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認知症バリアフリー社会の実現における認知症サポーターの役割

2022/02/24

認知症は認知機能の障がいにより今までできていたことができなくなり、日常生活に多大な影響を及ぼす疾患です。認知症を有する方は普段の生活の多くに支援を要する形となり、その人らしく生活することに大きな障壁が生じやすくなります。
認知症を有していてもその人らしく生活するためには、この障壁を取り除くための活動「バリアフリー」の意識が重要です。そして、認知症を有する方々の尊厳を保持していくには医療福祉の専門職のみが関わるのでは不十分で、地域全体でケアにあたることが重要とされています。
認知症に関する正しい知識を持つ地域の方々を「認知症サポーター」といい、地域で暮らす認知症を有する方々の支援には欠かせない存在です。「認知症サポーター」は認知症バリアフリーにおいてどのような役割が期待されているのかについて解説します。

今後も増加が見込まれる認知症患者

日本は2025年になると3人に1人が65歳以上になる超高齢社会が目前に迫っています。それに伴い認知症の患者数も増加することが見込まれており、推定される患者数は約700万人で、65歳の5人に1人は認知症になるのではとの見方です。

その一方で労働生産人口は今後減少に転じると見られており、多くの支援を要する認知症患者のケアは行き届かなくなるのではないかと懸念されています。

今後もますます増加する介護ニーズにいかに対応していくかが介護分野の大きな課題といえるでしょう。

認知症を有する方のニーズとは

認知症を有する方々は記憶障害や見当識障害、失認、失行といった認知機能の低下により知的能力を要する行為に多くの支障が出てしまいます。私たちは日常生活の大部分に複雑な認知機能を駆使して最適な選択をし、実行に移しています。

認知症は「一旦正常に発達した知的能力が後天的な要因により低下し日常生活の多くに影響を及ぼす」状態をいう疾患です。つまり、私たちと何ら変わらない当たり前の生活を送っていたはずの方々が、認知症という病気を患うことでその「当たり前」を手放さざるを得ない状態であるといえます。

人として普通の生活が難しくなってしまった場合、そこには他者による支援が必要となりますが、認知症を有する方は本質的にそれを求めてはいません。あくまでも私たちと変わらずに「自分の生き方を自分で決める自由が守られた生活」が認知症を有する方々の基本的ニーズであるともいえます。

認知症バリアフリー社会とは

認知症を有する方々の基本的ニーズである「自分の生き方を自分で決められる」には、当然自分が「どこで暮らしていくか」は重要な意味を持ちます。

長年暮らし続けている自宅や住み慣れた地域での生活を続けていくことは介護を必要とする多くの方々が望んでおられることです。それは認知症を有する方々であっても変わるものではありません。認知症を理由に自身の選択が尊重されず生きる場所を選ぶ権利を奪われることは尊厳を大きく傷つけてしまうことです。

しかし実際に認知症を有する方々が住み慣れた地域で生活を続けていくには、様々な障壁が生じます。高齢者を狙った違法な訪問販売や詐欺、公共交通機関等の移動手段、市役所や小売店等のサービス利用時の手続き等、認知症を有する方々には多くの困難が生じ、結果的に快適に暮らしを続けていくことは難しくなってしまいます。

解決のためには、医療福祉サービスといった専門職のみの関わりでは不十分で、住み慣れた地域全体で認知症を有する方が暮らし続けられる社会を構築していくことが重要です。このような認知症を患ってしまっても希望を持って地域で暮らし続けられるように、不便さを生じさせる障壁を取り除いていこうという取り組みを「認知症バリアフリー」といいます。

認知症を有する方の支援に必要なこと

認知症を有する方々は、認知機能の低下により自身の希望を言語化できずうまく伝えることができない、判断力の低下により自身での安全確認が不十分になる、計算力の低下により金銭のやり取りが十分にできないなど日常生活に多くの不便さを抱えています。

認知症バリアフリー社会の構築に必要な支援は、そういった認知症を有する方々の特性を地域に住まう多くの方が認識し、そのうえで認知症の知識を正しく持ち、特別な病気ではなく誰もがかかりうる病気であること、私たちと変わらない生活を望むひとりの人間であることを理解してお互いに支え合うことです。

認知症であっても街を安全に歩くことができる、適切に買い物をすることができる、財産を守ることができる等の当たり前の生活を守るには、地域住民の正しい認知症の理解と地域全体で見守る意識が重要です。そして、そうした正しい知識を持った方々を「認知症サポーター」といいます。

認知症サポーターとは

認知症サポーター制度は、厚生労働省が推進し各地域で開催される認知症サポーター養成講座を受講し、認知症の人に対する接し方を学んだ人が生活の様々な場面で認知症の人及びその家族をサポートする制度です。

そして認知症サポーターは認知症について正しい知識を持ち、認知症を有する方々やその家族を温かく見守る地域住民です。講座を受けることでもらえる「オレンジリング」と呼ばれるリストバンドは認知症を支援する目印であり、連携のしるしでもあります。認知症サポーターは正しい知識を周囲に伝える、認知症になった方々や家族の気持ちを理解し寄り添う、地域住民としてできる範囲で支援する等を活動内容としています。現在全国で1300万人を超える方々が認知症サポーター養成講座を受講しています。

認知症サポーターの介護施設での活用

認知症サポーターは地域住民のためのみではなく、介護施設で働く介護職員にも重要な意味を持ちます。経験の浅い介護職員は認知症を有する利用者のケアに多くの負担を感じることがしばしば見られます。また、認知症について正しい知識が不十分なことで利用者に不適切な対応をしてしまう、尊厳を傷つけてしまうおそれもあります。

そういった介護職員のスキルアップに認知症サポーター養成講座の受講は認知症の正しい知識を持つためのOFF-JTとして教育、キャリアアップにも大いに活用できます。

また、認知症サポーターは実際のケアとしてだけでなく認知症であっても地域で暮らし続けられるための認知症を有する方やその家族への支援を学びます。介護現場での認知症ケアには地域で暮らすことを支援するという目線も当然必要です。日々のケアの延長線上には本人の希望に沿って地域で暮らし続けることを支援することが含まれるのです。介護職員としてだけでなく、認知症サポーターとしての視点でも利用者を見ることで、本人や家族への行き届いた質の高い支援計画を立てられることが期待できます。また、それを日々のケアに活かすことで介護記録の質も向上することが望めるでしょう。

また、地域の介護施設は地域との連携も重要な業務です。認知症サポーターとしての視点を持つことは認知症バリアフリー社会の構築についても正しい知識を持つことに繋がります。地域が一丸となって取り組む認知症バリアフリーに、同じ認知症サポーターとして、また介護の専門職として積極的に参加することは地域の連携の柱としても大きな信頼に繋がるでしょう。

細やかな支援のために必要な環境整備

認知症サポーターは介護施設においても積極的に受講を進めていくことが有効ですが、認知症を有する方への質の高いケアや地域との連携には、専門職としての視点と地域での暮らしを支える認知症サポーターとしての視点を反映した介護計画とその記録、施設内での細やかな情報共有が何より重要です。

それと同時に認知症を有する方にはその特性に応じた適切に寄り添うケアもやはり重要です。両立させていくには、利用者に寄り添える時間を確保しつつ質の高い計画の作成と運用と情報共有が必要で、それらを効率的に行っていくにはICTを活用して業務の電子化が有効です。

NDソフトウェアでは社員の多くが認知症サポーター養成講座を受講しております。認知症を有する方々への質の高い支援のため、ICTを活用した業務の効率化を効果的にサポートいたします。お気軽にご相談ください。

まとめ

今後も増加することが見込まれる認知症患者の方々がその人らしく住み慣れた地域で暮らし続けるためには医療福祉の専門職以外にも地域住民が認知症について正しい知識を持ち、地域全体で支えていくことが必要です。

介護施設においても認知症を有する方のケアに認知症サポーターとしての視点を取り入れ、地域の介護施設として利用者やその家族の希望を支えていくためのケアを提供していくことが認知症バリアフリーにも大きく貢献することになるでしょう。

当コラムは、掲載当時の情報です。

参考URL

認知症施策推進大綱

認知症サポーター

認知症サポーターキャラバン

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