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介護事故を予防しよう!事故報告書、ヒヤリハットの有効活用方法

2020/07/09

介護事業所では転倒事故や誤薬など、様々な介護事故が起こるリスクがありますよね。介護事故が起こるたびに介護記録を残しても事故が一向に減らないということもあるのではないでしょうか。介護事故は起こさないことが何よりも大事ですが、そのためには起きた事故や事故に繋がるかもしれない事象に目を向け、重大な事故に備えることが何よりも大切です。
今回は、介護事故を予防するために必要な事業所の取り組みと報告書の活用方法を解説します。

なぜ介護事故が起こるのか

まず、介護事業所で起こる事故はどのような要因で起こるのかを知ることが必要です。一般的な事故は、事故に繋がりうる不安全状態と、事故に繋がりうる不安全行動が重なることによって起きるとされています。例を挙げると、雑草が生い茂り見通しが悪くなっている十字路は事故に繋がりうる「不安全状態」(十字路は交差する可能性が高いため見通しが良いことが大事)で、時間に遅れそうだからとスピードを出して運転している車は「不安全行動」(車はスピードを出し過ぎないよう安全運転に努めなくてはならない)です。この2つの事象が合わさった時に事故が起こりやすい状態となります。
それに加え、人間は機械のように完璧ではなくどれだけ気を付けていたとしても心身の状態などの条件次第で事故を起こしてしまうリスクがあります。これをヒューマン・エラーといいます。また、事業所や自宅の設備や管理体制などの環境要因も事故の要因となり、さらに介護事業所では、利用者自身の認知症による判断力の低下や加齢、疾病などによるADLの低下なども事故の要因として加わります。
つまり介護事故は介護職のみが要因でないことも多々あり、様々な要因が複合的に重なることによって介護事故は発生してしまうのです。  

介護事故を個人ではなく事業所の問題として捉える

様々な要因で発生する介護事故を予防するためには「事故を個人の問題ではなく事業所全体の問題として捉える」という認識が重要になります。介護事業所で起こる事故には何らかの形で介護職が関わっていることが多いと思いますが、起こった事故を「関わった職員の問題」として扱わず「事業所で起こった事故は事業所で対応する」という姿勢を持つことで、複雑な要因に対して対策を講じることができるようになります。   介護事故,ヒヤリハット,事故報告書,ICT化,介護記録  

職員全員で共有し、対策を協議する

介護事故を事業所の問題として捉え対策を考えるには、職員全員が同じ問題意識を持つだけでなく全員で事故や事故に繋がりうる状況を共有できなくてはなりません。事故に関係した当事者だけが状況を把握していたとしても、他の職員は同様の状況を認識できないためです。全員で問題解決に取り組むためには、全員で共有できるよう介護事故の記録や介護事故に繋がりうる記録が必要です。  

事故報告書、ヒヤリハットは事故を防ぐという意識で書こう

多くの介護事業所で使われている事故に関する記録に「介護事故報告書」や「ヒヤリハット報告書」があると思います。
「介護事故報告書」は起こった事故を報告するだけのものではなく、事故の再発を防止するために役立てる必要があります。そのためにはただ報告書を書くのではなく、二度と事故を起こさないように職員全体で共有できるよう客観的に記載することが重要です。
「ヒヤリハット報告書」は事故に繋がらなかったとしても「ヒヤッとした、ハッとした」ことを報告します。最近では新型コロナウイルスに関してのヒヤリハットがあった事業所もあったかもしれません。このヒヤリハットには事故に繋がりうる要因がたくさん潜んでいるものです。ただ事象のみを書くのではなく詳細かつ客観的に書くことで不安全状態、不安全行動、環境の問題など非常に多くの事故予防に繋がる要因が発見できるのです。
事業所全体、職員全員で介護事故を予防していくという認識を持ち、職員全員で共有できるよう意識的に報告書を書くようにするとよいでしょう。  

事故に至った原因を分析しよう

介護事故の報告書を活用して次の事故を防ぐ対策を立てるには、なぜその事故が起こったのかを分析する必要があります。事故に至った原因を分析するためには不安全状態と不安全行動を把握することが重要です。
・事故時の環境は適切だったのか
・職員の知識や認識の不足がなかったのか
・利用者の心身の状態と環境は適切であったか
などを考えていくと不安全状態、不安全行動を発見しやすくなるでしょう。そして不安全状態、不安全行動を把握できたら次に「不安全状態、不安全行動に至った経緯」を考えていきましょう。例として、転倒事故には利用者の不安から来る徘徊や失禁による気持ち悪さを解消したくて立ち上がったといったケースが多々あります。転倒リスクの高い利用者が動くという不安全な行動はなぜ起こったのかなど、分析することで対策が立てやすくなるのです。
もう一点、分析をよりしやすくするためには事故やヒヤリハット発生時の状況を写真や動画に残しておくと、詳細が客観的に分かる以外にもヒューマン・エラーや環境要因など発生時には気付かなかったことに気付ける可能性が大きく上がります。また、報告書の作成を紙媒体ではなく電子化することで過去の事故履歴を検索することや職員間の共有が簡単に行えるようになり、事故の分析に非常に役立ちます。タブレットなどの端末を用いることで、写真や動画をすぐ撮影できる環境を整えることにも繋がり事故予防に非常に効果的といえます。ヒヤリハットも同様に不安全状態、不安全行動を把握できるように分析することで重大な事故が起こる前に対策が立てられるようになるでしょう。 介護事故,ヒヤリハット,事故報告書,ICT化,介護記録  

ミクロの視点とマクロの視点で分析しよう

事故報告書やヒヤリハット報告書は再発防止や事故予防に重要ですが、事業所全体の事故状況を把握して対策するためには、事故ごとに分析し対策するミクロの視点と、一定期間に起こった事故やヒヤリハット全体の傾向から分析し対策するマクロの視点の両方で分析していくことが大切です。
事故やヒヤリハットの事例ごとに分析し対応策を検討すると起こった事故や起こりうる事故に対して適切に対策を取ることができるので非常に重要なのですが、一定期間の事故やヒヤリハットの傾向を分析すると、気付かなかった事業所全体の事故の傾向が浮かび上がってきます。事故やヒヤリハットが多く発生している時間や場所、同様の事故が起きる傾向の高い時間や場所など一件ごとの報告書では分からなかった問題が全体を通して分析することで見えてくるのです。そこには業務体制上の問題が潜んでいることや、事業所全体の認識不足、施設設備の問題など重大な要因が隠れていることもしばしばです。
ミクロ、マクロ双方の視点で分析することは事故防止の観点から必ず行うべきことですが、そのためには報告書一枚一枚をデータに入力し、必要なデータを数値化してさらにはグラフ化する必要があります。必要なこととはいえ一年を通して多数起こる事故をまとめて入力していく労力は膨大なものになるでしょう。  

普段の報告書をICT化する

事故やヒヤリハットの報告書を活用しミクロ、マクロの視点で分析、予防策を講じていくという膨大な作業を有効に、かつ簡略化していくためには普段の報告書や介護記録をICTで電子化すると非常に楽になります。紙ベースに記載すると、分析のためには必ずパソコンなどに入力してデータ化しないと数値やグラフで行うことが困難になります。また、普段からパソコンに入力しようとしても、必要な情報を精査したうえでフォーマットを作り、そこに入力していく必要があり、あとで必要な情報を取り出そうとしても項目自体が無かったりすることもありますので注意が必要です。 「ケア総合記録システム」は、記録業務全体をICT化できるほかタブレット端末ですので入力が簡単に行うことができ、事故やヒヤリハットの報告書の集計、分析が簡単に行えますので事故予防対策に非常に効果的なほか、閲覧や写真、動画など客観的な情報を全職員で有効に共有できるでしょう。  

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まとめ

介護事業所で起こる事故を減らし、防いでいくには介護事故報告書やヒヤリハット報告書を事故予防のために役立てるという認識で書き、全職員が問題意識を持って共有することが大切です。そして事故を起こした本人だけではなく事業所全体で事故防止に努めるために一件ごとの事故原因を詳細に分析することと、事故の件数や傾向、特徴を全体的に把握したうえでの事故原因を分析していく両方が重要なのです。そして、分析を簡単かつ有効に行うには「ケア総合記録システム」といった記録のICT化を図ると普段の記録業務自体が楽になるうえに事故を分析するための数値化、グラフ化が効果的に行えるでしょう。 事業所、職員全員で事故を防いでいけるようにぜひ取り組んでいきましょう。  

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当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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