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緊急特集
【後編】介護職員処遇改善支援補助金と看護職員処遇改善支援事業

2022/03/23 カテゴリ: 補助金

前編こちら: 緊急特集【前編】介護職員処遇改善支援補助金と看護職員処遇改善支援事業

3分の2以上を月額支給とする

賃上げ効果の継続に資するよう、2月分から9月分の賃金改善の総合計額の3分の2以上はベースアップとして、基本給又は決まって毎月支払われる手当の引上げに充てることが要件である。

毎月支払われる手当とは、支給が不安定な、夜勤手当や残業手当、休日出勤手当などは不可である。また、通勤手当や扶養手当、資格手当なども認められない。

現実的には、処遇改善手当などの名目での支給が一般的だ。手当の場合、毎月支払われることが要件ではあるが、固定金額である事は求めていない。また、就業規則(賃金規程)改正に一定の時間を要することを考慮して令和4年2・3月分は一時金による支給が可能とされている。この場合、一時金扱いであるため、3分の2以上をベースアップに宛てる金額には含まれないので注意が必要だ。

4月分から9月分の月額支給分で、2月から9月の8ヶ月の総受給金額の3分の2以上を満たす必要がある。なお、本年4月以降に新規開設する事業所については、その他の要件を満たす場合に補助金の対象となる。なお、就業規則等の改正が間に合わず、本年4月以降にベースアップ等による賃金改善が実施できない場合は補助金の対象外となる。

3分の1未満を調整部分とする

3分の2以上をベースアップに宛てることで、残りの3分の1未満の部分は賞与などの一時金で支給が可能である。

補助金全額を毎月のベースアップに宛てることはお勧めしない。理由は、3で述べたように、補助金の受給金額は稼働率で左右されるからだ。毎月のベースアップ部分は、コロナ禍などの影響で稼働率が下がっても、減額することは難しく、結果的に事業者の持ち出しとなる。この補助金は、持ち出しでの自己負担を求めてはいない。何らかの理由で、稼働率が下がり補助金額が減額となった場合は、最終的に賞与支給分を減額する事で調整すべきだ。

4月15日までに計画書、1月末に実績報告を提出

介護職員処遇改善支援補助金を受給するためには、4月15日までに処遇改善計画書を提出し、1月末に実績報告を提出する。

2月から4月の3ケ月分については、6月に国保連から一括で振り込まれ、以降、11月まで一ヶ月分ずつの振込となる。

10月からは加算で対応

この補助金は2月から9月の8ヶ月間だけの支給である。

10月からは、基本的な算定要件をそのままに加算に切り替わる事になった。9月までは補助金で有るため、利用者の負担は無い。10月からは加算になるため、利用者負担が発生する。また、計算方法が変わり、一月当たりの介護報酬総単位数(介護職員処遇改善加算および特定処遇改善加算の金額を差し引いた金額)となる。

補助金では、介護職員処遇改善加算および特定処遇改善加算の金額を含めた金額であり、加算では、差し引いた金額となる。そのため、加算率は、補助金より引き上げられる。

なお、令和6年3月までは、処遇改善加算関連が3本存在する事となり、事務負担の増加が懸念されるが、今年の10月に一本化などで混乱させるより、補助金の仕組みをそのまま継続することが負担軽減となると判断したようだ。しかし、来年は令和6年度介護報酬改定審議が行われるため、その段階で、今後の在り方が検討されることとなる。

看護職員等処遇改善事業

看護職員等処遇改善事業は、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を1%程度(月額4,000円)引き上げるための措置を、令和4年2月から前倒しで実施するために必要な経費を都道府県に交付する事業である。

本事業の対象医療機関は、令和4年2月1日時点において、診療報酬における救急医療管理加算の算定対象となっており、かつ、令和2年度1年間における救急搬送件数が200件以上であること。もしくは、令和4年2月1日時点において、三次救急を担う医療機関(救命救急センター)であること。の何れかを満たす医療機関である。そのため、支給対象となる医療機関は限定的だ。

処遇改善の対象者は、対象医療機関で勤務する看護職員(非常勤職員を 含む。)である。 ただし、対象医療機関の実情に応じて、対象医療機関で勤務する看護補助者、理学療法士、作業療法士その他コメディカルである職員(非常勤職員を含む。)も、処遇改善の対象者に加えることができる。

介護職への補助金同様に、令和4年2月・3月分から実際に賃金改善を行い、 賃金改善を開始した月に、都道府県に対して賃金改善を実施した旨の用紙を提出する。令和4年2月分の支給に間に合わない場合は、同年3月に一時金等により支給することも可能である。なお、賃金改善は、対象となる看護職員等に対して、雇用形態、職種、勤続年数、職責等が同等の条件の下で、賃金改善実施期間前に適用されていた算定方法に基づく賃金水準を超えて賃金を引き上げることである。

補助額の算定額は、
[賃金改善実施期間の各月初日時点における当該医療機関の看護職員の常勤換算数の平均値(見込み)× 8(賃金改善実施期間の月数)× 4,660 円(4,000 円に法定福利費に係る事業主負担率に相当する率を乗じて得た額を加えて得た額)]
である。

ただし、賃金改善実施期間の終了後、次の(ア)又は(イ)の額のうち、いずれか低い方の額が、通常の計算額を下回る場合には、(ア)又は(イ)の額とする。

次の(ア)又は(イ)の額のうち、いずれか低い方の額

(ア)
賃金改善実施期間の各月初日時点における当該医療機関の看護職員の常勤換算数の総数(実績値) × 4,660 円(4,000 円に法定福利費に係る事業主負担率に相当する率を乗じて得た額を加えて得た額)

(イ)
賃金改善実施期間において、実際に対象看護職員等の賃金改善及び当該賃金改善に伴い増加する法定福利費等の事業主負担分に充てられた経費

すなわち、介護職員処遇改善支援補助金と異なり、医療の場合は、8ヶ月分が一括で振り込まれる。9月が経過した段階で、看護職員の減員などで支給超過となった場合は、差額分の補助金を返還して精算すると言うことだ。なお、10月からは、診療報酬として継続される予定だ。

 

以上が介護職員処遇改善支援補助金と看護職員処遇改善支援事業の検証となります。

参考URL

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202201_42226.html

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