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ほのぼのユーザーに聞いた「システム導入後に取り組んだ運用の工夫」(介護入居系編)
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2023/09/25
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前回のコラムでは、介護事業所にどのような課題がありシステムを導入しようと検討したのか、そして「ほのぼの」シリーズを選んだ経緯についてのユーザーの声をご紹介しました。
今回は、「ほのぼの」シリーズを選ばれたユーザーが、システムを導入した後、運用にのせるためにどのような工夫をしたかをご紹介します。
目次
「ほのぼの」シリーズ導入後に取り組んだ運用の工夫
介護業界に限った話ではありませんが、既存の業務フローに新たなシステムを取り入れる場合、導入始めからいきなりうまくいくことは多くありません。既存のやり方で慣れているスタッフは「また新たなことを覚えなくてはならない」「本当に変える必要があるのか」といった思いを持っていることも多いでしょう。さらに「ほのぼの」シリーズを導入する以前に紙ベースが当然だった介護事業所の場合、デジタル機器の操作という大きな変更が生じます。スタッフによってはデジタル機器の操作に不慣れな方や、拒絶反応を示す方もいます。しかし「ほのぼの」シリーズを導入することで業務の効率化を図る以上、スタッフがいかにして「ほのぼの」シリーズに順応し、運用していける体制を作っていくかは、介護事業所が取り組むべき内容として非常に重要になります。
「ほのぼの」シリーズを導入したユーザーは、スタッフにどのように「ほのぼの」シリーズを運用していけるよう工夫したのか、ユーザーの様々な取り組みを見てみましょう。
パソコン・スマホの操作を受け入れるために具体的な使用イメージを持ってもらう
現場としては、システムを使うことによるメリットのイメージができない状態で、導入に関しては賛成と反対が半々くらいでした。業務では以前からのノートパソコンを使っている部分と手書きの部分が混在していましたが、すべて電子化するということに対してはアレルギーがあるように感じられました。
しかしスマホを個人で持っているため、それが少し大きくなるだけだと説明をして導入を進めた結果、少しずつ慣れていくことができました。今はiPadでの入力がメインとなり、ノートパソコンをあまり使わなくなるほどに進化しました。
恵の会グループ様やはりパソコンに慣れるのが重要でしたので、9~10名ほどのチームを作り、タイピングソフトを活用し、チームごとにタイピング時間を競争して毎月のミーティングで発表しました。優勝チームには金一封、個人賞でも金一封という取り組みを2年間継続しました。スマホ等に慣れている若い世代は最初からいいタイムでそれほど縮まることもなかったのですが、そうでない世代、特に看護師はとても頑張ったと思います。全体的にタイムが縮まり、記録をシステム化することへの理解度が高まったと同時に抵抗感も減ったと思います。導入準備ができてから一気にスタートしましたが、職員全員の心構えができていたのでとてもスムーズに導入できました。導入する前の準備がしっかりできていたことが良かったと思います。
医療法人社団紺整会 介護老人保健施設フェルマータ船橋様やはりデジタル機器を使い慣れていない職員には、システムの導入は非常にハードルが高いイメージが強いことが分かります。システムを導入する以上は使いこなせる職員とそうでない職員に分かれてしまうことは避けなければなりません。皆が同じシステム上で記録をはじめとする業務を共有することで初めて業務の効率化を図ることができるのです。
職員全員が抵抗なくデジタル機器を受け入れるためにユーザーが取り組んだ内容は、全職員に対し懇切丁寧に説明し理解を得ることや、普段から使用している個人のスマホとの共通点を説明して受け入れやすい雰囲気を作っていますね。
またデジタル機器の操作に不慣れな職員がシステム導入を拒否する背景には「自分にはできないから」との思いがあり、さらには既存の手書きで業務を遂行できているために操作を覚える必要性を感じることができないことが考えられます。このままシステムを導入してしまうと不慣れな職員はただ苦痛になるでしょう。そこで業務としてデジタル機器に触れさせるのではなく、タイピングのチーム戦形式にした取り組みも大変面白いものです。業務と関係ない部分で楽しみながら取り組むことで気が付けばスキルは身に付いていくでしょう。
マニュアルの作成や説明会を行う。計画的に段階を踏んで実施する
全職員がシステムの操作を理解しなければならないので、「ほのぼの」シリーズ自体が大きく変わるタイミングで全職員に対しての説明会を何度も開催しました。システムを導入する目的は業務の効率化のためと明確になっていましたので、職員たちもシステムを使って効率化できる部分に使おうということで方向性が一致し、それに合わせマニュアルを作成しました。
以前なら操作方法だけを説明したマニュアルを作っていたところですが、新しく作成したマニュアルでは「なぜ記録が必要か」などに根拠をつけて作成しました。実地指導等にもリンクし、業務負担軽減に向かえています。
作成した独自のマニュアルは「ほのぼの」シリーズのバージョンアップのたびに内容を精査し、そのたびに使えそうな項目をマニュアルに加えて随時バージョンアップしています。様々な機能が追加されますが、かえって職員の負担になると判断したものについては使っていません。
社会福祉法人 ほくろう福祉協会 特別養護老人ホーム 青葉のまち様スマホ等になじんでいない職員にどうやって使ってもらうかが課題でしたので、まずはシステム担当者を中心に「システム化委員会」を立ち上げました。また職員のシステム化への意識を高めるために「ほのぼの」シリーズを導入済みの他事業所へ見学に行き、そこでのお話を参考に1年ほどの長いスパンで計画的に段階を踏んで準備を進めました。
システム導入の準備期間は、以前から行っていた紙記録と並行して行いましたのでシステム入力と重複することになったほか、入力されたデータの確認をリーダーが行っていましたので負担は大きかったです。準備やトレーニング期間中は通常の業務の他にも多くの時間を割かれていましたが、現在は申し送りや普段の記録が簡素化されました。
システム導入から実際に軌道に乗るまで1年近くかかりましたが、一気にペーパーレス化を進めるのではなく、少しずつパソコンやタブレット端末での入力を増やすといった段階を踏んで進めたのが良かったと思います。
社会福祉法人 信隆会 特別養護老人ホーム 若木ライフ様新たなシステムを導入する際には不安がつきものです。そこで参考になるのはすでにシステムを導入している事業所を見学し、実際に使用している具体的な現場を見ることです。また操作が不慣れな職員やシステムを導入する意義を理解しきれていない職員には、マニュアルの存在は非常に頼りになります。独自の工夫として、ただ操作方法を書くのではなく、なぜ記録を残すことが重要なのかといった根拠も交えて作成しているのが素晴らしいですね。漫然とシステムを使うのではなく、システムを有効活用することで業務の効率化を図り質の高い記録を残す意識を高めることにも繋がる取り組みといえます。
また、導入までの期間をしっかりと計画を立て、段階的に進めていくのも非常に有効な工夫であったといえます。既存の業務の新たなシステムを同時に併用しながら試行錯誤する間は不慣れな部分で手間が増える、並行することで業務負担が増えるなど、一見すると余計に効率が悪くなったともいえる状況になってしまうのは仕方のないことです。重要なことは、過程の中で効率が悪くなるのは自然なことであること、そして効率が悪くなるのは一時的であることです。導入までの過程の中で試行錯誤し都度改善していく活動を継続的かつ計画的に行っていくことが最終的には業務の効率化に繋がると理解することが必要です。これをU字の法則といいます。
システム運用にあたってのルールを決める
システム導入時にNDソフトウェアのサポートスタッフの方に施設に合った基本マスタの構築について相談しながら進めました。主に使用している項目はケース、バイタル、入浴、食事、間食、水分、運動機能、日常で、ケース記録は種別を工夫し抽出しやすくしてもらいました。申し送りすべき内容の記録についてシフトによって「☆」などのマークを先頭につけることをルールにしたほか、出勤したら職員各自がログインして情報を確認することを徹底しました。これにより毎朝各フロア担当が集まって対面で行っていた申し送りがなくなり、時間短縮ができました。
システムが本稼働して1年経った時点で職員アンケートを実施したところ、「作業量が減った」「記録時間が短縮された」「時間内に終わるようになった」といった業務効率化を図れていることを実感できるコメントを多く聞くことができました。
社会福祉法人 信隆会 特別養護老人ホーム 若木ライフ様新たなシステム導入に際し、明確なルールを決めることは非常に有効的な工夫といえます。記憶の話でいうと、私たちが普段無意識に行っている行動は初めから無意識に行っていたのではなく環境や風習が習慣化され、手続きが記憶化されたことで無意識ベースの認識、行動変化へと繋がっています。防犯のために外出時に鍵をしっかりかけることを意識し続けた結果、無意識のうちに鍵を閉める状態にまで達するのと同様です。明確なルールを定め、それを意識させるよう呼びかけていくことは、当初こそは抜けが出るなど馴染まないこともあるでしょうが、継続することでルールに沿った行動を無意識に行えるようになるという取り組みですね。
また、自身の事業所に合った使いやすい形にシステムを構築することも職員には受け入れやすいものになるといえます。そのためにNDソフトウェアのサポートを存分に活用している点も導入を進める上での大きな工夫です。
どうしても操作が苦手な職員、不安を拭えない職員への取り組み
導入後のイメージが湧かず不安になる職員もいました。また手書きでの記録に慣れているためタイピングが苦手な職員もいました。システムの操作方法については「ほのぼの」シリーズの指導担当を選定し、各職員のレベルに合わせた指導を行い並行してマニュアルも作成しました。
タイピングが苦手な職員の入力には時間に余裕を持って入力業務に入ってもらいました。まずは数字データの入力からパソコンに慣れてもらい、使用率の高い文章はマウスだけで入力できるようにしました。
会議の中で「ほのぼの」シリーズで使いづらいことや解決したいことについての課題を職員全員で話し合い、NDソフトウェアに問い合わせてみたり、試行錯誤を繰り返し実際に削減できた時間を確認したりを行い、業務効率化を図ることができました。
社会福祉法人 康和会 オレンジガーデン様慣れた仕事の仕方を変えることになるので、まずはやり方を変えることへの漠然とした不安感の話から始まりました。実務的にはキーボードが打てない職員への対応がありましたが、NDソフトウェアの営業やサポートの方々が導入工程の具体化や実務面の対処方法といった提案を素早く行ってくれました。また導入準備中にもシステム移行時に通常は2ヶ月ほどの既存業務との併用期間を設けるとのことでしたが、現場の作業負担を考えて併用期間の短縮を検討した際も非常に親身に相談に乗っていただけましたし、実際に導入期間の短縮につながりました。
株式会社 中日エムエス 介護付有料老人ホーム エイジトピア星ヶ丘様これまでが手書きだったため、手書きが当たり前という感覚が強かったです。そこでまずはシステム化が定着した後のイメージを持ってもらうことに注力しました。その過程でタイピングやデジタル機器の操作が不慣れな職員には、各フロア単位で操作に詳しい職員や慣れている職員を「ほのぼの」シリーズ導入の中心人物に選任する体制をとりました。身近に聞ける人がいる環境をつくったことで聞きたいことをすぐに聞けるため、導入までのスピードは向上し、導入時の不満や不安感を溜めることなく進めることができました。
いきなりペーパーレス化にするのではなく、まずは水分の記録から、次は食事も加える、その次は排泄などステップを踏んでいったのも良かったと思います。
社会福祉法人 松寿会様人の得手不得手は本当に一概には言えません。スマホの普及率は90%以上になったとはいえ、やはり現在もいわゆるガラケーをお使いの方もいるでしょう。これも「使い慣れたものへの安心感」と「新しいものを受け入れることで環境が変貌することへの不安」が一部背景にあると考えられます。パソコンもスマホも使える職員、パソコンは使えないがスマホは使える職員、パソコンもスマホも使えない職員では当然新しいシステムへの順応の程度は変わります。事業所の職員の実情に合わせ一人ひとりに合った説明や指導を行うことはとても有効な取り組みといえます。
またやはりこういった実情への対処としても経験豊富なNDソフトウェアのサポートを活用していることも有効な手立てといえるでしょう。事業所の実情に応じて最適な計画を迅速に立ててくれる、親身に相談に乗ってくれるという安心感は、事業所全体の漠然とした不安を取り除くことにも大いに役立つでしょう。
さらに事業所の実情に応じてペーパーレス化を段階的に進めるのも、操作に不慣れな職員にはとても安心できる工夫です。当然既存の業務と新しい業務が混在することで一時的に効率は悪化します。操作に不慣れな職員やすぐにシステムに慣れる職員など、職員ごとのペースに合わせ導入していくことで不安を最小限に留めた工夫は、最終的には事業所全体、職員全員の業務を効率化させることにつながるのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。「ほのぼの」シリーズを導入するにあたりパソコンやタブレットなどのICT機器に慣れることは不可欠ですが、職員全員が「ほのぼの」シリーズに慣れるためにはユーザーごとに様々な工夫をしていることが分かりました。
また少しでもシステムを有効に活用し、業務効率化を図るためには「ほのぼの」シリーズについて詳しいNDソフトウェアのサポートを最大限活用している事業所もありました。NDソフトウェアのサポートは運用支援への経験が豊富ですので「ほのぼの」シリーズの使い方の支援だけでなく、独自マニュアルづくりの支援や委員会や説明会の実施の支援、運用のルール決めや段階的なシステム移行などシステム導入のために全方位からサポートいたします。最大限に活用してシステム運用へ役立てることが大切でしょう。
次回は「ほのぼの」シリーズを導入後、事業所にどのような効果が出たかについて引き続きユーザーの声を紹介していきます。ぜひお読みください。
当コラムは、掲載当時の情報です。
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その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。