることも可能です。大量の紙媒体は保管にも相応の場所を必要とするため、ペーパーレス化を図っていくことはスペースの有効活用と事務用品費の経費削減に繋がることが期待できるのです。

メリット③:災害からデータを守る

2011年の東日本大震災や昨今の大雨、台風の自然災害により介護事業所が何らかの被害を受けることは決して他人事ではありません。いざ被害を受けた際にはケアプランや介護計画書が紙媒体の場合、情報は焼失や流失されやすく利用者へのケアにも深刻な影響を与えます。データの管理がすべて電子化されたデータで行えることは、避難の際にも持ち出しやすくなるため大切な情報を守ることに繋がります。令和3年度介護報酬改定では介護事業所に災害対策を講じることを義務付けることも方針として打ち出しています。大切なデータを守る手立ては今後具体的に検討していく必要があると思われます。

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記録の電子化のために必要な設備とは

令和3年度介護報酬改定で議論が進められている介護記録等の電子化を行っていくためにはいくつか必要な設備があります。
まず何より必要になるのはICT化に対応した介護記録ソフトです。介護事業所によってはExcelなどで作成した独自ソフトに介護記録を保存している場合もありますが、紙媒体で記録したものを入力する必要があり二度手間であることや同じ情報を別々のソフトに入力していく必要があり余計に手間がかかるなど、業務負担の軽減にはあまり役立っているとはいえません。ICTに対応した介護記録ソフトは利用者情報や介護サービスの提供記録、介護計画書のデータなどをすべて共有データとして入力、閲覧、管理が可能です。これにより介護記録等にかかる作業を大幅に削減できるのです。記録の電子化を図っていくためにはICTを活用した介護記録ソフトの導入は必須といえるでしょう。
また介護記録ソフトを利用して利用者へ情報を提示する際や、介護記録作業の効率化を図っていくためにはスマートフォンやタブレットといった持ち運びが容易なデバイスが必要になります。複数台のデバイスで同じ介護ソフトを共有するため、パソコンを複数台で運用するよりもデータの入力、閲覧、管理などの活用が容易になります。ICTを活用するため利用者宅など離れた場所にいても事業所とデータのやり取りが行えるため訪問介護事業所などの訪問系サービスにおいても大幅な業務の効率化を図ることが可能です。

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ICT化の遅れは経営にも影響を与える

令和3年度の介護報酬改定では介護現場にICTを活用し業務負担の大幅な軽減と業務の効率化を図ろうという動きが加速していますが、ICTの活用は業務負担の効率化から負担を軽減するだけでなく、事業所の収益にも影響を与える可能性があります。
居宅介護支援事業所を例に挙げるとICTを活用して業務の効率化を図る場合、ケアマネージャーの受け持ち可能な人数を超えた場合に減算される逓減制を40人から45人に緩和する動きが出ています。これが実施されるとICTを活用している居宅介護支援事業所は業務の効率化により負担が軽減されるだけでなく、収益増に繋げることも可能となるため事業運営に大きな差別化を図ることが可能になると見られます。

また2021年度4月から本格運用開始の介護系データベースである『CHASE』(4月からCHASE・VISITを一体的に運用するにあたって統一した名称『LIFE』 に呼称変更予定)へのデータ提供とフィードバックを行いケアの質の向上に努める事業所を評価する加算の新設を予定している動きも見られます。データ提供には介護記録ソフトの活用が効率的であり、厚生労働省にも推奨されています。データ提供に対応した事業所は質の高い介護を提供できるだけでなく、新設される加算を算定しやすくなるともいえます。2025年の超高齢化社会到来に対応するため介護保険制度はITテクノロジーを活用した業務の効率化を今後も推進していくと見られ、積極的にICT化に対応していくことは介護事業所の経営のために必要となっていくことと思われます。
NDソフトウェアでは介護事業所様のICT化をお手伝いするための様々なラインナップをご用意しております。利用者情報や介護計画書の作成、閲覧、提供したケアの記録などの介護記録をICTで電子データ化し、記録業務から情報共有までトータルに効率化を図る「ほのぼのNEXT」は、日々の提供された介護サービスをタブレット端末に簡単に入力でき記録作業の大幅な時間削減をお手伝いいたします。「Care Palette」(ケアパレット)と連動させることで、記録を手入力ではなく音声入力で行えるようにするなど、業務の効率化を図るための便利なソフトを多数そろえております。もちろん『CHASE』へのデータ提供にも対応しておりますので新設される加算に迅速な対応が可能です。居宅介護支援事業所様におかれましては「在宅ケアマネジメント基本システム(AI)」に基本搭載しております「AIケアプラン」のご活用がおすすめです。AIそのものは決して万能ではありませんが、AIケアプランは大量に蓄積された全国のケア情報をビッグデータで解析し、ご担当利用者様と一致率の高い利用者像から最も改善率の高いデータを客観的指標としてご提示します。ケアプラン作成にかかる時間の効率化と、質の高いケアプランの作成の参考資料としてご活用いただけます。
介護事業所様の業種に合わせた業務の効率化をご提案させていただきますのでぜひご相談ください。

まとめ

介護業界は記録業務や契約等にかかる文書負担の軽減、手続きの効率化を改善課題として挙げており、令和3年度の介護報酬改定ではICTなどのITテクノロジーを活用して電子化されたデータを取り扱うことを原則として認める方向性です。新設が検討される加算にもICTの活用を明確化する等、介護事業所のICT化は今後も推進されていくこととなりそうです。経営の安定化のためには介護記録業務のICT化への迅速な対応が求められるでしょう。

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参考URL:
第198回社会保障審議会介護給付費分科会/
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の 改正の主な内容について

令和3年度介護報酬改定に関する審議報告の概要
令和3年度介護報酬改定に関する審議報告

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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