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在宅復帰率とベッド稼働率を上げるための老人保健施設の取り組み

2022/10/25

高齢者が在宅へ戻ることを前提に入所し、在宅生活に必要な機能のリハビリや療養を行う老人保健施設は近年新型コロナウイルスの影響もあり経営が苦しくなっています。また老人保健施設は現在サービス類型が5つに区分分けされており、現在の上位区分といえるのが「超強化型」や「強化型」であり、経営が安定している老人保健施設ほど上位区分を取っている傾向があります。そこで今回は老人保健施設の5つの区分と、超強化型、強化型のサービス類型を取るために必須である「在宅復帰・在宅療養支援等指標」について解説します。

老人保健施設のサービス類型

老人保健施設は平成30年の介護報酬改定で、サービス類型が以下の5つの区分に分けられました。

  • 基本型
  • 加算型
  • 強化型
  • 超強化型
  • その他型

それぞれの区分ごとに算定できる加算が異なるなど、受けられる介護報酬に差が設けられました。

それ以前は在宅復帰率50%超、ベッド回転率10%以上等の要件を満たした場合の「在宅強化型」と、それ以外の「加算型」「通常型」に分かれていましたが、さらに細分化された形です。

中でも「超強化型」とは、以前の在宅強化型の上位区分として新設され、在宅復帰率やベッド回転率等の要件も非常にハードルが高くなっている分在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅱ)を算定できるなど介護報酬に差をつけやすくなっています。

5つのサービス類型の算定要件

5つの区分には以下の算定要件があります。

① 在宅復帰・在宅療養支援等指標(最高値:90)

以下の1~10それぞれに一定の割合に応じた点数が設けられており、その合計点数です。

  • 在宅復帰率
  • ベッド回転率
  • 入所前後訪問指導割合
  • 退所前後訪問指導割合
  • 居宅サービスの実施数
  • リハ専門職の配置割合
  • 支援相談員の配置割合
  • 要介護4又は5の割合
  • 喀痰吸引の実施割合
  • 経管栄養の実施割合

② 退所時指導等

a: 退所時指導

入所者の退所時に、当該入所者及びその家族等に対して、退所後の療養上の指導を行っていること。

b: 退所後の状況確認

入所者の退所後30日以内に、その居宅を訪問し、又は指定居宅介護支援事業者から情報提供を受けることにより、在宅における生活が1月以上継続する見込みであることを確認し、記録していること。(要介護度4、5については2週間)

③ リハビリテーションマネジメント

入所者の心身の諸機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるため、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを計画的に行い、適宜その評価を行っていること。

④ 地域貢献活動

地域に貢献する活動を行っていること。

⑤ 充実したリハ

少なくとも週3回程度以上のリハビリテーションを実施していること。

以上の算定要件を一定基準満たせば該当するサービス類型を得ることができ、その要件は次の通りです。

基本型 ①の在宅復帰・在宅療養支援等指標:20以上
②・③要件必要
④・⑤要件不要
加算型 ①の在宅復帰・在宅療養支援等指標:40以上
②・③・④の要件必要
⑤要件不要
強化型 ①の在宅復帰・在宅療養支援等指標:60以上
②・③・④・⑤の要件必要
超強化型 ①の在宅復帰・在宅療養支援等指標:80以上
②・③・④・⑤の要件必要
その他型 上記4区分に該当する要件を満たせない場合

それぞれの要件を満たしサービス類型を達成するためには、①の「在宅復帰・在宅療養支援等指標」が最もハードルが高いといえます。

経営の安定した老健の傾向

近年の新型コロナウイルスが影響してか、老人保健施設は厳しい運営状況に置かれている施設が多く、閉鎖の危機に瀕しているところもあると思います。経営を安定させている老人保健施設には「強化型」、「超強化型」の要件を満たしている施設が多く見受けられます。

反対に苦しい経営を強いられている老人保健施設は「基本型」や「加算型」が多く、人手不足もあってか加算型から基本型、強化型から加算型といった下位区分に移行する施設もあるようです。

老人保健施設は医療と介護を一体的に提供し高齢者の在宅復帰に向けたリハビリを行うことができる施設ですので、その存在はとても大切で、経営の安定化は非常に重要な意味を持ちます。

経営の安定化には強化型や超強化型の要件を満たすことが必須ともいえますが、両者には最高値が90点の「在宅復帰・在宅療養支援等指標」を強化型では60以上、超強化型は80以上もの高い数値が必要です。

また、強化型、超強化型両者に求められる高齢者の在宅復帰率を高めるだけでは空床が発生しやすくなるため、やはり経営上不安定になってしまいます。そこでベッド回転率を同時に上げていくための取り組みを行うことが強化型、超強化型の要件を満たすために大切になってくるでしょう。

老人保健施設が取り組むべきポイント

先述の通り、老人保健施設の経営を安定させるためには在宅復帰率と同時にベッド回転率を上げる手立てが必要です。これらを高めていくためには、老人保健施設内では施設運営側とスタッフそれぞれが工夫、手立てを行っていくだけではなく、利用者とその家族との合意形成も欠かせません。

また双方を上げる手立てのひとつにベッド管理をシステム化することも有効です。入所中だけでなく退所後のベッド管理もシステム化することで適切な運用を機械化できれば効率化を図ることができ、事務作業の負担も減りさらにベッド稼働率、在宅復帰率を上げるための手立てに取り組みことができます。

ベッド稼働率を上げるポイント

まずベッド稼働率は、老人保健施設に入所したいという方をどのように獲得していくかがとても大切です。老人保健施設では利用者やその家族が直接入所の打診をしてくることは少なく、多くが居宅介護支援事業所のケアマネージャーや病院からの転院の打診などフォーマルの機関だと思われます。高齢者が骨折したため在宅介護が困難になった、退院の時期にはなったが、すぐに在宅介護をスタートできる状態ではないなど、老人保健施設の利用には利用者ごとの様々なニーズがあります。施設としてベッド稼働率を上げるポイントは、利用者の入所を打診しやすい関係性、情報共有しやすい関係性が構築できているかがひとつのポイントです。

また、利用者の退所後にすぐ新たな利用者が入所できればベッド稼働率は高い水準を保つことができます。入所している利用者の入所期間や退所時期を老人保健施設全体で情報共有し、居宅介護支援事業所や病院などから相談があった時にスムーズにかつ入所可能時期を正確に伝えることができれば、利用者側からすると非常に使いやすい施設だとの印象を持つでしょう。ベッドを効率的に管理すること、関係機関との関係性を構築し、問い合わせを多くいただくことが大切です。

さらに超強化型を算定している施設では、要介護度4、5の方が多く、近年は看取りの依頼も増えてきているとのことです。看取りの方を積極的に受け入れ、充実した看取りケアを行えるよう施設全体で目的意識を統一することもベッド稼働率を高めるためのポイントといえそうです。

在宅復帰率を上げるポイント

ベッド稼働率を上げるためだけなら利用者の入所期間をとにかく長くすることで達成できますが、強化型、超強化型の要件を満たすには在宅復帰率を高くすることが欠かせません。現在超強化型の要件を満たしている老人保健施設が在宅復帰率のために取り組んでいることで多く見られたのが、入退所前後の訪問を十分に行うことです。

施設側としては利用者の状態像を詳しく把握するため、在宅生活に必要なADLや自宅の環境、そして高齢者本人や家族のニーズを十分に聞き、老人保健施設でどのような介護やリハビリサービスを提供するのかを計画立てていく必要があります。特に高齢者本人や家族は老人保健施設がどのようなところかをしっかりと把握していない方も多いと思います。丁寧な訪問と説明を繰り返し、老人保健施設で何を目指すのか、どうなったら在宅での介護を頑張ることができるのかを知ることで在宅復帰までの道筋が明確になり、医療、介護の専門職が集まった老人保健施設では全職種が一人の利用者のための在宅復帰を目指した質の高いサービスが提供できるのです。これらの情報はアセスメントシートにも記載されるべき情報で、情報は明確であればあるほど在宅復帰の可能性は高くなります。

利用者の希望だけでなく自宅の間取りや環境も把握し、在宅に戻るために達成すべき課題を明確にしていくことが在宅復帰率を高めるためのポイントであるといえるでしょう。

また在宅復帰後の生活には居宅介護サービスや他施設、他の医療機関との関わりが欠かせません。そのためには退所後の生活を見据えてケアマネや他事業所と十分な連携を取り、老健側は施設入所中の利用者の様子や希望などの情報をしっかりと共有していくことが必要です。在宅復帰の準備を始める段階が来たら居宅のケアマネを中心に連携を図っていく体制を整えましょう。

まとめ

平成30年に5つのサービス類型に区分けされた老人保健施設では、強化型、超強化型の要件を満たすことが安定した経営につながります要件を満たすために必要なベッド稼働率、在宅復帰率を高めていくためには利用前後の訪問による綿密なアセスメントが重要です。 そして職種ごと、部門ごとで独自にサービスを提供するのではなく、医療職、介護職、リハビリ職などが同じ情報を共有できる体制をと整えるのが有効だと考えられます。

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【老人保健施設様向けシステム】
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当コラムは、掲載当時の情報です。

参考URL

介護老人保健施設の報酬・基準について

介護老人保健施設

ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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