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NDSコラム

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新型コロナウイルス感染症に関する包括支援交付金について解説

2020/08/31

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い介護事業所の多くは営業の自粛や規模の縮小、感染拡大防止策の徹底や環境整備など様々な対応に追われました。介護事業所の事業再開や継続のために令和2年度の第二次補正予算で「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)」が創設され、介護事業所への包括支援交付金の助成、補助が始まっています。
介護事業所は、新型コロナウイルス感染症拡大防止に資する設備や利用者への支援などに対して交付金を受け取ることができます。包括支援交付金の概要や申請方法を解説いたしますのでぜひ活用しましょう。

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)とは?

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)とは、介護サービスは高齢者の健康やその家族の生活を守るために必要不可欠なものであるとし、新型コロナウイルス感染対策を十分に講じた上で事業を継続していけるようサービス体制を整える、設備投資や備品を購入するなどに必要な支援を行うというものです。令和2年度の第二次補正予算で制定され、実施されることになりました。実施の主体は都道府県となっていますが、補助率は10/10が多く、事業種別で変動するところもあるようです。各自治体により交付額や申請方法等が違うおそれがありますので、ご自身の事業所の所在地である都道府県の情報を必ず確認するようにしましょう。ここでは東京都が実施する支援事業の概要について説明します。  

東京都の場合

対象となる介護事業所は?

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)の対象は介護保険サービスに定められた介護事業所はすべて対象となります。ほかにも養護老人ホームや軽費老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅など特定施設も対象となります。つまり高齢者に対して介護に関するサービスを提供している事業所は広く適用されるということですね。  

感染症対策を徹底した上での介護サービス提供支援事業

令和2年4月1日以降、感染症予防対策を徹底した上でのサービス提供にかかった費用に対して補助を行うものです。 新型コロナウイルスの感染が拡大する中での介護サービスの提供は、衛生設備や感染予防のための環境整備などより一層の徹底が必要となりました。それに伴う費用の出費が増えた分を補助金として補おうというものです。サービスの種別により交付される上限が決まっていて、通常規模のデイサービスであれば892,000円、短期入所施設なら定員×44,000円、訪問介護事業所であれば534,000円となっています。 補助の対象となる経費とは
・衛生用品等の感染症対策に要する物品購入
・外部専門家等による研修実施
・(研修受講等に要する)旅費・宿泊費、受講費用等
・感染発生時対応
・衛生用品保管等に柔軟に使える多機能型簡易居室の設置等
・感染防止を徹底するための面会室の改修費
・消毒費用
・清掃費用
・感染防止のための増員のため発生する追加的人件費
・感染防止のための増員等、応援職員に係る職業紹介手数料
・自動車の購入又はリース費用
・自転車の購入又はリース費用
・タブレット等のICT機器の購入又はリース費用(通信費用を除く)
・普段と異なる場所でのサービスを実施する際の賃料
・物品の使用料
・普段と異なる場所でのサービスを実施する際の職員の交通費、利用者の送迎に係る費用
・訪問介護員による同行指導への謝金(通所系サービス事業所が訪問サービスを実施する場合)
・医療機関や保健所等とのクラスター発生時等の情報共有のための通信運搬費
となっています。アルコール消毒液やマスク、手袋なども経費の対象となりますし、感染防止対策として人員を増員して発生した人件費も対象となります。しかし、「コロナ手当」のような名目でスタッフの賃金を上げた場合などは対象になりませんので注意。 さらにタブレット等ICT機器の導入も対象となる等感染防止に資するものであれば広く経費として認められます。上記に該当しないものであっても新型コロナウイルス感染予防のための支出で、通常では支出しないものについては対象となり得ますので都に確認するとよいでしょう。

包括支援交付金,コロナ対策,コロナウィルス  

介護サービス事業所・施設等に勤務する職員に対する慰労金の支給事業

介護サービス事業所や介護施設に従事する、利用者と接する業務に携わる職員へ慰労金を支給するものです。
新型コロナウイルスが発生した介護施設や通所介護等の介護事業所で感染者に対してサービスを提供した職員、訪問介護において感染者宅へ訪問しサービスを提供した職員については200,000円、その他の職員については50,000円が支給されます。対象となる期間は東京都で新型コロナウイルスの第1例目が発生した令和2年1月24日から令和2年6月30日までの間、10日間以上勤務した実績がある職員が対象です。その他の地域は対象都道府県で新型コロナウイルス一例目が出た日が始期となり、岩手県においては緊急事態宣言が全国に拡大された令和2年4月16日が始期となります。同法人内で複数の事業所にまたがって勤務をしていた職員も合計10日間以上であれば対象となりますが、原則として1人1回までの給付ですので、どちらか一方の事業所から申請することになります。
支給対象者は介護職のみではなく、看護職や運転手、事務員、調理員など利用者と対面する機会のあった方は対象者と認められますが、ボランティアは含まれません。 給付される慰労金は非課税対象となります。  

介護サービス再開に向けた支援事業

①在宅サービス事業所による利用者への再開支援への助成事業

訪問介護や通所介護、短期入所生活介護等の在宅介護サービスの利用者で、令和2年4月1日から利用が停止している方に対し、サービスの再開の支援を行った場合に交付される補助金です。 居宅介護支援専門員と連携のうえ、電話や訪問による体調確認や利用再開に向けての希望の確認調整を行う必要があります。
また、居宅介護支援専門員についても利用停止中の利用者への体調確認やサービス再開に向けての意向の確認、各サービス事業所との連絡調整、ケアプランの変更などを行った際は補助の対象となります。 双方ともに実際に利用再開に繋がったかどうかは問わず、対応を行ったという記録がしっかりと残っていれば大丈夫です。「利用停止」の範囲は、介護サービス事業所ならば1か月の利用が無いこと、居宅介護支援事業所の場合は1か月間在宅介護サービス自体を利用していないことが条件となります。
給付額は、対象利用者1名につき電話対応をした際は1,500円、訪問した際は3,000円です。居宅介護支援事業所に限り、介護支援専門員の依頼を受け看護師、医師、看護師、管理栄養士、歯科医、歯科衛生士、薬剤師が必要な対応を行った際は電話対応4,500円、訪問6,000円が給付可能ですが、居宅介護支援事業所は併給できないためどちらか利用者一名につきどちらか一方のみの給付です。  

②在宅サービス事業所における環境整備への助成事業

令和2年4月1日以降に感染症防止のための環境整備を行った在宅サービス事業所を対象に、要した経費の最大200,000円が補助金として交付されます。
経費の対象は
・長机
・飛沫防止パネル
・換気設備
・(電動)自転車(リース費用含む)
・タブレット等のICT機器(リース費用含む)(通信費用を除く)
・感染防止のための内装改修費
などいわゆる「3密」を避けるための対策として行った環境整備が対象とのことですが、上記に該当しないものでも通常の介護サービスの提供では想定せず、新型コロナウイルス感染予防のための「3密」を避けるための経費であれば認められるとのことですのでこちらも都に確認しましょう。在宅サービスが対象となりますので施設系サービスは対象外となります。

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申請方法

※申請期間が終了している場合がございます。詳細は以下サイトよりご確認ください。(2021.4/07更新)
東京都福祉保健局 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)
介護報酬を受け取っている介護保険サービス事業所は原則都の国保連へ伝送し困難な場合のみ郵送します。介護報酬を受け取っていない養護老人ホームなどのサービスは原則都のホームページからオンライン申請を行うかオンラインでの申請が困難な場合のみ郵送します。
事業所単位ではなく法人が各事業所の申請書類を取りまとめて申請を行うことになりますのでご注意ください。また、申請時は添付不要ですが都からの求めに応じて提示、提出できるよう支出内容を証明する書類(領収書・振込記録等)及び補助金申請の際に使用した職員の勤務記録・サービス提供記録等の証拠書類も残しておいてください。  

申請の注意点は?

・この度の緊急包括支援事業は原則として1回の申請ですべての申請を行うものとされていますので、先に慰労金のみ申請し、あとで別の申請はできませんのでご注意ください。
・交付完了後、実績を都に報告する必要があります。虚偽の申請で交付を受けた場合は返金しなくてはなりませんのでご注意ください。
・国保連への申請は令和2年11月30日までを予定しています。都への直接の申請はまたホームページ上でお知らせがあるとのことです。期日を過ぎないように気を付けましょう。
・通所介護と介護予防通所介護の両方の指定を受けている事業所など、2つの事業所番号がある事業所においては1つのサービスとしてカウントされます。重複しての申請はできませんのでご注意ください。  

まとめ

新型コロナウイルスで多くの介護事業所、介護施設が感染予防策や感染拡大防止のための環境整備の必要に迫られ経営の負担となっている事業所もありましたが、介護サービスは高齢者やその家族の健康のため、社会の維持のために不可欠なサービスです。事業継続のために交付される新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)を最大限に活用し、感染拡大防止に努めていきましょう。今回は東京都の概要を説明させていただきましたが、各都道府県により申請方法や様式などが異なりますので、事業所の所在地の都道府県ホームページから詳細を確認するようにしましょう。  

★介護職の方へオススメ



参考URL:
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)
令和2年度東京都新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)交付要綱

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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