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【2022年10月最新】介護職員の手当っていくら?介護業界が知っておきたい処遇改善手当

2022/11/21

介護職の現場は今もなお慢性的な人手不足に悩まされており、それに伴って業務負担が非常に大きくなっている事業所も多いと思われます。介護の人材を新たに呼び込むためや、現在働いている介護職員の処遇改善のために介護保険制度では様々な施策を行っており、その代表的なものが介護職員処遇改善加算です。
この加算は令和4年度10月から一部が変更されました。しかしSNS上での介護職員からの意見では、給与に反映されている額に相違が生じているのが実情です。なぜ働く法人によって違いが出るのかを理解するためには、処遇改善加算の内容を知る必要があります。
そこで今回は現場で働く介護職員も処遇改善手当等の名目で支給を受けると思われる同加算について、知っておくべき内容をご紹介します。

令和4年10月から処遇改善加算が新制度に移行した

介護職員は他の産業と比較すると賃金が安いと言われています。介護職とひと言で言っても夜勤の有無といった業種によっても差は生じますが、それでも平均年収は決して高いとはいえないのが現状です。しかし介護の仕事は高齢者の命を預かる重責の仕事でもあり、賃金が伴っていないことや責任の重さから長らく人手不足が課題となっています。さらに人手不足な中でも介護ニーズは年々上昇し続けており、人員ギリギリで業務をこなすことが慢性的になっている事業所も多く、業務負担の大きさもまた課題となっています。

そんな介護業界ですが、賃金アップや職場を働きやすく改善する等介護職員の処遇改善の取り組みとして加算をはじめとする様々な対策を行っています。

代表的なものに「介護職員処遇改善加算」がありますが、そのほかにも「介護職員等特定処遇改善加算」があります。さらには令和4年2月~9月の期間にコロナ克服・新時代開拓のための経済対策として収入を約3%アップさせることをねらって「介護職員処遇改善支援補助金」が実施され、すでに介護職として働いている多くの方が「月の賃金が9000円前後上がる」と認識しているのではないでしょうか。

これら介護職員の処遇改善のための取り組みのうち、介護職員処遇改善支援補助金については令和4年10月から新たに「介護職員等ベースアップ等支援加算」と別の加算となり引き続き介護職員の処遇改善に役立てるように制度が変わりました。

9月までの処遇改善との違い

介護職として勤務する多くの方が受け取ったであろう令和4年2月からの処遇改善金は、先述の通り10月から「介護職員等ベースアップ等支援加算」と新たな加算に変わりましたが、実際に働く皆さんにとっては特に違いが生じるものではありません。

ただ制度の大きな違いがあり前身の処遇改善金は「補助金」で全額を公費として捻出していました。対して新設された介護職員等ベースアップ等支援加算は、従来からある2つの処遇改善加算と同じく「加算」です。この変更により、現行の処遇改善のために活用される施策はすべて加算によるものに統一されました。介護職員処遇改善加算が基の加算となり、職場を働きやすい環境に整えることや賃金体系を整備することで上乗せできる介護職員等特定殊遇改善加算、さらに処遇改善に資するよう活用することを条件に上乗せできる介護職員等ベースアップ等支援加算という3階建ての加算構造になりました。

処遇改善手当ての注意点

現場で働く介護職の皆さんのために活用される処遇改善加算により、皆さんは「処遇改善手当て」等の名目で支給額が増えていると思います。責任の重い仕事を少ない人員でやりくりするのは大変ですから処遇改善手当ては胸を張って受け取っていただき たいものではありますが、それでもやはり加算という構造である以上介護職として注意しておきたいポイントもあります。

サービスへの期待値が増す

加算は、サービスの基本単位にオプションのような形で単位が上乗せされるものをいいます。加算を上乗せするためには、その加算が定めているやるべき業務や整えるべき書類、配置するべき人員などの要件を満たす必要があります。いわば「質の高いサービスを提供する体制を整えているのでさらに利用料をいただきます」という構造です。そして、上乗せされた加算はそのまま利用者の自己負担金にも影響します。9月までの処遇改善金の一部、介護職員処遇改善支援補助金はあくまで補助金であったため利用料には影響がありませんでしたが、10月からの新加算創設によりさらに利用者の負担金は上がったのです。

利用者の自己負担金が増えたことにより利用控えが生じるかもしれないという懸念もありますが、それよりも介護職員が気にしておきたい注意点はサービスの利用者は「払った額に見合うサービスを求めている」ことです。最近は原油高の高騰などの影響で値上がりラッシュが続いており飲食店でも値上げを余儀なくされているところも多いです。それぞれの台所事情から値上がりは致し方ないとしても、客の立場から見るとどうでしょうか。「〇〇円を払った味」を求めてしまうのではないでしょうか。

それと同様の心理が介護サービス利用者にも働くと見るのが当然です。自己負担金が上がったにも関わらずサービスの質が変わらないとなっては最悪の場合クレームにつながることも考えられます。今まではクレームにならなかった事象でも、自己負担金が増えていることでサービスへの期待値が増してしまうのです。

皆さんの処遇改善に充てられるお金の一部は利用者の負担増の上に成り立っていることを意識して日々のサービスに努める姿勢があると良いでしょう。

事業所によって加算の区分が違う場合がある

現在処遇改善手当てを受け取っている介護職員の方々は別の法人に勤めている場合によって、支給額に差が出ている場合があります。SNS上でも「ウチはいくら支給されている」「ウチはこれだけしか支給されない」といった意見を目にしますが、この処遇改善関連加算はすべて「介護職員の処遇改善に活用する」ことがルールとなっています。もし事業所が違反した場合加算は全額返還すると定められていますので、事業所が正しく加算を処遇改善に充てていないとは考えない方がよいでしょう。

ではなぜ法人によって差が出てしまうのかというと、ひとつは 介護職員処遇改善加算を低い区分で算定している場合です。この加算は現行で(Ⅰ)~(Ⅲ)の区分がありますが、それにより介護職員一人あたり1.5万~3.7万と加算報酬額に差が生じます。このように加算の区分による差は出てしまうのです。

もうひとつは、処遇改善金の用途の違いです。処遇改善加算で支払われた報酬は介護職員の処遇改善のために使うことがルールではありますが、加算によってはあくまでも介護職員の処遇改善であれば必ずしも給与に全額を反映することだけに使用を限定していません。介護職員のスキルアップのための研修費用として使っても良いですし、職場環境を改善するための費用として使っても良いのです。

毎月の支給額に反映されていないこともある

処遇改善加算は、必ずしも全額を毎月の支給額に手当てとして反映させているかといえば、そうでない事業所の方が多いと思われます。その理由は、処遇改善に使える介護報酬はあくまで加算報酬であるため、稼働率の影響を受けてしまうことです。

つまり、月の延べ利用数によって処遇改善加算による報酬も上下してしまうのです。処遇改善加算の算定には賃上げや職場環境改善について事前に計画を提出することが算定の要件になっています。提出した内容通りに処遇改善を実施しないと不正と見られてしまいかねません。

そこで多くの法人では毎月の支給額を抑えて加算報酬の実績により賞与等で調整しているところがほとんどです。もし稼働率が落ちて加算報酬が足りない場合は法人がその分を補填しなければならず、法人の規模によっては経営に悪い影響も出かねません。

法人によって処遇改善計画が違うため、毎月の支給額に差が生じるのも致し方のないことだと理解しましょう。

さらに処遇を改善するには質の高い介護を目指そう

介護の仕事は激務であり、現時点で精一杯頑張っている人が多いのは重々承知ではありますが、その頑張りを賃金に反映させていくためにはやはり加算報酬である処遇改善加算を多く得ていくことが大切です。もちろん運営側が様々な取り組みを行ったり賃金体系を整備していったりすることが前提なのですが、それでも利用数が減ってしまうと加算報酬は増えません。たくさんの利用者にサービスを利用してもらうためには、使いたいサービスであることが当然重要です。介護サービスにおいて「使いたい」と思っていただくには、利用者のメリットを考えた質の高い介護サービスを提供すること以外にありません。

そして、利用者にそう思ってもらえるには、日々直接サービスを提供している介護職が果たす役割は最も大きいといえます。忙しい中でも業務の効率化を図り、利用者に直接サービスを提供できる時間を確保できるよう事業所全体、介護職全体で協力、工夫していくことが質の高いサービスとなり、それは利用者の満足度として利用数に影響します。介護職のさらなる処遇改善のためには現場の介護をいかに良くしていくかが最も重要であり近道なのです。

まとめ

令和4年10月からの処遇改善に関わる制度はすべて加算で賄われています。厚生労働省は今後も継続的な処遇改善への取り組みが重要であるとの見方で、これらの加算がすぐに無くなることはないと見られますが、今後の介護報酬改定で制度やルールが変更になる可能性は大いにあります。現場で働く介護職員は、利用者へ質の高いサービスを提供することを追求し、どのように制度が変わっても対応できる事業所づくりに努めることが大切といえます。

当コラムは、掲載当時の情報です。

ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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