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高齢者に多い不眠症の特徴とは?~睡眠の質を上げるために~

2020/11/19

睡眠は私たちの心身の健康に欠かすことのできない大切な行為です。良質な睡眠が得られないと日々の生活に影響を及ぼすだけでなく体調を崩しやすくなる、病気にかかりやすくなるなど健康に多大な悪影響を及ぼします。高齢者にも同様のことがいえますが、高齢者は様々な理由で睡眠に支障をきたしやすくなり、昨今不眠症を訴える高齢者の数は増加しています。

高齢者は不眠症などの睡眠障害を患うことで認知症の発症リスクを高める、進行を早めるなどの深刻な事態を招くことがあります。高齢者の睡眠のメカニズムを理解し、適切に解決することが重要です。
今回は高齢者に多い不眠症についてと、それを解決し良質な睡眠を得るために必要な取り組みを紹介します。

睡眠の重要性

睡眠は人間にとって三大欲求のひとつとして挙げられる欠かすことのできない行為です。睡眠は日中の活動で消耗した体力を回復させ翌日の活力に繋げる役割のほか、筋肉や脳、臓器を休ませ心身の調子を正常に保つために大変重要な行為です。
通常人間の睡眠は、体は休んでいても脳は比較的活発に動いているレム睡眠と、必要最低限の機能だけを維持しながら脳の大部分を休ませるノンレム睡眠を繰り返しています。心身の回復は主にノンレム睡眠時に行われるため、睡眠の質が低下してくるとノンレム睡眠に支障をきたすようになり満足な睡眠が得られないようになります。 睡眠を満足に行えないと心身ともに疲労が蓄積し、朝に満足に目覚めることができず日常生活に支障をきたしたり、自律神経の失調などからこころの調子を崩してしまったりなどの影響を及ぼします。
良質な睡眠を確保していくことは人が生きていくうえで非常に大切なことなのです。

高齢者の睡眠の特徴とは

高齢者は加齢とともに心身に様々な変化が訪れます。それが高齢者の睡眠にも深くかかわってくるのです。まず高齢者の睡眠の傾向として、年齢を経るごとに必要な睡眠時間が減少していくことが特徴として挙げられます。人は高齢になるにつれ体内のホルモン分泌量が低下する傾向にあります。睡眠に関係するホルモンのひとつにメラトニンがありますが、その分泌量も低下することで睡眠時間が短くなることが分かっています。また日中の活動量が低下することにより、それに伴い疲労分を回復するための睡眠の必要性が減ることも挙げられます。そのため高齢者は90歳頃になると1日に必要な睡眠時間が6時間未満でも十分といわれる状態になるのです。
しかし高齢者は細胞の回復速度が低下してくるため6時間以上寝たとしても十分な睡眠の効果が得られないこともあります。また心身の状態や疾病などにより十分な睡眠が得られないこともあります。さらに高齢期になると退職や死別などにより心身にストレスが生じやすく、その影響で睡眠が十分に行えなくなる睡眠障害を招きやすくなります。重要なのは睡眠量だけではなくいかにして良質な睡眠も得ていくかという質との両立が課題といえるでしょう。

高齢者に多い不眠症とは

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高齢者は年齢を経るごとに同年代の友人や配偶者との死別、退職や子育ての終了による役割の喪失、関節リウマチや狭心症など痛みや苦しさを伴う疾病など心身に様々な変化をきたします。それらのストレスや、それに起因したこころの不調などにより生活リズムが乱れ不眠症などの睡眠に悪影響が出る「睡眠障害」にかかりやすくなります。

睡眠障害の特徴

入眠障害

眠ろうと思っても眠れない、いわゆる寝つきが悪い状態です。眠れないことがさらなるストレスとなる場合があります。

中途覚醒

眠りが浅い状態で、途中で何度も覚醒してしまい十分に寝付けなくなります。

早朝覚醒

予定している睡眠時間よりも早く目が覚めてしまい、以後眠れない状態です。

熟眠障害

睡眠時間は取れているにも関わらず十分に寝た感覚を得られない状態です。

また認知症の方はさらに睡眠時間が短くなる傾向があり、重度になると1時間ほどでも集中して眠ることができず日中に眠ってしまう、せん妄などの意識障害を引き起こすといった状態がしばしば見られます。
そのほか睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害なども良質な睡眠を得られない状態に陥るため注意が必要です。高齢者の睡眠障害は加齢や疾病の影響が複合的に合わさることで発生することが多いため睡眠時間の量だけに捉われず、どのような睡眠状態であるかを把握していき対策を取ることが睡眠障害の改善には必要です。

睡眠障害が高齢者に与える影響とは

睡眠障害は高齢者の生活に支障をきたす様々な影響を及ぼします。
まず睡眠が良好に行えないストレスなどから暴飲暴食などを繰り返し生活習慣病が悪化してしまうケースが考えられます。さらに不眠症が続くことで食欲を高めるホルモンが増大することが分かっており、糖尿病や心筋梗塞、狭心症などの生活習慣病に罹りやすくなるのです。
また慢性的な睡眠不足、不眠症が続くことで日中の意欲低下や記憶力の減退を招き抑うつ状態を招くなどの精神機能の低下を引き起こすことが知られています。それに加えて体が休まらずにストレスが増大することで認知症を引き起こすホルモンが体内に蓄積することが知られており、それにより高齢者の認知症の発症リスクを高める要因になるといわれています。
このように高齢者にとって不眠症は健康寿命に深刻な影響を及ぼしかねません。そのためには高齢者の睡眠状態の把握と迅速な解決が重要です。

不眠症改善の取り組みとは

不眠症は生活習慣や睡眠の習慣といった日々の生活を見直しながら改善に取り組むことが重要です。そのために有効になるのが医療機関で受診する「睡眠衛生指導」です。
睡眠衛生指導とは高齢者自身に睡眠に関する正しい知識を得てもらい、不眠の原因となる生活習慣を改善していく治療法です。
日中の活動内容から日々の生活習慣、就寝前の行動や就寝環境、就寝時の様子などの情報から良質な睡眠を得るための指導を受け、自身で生活習慣や睡眠習慣の改善を図る認知行動療法や、適切な薬物療法などを通じて不眠を解決していくための取り組みとして行われます。
高齢者にとって睡眠時間の減少は高齢化に伴う自然な現象ではありますが、日中の活動や日光を浴びる量、睡眠環境が睡眠に悪影響を及ぼし良質な睡眠を妨げている場合もありますのでそれらの原因に対して少しずつ改善していくことで高齢者の睡眠の悩みが解決することが期待できます。
そのために必要な情報のなかで高齢者自身で把握することが難しいものに「夜間の睡眠状況の把握」が挙げられます。
自身が何時に就寝し、どれくらい睡眠がとれているのかは睡眠衛生指導を効率的に行っていくために大変重要な情報です。それらの情報を記録して現在の状況の把握から、治療の経過を計画的に行っていくために必要になるのが「睡眠日誌」です。
睡眠日誌では何時に就寝し何時に起床したかを記録していきますが、実際の睡眠状況ではレム睡眠とノンレム睡眠の推移も睡眠の質の評価として非常に重要です。しかし、入眠している高齢者本人が情報を把握することは困難といえます。また睡眠日誌をつけていくにも認知症を有する方は継続的に睡眠日誌を記録していくことはやはり困難といえます。睡眠衛生指導を効率的に行い、高齢者の不眠を改善していくためには睡眠日誌を確実かつ効果的に記録していくことが重要といえます。

日々の睡眠状態把握に役立つツール

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施設介護において高齢者の睡眠状況を把握するためには定期的な見守りが必要になりますが夜勤は介護職員の数も少ないため定期の訪室と確実な状況把握はやはり困難です。 この課題を解決するために非常に有効になるのがICTを使った見守りツールの活用です。

まとめ

高齢者は高齢化の影響から心身の変化が大きくなり、それにより入眠できなくなる・途中で覚醒してしまうといった不眠症に悩まされがちです。不眠への悩みはストレスが溜まることで生活習慣病を招く、認知症の発症リスクを高めるなど健康に多大な影響を及ぼします。高齢者の不眠症改善のために役立てたい「睡眠衛生指導」は高齢者の日々の生活状況や睡眠環境、睡眠状況を指導していくことで高齢者自身が正しい睡眠の知識を身につけ、改善に導いていく治療法です。睡眠衛生指導を効率的に行うためには夜間の睡眠状態を適切に把握し「睡眠日誌」をつけていくことが重要ですが高齢者自身には困難な場合が多いといえます。ICTを利用して高齢者の不眠を改善し、健康的な日々を送ることができるよう介護計画に役立てていきましょう。

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参考URL:
高齢者の睡眠
不眠症
健康づくりのための睡眠指針 2014

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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