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NDSコラム

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介護職員の負担軽減と利用者の安全!IoTセンサー活用で効率化

2020/08/27

介護施設の職員は24時間体制で利用者のケアにあたる必要がありますが、介護業界全体の人材不足は介護施設も例外ではありません。限られた人員で利用者のケアを行うのは肉体的にも精神的にも負担が大きいものです。さらに夜間ともなると大勢の利用者を複数名、場合によっては1名の職員でこなす必要があります。利用者の安全を確保するのには職員の力だけでは及ばないこともしばしばです。そこで活用したいのがIoTセンサーというもの。従来のセンサーよりさらに便利になり、眠っている利用者さんの安全を守る、職員の業務負担の軽減を図ることができるものになっています。

今回は、介護施設の職員の負担軽減と利用者の睡眠を安全に見守ることができるIoTを活用した センサー機器について解説します。  

見守り業務にかかる負担は大きい

介護施設は入所施設ですので当然ながら夜間も利用者のケアを行うために夜勤があります。夜間は施設全体の照明が暗く足元が見えにくい環境となっており、視力や視野が低下しやすい高齢者には危険な環境といえます。さらに身体能力の低下や認知症により自力でベッドから降りられない方や状況の判断能力が低下している方は、排せつや不安感など様々な理由で覚醒しベッドから降りようとされる場合があり、その結果転倒や転落事故に至るケースは少なくありません。
そこで介護職員は夜間、定期的に利用者の状況を確認するために巡回を行います。利用者の中には認知症などにより昼夜問わず徘徊や異食などの周辺症状がある方もおられるため、事故防止のためにちょっとした物音などでも様子を見に行くことも多く、気が休まる暇がありません。その状況下で定時の排せつ交換や翌日の準備、記録などの夜勤業務もこなしていくため、夜勤中の見守り業務は介護職員にとって多きな負担となるのです。
それらの負担を少しでも軽くしようと用いられるのがセンサー機器です。センサー機器は利用者の行動などに変化があった際にそれを知らせるもので、見守り業務の負担軽減にと多くの介護施設で取り入れられています。  

介護施設で用いるセンサーの種類

介護施設で用いられているセンサー機器の種類には以下のものがあります。  

センサーマット

利用者のベッドの下にマットタイプのセンサーを敷いて使用します。利用者がセンサーマットに足を着けることで音が鳴るものや、ナースコールと連動させることで事務所でコールが鳴り知らせるものがあります。  

ベッドセンサー

ベッドセンサーは、マットレスやシーツの下に敷いて使用するもので、利用者がベッドから体を起こすことで重量の変化を感知し、コールにて知らせるというものです。他にもベッドサイドに敷き利用者がベッドから降りようとした際に反応するものや、ベッド柵に巻くように取り付け利用者が体を起こそうと柵を掴んだ際に反応するものがあります。  

クリップ型センサー

クリップを弱い力で利用者の衣類に挟み、利用者が体を起こした際にクリップが外れることで音が鳴るものです。  

ビームセンサー、赤外線センサー

ベッドサイドや居室の出入り口など、そこを通過する際にビームや赤外線で感知し遠隔で受信機から音を鳴らし知らせるものです。  

マグネットセンサー

居室の出入り口やトイレなどのドア側と枠側にマグネットを取り付け、開く際の距離の変化を感知して音を鳴らし知らせるものです。  

タグセンサー

タグセンサーは、利用者の衣服など体の一部にタグを取り付け、機器を設置した箇所を利用者が通過した際にタグを感知、音を鳴らし知らせるものです。  

画像センサー

ベッド上や居室の出入り口など、一定の箇所にセンサーカメラを設置し、利用者がそこを通るなどして画像に変化が見られた際に音を鳴らし知らせるものです。  

音センサー

音センサーは自力でナースコールを押せない方などに用いられることもあり、ある一定以上の音量を感知することでナースコールとして鳴らすものです。このようにセンサー機器にはたくさんの種類があり、介護施設は規模などによって自身の環境にあったセンサー機器を活用しています。  

従来のセンサーは負担軽減になった?

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先ほど紹介したセンサー機器を用いることである一定の効果は見込まれるものの、逆に負担が増している部分もあります。ひとつはセンサーマットやベッドセンサー、マグネットセンサーなど多くのセンサーは重量や距離を感知して反応するものであり、センサーマットでいうならば、足をマットに下ろしている以上反応し続けるため、感知しないようにするには電源を切る必要があります。また、利用者からすると「動く気はないけどベッド脇に少し座りたい」場合もあり、職員からすると「覚醒している以上転倒リスクがあるからその場を離れられない」という状況に陥ってしまうことがあります。
このようにセンサー機器を使用している一人の利用者の状態次第で業務に支障が出やすい面があり、逆に負担が増してしまう場合があるのです。また赤外線やビームなどのドア、通路に付けられたセンサーは認知症のある利用者などが外へ出て行ってしまうことを防止するのには有効といえますが、誰が通っても鳴ってしまうため、設置する場所によっては頻回に反応してしまいます。他の利用者の居室やトイレなどで介助中であっても、音が鳴った以上リスクを避けるために急いで対応にあたらなければなりません。その結果業務が思うように進まずに忙しく施設中を移動することが多くなります。その振動や雰囲気を感じ取り多くの利用者が覚醒してしまうといったことも珍しくありません。
便利に用いれば有効なセンサーも、場合によっては逆効果になってしまうということです。しかし今、テクノロジーの進化によりAIやIoTを活用したセンサー機器が登場し、介護施設で働く職員の大きな負担軽減に繋げられるようになってきました。  

IoTを活用したセンサーとは?

従来のセンサーは「対象に変化があると音を鳴らして知らせる」ものが大半であり、根本的な見守り業務の負担軽減には足りない部分がありました。最近のテクノロジーの進化と人工知能であるAI技術、情報通信技術であるIoTの大幅な進歩により効率的に見守りを行えるようになってきました。
従来のセンサー機器は各利用者に単独で設置するものであり、作動するたびに機器の操作を行うために利用者の居室やセンサー設置場所まで訪室する必要がありました。IoTを活用したセンサーでは設置した利用者を一括で確認、管理を行えるため機器の操作のためだけの無駄な訪室がありません。
さらにIoTセンサー機器はただ利用者の変化を知らせるだけでなく、利用者の覚醒、入眠状態といった今現在の状態を分析し、リアルタイムでパソコンやタブレット端末などの画面に表示できます。送信される状態の情報には呼吸数、心拍数といったバイタル情報が含まれ、数値によって利用者が今どのような状態にあるのかを訪室せずに確認することができます。
職員は施設内を何度も行き来せずに画面上で見守り業務を行えることが大きなメリットになり、利用者はバタバタと忙しく動き回る音や雰囲気に影響されず落ち着いて安眠することが期待できますね。  

IoTセンサーで大きく変わる見守り業務

IoTを活用したセンサー機器を導入することで、介護施設が今まで行ってきた見守り業務は大きく変わることが大いに期待できます。特に夜間は本来ゆっくり休んでいただきたいもの。しかし急変のリスクや転倒転落の事故を未然に防ぐために定期的に巡回し、状態を観察せざるを得ませんでした。その結果利用者は度重なる訪室でその都度目を覚ましてしまう方もおられるなど、安眠できない場合もありました。認知症を有する方はそれが徘徊に繋がることもあり、行動を把握するために出入り口や通路などにセンサー機器をさらに設置していくことになってしまうこともありました。
IoTを活用したセンサーは今利用者が眠っているのか、起きているのかをパソコンやタブレットなどの端末の画面上で確認できるため、見守り業務は特に移動せずともできるようになります。それによってできた時間をその他の業務にあてることができるので、職員の大きな負担の軽減に繋がります。さらにタブレット端末の場合は、移動した場所でも利用者の状態を確認できるため、落ち着いて業務をすることができます。利用者の安全をしっかりと見守りながら介護職の業務時間も確保でき、利用者も落ち着いて安眠できる機会が増えるため人材不足の介護業界においてIoTを活用したセンサー機器は今までの夜勤業務や見守り業務を大きく変えることが期待できるのです。
現在厚生労働省や経済産業省は介護業界の人材不足の解消や業務負担の軽減のためにもIoTを活用したセンサー機器などで見守りを行うことを推奨し、各社で様々なセンサー機器を開発しています。

 

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まとめ

・介護業界は人材不足が続いており、特に介護施設は夜勤の見守り業務が大きな負担となっている
・利用者が動いたことを知らせるセンサー機器は多数あるが、センサーの操作に振り回されて大きな介護負担の軽減には繋げられていなかった ・IoTを活用したセンサー機器は画面上で利用者の状態を確認できるため職員、利用者双方に大きなメリットがある
・今まで介護施設が行ってきた見守り業務はIoTを活用したセンサー機器で大きく変わることが期待できる
参考URL:
介護ロボットの導入・活用支援策のご紹介~介護関係者の皆様向けリーフレット~
介護ロボットの導入と活用

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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