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介護DXとは?成功事例・失敗原因・補助金活用まで徹底解説

2026/01/21

近年、介護業界でもDXの重要性が高まっています。しかし実際には、「日々のケアや運営で手一杯」というのが、多くの管理者の本音ではないでしょうか。一方で、実際にDXに取り組んだ介護施設では、「ケアの質の向上」や業務効率化による「残業削減」、働きやすさ向上による「採用増加」といった具体的な成果が生まれはじめています。

本記事では、成功や失敗の事例だけではなく、その要因や失敗しないためのポイントについて解説します。導入の不安を解消し、業務効率化から経営改善へとつながる好循環を生み出すヒントとなりますので、ぜひ最後までお読みください。

介護施設におけるDXとは?

介護施設におけるDXとは、デジタル機器を導入することだけではなく、データとデジタル技術を活用して業務フローや組織、ケアの質そのものを変革することを指します。

よく混同されるICT化とは、以下のように目的が異なります。

ICT ●機器を導入して業務を効率化するための手段
(例)紙の記録用紙をタブレットに置き換える
DX ●機器を導入することで生まれた時間を別の業務にあてるといった業務改善が目的
(例)タブレットを導入して記録の転記作業をゼロにし、利用者へのケアにあてる

なぜ今、DXが求められるのか。それは深刻な人材不足への対応に加え、2026年度から本格稼働する「介護情報基盤」を見据えた準備が急がれるからです。医療・介護情報のデータ連携体制の構築は、これからの施設運営において、避けては通れない「必須課題」となります。

なお、介護現場におけるDXについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
介護現場に求められる『デジタルトランスフォーメーション』とは

介護DXの成功事例と取り組みのポイント

実際にDXに取り組んだ施設では、どの業務がどう変わったのでしょうか。具体的な機器の種類と、削減効果の事例をご紹介します。

記録・申し送りに介護ソフトやインカムを導入した事例

【事例】
クラウド型の介護ソフトとタブレット端末、インカムを導入。ケアを行った直後にその場でスマホやタブレットから入力できる状態にすることで、情報が瞬時にシステム上で全員に共有される運用へ変更しました。

【Before】
日中は食事や入浴などのケア業務に追われ、記録業務は夕方以降に記憶を頼りに行う状況でした。また、申し送り会議には全職員が集まり、一日の様子をノートから読み上げて共有するため、毎日1時間近くを要しており、慢性的な残業の原因となっていました。

【After】
夕方の「まとめ入力」がなくなり、申し送りはシステム上の「特記事項」を確認するのみで、わずか5分程度に短縮されました。情報共有のスピードが上がっただけでなく、利用者と関わる時間が多くなりました。また、残業時間が大幅に削減され、職員が定時に退勤できるようになりました。

【成功のポイント】

  • 「紙からパソコンへの転記」という作業自体を廃止した
  • 隙間時間を有効活用する文化が定着した

見守りセンサーを導入し、夜間巡回の回数を削減した事例

【事例】
全居室に見守りセンサーを導入。定時巡回を廃止し、手元の端末にアラート通知が届いた際や、モニターで異変を感じた際のみ訪室する「随時対応」へと切り替えました。

【Before】
以前は2時間ごとの定時巡視を行っていました。安否確認のためにドアを開閉することで、ぐっすり眠っている利用者を起こしてしまうことがありました。また、夜間の少ない人数で全居室を回らなければならないプレッシャーや、訪室しても特に異常がないという訪室の空振りが大きなストレスとなっていました。

【After】
不要な訪室がなくなり、利用者の睡眠が分断されず、朝までよく眠れる利用者が増加しました。職員も「何かあれば通知が来る」という安心感から精神的な負担が軽減され、休憩もしっかり取れるようになりました。

【成功のポイント】

  • 職員の負担軽減と利用者のプライバシーと安眠を守るため、訪室回数を削減できる環境を作ったこと

失敗した事例とその理由

成功事例の一方で、高額なシステムを導入したものの「宝の持ち腐れ」になってしまうケースも少なくありません。失敗には共通する理由があります。

既存業務を「そのまま」置き換えようとするシステム選定

【事例】
経営層がデータ分析を重視し、機能が豊富なシステムを選定。しかし現場では「食事摂取量の入力だけで何回も画面をタップしなければならない」というように、入力項目が多すぎて使いこなせませんでした。さらに、完全移行への不安から、従来の「紙・エクセル」も残したため、二重入力の手間が発生してしまいました。

【原因と対策】
このケースが失敗した原因は、既存の業務フローを「そのまま」デジタルに置き換えようとした点にあります。「今のやり方」に固執すると、システム上での手順がかえって複雑になりがちです。

システム導入は、業務の断捨離を行う絶好の機会です。「そもそもこの業務は残す必要があるのか?」という視点で、業務そのものを再構築する柔軟性が成功の鍵となります。

こうした業務の整理に不安がある場合は、導入後の運用までサポートするメーカーを選びましょう。「ほのぼの」シリーズでは、専任のコンサルタントが業務の再構築から定着まで伴走します。

導入事例:【伴走支援】介護現場の紙業務をゼロに!タブレット導入で業務効率化を実現

通信環境の整備不足と「ITスキル格差」の放置

【事例】
タブレットを配布したものの、居室の奥ではWi-Fiが繋がらず、結局事務所に戻って入力することになり、リアルタイム性が失われました。また、「使い方が分からないから」と特定の職員に入力代行の依頼が集中し、チームワークが悪化しました。

【原因と対策】
タブレットやスマートフォンといった端末だけでなく、通信環境への投資を惜しんだことが原因です。Wi-Fi環境の整備は前提条件と心得ましょう。また、ITが苦手な職員でも操作しやすい製品を選ぶことや、タッチペン・音声入力の活用など、誰でも使える環境を整える配慮が求められます。

介護DXを進めるメリットは業務効率化から経営改善への好循環を生むこと

介護DXを進めるメリットは、ツールの導入にとどまらず、業務の効率化を起点として「ケアの質向上」や「経営の安定」につながる好循環を生み出す点にあります。

業務効率化と負担軽減

DXの最大のメリットは、記録や申し送りなどの「間接業務」を圧縮し、職員が利用者と向き合う「本来のケア」に集中できる時間を創出することです。

手書きの記録や対面での連絡調整は、移動時間や待機時間を生み出し、長時間労働の温床となっていました。これらをデジタル化することで、業務のプロセスを短縮できます。

例えば、インカムやチャットの導入で職員を探して歩き回る時間を削減したり、音声入力を活用して記録時間を半減させたりできます。これにより、残業を減らしながらも、利用者への声掛けやケアの時間を増やせるでしょう。

人材の採用・育成と定着

ICT環境の整備は、「働きやすい職場」としての採用ブランディングを強化し、同時に職員の定着率向上や教育コストの削減を実現します。

デジタルネイティブである若手職員にとって、IT環境が整っているかどうかは就職先選びの重要な基準です。また、テクノロジーによる負担軽減は離職を防ぎ、新人育成の負担軽減につながります。

具体的には、「スマホで記録」「見守りセンサー完備」という環境は、求職者への強力なアピールになります。また、動画マニュアルを活用してOJTの手間を減らすなど、人と組織への好影響を生み出します。

加算取得と2026年度介護保険法改正への対応

蓄積されたデータを活用することで、業務負担を増やさずに上位加算を取得して経営を安定させるだけでなく、2026年度から運用が始まる「介護情報基盤」へ対応できる体制が整います。

具体的には、以下のようなメリットがあります。

  • LIFE提出データの自動生成:科学的介護推進体制加算の取得を効率化
  • 入退院時の情報共有コスト削減: 利用者情報をデジタルで共有し、書類作成の手間を軽減
  • 要介護認定事務の電子化: 認定調査結果や主治医意見書のやり取り期間を短縮
  • 介護保険被保険者証の電子化: マイナンバーカード活用によるペーパーレス化
  • ケアプランデータの連携・共有: 事業所間や医療機関との連携を強化

今のうちから準備を進めておくことで、将来的な行政手続きや医療連携にかかる手間を減らし、制度改正の波に乗り遅れない経営基盤を築けます。
例えば、日々の記録からLIFE提出データを自動生成し、「科学的介護推進体制加算」の取得を効率化します。また、利用者の情報をデジタルで共有できる仕組みを整えることで、入退院時の書類作成コストを下げられるでしょう。

介護DXには補助金も活用しよう ※2025年度時点

DX推進の懸念の一つは導入費用ですが、国や自治体の補助金を活用すればコストを抑えられます。厚生労働省の「介護テクノロジー導入支援事業(地域医療介護総合確保基金)」の活用が有効です。都道府県が窓口となり、生産性向上を図る取り組みを支援します。

【補助内容】

  • 介護ロボット:移乗・入浴支援(上限100万円/台)、見守り支援(上限30万円/台)
  • ICT導入:介護ソフト、タブレット、Wi-Fi等(職員数に応じ100〜250万円)
  • パッケージ型:複数機器の連携導入(※上限額は自治体によって異なる)

補助を受けるには、機器の購入だけでなく、生産性向上に向けた「業務改善計画」の作成や効果報告が必要です。さらに、LIFEへのデータ提供やケアプランデータ連携システムの利用、施設内での委員会設置などが求められるため、計画的な準備が必要になります。公募時期や詳細は都道府県ごとに異なるため、必ず管轄自治体の最新情報を確認しましょう。

まとめ

本記事では、介護DXの成功・失敗事例紹介やその要因、補助金活用について解説しました。DXは機器導入がゴールではなく、現場の業務改善とセットで進めることで、初めて経営改善への「好循環」を生み出します。

スムーズな変革には、現場に寄り添ったシステム選定が重要です。エヌ・デーソフトウェアが提供する「ほのぼのNEXT」は、音声入力やLIFE連携など、現場負担を軽減する機能が充実しています。DX推進や製品選びでお悩みの方は、ぜひお気軽に資料請求・お問い合わせください。

当コラムは、掲載当時の情報です。

参考URL

厚生労働省 介護テクノロジー導入支援事業

IT導入補助金制度概要

厚生労働省 介護情報基盤について

ライター 織田 さとる ケアマネジャーや生活相談員、介護福祉士として20年以上の実務経験をもち、現在は特別養護老人ホームの副施設長として勤務。これまでの経験を活かし、介護・福祉分野の記事を数多く手がけている。
ケアマネジャー/社会福祉士/介護福祉士/公認心理師など
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