NDソフトウェア株式会社

質の高い介護サービスを提供するために必要なこと~続編~

2022/07/27

質の高い介護サービスを利用者へ提供するためには「アセスメント」が重要であることを前回のコラムにて解説しました。〈前回コラム:https://www.ndsoft.jp/column/148055
では次に必要なことは、実際に質の高い介護サービスを提供するためのアセスメントを実施することです。アセスメントを行うためにはどのような点に注意すればよいかを解説します。

アセスメントは質の高い介護サービスに不可欠

前回のコラムでは質の高い介護サービスにはアセスメントが不可欠であることを解説しました。アセスメントを行うことの重要性は①生活課題を明確にするため②ケアの統一を図るため③ケアの質の向上を図るための3点でした。

アセスメントをしっかりと行わないと利用者へ提供するべきケアが不明瞭になりケアの質を落としてしまうだけでなく、利用者の自立支援を逆に妨げてしまうことにもつながるためアセスメントの果たす役割は非常に重要なのです。

アセスメント実施にあたり大切なこと

アセスメントの重要性を理解したならば、次に必要なことは適切なアセスメントの実施です。アセスメントの流れは以下のプロセスで行われます。

① 情報の収集

利用者を把握するための情報を集めます

② 情報の解釈・関連付け・統合化

集めた情報を分析します

③ 課題の明確化

分析の結果、利用者に行うべきケアを明確にします

以上がアセスメントのプロセスですが、適切なアセスメントを行うためにはいくつかの注意点があります。質の高いアセスメントを行うために大切なことを以下に見ていきましょう。

利用者の望む生活を把握する

アセスメントを行う目的は端的に言えば「利用者のニーズを叶えるためのケアを明確にすること」です。そうなると当然、アセスメントで集める情報は利用者が介護サービスを通してどのような生活を望んでいるのかが基本となります。

たとえ、どのような有益な情報であっても目的が明確でない状態ならばその情報は意味を持ちません。アセスメントで情報収集を行っていく以上は、利用者がどのような生活を望んでいるのかを把握することがはじめの一歩となります。利用者の望む生活が手に入ることをゴールに見据えるからこそ利用者に関する情報ははじめて意味を持つと理解することが大切です。

全体像を知るための情報収集を行う

利用者の望む生活が明らかになったら、いよいよ利用者に関する情報を広く集めていきます。その際に重要なことは「利用者の全体像を知るための情報収集」を行うことです。 逆に絶対にしてはならないことは「利用者の疾病や障がいに関する情報だけを集めること」です。

利用者が介護サービスに望むことは、自身の疾病や障がい等生活を困難にさせている要因を介護してほしいのではなく、介護サービスを利用することで自身の望む生活を達成できることです。つまり介護事業所は「介護が必要な利用者の低下した機能に対し介護を提供する」という考えではなく「介護を必要とされる利用者が1人の人間としての生活を送っていくために必要な支援を行う」という理解のほうが適切です。

アセスメントを適切に行うために重要なことは「1人の人間としての利用者の全体像を把握すること」といえます。

利用者の全体像を知るために必要な情報の一例を示します。

  • 心身の状況(疾病や心身の状態など)
  • ADLの状況(日常生活を自力でどのように送っているかなど)
  • 生活歴、価値観、習慣

なお、利用者を知るための情報は多ければ多いほど理解しやすくなりますが、注意したい点として利用者本人からのみの聞き取りや、家族からのみの聞き取りにしてしまわないことです。利用者、家族双方の情報や思いを聞き取っていくことで主観的な情報と客観的な情報とを併せ持つことになり、より具体的な利用者像の把握に役立ちます。

ICFの視点で分析する

利用者に関する情報を集めたら次に行うことは「利用者像の分析」です。その際に重要なことは「ICFの視点」で分析することです。

ICFは「国際生活機能分類」のことで、活用することで利用者がなぜ現在の生活状況になったと考えられるのか、利用者の望む生活が手に入らないと考えられる原因は何であるのかを明確にするために非常に有効な視点です。

ICFの視点で分析を行っていくには、集めた情報を以下の6つの構成要素に分類していきます。

健康状態 疾病や障がいの名称、要介護度、年齢など本人の現在の健康状態を表す情報です
心身機能、身体構造 左マヒである、円背であるなどの身体構造や、生理的な機能のことです
生活 日常生活を本人の力でどこまでできているかです。「ADL」を指すと考えていいでしょう
参加 社会とどのように関わっているか、どのような役割を持っているかという情報です
環境因子 本人の周囲を取り巻く周囲の情報です。様々なサービスの有無、同居している人や周囲の人間、自宅の環境や公共交通機関など
個人因子 本人の生活歴や考え方、価値観です

以上の構成要素に分類し、利用者が過去から現在までどのような生き方をしてきたかを全体的に分析します。疾病や障がいが本人の生活を困難にさせているのではなく、本人の生活を困難にさせている要因に疾病や障がいはどのように関与しているのかを把握することが重要です。

「望む生活」の意図を知る

利用者の全体像が把握でき、さらにICFの視点で分析ができた場合、利用者が望む生活を叶えられない原因は決して疾病や障がいだけではないことが分かります。そもそも利用者が望む生活を解決するには、疾病や障がいに対してケアを行うだけでは不十分な場合がほとんどで、重要なことは「望む生活の意図を知ること」にあります。

利用者が望む生活には必ずそれを望む理由があり、アセスメントで大切なことはなぜそれを望むのかを多角的に分析することです。要介護状態を改善したいと願っているのか、要介護状態の中で生活の再構築を図りたいのか、利用者の意図を明確に知ることで必要なケアの方向性を掴むことができます。そして、それを知るために必要なことが先ほどのICFの視点での分析で利用者の全体像を把握することです。

専門職的視点で「できること」「できないこと」を把握する

利用者への最適なケア、質の高い介護を提供するために必要なことは「できること」「できないこと」を客観的に判断することです。抱えている疾患や障がいの状態によってはやはり状態の改善は見込みにくいものも多くあります。それらを向上させるためのケアを考えるより、利用者本人に残されている能力やできると考えられる能力を引き出して活用していくことが大切です。利用者の望む生活を実現させるには達成が可能であるケアを提供することが必要であり、できないことはできないことと見極める、できることを見出すことは介護職としての専門職的視点が求められます。

解決すべき課題を明確にする

利用者の全体像を把握し、ICFの視点で分析すると、利用者の望む生活を手に入れるためには何が問題で、どうなればそれが解決するのかが見えてくるかと思います。それを解決する手立てが行うべきケアであり利用者本人の「解決すべき課題」です。決して介護職が利用者へ行う介護内容を明確にするのではありません。利用者が望む生活を手に入れるために「必要な支援」が行うべきケアです。解決すべき課題は、「利用者本人にとって解決すべき課題」と捉えたほうがいいでしょう。それが自力では困難であるため介護職がケアという形で介入するという考えです。

アセスメント結果を効率的にケアに活かすには

アセスメントは情報収集から分析、判断を行い行うべきケアを明確にするという比較的高度な技術を要する作業です。懸命に考えた結果行うべきケアがやや不透明になってしまうこともしばしばです。

例えばLIFE加算である「ADL維持等加算」「個別機能訓練加算」「排せつ支援加算」などです。これらの加算は算定要件に利用者の状態の向上に努めることが義務付けられており、計画的に行うことが必要です。そのためには利用者に対してどのようなケアを行うべきかを考える際に介護計画書と一体的に考えることで行うべきケアを明確にしやすくなります

アセスメントによって方向性が明らかになった、利用者が望む生活を手に入れるためのケアなのですから利用者自身の意欲的に取り組む可能性が非常に高いと考えられ、結果的に利用者の状態改善を図ることができるとともに、事業所としても非常に質の高い介護サービスを提供できることにつながるといえます。

介護事業所として算定している加算を把握し、アセスメントと紐づけて考えることはケアの統一や情報共有の観点からもおすすめできる方法です。

まとめ

質の高い介護サービスを提供するためのアセスメントのプロセスと、質の高いアセスメントのためのポイントについて解説しました。アセスメントは非常に膨大な情報を分析するため敬遠してしまう人もいるかもしれませんが、質の高いアセスメントからすべてのケアは始まります。利用者がどのような生活を望んでいる方なのかをしっかり把握し質の高い介護サービスにつなげていけるよう意欲的に取り組んでいきましょう。

「ほのぼの」ではアセスメント方式は複数に対応しているので、
  • 施設のサービス方針に合わせたアセスメントのシステム管理ができる
  • アセスメントの情報が計画書に連動するので、計画書作成がスムーズ
  • AIケアプランも搭載しているので、立てた計画に対して予測ができること
などに繋がっていきます。

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当コラムは、掲載当時の情報です。

ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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