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介護事業所での夜勤専従とは?職員側と事業所側のメリットを解説

2020/08/20

介護業界は今もなお人手不足が続いており、働く職員の負担が大きいばかりか事業所の運営にも影響を及ぼしています。経営の安定化を図るには介護費用以外にも様々な加算を取っていく必要が出てくるのですが、そのためにはまた人員が必要になるなど厳しい状況が続いています。特に入所型の介護施設や24時間対応型の介護サービスとなると夜勤の人員確保が大きな課題となっています。負担の大きい仕事に加え2シフト制の勤務をこなしていくことで職員が心身のバランスを崩してしまうと、さらに人手不足に陥ってしまいますよね。人員確保や経営の安定化を図っていくために「夜勤専従」という働き方があります。

夜勤専従とは夜勤を専門に働く職員のこと。夜勤専従の職員を積極的に配置していくと、現場の業務にも経営にも様々なメリットが。そこで今回は「夜勤専従」とはどのような働き方か、どのようなメリットがあるのかを解説します。  

夜勤専従とは?

夜勤専従とは、「夜勤を専門に従事する職員」のことです。日勤や遅出などといったシフト制での働き方ではなく専ら夜勤のみに従事するというこのスタイルは今、様々な夜勤を要する事業所で積極的に採用されており、シフト制で働く職員や事業所にメリットが非常に大きい働き方です。
さらに夜勤専従は複数事業所で働くWワークの方や、本業は別にあるけれど介護や医療系の資格を活用したいといった方、仕事とプライベート両方を充実させたい方など様々な理由から非常に人気のある働き方であり、夜勤専従を希望する方はとても多いのです。  

夜勤専従のメリットとは?

夜勤を専門に働く夜勤専従には多くのメリットがあります。

働く側としては

・時間が決まっているため心身のバランスを保ちやすい 働く時間が一定のため、シフトに影響されることがありません。寝起きする時間や活動する時間が一定に保たれますので、急な環境変化が無く心身のバランスを保ちやすいというのが大きなメリットになります。
・働く日数が少ない 長時間勤務の夜勤専従は週に2~3回程度が勤務日数になるかと思います。ひと月でも10回前後の勤務のため、働く日数が少なくてもしっかりと賃金を得ることができる働き方になります。
・コミュニケーションを要する場面は比較的少ない 日中の勤務に比べ、夜勤帯となると利用者の多くは就寝しています。そのためコミュニケーションを要する業務は日中よりも少なくなります。もちろん眠りの浅い方や緊急コールをされる方などの対応は要しますが、自分のペースで落ち着いて仕事をしたい人にとっては、夜勤専従はうってつけの環境といえるでしょう。  

働いてもらう事業所側としては

・シフトが組みやすい 職員のシフトを組む際、夜勤の存在は非常にネックになってきます。夜勤を担当すると翌日勤務してもらうことはまずできません。いわば翌日は公休となるため、夜勤の回数が増えれば増えるほどシフトは組みにくくなってしまいます。夜勤専従の職員がいれば、残りのシフト帯を優先に配置ができるため、人員配置上もシフト上も非常にプランが立てやすくなります。
・加算が取れる 夜勤専従の職員を多く配置できれば、日中を担当する職員に相当に余裕ができてきます。その結果夜勤人員を+1名配置することができれば夜勤職員配置加算の算定も可能になるでしょう。そのほかにも日中に定員上限でも対応できる人員数を配置できるようになれば事業所の収益増加に大きく繋げることができます。
・職員の離職率が低下する 夜勤を含むシフト制の勤務は、従事する職員にとっては大きな負担となります。早朝に起きなくてはいけない日もあれば昼過ぎに起きればよい日など就寝と起床の時間が不定期になり、自身のプライベートの予定が立てにくいばかりか体内時計のバランスが崩れ、自律神経に不調をきたしてしまう場合もあります。その結果、仕事を続けられず離職に至るケースもあるのです。夜勤専従の職員を配置することで日中を主に働くことができ、心身の健康を保ちやすくなります。その結果、仕事を継続していける環境を整えることができるので離職しなくてもよくなるのです。
このように両者にとって非常に大きなメリットのある夜勤専従という働き方ですが、一方でデメリットもあります。 まず働く側にとって、夜勤専従は常勤のような働き方が困難な面もあるため多くの場合が非正規雇用となることです。正職員となり安定した雇用を求める人には不向きな面もあるのが実情です。しかし、週の勤務時間によっては社会保険や年次有給休暇の取得も可能ですので、副業やWワークを行う方にはプラスともいえるかもしれませんね。
次に、報告、連絡、相談などが取りづらい点もデメリットといえます。夜勤専従は勤務する時間が深夜に及ぶことが主なため、働く側は相談したいことや聞きたいことなどがすぐに聞ける環境にない場合が多く見られます。事業所側にとっても、どのような働き方をしているか、困っていることはないかなどを見ることができず、適切なアドバイスや指導が行いにくいという場合が多く見られます。夜勤専従者を想定した緊急時の連絡手段をしっかりと確保しておくことや、気軽に相談できる環境を整えておくことは双方にとって必要なことといえます。方法として記録や伝言による意思の疎通が求められますが、閲覧や応対など様々なコミュニケーションを円滑に行っていくためには記録や報告、連絡、相談をICT化して活用することが事業所側、職員側にとっても非常に有効です。  

夜勤専従の仕事内容

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夜勤専従の仕事内容は働く事業所によって内容だけでなく時間も大きく変わってきます。入所者の対応が求められる施設では定時の巡回と状態の観察と記録は共通していますが、特別養護老人ホームや老人保健施設、ショートステイでは利用者の要介護度が高い場合が多いため、利用者の排せつ交換や体位交換といった身体介助が主になると考えられます。対して小規模多機能型居宅介護やグループホームでの夜勤は、利用者数はユニットケアのため最大9名と少数ではありますが翌日の食事の支度など、生活支援の要素が多くなってくるかと思われます。
訪問介護系の夜勤では、利用者からの緊急コールを受けるために事務所で待機する、夜間のおむつ交換など決まった時間帯に自宅に伺うために待機する、緊急訪問の指示を待つといった当直的要素が強くなってきます。
業務時間は事業所によって様々で、16~17時頃から翌9~10時頃まで休憩時間を除いて16時間程度勤務するケースや21時~翌9時まで、22時~翌7時までなど、その事業所やサービスによって変わってきます。1回の勤務を長時間にして週に2回程度、1回の勤務を少ない時間で週4~5回など、働く側の都合に合わせやすいよう選択肢が多いともいえますね。  

介護業界は慢性的な人手不足

介護業界は慢性的な人材不足が悩みの種となっています。平成30年度の介護労働実態調査によると、5年ほどで離職率はやや低下傾向にあるものの実に67.2%の事業所が「人材の不足感がある」と回答しており、この数字は年々上昇しています。さらに60歳以上の職員の割合も年々増加傾向にあり若い年代が介護業界に入ってこない現状であることが分かります。
この慢性的な人材不足が続くと配置基準ぎりぎりの職員で利用者の介護を担当していくために職員一人ひとりの業務負担が増すことになり、介護の仕事を続けられなくなる職員が増えていくことになってしまいます。事業所の運営においても配置できる人員基準の範囲でしか利用者を受け入れることができない、利用者のニーズに対してサービス提供体制が整わないなど収入を上げていくための手立てが有効に行えず、経営が苦しくなってしまうことも。介護を担う人材の確保は、これからも増加の一途を辿る介護ニーズに応え、事業を継続していくためにも事業所の大きな課題といえます。  

夜勤の人員確保が困難

慢性的な介護の人員不足が続くことで特に深刻な影響を及ぼしてしまうものに、夜勤の人員の確保が挙げられます。昨今の介護サービスは様々なニーズに応えるために細分化が進んでおり、入所型の介護施設系サービスや有料老人ホーム、ショートステイ以外にも小規模多機能型居宅介護、グループホームなどの地域密着型サービスの入所者やサービス付き高齢者向け住宅、定期巡回型訪問介護、夜間対応型訪問介護で働く夜間の訪問介護など、夜勤の人員を配置することがますます求められているのです。 さらに夜勤帯の人員を充実させた場合に計上できる加算に「夜勤職員配置加算」があり、人員基準上必要な人員に+1名を配置することで収益を上げることができるのですが、多くの事業所では夜勤にさらに人員を配置できるほどの余裕はない状態で、経営のために取りたい加算が取れない場合が多いのが現状です。
夜勤に人員を多く配置してしまうとその他の勤務帯の人員が少なくなってしまい日中の業務が回らなくなってしまうほか、日中の勤務と夜勤を不定期に担当することで体内時計などを司る自律神経に不調をきたしてしまう場合もあります。心身の調子が崩れてしまうと、仕事自体を続けることが難しくなってしまう場合もあり、夜勤を担える人員を確保していくことはやはり介護業界の大きな課題となっています。
そのため夜勤専従で働く職員を積極的に配置していくことの有用性に注目が集まっているのですね。  

夜勤専従はこんな方におすすめ

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夜勤専従は夜勤を主に担当するという介護業界においてはやや特殊な働き方ですが、働く人のライフスタイルによっては非常におすすめできる働き方でもあります。

日中に家事などを行う人

夜勤専従の多くは7時~9時頃に業務を終えます。それから帰宅して仮眠をしてから家事をするなど、日中の時間を有効に使えるのが大きな特徴です。日中の仕事はできないけど夜間の仕事ならできるという環境の人には夜勤専従は適した働き方といえるでしょう。  

夜に強い人

人によってライフスタイルや好みは様々で、朝に強い人もいれば夜に強い人もいます。早朝からの仕事がつらい人にとっては、仕事始めがゆっくりできる夜勤専従は大きなメリットになります。  

自分のペースで働きたい人

介護サービスは、多くの場合は複数の職員でチームを形成し業務にあたります。しかし、人によっては自分のペースで仕事を進めたい人もいます。夜勤専従は基本的には少人数での業務になるため、自分のペースを保ちやすい働き方といえます。夜勤のみで働くことで自分らしさを最大限に発揮できる方もいるので、そんな方には夜勤専従は適しているといえます。  

まとめ

慢性的な人手不足が続く介護業界において夜勤職員を配置することは日中の人員不足にも繋がり、大きな業務負担となっています。充実した介護サービスの提供や、人員にかかる加算を取っていくためには夜勤を専門に働く夜勤専従という働き方が大変有効です。夜勤専従が働きやすい条件である方に働いてもらうことは双方にとって大きなメリットがあります。人材不足の解消と経営の安定化のために、ぜひ夜勤専従という働き方を積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。  

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参考URL:
平成 30 年度 「介護労働実態調査」の結果

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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