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緊急特集
【前編】介護職員処遇改善支援補助金と看護職員処遇改善支援事業 -
2022/03/07 | カテゴリ: 補助金
介護職員処遇改善支援補助金
2月より、介護職員処遇改善支援補助金がスタートしている。介護職員処遇改善支援補助金は、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11月19日閣議決定)に基づき、介護職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための措置を、令和4年4月から前倒しで実施するために必要な経費を都道府県に交付するとされた。
補助額は、一月当たりの介護報酬総単位数(介護職員処遇改善加算および特定処遇改善加算の金額を含めた総額) に、サービス別交付率を乗じる。補助額については、同一の設置者・事業者が運営する他の事業所・施設の賃金改善に充てることができるとして、法人一括での処理が可能となった。
そのため、配分金額を決める際には、法人全体でやり繰りが出来る。ただし、人員基準上、介護職員の配置の無い、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具貸与、居宅介護支援、介護予防支援については対象外であるため、法人一括であっても、併設の居宅介護支援のケアマネジャーへの支給は出来ない。
介護職一人9000円の支給は困難
一月当たりの介護報酬総単位数に、サービス別交付率を乗じる計算方法であるため、一人9000円の支給は、実際には困難である。
理由は、介護職員処遇改善加算などと同様に、月々の稼働率に左右される。コロナのクラスターや感染者が出たことで、休業や利用者の利用控えに有った場合は、補助金額が大きく減額となる。
また、配分する対象職員数でも、一人あたりの支給額は大きく変動する。一人9000円の支給が可能なのは、毎月の稼働率が100%に近く、介護職員の人員基準通りでの事業運営を行う場合で、その他の職員への配分を見送るケースに限られると言える。
その他の職員への配分
介護職員等特定処遇改善加算同様に、その他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めた。
その他の職員の範囲は各事業所において判断する。本部の人事、事業部等で働く介護に従事していない職員の取扱いは、特定処遇改善加算同様に、介護報酬の請求事務などを受け持つ本部の事務職員も支給対象となる。
この補助金の場合、その他の職員への配分について、特定処遇改善加算にある二分の一ルールや、年収440万以上の職員に配分できないなどの制限は設けられていない。
事業所側の裁量に任せる形である。そのため、その他の職員にも配分を行う場合は、介護職員の処遇改善を目的とした補助金であることを十分に踏まえた配分を行う必要があり、その他の職員に過度な配分を行った場合、指導対象となり可能性があることに注意すべきだ。
2月分からの賃金改善が給付要件
対象期間は、令和4年2月~9月の賃金引上げ分である。取得要件は、2月の時点で、処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを取得している事業所(現行の処遇改善加算の対象サービス事業所)である。2月段階で、Ⅳ〜Ⅴ区分を算定する介護施設は補助金を受給することが出来ない。
かつ、令和4年2・3月分から実際に賃上げを行っている事業所とされた。ここで言う、2月分とは、2月に支給される給与、または、例えば、2月末締めで3月に支給される2月分給与、どちらでも構わない。
さらに、介護職員処遇改善加算の支払に合わせることも可能だ。2月請求分の処遇改善加算は3月に国保連合会に請求され、4月25日に振り込まれる。そのため、2月分の処遇改善手当を4月または5月の給与で支払う施設事業所も多い。この場合、補助金についても現行の処遇改善加算等と同じ扱いとするために、2月分の補助金を4月または5月に支給することも可能だ。ただし、処遇改善加算を年二回の賞与のみで支給する事業所の場合は、この支給サイクルは使えないと考える。補助金の取得を行う介護サービス事業者は、令和4年2月分から賃金改善を行った旨を、令和4年 2月末日または3月末までに都道府県知事に報告する。この場合、メール等での提出も可能とした。
注意点は、介護職員処遇改善加算の支払に合わせて2ヶ月遅れの4月または5月支給とした場合、賃金改善自体は2月分からとなるため、令和4年 2月末日までに賃金改善を行った旨の報告の提出が必要である。