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介護記録の際に使ってはいけない言葉について解説

2022/07/19

介護事業所では、サービスを提供した際には内容を介護記録に残すことが必要です。しかし介護記録を書く際には使ってはいけない、または表現に配慮が必要ないくつかの注意点があります。介護事業所の適切な運営に欠かせない介護記録業務の質を向上させることは介護サービスの質を向上させることにも繋がります。そこで今回は介護記録を書く際に気を付けたい、使ってはいけない言葉や配慮したい表現について解説します。

介護事業所は記録が重要

介護事業所では、提供したサービスや日々の利用者の観察結果、その他気付いたことややり取りがあったことを介護記録に残すことが非常に重要です。

その目的は、以下の3点が挙げられます。

ケアの質を向上させるため

介護の仕事は基本的にケアマネージャーが作成したケアプランに沿って介護事業所として解決すべき課題を明確にし、課題を解決するための目標を定め、目標達成に向けて提供するケアを定めた介護計画書を作成し、それに沿ったケアを提供する必要があります。

通常、介護計画書は中長期的に取り組むもので、日々のケアの積み重ねが非常に大切です。毎日行ったケアを記録していると、計画通りのケアが提供できているか、目標の達成に向けて順調に結果を出せているかなどの評価が容易になります。場合によっては目標を上方修正できることもあり、ケアの質を向上させることができます。

情報共有を図るため

介護事業所では、介護職員が一人で利用者のケアに当たることは通常ありません。一人の利用者のケアのために複数の介護職員や介護職、看護師などの多職種が関わることもあり、チームケアが基本です。その際に最も重要なことは、関係する職種や職員全員が利用者に提供するべきケアや提供しているケアについて共通の認識を持っていることです。

利用者に日々提供しているケアを適切に介護記録に残すことは、自分が関わっていない日であってもどのようなケアを提供し、利用者の反応がどうであったかを知るために不可欠です。ケアに関わる全ての職員が情報共有を図るためには介護記録という客観的な情報が必要なのです。

適切なサービスを提供した証拠のため

介護事業所の安定した運営のためには、質の高いケアを提供していることで報酬を増やすことのできる加算を算定することが大切です。しかし加算には算定要件があり、それを満たしていないと不正請求となってしまうこともあります。算定している加算に応じたケアを間違いなく提供していると証明できる証拠は、その加算の算定要件に定められている書類や介護記録以外にありません。

また、利用者へ行った対応や観察の結果などを記録に残していないと、仮に行政や家族に説明を求められた場合適切な対応をしたという証明はできないことになってしまいます。介護事業所が適切な運営や利用者対応をしている証拠は介護記録以外にないことをしっかり認識することが大切です。

介護記録は公的文書

介護記録は決して介護事業所内だけで活用するものではありません。必要に応じて行政や家族へ開示する必要のある公的なものです。介護事業所は事業所が適切な運営を行い、利用者へ質の高いケアを提供していることを日々介護記録に残しますが、その介護記録に書かれる内容は公的文書となります。したがって介護職員は自分たちだけで見る、使う記録ではないことに充分留意し、客観的に記録を書く必要があります。

介護記録で使ってはいけない言葉とは

介護記録を書く際に注意したいことは、使ってはいけない言葉や配慮したい表現です。先述の通りですが介護記録は公的な記録であるため、場合により介護職員以外が見ることもあります。第三者が見ることを考えた介護記録を書くために気を付けたいポイントを見てみましょう。

侮蔑的な表現は避ける

介護業界では、意識なく使ってしまっている言葉が時に侮蔑的な意味合いを持ってしまうことがあります。書いている介護職員が特に気にならない表現であっても、第三者が見た時には利用者の尊厳をないがしろにしているような印象を持ってしまうこともあるため、利用者の尊厳を守った表現ができているかをチェックすることが大切です。

認知がある

介護現場でつい使ってしまう頻度の高い表現です。認知症とは何かしらの原因疾患により認知機能が低下し、生活に支障をきたした状態の総称です。「認知がある」という表現は「認知機能は正常である」という意味合いにしかなりません。そもそも認知症を有している方の行動や言動は「認知症があるから」ではなく「認知症が影響しているから」という理解が大切です。認知症が関係している内容を介護記録に残す際は、利用者の行動や言動を詳細に記載し、「認知症だから」という表現にならないようにしましょう。

×認知のため道に迷った→〇帰り道が分からないとの発言があった
× 何度も同じことを聞く認知症の症状が見られた→〇 「私はどうすればいいの」と何度も介護職員に尋ねてこられた

徘徊、不潔行為など

認知症の周辺症状である徘徊や不潔行為なども介護現場では特に意識なく使ってしまう頻度の高い言葉です。

徘徊とは「あてもなく歩き回ること」を指し、認知症を有する方が行う「徘徊」には不適切な場合はほとんどです。認知症を有する方は「あてもなく歩いている」のではなく「明確な理由があって歩いているがその理由を忘れてしまう」や「歩いている理由を伝えたいが表現できない」という方が多いのです。同じく「不潔行為」も利用者は不潔なことをしようとしているのではなく、認知機能の低下が影響した結果が我々の目には「不潔な行為」に見えてしまうだけです。

認知症を有する方の行動や言動は私たち目線の見下した表現になってしまっていないか十分に留意し、行動、言動のありのままを記録することが重要です。

× 20分ほど徘徊する→〇 ホールと居室とを20分行き来された
× オムツを外す不潔行為が見られた→〇 オムツを外されていた

職員間でしか伝わらない表現

介護職員は、自分たちの間だけで通用するような言葉は介護記録に使ってはいけません。具体的には医療福祉業界の専門用語や略語などが多く該当します。場合によっては介護事業所だけの略語や表現もあるはずです。介護記録は介護事業所の関係者以外も見ることを考えた言葉を使用するようにしましょう。

【例】
× ポータブル→〇 ポータブルトイレ、Pトイレ
× 一部介助→〇 どこを介助したのか具体的に書く

断定的な書き方

介護記録は事実をありのままに書くことが求められますが、利用者の様子や反応を介護職員の主観や思い込みで断定したように書くことは不適切です。また、介護職員は医師ではありませんので、病名を断定するような書き方も絶対にしてはいけません。 あくまでも介護職員が見たままを客観的に記すのが大切であり、利用者の様子を断定した書き方はしないように気を付けましょう。

【例】
× 笑顔で楽しんでいた→〇 笑顔が見られた
× 肺炎の症状が見られた→〇 痰が絡んだ咳をしていた

正しい記録の理解は時短に繋がる

介護の仕事は介護保険事業という公益性の高い仕事のため、透明性の高い業務が求められます。そのためにも介護記録は確実に、適切に残す必要があるのですが、使ってはいけない言葉や配慮が必要な表現を守るだけでは膨大な量の介護記録を書くことになってしまいがちです。介護記録は事業所の適切な運営のため、ケアの質の向上のため、職員の情報共有に活用するために書くもので、そのためには必ず残さなくてはいけない記録とは何か、必ずしも必要でない記録は何かを介護事業所でしっかりと見極めることが重要です。

書くべき介護記録を明確にし、介護職員全体でその認識を共有することで無駄な記録が少なくなり介護記録の時短に大きくつなげることができるのです。介護記録はしっかりと残そうとしてしまうと文章量が多くなりやすいのですが、文章量が多いと「何についての記録であるか」の焦点がぼやけてしまう場合もあり、そうなるとケアの質の向上に必要な記録として活用しにくくなります。「必要な記録を必要な分だけ」を念頭に事業所内での介護記録の在り方を検討してみるのもよいでしょう。そこに使ってはいけない言葉や配慮したい表現を理解した介護記録を残せるようになれば、非常に質の高い介護記録になることが期待できます。

適切な記録を多職種で共有するには

介護記録を適切に残すことができるようになると利用者のケアの質の向上につながることが期待できますが、もう一つ記録を残す大きな目的が、冒頭に述べた多職種での情報共有を図るためです。客観的に理解しやすい記録を利用者のケアに最大限に活かすためにはどのように情報共有を図っていくかという視点が欠かせません。

そこで円滑な情報共有につながると期待されているのが「LIFE」の活用です。LIFE加算である「科学的介護推進体制加算」は多職種で情報を入力する必要もあり、定期的な会議などで情報を共有することが効率的な進め方です。またLIFE関連加算にも多職種で連携を図っていくことを大きな目的としているものが多く、LIFE関連加算の算定をきっかけに多職種連携が活発になったという介護事業所も多く見られます。

適切な介護記録を利用者へのケアに活かすための多職種での情報共有の手段として、LIFEをひとつのきっかけに改めて検討してもよいでしょう。

LIFEを最大限に活用していくためには、LIFEに完全対応した介護記録システムが必須ですので、効率的な情報共有に合わせ記録業務の効率化も併せて検討してみてはいかがでしょうか。

NDソフトウェアの「ほのぼのNEXT」はLIFEに完全対応した介護ソフトです。効率的かつ質の高い介護記録を簡単な操作で行えるだけでなく、多職種での情報共有もタブレットなどの画面上で手軽に行えますので、利用者様への質の高いケアの提供をお手伝いできます。ぜひお気軽にご相談ください。

▼ほのぼのNEXT

まとめ

介護記録は適切な介護事業の運営に必要であり、利用者への質の高いケアにも欠かせないものです。使ってはいけない言葉や配慮したい表現にも気を配ることで介護記録そのものの質を高めていくことは事業所全体の質を向上させることにもつながるでしょう。

当コラムは、掲載当時の情報です。

ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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