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NDSコラム

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介護職における報告書の重要性と書き方について解説

2022/02/15

介護職にとって日々のケアの記録や利用者の観察記録などの介護記録業務はもとより、事故報告書などの報告書作成も非常に重要な仕事のひとつです。業務上必要なことではあるのですが忙しさを理由に活用することが困難な内容になる場合や、報告書の重要性を認識せずどういった内容を書けばよいかが不透明なままの介護職員もいることでしょう。介護事業の運営のために、そして利用者への質の高いケアに活かすために報告書は大変重要であり、その目的に資する書き方である必要があります。すべての職員が意欲的に報告書作成に取り組んでもらうためには、常日頃から報告書の重要性を指導していくことも必要です。そこで本記事では、介護職における報告書の重要性と書き方について解説します。

報告書の重要性

介護業務には様々な報告書が存在します。事故発生時に書く事故報告書や感染症発生時に書く感染症報告書。さらには訪問介護の場合などは訪問介護サービス記録といった日誌的な記録も報告書に該当するといえます。

これらの報告書はただ書かなくてはいけないから書くという認識で臨むにはあまりにも業務負担が大きいものです。その結果ただ書くことに追われ、利用者へのケアに活かせていないばかりかケアにかけられる時間すら奪われているケースがしばしば見られます。

介護事業所の運営に報告書は必須であるともいえ、それには明確な理由、目的があります。特に事故や災害により死亡した場合や治療を要した場合、その他事故に関して利用者に不遇が生じた場合の報告書は介護事業所所在地の自治体へ報告することが義務付けられています。そのためにもただ書くのではなく、なぜ書くのかについて根拠をはっきりと認識することが重要です。

報告書がなぜ重要であるのかを以下に見てみましょう。

情報共有に役立つ

報告書を書くことで、情報共有に役立てることができます。事故報告書などは、事故を起こした当事者や報告を受ける管理者だけが知っていればよいものではなく、事業所に所属する職員全員が同じ認識を持ち、事業所が一丸とならなければ再発防止に努めることは困難です。当事者だけでなく事故発生当日に出勤していた職員、休みであった職員、さらには事業所内の看護師やリハビリ職などがいる場合はそれらの他職種も含め全員が情報共有するために報告書を活用することが必要なのです。

ケアの質の向上に役立つ

提供したサービスの情報共有や事故発生時の情報共有を、報告書を用いて行っていくことは利用者へのケアの質を向上させることにも役立ちます。報告書を適切に残せるようになると、実施したケアや事故の発生状況、その対応などをすべての職員が共有できるようになり、様々な角度からの分析や考察が可能になります。その結果ケアの問題点を発見できる、さらにより良いケアの方向性を検討できるなど利用者にとって多くのメリットを生み出すことができます。そして利用者にとってより良いケアができることは、介護職員にとっても報告書の活用が意義のあるものだと認識できるようになるでしょう。

緊急時の資料になる

万が一利用者の方とのトラブルや事故があった場合には、報告書が法的な記録として重要な役割を果たします。介護事業所として行った対応を証明する手立ては記録や報告書しかありません。適切に報告書を作成することは介護職員の身を守るためにもなり、施設が透明性のあるケア、対応をしていたことを示すことができます。

報告書は「ただ書かなくてはいけないから書く」といった意識では介護のケアに活かすことができないだけでなく事業所の運営にも大きく影響してしまうのです。

報告書作成に意欲を持ってもらうためのポイント

事業所の質の向上のために意欲的に取り組むべき報告書ですが、作成にあたって拒否的な介護職員やただ書くだけになってしまう介護職員に対しては適切に指導を行う必要があります。リーダーや職責者といった上長がその役割であることが多いと思われますが、ただ書くように命令するのでは効果的とはいえません。

大切なのは命令ではなく、報告書がなぜ必要なのかを繰り返し指導していくことです。そして、実際に事業所で報告書がいかに役立っているのかの実態を体感してもらうことが、報告書に意欲的でない介護職員や若手、新人の介護職員が必要性を実感することに繋がるでしょう。なぜ必要なのかを体感できれば、どのような情報を記録するべきであるのか、どのように書けば活用できる報告書になるのかを自身で考えて行動できるようになることが大いに期待できます。

他に報告書作成に意欲を持ってもらうためのポイントを以下にまとめましたので見てみましょう。

テンプレートを用意しておく

テンプレートを用意しておき、どんなことを書けばいいか一目で分かるようにしておくと効果的です。報告書作成に意欲的でない介護職員は文書作成に不慣れな場合が多く見られます。その場合、いきなり書くように伝えても、書くことそのものが苦痛になってしまいかねません。それぞれの報告書に適した様式の整備や、書き方の例をマニュアル化しておくことは不慣れな介護職員にとって大いに助かるはずです。その結果報告書の作成時間を短縮することができ負担の減少にも繋がります。

書き方の指導をする

介護業務に必要な報告書は行政への報告にも用いるものであったり、ご家族に開示したりする場合もあるなど非常に公的な意味合いの強いものであることがほとんどです。普段メールやSNSで文章を書くのとは違い、報告書には報告書に適した書き方があります。例えば、客観的な文章を書くための5W1Hなどです。あまり慣れ親しんでいない書き方で報告書を作成することは大きな負担となることでしょう。

介護職だから書けて当然なのではなく、書ける介護職に少しずつなってもらおうという長期的な目線が指導には重要です。利用者が計画に沿って長期的にケアを受けていくように、不慣れな介護職員にも長期的に本人に合わせた書き方の指導を行っていくことが重要です。 介護職としての大切な視点であるエンパワメントを心がけた指導を行っていきましょう。

報告書のフィードバックを行う

報告書に意欲的に取り組んでもらうための指導で欠かせないのが、提出された報告書に対し必ずフィードバックを行い質の向上に繋げてもらうことです。苦手な職員や不慣れな職員は、自身の作成した報告書が適切であるかどうかを自身で見極めることは非常に困難であるといえます。いわば自信のない状態で提出に踏み切っていると考えてもよいでしょう。

それに対し指導の役割にある者が良し悪しを何も伝えないでいると、書いた職員は「これで良かったのか」「何が適切だったのか」などが不透明なままです。すると次に報告書を作成する際も迷いが生じたまま書くことになってしまい大きなストレスになります。

報告書提出があった場合には適切にフィードバックを行うことで自身が作成した内容についての答え合わせができ、良かった点は継続できるように、悪かった点は改善するようにとの意識が少しずつ芽生えていきます。その際の注意点としては良かった点を必ず伝えることと、悪かった点についての改善案を提示してあげることです。良いところを褒められるのは純粋に喜びに繋がりますが、悪かった点をただ伝えられることは答えがわからないままの状態で突き放されたようなものです。解決策を提示してそれが本人の改善意欲に繋げられるような指導が重要です。

報告書の活用も全員で共有する

報告書の作成に意欲的になってもらうためには、報告書がいかに活用されているかを実感することが大切であるとお伝えしてきました。自身の出した報告書がどのように使われているのかも知らない、むしろ活用されているのかどうかも分からないようでは「意味はあるのだろうか」との疑問を抱いたままです。そうなっては意欲的に取り組むのは困難になるといえるでしょう。報告書は書くことや出すことそのものが大切なのではなく、それを有効に活用していくことにもっとも意味があるのです。報告書作成にあたる職員がそれを実感するには、事業所内において報告書を介護職員全員で共有し、全員で活用する環境を整えていくことがとても大切です。

業務部会などの定例会議で取り上げるのも良いですし、職員間の連絡ノートなどで共有するのも良いでしょう。本人以外の色々な人の記録内容や書き方を見ることは、良い例を学ぶ機会にもなり、それを職員全員で共有することで事業所としての記録内容、書き方が統一されていくことに繋がることが期待できます。ですが、効率的かつ効果的に情報を共有し報告書の目的であるケアの質の向上を図っていくためには、業務負担にならず、かつ迅速かつ確実に行える手立てが求められます。

すべての職員が等しく情報を共有し、報告書を活用しやすい環境を作るには、報告書を電子記録にし、すぐに見られるようにICT化することがもっとも効率的です。自身の作成した報告書がリアルタイムで共有され活用されるようになれば、自身の仕事がどのように役に立ったのかをすぐに実感でき、また自身も報告書を共有、活用する側の立場になるため「こういった情報がほしい」「こうした書き方のほうが分かりやすいかな」と自身のスキルアップ意欲にも繋がることが期待できます。

また報告書作成を電子化することは作成時間そのものの短縮にも繋がり、負担感の大幅な減少に繋げられるためさらに意欲的に取り組むことも期待できるでしょう。

NDソフトウェアでは記録業務の大部分をICT化し、ケア内容を入力すれば介護日誌や申し送り、各種報告書に手間なく転記ができる「ケア総合記録システム」やタブレットで簡単に記録を入力でき、さらに音声入力を標準的に備えて記録業務の効率化をお手伝いする「CarePalette」といった多彩なラインナップで介護事業所様の業務効率化、質の向上をサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

▼ケア総合記録システム
▼CarePalette

おわりに

介護業務に関わる報告書はケアの質の向上や事業所運営のために欠かすことができません。質の高い報告書を作成していくためには作成の負担減少や、効率的に活用し意味を実感できるための素早い情報共有を可能にするICT化が便利です。

効率的に報告書作成が行える環境を整え、適切な指導を行っていくことで事業所全体の質を向上させることができるでしょう。

投稿日:2019/09/24
更新日:2022/2/15

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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