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2026年介護保険改正の注目点!介護情報基盤と介護報酬・臨時改定を解説

2026/01/15

2026年は、介護保険制度をめぐって2つの動きが注目されています。

一つは、介護情報基盤が4月から順次開始することです。もう一つは、本来は2027年度に予定されていた介護保険改正とは別に、例外的な「介護報酬の臨時改定」が2026年度中に実施されるという議論が進んでいることです。

2025年12月時点では、いずれも不確定な要素が多くあります。しかし、今後の介護業界に大きな影響を与えることは間違いなさそうです。そこで本記事では、介護情報基盤と臨時改定という2つのテーマを軸に、2026年の介護保険改正の動向について解説します。

2026年4月に何が変わる?介護情報基盤の全体像

2026年4月1日以降、準備が整った各市町村から順次、介護情報基盤の運用が始まります。

介護情報基盤とは、2023年の介護保険改正で導入が決定した介護に関する情報を電子的に閲覧・共有できる仕組みです。これまで、要介護認定情報・介護保険証・主治医意見書・ケアプランなどは、紙や個別のシステムでバラバラに管理されていました。そのため、必要な情報を確認するたびに、紙のやり取りが発生していました。

こうした従来のやり方は、時間も労力もかかる非効率な方法です。そこで検討されたのが、介護事業者・市町村・医療機関・利用者が保有する介護関連情報を一元化し、円滑に共有できる仕組みです。

【図1】 公益社団法人国民健康保険中央会 / 介護情報基盤の概要

整備される目的

介護情報基盤が整備される目的は、介護分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進です。具体的には、マイナンバーカードを活用した情報共有の仕組みを構築し、業務効率の改善を目指しています。

国がこのように介護分野の業務効率化を進める背景は、次の2つです。

  • 高齢化の進展
  • 介護人材不足

高齢化の進行により、介護サービスを必要とする人は今後ますます増える一方で、介護人材は慢性的に不足しています。そればかりか、2023年度には介護職員数が減少に転じたことも報じられました。

こうした状況のなか、限られた人員で質の高いサービスを維持し、かつ職員の負担を軽減するためには、業務の効率化が不可欠です。その解決策として国が推進しているのは介護分野のDXで、介護情報基盤はその中核を担う取り組みの一つといえます。

介護に関する情報を一元化し、必要に応じて関係者間で共有できるようになれば、医療機関や介護事業所ごとに家族や本人から同じ内容を何度も聞き取る必要がなくなります。これは、事業所側・利用者側の双方にとってメリットです。

例えば、医療機関から介護事業所への移行や、他の介護事業所への切り替えがあった場合でも、過去の情報をもとに本人に適したサービスを継続して提供できるようになります。

利用するメリット

2025年12月時点では、介護情報基盤を利用するメリットは次の3つが考えられています。

必要な情報にすぐアクセスできる環境が整う

ケアマネジャーや介護事業所の職員にとって、情報を集めるための時間を大幅に短縮できると期待されています。介護情報基盤が本格的に運用されれば、要介護認定の内容やケアプラン作成に関わる情報を必要なときにすぐ確認できる見込みです。

事務作業の効率化により職員の負担が軽減する

ケアマネジャーや介護事業所の職員にとって、残業の削減や業務の平準化など、働きやすい職場環境づくりにつながると期待されています。業務の効率化によって、情報取得のための電話対応や書類の受け渡しなどの事務作業が少なくなると考えられているためです。

ケアの質の向上につながる

利用者にとって、介護情報基盤はケアの質の向上につながると期待されています。業務効率を改善することで、職員はより多くの時間を「利用者とのコミュニケーション」や「支援」に充てられるためです。また、過去の経過や医療情報なども踏まえたうえで支援内容を検討できるようになれば、より本人の状態や生活に即したサービスを提供しやすくなります。こうした積み重ねによって、ケアの質の向上につながると期待されています。

本格運用後に流れが変わる業務

介護情報基盤が本格的に運用されると、主に次の業務の流れに変化が生じると考えられています。

流れが変わる業務一覧

業務内容 改善が期待される変化
資格情報等の確認業務 ・給付に必要な証書の収集や更新内容の確認がWEBサービス上で可能になる
要介護認定事務 ・介護認定の申請・認定の進捗や結果の確認、認定関連書類の取得がWEBサービス上で可能になる
住宅改修費・福祉用具購入費の利用状況確認 ・WEBサービス上で確認できるようになり、電話等で確認する手間を省ける
居宅サービス計画依頼届出の代行申請 ・居宅サービス計画作成届出を書面で自治体窓口に代行提出する必要があったのが、WEBサービス上でできる

これまで紙や電話で行っていた各種確認作業がWEBサービス上で完結することで、情報のやり取りにかかる手間が減り、業務の効率化が期待されています。一方で、次のようなデメリットが発生する可能性もあります。

注意が必要な変化

  • WEBサービスの操作に不慣れな職員にとって、負担に感じる可能性がある
  • インターネット環境がないと情報を確認できない恐れがある

本格運用までのスケジュール

介護情報基盤は2026年4月1日以降、介護保険事務システムの標準化対応が完了した各市町村から順次利用できる見込みです。つまり、すべての自治体で一斉に利用できるわけではなく、システムの整備状況に応じて段階的に運用が広がっていく形となります。

本格的な運用開始は2028年4月1日の予定です。2026年から2028年にかけての期間は、各市町村が順次対応を進め、その進捗に応じて、介護事業所や医療機関が介護情報基盤の利用を開始していく「移行期間」といえます。

各市町村の対応状況

2025年12月3日時点で、利用開始予定日を公表している自治体は6市町村にとどまっています。

【図2】 介護情報基盤ポータル / 市町村(保険者)の対応状況

6市町村のうち、大分県大分市と別府市は先行実証を実施している自治体です。そのため、先行実証以外の地域で利用開始を予定しているのは4市町村で、早くても2027年1月以降です。

このように、介護情報基盤は地域ごとに段階的に進む見通しとなっており、実際に利用できるようになるまでには、一定の時間を要する自治体が多いと考えられます。

利用開始までに必要な準備

介護情報基盤の本格運用に向けて、介護事業所ではまずインターネットに接続できる端末と、マイナンバーカードを読み取るための機器を準備する必要があります。必要となる主な物品は、次のとおりです。

  • パソコンまたはモバイル端末
  • カードリーダー(使用しない場合はNFC対応のモバイル端末)
  • インターネット接続環境(有線LANまたはモバイル回線)

これらの機器を用意したうえで、以下の初期設定を事前に済ませておく必要があります。

  • 端末への電子証明書のインストール
  • マイナンバーカード読み取り用アプリのインストール・設定
  • 介護保険資格確認等WEBサービスの各種設定・接続確認

なお、これらのセットアップについては、導入支援事業者を活用することも可能です。外部のサポートを利用することで、導入をスムーズに進めやすくなります。

導入支援の助成金制度について

介護事業所や医療機関の導入負担を軽減するため、次のような助成金制度が用意されています。

  • カードリーダーの購入費用
  • 技術支援費用(介護情報基盤との接続サポート等)
  • 主治医意見書作成システムの改修費用

なお、2025年度の助成金申請期間は「2025年10月17日~2026年3月13日(予定)」です。一方、2026年度以降の助成制度は現時点では未定です。そのため、カードリーダーの購入費用やセットアップの接続サポートの費用など、この期間内に申請をして準備を進めることが望ましいでしょう。

2026年度中に介護報酬の臨時改定へ

ここからは、2026年のもう一つの注目テーマ「介護報酬の臨時改定」について解説します。

介護報酬の改定は原則として3年ごとに行われており、直近では2024年度に実施されました。そのため、次回の改定は2027年度の予定です。しかし現在、この通常のスケジュールとは別に、2026年度中に臨時改定を行う政策が議論されています。

この臨時改定は、現時点ではまだ正式に決定した事項ではなく、高市内閣が掲げる政策の一つとして検討が進められています。

医療・介護等支援パッケージの具体的な内容

高市首相が「強い経済」を実現する総合経済対策について説明した会見では、介護職員の処遇改善策として、次の案が示されました。

  • 介護従事者全般に対し、月額1万円の処遇改善(半年分)

また、物価上昇の影響を受けた福祉施設等の資金繰りの支援に、独立行政法人福祉医療機構による優遇融資も盛り込まれています。

現時点では、これらを実施するための補正予算案は審議されている段階で、決定事項ではありません。しかし、介護事業所の経営と職員の処遇の双方に大きな影響を及ぼすことから、今後の動向を注視する必要があるテーマといえるでしょう。

まとめ

2026年の介護保険改正をめぐって特に注目のテーマは、「介護情報基盤の段階的な運用開始」と「介護報酬の臨時改定」の2つです。

とりわけ介護情報基盤は、今後の介護分野における情報の取り扱い方を大きく変える転換点となります。業務効率の向上やケアの質の改善が期待されるなかで、対応しないという選択肢は現実的ではありません。

また、早い市町村でも2027年1月以降の開始予定のため、「まだ先の話」と感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、すでに助成金の申請は始まっています。費用負担を抑えながら余裕をもって対応するためにも、今から計画的に準備を進めていくことが重要です。

当コラムは、掲載当時の情報です。

参考URL

図1 公益社団法人国民健康保険中央会 / 介護情報基盤の概要

厚生労働省 介護情報基盤について

厚生労働省 介護DXの推進

図2 介護情報基盤ポータル / 市町村(保険者)の対応状況

介護情報基盤ポータル 【別紙】セットアップ手順書(介護保険資格確認等WEBサービス)

介護情報基盤ポータル よくあるご質問

首相官邸 総合経済対策等についての会見

内閣 「強い経済」を実現する総合経済対策

ライター 青木 崇 介護福祉士として、障がい者支援・高齢者支援に10年間携わる。社会福祉実習指導者や施設主任の経験を活かし、現在は介護関係の記事を執筆するWebライターとして活動中。
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