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冬は高齢者にとって危険がいっぱい?気を付けたい冬の寒さ対策

2020/11/12

11月になると朝夕と日中の寒暖差が大きくなり、冬の訪れを感じさせます。冬は冷え込みや乾燥することもあり、高齢者にとってたくさんの危険が潜む季節でもあります。在宅で介護を受ける高齢者は特に自宅で冬の寒さ対策を行うことが重要で、訪問介護員は高齢者の健康と安全を守る大きな役割を担っているといえるでしょう。

今回は、冬に起こりやすい高齢者のトラブルや事故と、予防するための寒さ対策について解説します。
寒い季節に高齢者に起こりやすい様々な事故やトラブルは生活に支障をきたすものや生命に関わるものなど、非常にリスクの高い傾向があります。施設介護では温度や湿度管理などを行いやすい部分もありますが、在宅で生活を送る高齢者は常に管理が行き届いた環境をつくることは困難といえます。そのような高齢者の健康管理を行うためには訪問介護、訪問リハビリ、訪問看護など訪問系サービスを提供する職員の果たす役割が非常に重要です。
食事量や食事メニューの把握や体温、血圧といった日常のバイタル値や皮膚状態などの健康管理とともに生活空間それぞれの環境の把握と整備、それぞれの空間の温度と湿度の管理といった寒さ対策、日中の活動の把握などを訪問介護員が行い、それぞれの事故やトラブルを起こさないように未然に防いでいくことが高齢者の健康と安全を守っていくことに繋がります。

高齢者にとって冬は危険!

冬といえば誰しもが想像するものが「寒さ」です。地域差もありますが朝夕の気温が氷点下に落ち込むなど私たちにとって厳しい季節といえます。高齢者にとっても例外ではなく、体温の調節機能が衰えやすく、血流が悪くなりやすい高齢者にはことさらに寒さが堪える季節といえるでしょう。
さらに冬は空気が乾燥しやすいこともあり、様々な感染症に注意が必要な季節でもあります。今年は例年流行するインフルエンザに加え新型コロナウイルスの同時流行が懸念されており、症状が重症化しやすい高齢者はより一層の対策が求められます。
感染症以外にも冬は高齢者にとって非常に危険なトラブルや事故を起こしやすい季節です。特に在宅で介護を受ける高齢者は寒さへの対策を怠ってしまうと生活に困難をきたす症状を招くことや最悪の場合は命にかかわることもあります。介護施設で働く介護職はもちろんのこと、高齢者の自宅へ伺う訪問介護員は特に冬の寒さが招く危険の理解と寒さ対策が重要になります。

寒くなると起こりやすい高齢者のトラブルや事故と対策

寒さが増してくると高齢者に起こりやすいトラブルや事故には以下が考えられます。

低体温症

低体温症は、長時間寒い場所にいることで体温が低下し、熱の産生量よりも体温低下が上回ることで発症します。
身体の内部の深部体温が35度を下回ると意識障害やけいれんなどを起こし、さらに低体温が進行すると最悪の場合呼吸の停止や心停止により死に至ります。基礎疾患のある方、高齢者は重症化しやすいため注意が必要です。

室温管理に気を配る

低体温症は急激に発症することは少なく、多くの場合は緩やかに進行するため気付きにくくなります。気が付けば意識障害を起こしていることもありますので、寒い時期に室温が低い状態をつくらないことが何よりの予防策です。また、低栄養や低血糖も原因となりますので栄養のある食事を摂る、糖尿病を患っている方の血糖値のコントロールなどが必要です。

手足の冷え

体温を調節する自律神経の働きは、高齢者になると衰えやすくなります。その結果体温調節がスムーズに行えなくなり寒い季節には手足の先の末梢までなかなか温まりにくく、いつまでも「寒い」という感覚が消えなくなります。その結果、夜も眠れなくなるほどの冷えに悩まされる場合や免疫力の低下をまねく場合もあり、心身の機能がさらに衰えやすくなります。熱の産生量は低栄養とも関係があり、栄養状態が悪くなると手足の冷えを自覚しやすくなります。

日常生活の把握が重要

手足の冷えは末梢まで温まりにくいことが特徴です。室温の管理だけでなく、入浴で体を温め血行を良くする、適度に日光を浴びて自律神経を整える、栄養のある食事を摂り熱の産生量を上げる、運動をして体を温めるなど普段の生活から対策していくことが重要です。

感染症

寒さが増してくると空気が乾燥し、飛沫感染や空気感染が感染経路とされるインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスが空気中を飛散しやすくなります。それらが体内に入ることで感染し、発熱、咳、肺炎などを引き起こします。寒さが増すことで低体温になると免疫力が低下し、高齢者や基礎疾患のある方は感染症にかかりやすくなるだけでなく重症化し命にかかわる事態にもなるおそれがあります。

手洗いうがいと湿度管理を徹底しよう

標準的な感染症予防対策として手洗い、うがいを適宜行う、マスクを着用するといった対策が有効です。栄養状態が悪いと免疫力が低下しやすくなるため、バランスの良い食事も有効です。体を温める食材を摂るとよいでしょう。また、ウイルスが空気中を飛散しにくくするためには湿度管理が重要になります。室温の管理だけでなく、常に湿度が50~60%がある状態を保つとよいでしょう。

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関節痛

寒くなってくると発生しやすくなるのが腰、肩、膝の関節痛です。これらの関節痛が発生することで歩くことが辛くなり、動くことを控えてしまう高齢者もおられます。しかし、運動量が減ることで体の筋肉量が低下しやすくなるため、熱の産生量が減りさらに体は冷えやすくなります。その結果生活不活発病だけでなく低体温症や感染症にかかるリスクが上昇するおそれがあります。

適度な運動で筋肉をほぐそう

腰、肩、膝の関節痛の原因の多くは血行不良によるものと、筋肉が冷えて硬直するために起こります。 対策としては運動し筋肉をほぐす、入浴や足浴で体を温めて血行を良くすることが重要です。また、高齢者は膝の軟骨がすり減ることで関節痛を起こしやすい傾向があります。膝への負担を軽減するためには足腰の筋肉量を増やし衝撃を吸収しやすくすることが有効です。無理のない範囲でウォーキングなどの軽い運動を日常的に行い、筋肉を衰えさせないことも対策として必要でしょう。

ヒートショック

ヒートショックとは、寒い場所から暖かい場所へ移動することで急激に血圧の変動が起こり、心臓に負担がかかることで脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなるものです。 特に寒い時期は居室、脱衣場、浴室の寒暖差が大きくなりがちで急激な温度変化が心臓に強い負担をかけやすいため高齢者は意識の消失、脳血管疾患、浴槽での溺水が多く発生します。
ヒートショックは高齢者が入浴中に死亡するリスクとして最も多いといわれています。暖かい室内から寒いトイレへ移動しての排泄行為でも同様のヒートショックが起こる場合もありますので注意が必要です。

室内空間ごとの温度差を無くす

空間ごとの寒暖差を無くし、体への負担を避けることが非常に大切です。居室を温めるだけでなく脱衣場やトイレにもヒーターなどを設置して温める、入浴前の浴室の壁や床にお湯をかけ浴室全体を温めるなどして寒暖差を無くしておきましょう。脳梗塞や心筋梗塞の予防のため、入浴前後には水分を補給することも重要です。

浴室内熱中症

熱中症といえば夏に起こるものと思われがちですが、意外と多いと考えられているのが冬場の浴室内での熱中症です。浴槽内の熱い湯に長時間浸かることで体温は上昇します。この際に大量に汗をかくことで体は熱を下げようとしますが浴室内は多湿になりやすいため、有効に熱を下げることができません。その結果電解質や水分が体内に不足し脱水症を引き起こします。特に高齢者は喉の渇きを訴えることが少なく、体感温度が低くなる寒い時期は水分の摂取量が減少する傾向があるため浴室内で熱中症にかかるリスクが高くなるのです。

冬場でも水分摂取量の把握を

入浴時は汗をかきやすくなるため、水分が不足する状態になることを防ぐことが有効です。ヒートショックの対策と同様に入浴前後の水分補給が大切です。また、熱い湯に長時間浸かると体温が上昇し、熱を冷ますために多量の汗をかくことになります。なるべく長湯をしないように浴槽に浸かるのは5分程度を目安に、湯の温度は40℃程度を目安にするとよいでしょう。常に温度計で湯の温度が分かる状態にしておくと確認がしやすくなるでしょう。

冬季うつ

意外と思われるかもしれませんが、冬場になると発症するうつ病、冬季うつというものがあります。 季節性情動障害と呼ばれるうつ病のタイプであり、冬の訪れから徐々に発症し、春先になると回復していくというサイクルが特徴です。基本的な症状は気分の落ち込みや不安感などうつ病と変わりませんが、冬季うつ特有の症状として「炭水化物や甘いものばかり食べたくなる」「いくら寝ても寝足りずに過眠傾向になる」ことが挙げられます。男性に比べ女性に多く発症する傾向の強い症状です。

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日光を浴びメリハリのついた生活を

寒い季節になり日照時間が減ることで睡眠を司るホルモンであるメラトニンの分泌が低下するなどホルモンバランスの崩れが原因かと考えられていますが、まだはっきりとした原因は解明できていません。
冬季うつを予防するために推奨されている対策には
・疲れを溜めない
・バランスの良い食事を摂る
・日光を浴びる

ことが有効とされています。
寒い季節は活動量が低下しやすく、高齢者にはさらに顕著にその傾向が強くなります。適度に日光浴をし、できる範囲で余暇活動を行ってもらい活動量を増やし食欲増進を図るなどの対策が重要です。

訪問系サービス職員の情報共有が重要

寒い季節に在宅で生活する高齢者の健康と安全を守っていくには訪問ごとの確認はもちろんのこと、高齢者の健康状態や生活空間の環境を常に事業所全体で共有できることが何よりも重要です。訪問ごとの高齢者の様子、食事量、バイタル、活動量、室温湿度など把握するべき情報は非常に多岐に渡り、訪問記録が紙ベースの場合は必要な情報を記載すること自体が難しくなるとともに、適切に管理すること、職員全体で共有し把握することも困難になるといえます。

多くの情報の記載を簡単に行い、かつ職員全体で共有できるようにするには訪問記録をタブレットやスマホなどのIT機器上で記載して管理する記録のICT化が便利です。 毎日の記録を参照しやすい形にすることで寒い季節の分かりづらい状態変化を気付きやすくするとともに、職員全体への周知が図りやすくなるなど高齢者の健康管理を行っていくには非常に多くのメリットが考えられます。
弊社では訪問記録だけでなく予定・実績の入力も行えて職員全員での情報共有を簡単に行える訪問系サービスアプリ「Care Palette Home/Nurse」をご用意しております。ぜひご活用ください。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。高齢者にとって寒い季節は様々な事故、トラブルが起こりやすい危険な季節です。中には命にかかわる重大なリスクもあり、寒暖差の大きい冬は体温管理や栄養管理といった健康の管理とともに室温湿度、日光に当たる工夫など環境整備が大変重要になります。特に在宅生活を送る高齢者は自力での健康管理は難しくなるため訪問介護員や訪問看護師などの訪問系サービス職員の果たすべき役割がとても大切です。これからも日を追うごとに寒さが強くなってきます。本格的な冬の訪れの前に冬の寒さ対策を今一度見直してみましょう。

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参考URL:
ヒートショックとは
低体温
「冬うつ」予防は年末年始から 医師が勧める4つの策

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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