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令和3年度介護報酬改定での「CHASE」に関する加算の新設?

2020/11/26

厚生労働省は現在、科学的介護を実践するための新たなデータベース「CHASE」の本格的運用に向けてモデル事業を対象とした情報の収集を行っています。それに合わせ、令和3年度の介護報酬改定で通所介護や施設介護を主な対象にCHASEへの情報提供を行った事業所に対しての評価として新たな加算を新設するかの検討がなされています。介護業界全体で科学的な介護の必要性が求められており、今後CHASEを積極的に活用してケアの質を上げていく取り組みはますます加速しそうです。

今現在、令和3年度介護報酬改定においてCHASEをどのように活用していく予定であるのか、CHASEに関連した加算とは、どのようなものが検討されているのかを解説します。

CHASEとは?

CHASEとは厚生労働省が運用の準備を進める、高齢者の状態やケアの内容等の幅広い情報を格納するデータベースです。疾病や服薬、家族構成といった利用者の基本情報、認知症、口腔、栄養の状態といった情報を蓄積し、すでに運用されているレセプトデータを蓄積した「介護保険総合データベース」(介護DB)、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションから情報提供されたリハビリテーション計画書や実施内容、評価を蓄積するデータベース「VISIT」と統合し、総合的なビッグデータとして分析することでエビデンスに基づいた科学的介護の実践を図ろうというものです。利用者には状態のエビデンスに基づく状態改善に繋がるケア内容の提示をしていくことで適切なケアを選択できること、介護事業所にはケア内容のフィードバックを適宜行い質の高いケアの提供に活かせることが期待されています。

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「科学的介護データベース「CHASE」とは?:CHASEコラム(第2回)」

CHASEの運用予定

CHASEは2020年5月より運用が開始しており、現在は主として、モデル事業等による令和3年4月以降の本格稼働に向けた調査を試行的に実施することにより情報を収集している段階です。フィードバックに関して本年度は未実装となっていますが、調査研究で試行的に実施されており、本格運用に向けて内容の調整を行っています。

またCHASEの情報提供や運用は現場の負担が増すことのないよう既に電子化された情報が現在の収集対象となっており、情報提供はICTを用いた介護記録ソフトと連携して行われる予定で、すでに一部の介護記録ソフトではCHASEとの連携が可能になっています。さらに今年度中に多くの介護記録ソフトとの連携を進めるとしています。紙ベースでの情報提供も可能ではありますが、データベースのシステムにアクセスし情報を入力する必要があるなど、基本項目が30項目に及ぶことを考慮するとやや手間がかかる作業となりそうです。連携した介護記録ソフトであればCHASEへの再度の入力は不要とするのが現在の運用イメージとなっています。

令和3年度介護報酬改定でCHASEに関する加算が新設される?

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ただ今議論が行われている最中である令和3年度の介護報酬改定内容の検討でCHASEの本格運用に合わせ、CHASEの基本項目である総論(ADL)、栄養、口腔・嚥下、認知症に対して情報提供を行い、フィードバックによりPDCAサイクルを推進し介護の質を上げようとする介護事業所を評価し、積極的に活用を推進するべきとの案と、。これに合わせ、CHASEへの情報提供を評価する加算を新設したほうがよいのではないのかとの案が出ております。平成30年度の介護報酬改定においてVISITへ情報提供を行いケアの質の向上に努める通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション事業所を評価する「リハビリテーションマネジメント加算」が新設されましたが、CHASEへの情報提供を行いケアの質の向上に努める介護事業所においても同様に評価する加算の新設が検討されています。
現在検討されている対象事業所はCHASEの調査研究事業やVISITの取組を踏まえて、施設サービスと通所サービスを中心にしてはどうかと検討されている様子です。
もしこのような加算が新設される運びとなれば、CHASEの運用推進のために積極的な情報提供、PDCAサイクルの推進を図りケアの質を向上させようとする介護事業所を評価する加算項目は単位数の比較的高いものになるのではないかと考えられます。CHASE活用の目的が利用者への科学的根拠を踏まえた自立支援を図っていくことですので、積極的なデータ提出への協力を仰ぎ全国からデータを少しでも多く集め、分析された客観的データをフィードバックすることによる質の向上を推進する必要があります。ほかにもICT機器を活用して業務効率化を図るべきとの意見が多く出ていることからも、CHASEへの情報提供のために必要になる介護記録ソフトを導入し業務改善を図っている介護事業所への積極的な評価として算定できる加算ができてもおかしくはありません。

またCHASEのさらなる活用推進について現在検討されている方向性として、CHASEの情報提供を利用者単位だけではなく、事業所単位で行っている介護事業所を評価してはどうかとの案が出ております。
つまりサービスを利用している利用者の情報をすべてCHASEに提供した事業所は、さらに単位数の大きな加算が取れるシステムになるかもしれません。すべての利用者のデータを提供しフィードバックを受けることで事業所の特性やケアの在り方等を検証することができ、介護計画やケアの介入に反映させることでケアの質の向上に繋げる狙いがあるようです。
ほかにもCHASEの基本項目である総論(ADL)、栄養、口腔・嚥下、認知症に関わる加算についても現在、以下の案で必要な見直しや新たな評価を検討するとともにCHASEを活用してPDCAサイクルの推進を図るべきとの議論がされています。

口腔衛生管理に係る加算の見直し

全ての介護保険施設が口腔衛生管理体制を確保するよう促し、入所者の状態に応じた丁寧な口腔衛生管理を更に充実させるために加算を見直すべきとの意見が出ています。

介護保険施設における栄養マネジメント加算や人員基準の見直し

従来の栄養マネジメント加算のさらなる推進と、低栄養状態のリスクが高い入所者への丁寧な栄養ケアの実施や栄養ケアに係る体制の充実を図る場合をさらに評価してはどうかとの検討がされています。

通所介護における管理栄養士と介護職員等が連携した栄養ケアマネジメントを評価

栄養改善が必要な者を的確に把握し、適切なサービスにつなげていく観点から管理栄養士や介護職員等の連携による利用者への栄養ケアマネジメントの取組を進めることを評価するとの案が出ています。新たな加算となるかもしれませんね。

施設系サービスにおける寝たきり予防、自立支援への取り組みを評価

利用者の尊厳を保持し、能力に応じた自立支援を図るために廃用症候群や寝たきり防止の観点から医師の関与の下でリハビリテーション等の必要性や日々の過ごし方等をマネジメントし、適切に離床、リハビリテーション・機能訓練、介護等を行うための計画の策定、ケアの提供を評価する案が出ています。
寝たきり予防に取り組むことが評価される加算が新設されると、相当大きな情勢の変化に繋がりそうです。

褥瘡の状態改善等(アウトカム)への評価を行う

現行の褥瘡マネジメント加算では褥瘡管理のプロセスを評価しているのに加え、褥瘡の状態改善を評価する加算を新設してはどうかとの検討がなされています。

排せつ状態の改善等(アウトカム)への評価を行う

現行の排せつ支援加算では医師等が改善が期待できると判断した者へ排せつ支援の取り組みを評価するものですが、排せつ状態の改善を評価する加算を新設する案が出ています。
以上のように、CHASEの活用を推進していくとともに見直されている加算は利用者の状態改善に大きく繋がるものが多く見られます。多職種との連携のうえでのケアやプロセスだけでなくアウトカムを新たに評価する案が目立ち、CHASEの目的である自立支援の推進との関わりからも令和3年度の介護報酬改定は重要な改定になりそうです。これらの加算が新設されれば、算定できる環境を整えて質の向上に取り組む事業所には大きな収益増に繋げられるかもしれません。
今後はアウトカム(成果)に対する評価を拡充させていくことでケアの質の向上を図ることが期待されており、令和3年度の介護報酬改定に反映されるかは不明ですがアウトカムの評価のためにはどのような介入を行ったのかの情報提供が重要になりますのでそれらもCHASEへの情報提供項目として追加していく方向性で検討されています。

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令和3年度介護報酬改定に合わせCHASEに対応できる環境を整えよう

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令和3年度介護報酬改定において、ケアの質の観点からCHASEは非常に大きな期待を寄せられているのが分かります。今後の介護事業所においてはCHASEを活用できる環境にあるかどうかが大きな分岐点になるかもしれません。情報の提供には紙ベースでの活用よりも介護記録ソフトを用いるほうが入力の手間もかからないだけでなく、加算算定に必要な様式の作成もソフトと連携して行えるようになる予定とのことです。CHASEに効率的に情報提供できる介護記録ソフトを導入しておくことは、令和3年度の介護報酬改定に対応していくにあたり非常に有利に働くことでしょう。

NDソフトウェアのICTを活用した介護記録ソフト「ほのぼのNEXT」はCHASEに対応しており、ケア記録の電子化から介護報酬請求までの手間を大幅に削減可能です。令和3年度の介護報酬改定に対応していくための大きなサポートとなります。

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まとめ

・令和3年度4月よりVISIT・CHASEによる情報提供が本格運用予定
・厚生労働省はCHASEの運用に大きな期待を寄せており、加算の見直しにCHASEの活用を検討
・CHASEを活用して多職種と連携して利用者の自立支援、状態改善に取り組む事業所を評価する加算の新設の検討がなされている
・CHASEに対応し情報提供とフィードバックによるPDCAサイクルを推進していくためには介護記録ソフトの導入が非常に重要

※コラム内容における加算の情報などは検討がされている段階です。今後の議論において変更が生じることもありますのでご注意ください。

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参考URL:
第191回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)自立支援・重度化防止の推進 (検討の方向性)

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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