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NDSコラム

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「フレイル」「ロコモ」「サルコペニア」とは?

2020/07/06

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために全国の皆さんが外出などを自粛した結果、今現在でも第二波への警戒が続いているとはいえ大規模な自粛は解除される運びとなりました。しかし、今でも多くの介護事業所や在宅で暮らす高齢者は外出などを積極的に行うことをせず室内に閉じこもりがちです。そのように活動量が低下した状態が続くことで陥ることが懸念されているのが「フレイル」です。

高齢者はこの「フレイル」のほかにも「サルコペニア」や「ロコモ」など、健康寿命に関わる様々な状態を予防する必要があるのです。今回は「フレイル」「サルコペニア」「ロコモ」についての解説と予防するために気をつけたいポイントを解説します。  

フレイル ロコモ サルコペニアとは?

最近高齢者のADL維持や介護予防などの健康に関する言葉としてよく聞かれるようになったものに「フレイル」「ロコモ」「サルコペニア」があります。それぞれが生活不活発病のような能力の減退に関する言葉なのですが、それぞれどのような違いがあるのかを見てみましょう。  

フレイル

フレイルとは高齢化によって身体機能や精神機能の低下、社会との繋がりの低下によって心身が弱った状態になることを指します。このフレイルの状態が進行することで、要介護状態など健康寿命の低下をまねくといわれています。フレイルは「虚弱」「衰弱」「脆弱」などとも訳されますが、高齢化により虚弱、衰弱など減退した状態との印象がありますが、介入次第で健康な状態に戻る場合もあるため、現在は「フレイル」という呼称が主に用いられています。  

ロコモ

ロコモとは「運動器の障害により移動機能の低下した状態」である「ロコモティブシンドローム」の通称です。骨、筋肉、関節、脊髄、神経などが連携して動く仕組みを運動器といい、その運動器が疾患や高齢化によって機能が低下し、移動機能の低下から要介護状態や寝たきりになるリスクが高くなるといわれています。  

サルコペニア

サルコペニアとは、加齢に伴い骨格筋の委縮、筋力の低下、身体機能が低下した状態をいいます。サルコペニアもフレイル、ロコモと同様に要介護状態や寝たきりになりやすい状態とされており、健康寿命に深く関わるものです。  

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フレイル ロコモ サルコペニアの違いとは?

一見すると同じような意味にも思える「フレイル」「ロコモ」「サルコペニア」ですが、それぞれに違いがあります。
まずフレイルはロコモ、サルコペニアとは違って身体機能のみを指すものではありません。フレイルには身体機能の低下の他にも精神機能の低下や社会性の低下が含まれます。高齢化に伴い様々な影響を受けることで活動量が低下し衰弱状態に陥ってしまうというのがフレイルの特徴です。
次にロコモとは運動器の障害により移動機能の低下した状態とあり、筋力や持久力の低下から移動機能が低下する運動機能不全と以外に、リウマチや変形性膝関節症、骨密度低下に伴う骨粗鬆症など高齢化によって運動器自体の疾患による移動機能の低下もロコモティブシンドロームには含まれます。
そしてサルコペニアは、加齢による骨格筋の委縮、筋力の低下など、フレイルにおける身体的側面の低下の一要因として数えられるものです。また、身体機能の低下がサルコペニア、身体機能以外の要素をすべて含むのがフレイルということですね。    

フレイル ロコモ サルコペニアの共通点とは?

それぞれに違いがあるフレイル、ロコモ、サルコペニアですが、共通するものもあります。
まず、どれも進行により要介護状態や寝たきり状態をまねき、健康寿命が著しく低下する点です。そして、高血圧や糖尿病などの生活習慣病から来る疾患やメタボリックシンドロームなどの生活習慣から来る運動機能の低下などがフレイル、ロコモ、サルコペニアをまねく点も共通しています。高齢者は、加齢による運動機能の低下により活動量が低下する傾向があります。それが筋力の低下をまねき、骨格筋や筋力が低下していきます。ほかにも糖尿病や肥満、高血圧などの生活習慣病の影響で運動が億劫になってしまうとさらに骨格筋や筋力は低下します。あまり動かない生活は精神機能の低下をまねき、心身機能全体が低下していきます。また高齢者は同年代との死別や子育て、仕事などを終えて役割を失うなど様々な喪失体験からも精神機能の低下をまねく場合があります。それら心身機能が低下すると、高齢者は自発的な交流を図ることが極端に少なくなり、社会性が低下します。そして活動量や心身の機能が低下した状態は食欲減退による栄養不足や準寝たきり状態など全身機能の低下を進行させ、フレイル状態となります。栄養状態の悪化から褥瘡の発症、関節の拘縮、認知機能の低下、自律神経機能の低下など様々な機能低下をまねくことで認知症の発症など要介護状態や寝たきり状態に陥るほか、機能低下による嚥下障害により誤嚥性肺炎を起こしやすい、栄養状態の悪化から免疫力が低下し感染症や疾患にかかりやすくなるなど生命にかかわる事態をまねくこともあるのです。
このように老化の影響はもちろんのことですが生活習慣病や日常生活における栄養状態、社会との関わりがロコモ、サルコペニア、フレイルに共通して関係しています。つまり普段からの生活習慣や過ごし方を見直すことでフレイル予防、ロコモ予防、サルコペニア予防を図っていくことが要介護状態になることや寝たきりになることを予防するのに繋がるということです。  

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フレイル ロコモ サルコペニアを予防しよう

今現在、日本は超高齢社会に突入するといわれており、2025年には75歳以上の人口が2000万人以上になるとの見方があります。また、平均寿命は女性で87.32歳、男性で81.25歳に達します。それに対し元気に自立して過ごせる期間を表す健康寿命は女性74.79歳、男性72.14歳で、平均寿命とは大きな差があります。この元気に自立した生活を送ることができる健康寿命を延ばすことは、健康的な生活を続けるために必須の課題といえるでしょう。そのためにはロコモやサルコペニアを予防することを含むフレイル予防に少しでも早い段階から取り組むことが重要です。
以下に該当する方はフレイル、ロコモ、サルコペニアに注意が必要かもしれません。
・食事がおいしくないと感じる
・意図せずに半年で2~3㎏体重が減っている
・わけもなく疲れた感じがする
・運動、体操を1週間の間に一度も行わない
・歩く速度が遅くなった
フレイル、ロコモ、サルコペニアは肥満気味よりも痩せ型のほうが危険とされていますが、肥満気味の方も運動量の低下や筋肉量の低下によりフレイル、ロコモ、サルコペニアをまねくおそれがありますので注意が必要です。ではフレイル、ロコモ、サルコペニアを予防するために意識したい取り組みを紹介します。  

ウォーキングやストレッチなど適度に運動する

新型コロナウイルスの影響で自粛が解除されても感染予防のために動かない生活を続けてしまっては、全身の筋肉量が低下しサルコペニアやロコモ、最終的にフレイルをまねきます。高齢者自身の体調に合わせてウォーキングやストレッチなど全身運動を行うことで身体活動を維持することが重要です。介護事業所内で外出できない状況でも施設内を歩く、健康体操を行う、足を使うレクリエーションなどを行うなど、高齢者に適度な運動をしていただくことで筋力の維持のほか気分のリフレッシュにもつながりフレイル予防になるでしょう。  

バランスの取れた食事を三食摂る

フレイル、ロコモ、サルコペニアを予防するためには、バランスの取れた食事をしっかりと三食摂ることが非常に重要です。主食や副菜を摂るのはもちろんですが、特に筋肉を作るのに有効なたんぱく質をしっかりと摂れるよう献立を作成しましょう。毎食の用意が大変な場合は食べやすさやバランスを考えて作られたレトルト食を用いることも有効でしょう。 介護事業所などは新型コロナウイルス感染予防に対応した「新しい生活様式」も考えなくてはならないために難しいところもあるとは思いますが、なるべく他者と顔を合わせて楽しく食事ができるように環境を整えることが美味しく食べられるためには必要です。  

社会参加の機会を増やす

自宅や介護事業所内で閉じこもってしまっては社会参加の機会が極端に減り、動くことが少なくなって筋力が低下しロコモやサルコペニアをまねくばかりか、精神機能も低下してしまうことでさらに活動量の低下をまねき、フレイルに陥ってしまいます。介護事業所内であっても家族とオンラインで面会し話す機会を持つ、他者と共通の話題で楽しく話すといった楽しみや、施設内で野菜を栽培する、利用者と職員で協力して掃除や料理をするなど他者と関わりながら身体も動かせる機会を増やすことで心身機能の維持、向上を図ることができるでしょう。

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まとめ

フレイル、ロコモ、サルコペニアは身体機能や精神機能が低下しやすい高齢者に起こりやすく、それぞれに生活習慣病など、普段の生活環境が深く関わっています。 ロコモ、サルコペニアからフレイルに陥ることで心身全体の機能低下をまねき認知症の発症や要介護状態、寝たきり状態になるなど健康寿命に多大な影響を与えてしまいます。 フレイルを予防するためには適度な運動、三食のバランスの良い食事、人と関わる社会参加を早期から積極的に行っていくことが重要です。介護事業所を利用する要介護者は新型コロナウイルスの影響で依然として活動を控えている方も多いと思われますが、活動量が低下してしまうとフレイルをまねき、健康的な生活がなお困難になってしまいます。しかし、フレイル予防に努めることで状態の維持、改善を図ることが可能です。ぜひ運動、食事、人との関わりを意識した生活を送っていただきロコモやサルコペニアを防ぎフレイル予防に努めましょう。  

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参考URL:
フレイルの意義
ロコモを知ろう
サルコペニア診療ガイドライン2017年版を公開しました
平均寿命、最高を更新 女性87.32歳 男性81.25歳
食べて元気にフレイル予防

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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