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NDSコラム

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心身に快適な入浴のために!入浴介助の手順や注意点を解説(1)

2020/06/08

介護職は、利用者の心身の状態に応じてシャワー浴や個別浴、機械浴といった入浴方法を提供し、安心、安全な入浴介助に努める必要があります。適切な入浴介助を行うことができれば、利用者は清潔が保持できるだけでなく、心身のケアにも繋がることが期待できます。今回は、利用者が気持ちよく入浴できるために介護職が知っておきたい入浴介助の手順や事故防止のために気を付けたい注意点を解説します。

6月になると湿度や気温が高くなり、汗もかきやすくなるため何かとジメジメとしてきますよね。気分をリフレッシュするためには、やはり入浴が効果的ですね。入浴は、気分をリフレッシュさせるだけでなく利用者の心身の維持、向上に大きな意味を持っています。しかし、同時に入浴は利用者にとって非常に事故が多い行為でもあります。

入浴が体に及ぼす影響とは?

入浴が体に及ぼす影響には、大きく分けて3つの作用があります。  

温熱作用

体が温まることで血管が拡張し、血行が良くなります。新陳代謝が活性化し、利尿効果が高まる、内臓のはたらきが活発になるなどの効果があります。  

静水圧作用

浴槽に浸かることで体が水圧の影響を受け、血液循環が促進されます。その結果、心臓のはたらきが活発になります。  

浮力作用

浴槽に浸かることで体が浮力の影響を受けます。体重が約9分の1ほどになり、手足が動きやすくなるためリハビリなどに効果的です。   そのほかにも清潔感を得ることによって自己肯定感が高まり、他者とのコミュニケーションが円滑になる、気分が良くなり安眠効果をもたらすなど、心にも体にも良い効果があります。心身に良い効果をもたらすために、介護職は入浴介助の手順や注意点をしっかりと把握しておく必要があります。  

利用者の入浴中の事故とはどんなものがある?

心身のケアに非常に効果的な入浴ですが、その一方で利用者の入浴介助には事故のリスクが多いため注意が必要です。代表的な事故は以下の通りです。  

転倒

浴室や脱衣所は床が濡れていることが多く、歩行機能の低下が生じやすい利用者にとっては非常に転倒しやすい環境です。特に浴室内は床が固い素材である場合が多いため、転倒により骨折や打撲などを非常に起こしやすくなっています。  

のぼせ、湯疲れ

入浴によって血流が活発になることでのぼせてしまい、めまいや貧血のような状態を引き起こします。また、長時間の入浴によって体力を消耗し、体調不良に陥ることもあります。特に入浴中ののぼせは最悪の場合気絶してしまい溺水の原因にもなりますので注意が必要です。  

心停止、脳血管障害

入浴時に急激な温度変化や長時間浴槽に浸かることで心停止や脳出血、脳梗塞などを引き起こす恐れがあります。温度差が大きい冬場(ヒートショック)や体内の水分量が不十分な寝起き直後の入浴などで起こりやすくなるため注意が必要です。また、心疾患や脳血管疾患、循環器系疾患をといった疾病を持つ利用者は急変のリスクが高まりますので入浴介助時には特に注意が必要です。
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入浴介助時の注意点は?

入浴は良い効果がある反面、注意点を把握しておかないと事故に繋がるリスクもたくさんあることが分かりましたね。入浴は利用者にとっても大きな楽しみのひとつです。入浴介助の注意点をしっかりと把握して、安心と安全に努めましょう。  

入浴前の注意点

・利用者に適した入浴方法を取る 利用者の状態に応じて、銭湯のような大浴場が適している場合もあれば、足が伸ばしきれないくらいの個別浴槽のほうが体を支えやすいため適している場合もあります。座位は取れるが立位が不安定な方にはリフト浴、寝たきりの方には機械浴など、利用者の身体機能の状態を把握して入浴方法を決めましょう。心疾患や循環器系の疾患がある方には体への負担をなるべくかけないように、シャワー浴を選択する場合もあります。利用者と相談したうえで決めるとよいでしょう。

・健康状態をチェックする

入浴をしようとする直前に、必ず利用者の体温、血圧の測定と体調確認をしましょう。体に何かしらの異常があるまま入浴してしまうと、急変のリスクが高くなります。入浴が可能な状態かどうか、利用者の体調管理を医療職と連携を取ったうえで判断しましょう。

・環境を整えておく

浴室と脱衣室は温度差が大きい場合がほとんどです。急激な温度変化は体に大きな負担になり急変のリスクが高まります。なるべく温度差がないように温めておくなど、入浴前に環境を整えておくことは重要です。

・浴槽の温度を確認しておく

いざ入浴しようとしても浴槽の湯が熱すぎる場合や冷たすぎる場合、利用者は入浴することができません。適温になるまで長時間待つことになるため体を冷やしてしまいます。その結果風邪をひいてしまう、湯冷めしてしまうなどの体調不良を起こしてしまいやすくなります。入浴介助を始める前に浴槽の温度が適温かを確かめておきましょう。大体38~40℃くらいが体への負担が少ない温度です。

・入浴前に水分を補給する

入浴時は体が濡れているため分かりにくいですが体が温まるため汗をかきやすくなります。汗をかくと体の中の水分が失われるため、脱水状態や脳梗塞などを起こしやすい状態になります。入浴後の水分補給はもちろんですが、入浴前にもコップ一杯ほどの水分を補給するように勧めましょう。

・排せつの有無を確認しておく

いざ浴室へ移動し服を脱いだ状態で体が冷えることにより急に尿意を催す利用者が多く見られます。入浴介助を要する利用者は特に、入浴前に排せつしておくかどうかの声掛けを行いましょう。  

入浴中の注意点

・プライバシーに配慮する 入浴するにはもちろん衣服を脱ぐ必要があります。入浴に介助が必要な利用者は職員に裸を見られることになるのです。介護職は利用者の羞恥心に十分に配慮してバスタオルで覆う、他者に目に触れないようにするといった対応をしましょう。
・なるべく半身浴を勧める 心臓が湯に浸かってしまうと水圧の影響を大きく受けるため、心臓への負担は大きくなります。心疾患がある利用者は極力半身浴が望ましいです。疾患がない利用者でも体力の消耗が激しくなりますので、利用者の好みを尊重するべきですが、なるべくは半身浴が望ましいです。
・移動時は泡の残りなどに気を付ける 体や髪を洗った際の石鹸やシャンプーは、体から流したつもりでも床に残っている場合が多いです。この泡によって利用者は非常に滑りやすい状態になります。イスから浴槽への移動時などは泡の残りがないように十分に洗い流すようにしましょう。
・シャワーは直接体にあてない 利用者の皮膚は表面が薄くなり刺激に弱くなっています。シャワーの水圧によっては体への負担を増すことになるおそれがあります。また、複数の利用者に同時にシャワーを使うなど急激にお湯を消費することで一時的に温度が上下することがあるため、場合によってはショック症状を起こしてしまうこともあります。シャワーは介護職の手を介するようにしてあてるようにしましょう。
・浴槽に入る時間は5~10分で お湯の中に浸かるのは非常に気持ちのいいものですが、それでも長時間浸かってしまうと利用者の体への負担は大きくなります。利用者自身がその変化に気付かず、のぼせてしまう、気を失ってしまうといった状態に陥ってしまうことも。介護職はなるべく5~10分で浴槽から上がることができるように時間の管理をしておきましょう。  

入浴後の注意点

・水気はしっかりと乾かす 体に水分が残った状態で入浴を終えてしまうと、水分が蒸発する際に気化熱で体の熱を奪い湯冷めしやすくなります。湯冷めしてしまうと風邪をひくこともありますので、入浴後の水気はしっかりと乾かすようにしましょう。また、足の指の水分が残った状態で靴下を履かせてしまうことで蒸れた状態になり水虫などを引き起こすことがありますので足の指もしっかりと乾かすようにしましょう。
・体調確認を必ず行う 入浴後に利用者の変化を必ず確認しましょう。見た目で分からなくても発語が不明瞭であったり、血圧が異常に高くなってしまっている場合があります。入浴前の状態と比べて何か変化はないかを利用者に声をかけるなどして、必ず入浴介助を行った介護職自身が確認するようにしましょう。
・入浴後も必ず水分補給 入浴時に失った水分を必ず補給しましょう。気付かない間に脱水症状を引き起こすおそれがあるほか、血液中の水分が失われ脳梗塞などを引き起こしやすくなります。次回はこちらの続き「心身に快適な入浴のために!入浴介助の手順や注意点を解説(その2)」をおおくりします。入浴方法に応じた入浴介助の手順内容になりますのでお楽しみに!

当コラムは、掲載当時の情報です。

 

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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