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高齢者の自立支援について<令和3年度介護改正での議論>

2021/01/07

現在令和3年度の介護報酬改定に向けての具体的な中身について議論されています。その中で高齢者の自立支援や重度化の防止については平成30年度の介護報酬改定でも新たな加算が新設されるなど施設介護、在宅介護ともに重点課題とされ、令和3年度回報酬改定でも引き続き推進していく方向が提示されています。高齢者の自立支援、重度化の防止について今現在どのような議論がなされているのかを解説します。

介護における自立支援とは?

介護保険制度では、利用者の有する能力に応じ自立した生活を送ることができるよう支援することが大きな目的として定められています。利用者がどのような状態であっても残された能力を最大限活用し、本人の望む生活を送ることができるよう支援するのが介護保険サービスの役割であり、サービスを提供することで悪化の防止に資するものであるとされています。「尊厳の保持」と「自立支援」を大きな目的として提供される介護サービスは、利用者の意思を尊重し、利用者が望む生活を送ることができるよう本人の能力を最大限に高め活用していくことが介護保険における自立支援といえます。そして自立支援を推進していくためには様々な職種が専門性を発揮して関わる「多職種との連携」を図ることが必須とされています。

平成30年度介護報酬改定における自立支援への取り組み

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平成30年度の介護報酬改定において介護保険の理念や目的を踏まえ、安心・安全で、自立支援・重度化防 止に資する質の高い介護サービスを実現させることが必要であるとの見方から自立支援、重度化防止は重点課題として挙げられました。
利用者の状態改善に直接アプローチするリハビリテーションサービスを主として医療職や介護職が多職種連携を図り利用者の状態改善を目指すことを評価する加算が新設されるという多職種連携を強く意識ものであり、施設介護での重度化防止や在宅介護での地域包括ケア推進のために介護予防、自立支援を図ることの重要性が改めて認識されたものでした。
施設系サービスでは褥瘡マネジメント加算や排せつ支援加算、低栄養リスク改善加算や口腔衛生管理加算などの加算が新設され重度化防止を多職種協働で目指す体制ができました。比較的介護度の高い施設系サービスの利用者であっても多職種と連携して自立支援に取り組むことで施設サービス側も評価されるシステムができたことは施設サービスが自立支援に取り組む大きなメリットになったといえます。在宅介護では栄養スクリーニング加算が新設され多職種協働で利用者の栄養改善に取り組むなどの取り組みを推進する形になりました。また、施設系サービス在宅系サービスともに生活機能向上連携加算が新設され、自立支援のためにリハビリ専門職と連携して介護計画書を作成し、それに基づいたケアを提供する体制を評価するようになった等、利用者の自立支援を目指す質の高いケアを提供するためには事業所単位で連携を取る多職種連携機能がより一層強化されたものといえます。

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令和3年度介護報酬改定で議論されている内容

令和3年度の介護報酬改定では、平成30年度で新設された加算の評価を行いつつさらに自立支援、重度化の防止を推進していく方向で議論が進められています。
平成30年度の介護報酬改定で新設された加算を算定している事業所の取り組みのヒアリングを行った結果、口腔衛生管理が必要な入所者で口腔衛生管理が行われなかった場合、1年後に体重(BMI)減少がみられるリスクは、歯科専門職による口腔衛生管理が行われた場合と比較して2.2倍であった、口腔衛生管理が必要な入所者で口腔衛生管理が行われなかった場合、1年間の肺炎の発症は、歯科専門職による口腔 衛生管理が行われた場合と比較して3.9倍であったなど、利用者の自立支援に大きな効果を上げることができたといえます。しかしその一方で加算の算定要件を満たせなかった事業所も多く、さらなる自立支援の推進のために加算の要件なども見直す必要があるとの意見が出されています。
その他議論されている内容として、自立支援には要介護状態の改善を目指すことが重要ですが要介護状態の改善により報酬が減少してしまうことを鑑み、アウトカム(成果)をいかに評価していくかということが話されています。平成30年度介護報酬改定ではプロセス(過程)を評価する加算の新設が多かった印象ですが、今後はアウトカムの評価がさらなる自立支援の推進に繋がることになるかもしれません。また、今後2040年に向けて高齢化がより一層進展していくと見られており、高齢者の運動、口腔、栄養等の機能低下を招くフレイル対策を進めるための介護予防が重要であることが論点となっています。
現在では意見がなされている段階であり、確定情報ではないことに気を付けてください。

地域包括ケアの推進が重点課題

現在国は2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築を目指しています。地域包括ケアシステムは重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制を構築しようというもので、介護サービスや医療サービスだけでなく社会資源や地域住民が力を合わせて高齢者を支える、まさに多職種連携が求められるシステムです。住まいを拠点とし、生活支援や医療など必要なサービスを受けながら介護予防に努めることが高齢者に求められる姿勢となりますが、介護が必要になった場合でも介護サービスを受けながら能力の維持向上に努めることが介護保険の被保険者には求められています。つまり介護サービスを提供する側も利用者をただお世話するのではなく、利用者の状態改善や能力の維持向上を目指し最後までその人らしい生活を送ることができるよう支援することが求められます。地域包括ケアシステムは地域全体で高齢者の自立支援に取り組むものだといえます。介護報酬改定において多職種の連携の強化を図るのはその一環といってもよいでしょう。

地域包括ケアシステム構築にはケアマネジメントが最重要

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高齢者の住み慣れた地域でその人らしい生活を続けることができるように支援する地域包括ケアシステムには、高齢者のニーズの把握や多職種連携の中心としてケアマネージャーの存在が不可欠です。特に在宅で生活する高齢者は支援が途切れないようにきめ細やかなマネジメントが重要で、介護予防のための機能訓練や健康増進のための活動、介護サービスを受ける中での能力の維持向上といった自立支援を推進するためには質の高いケアプランの作成が非常に大切です。ケアプランの質が低いものだと高齢者は介護予防や健康維持が十分に図れずに介護度の悪化や病状の悪化を招きかねません。しかしケアマネージャーの作るケアプランは経験や知識にも左右されてしまう傾向があり、高齢者のニーズに応じたケアプランを作成するには負担の大きいものです。質の高いケアプランを作成するためには「AIケアプラン」を活用することが効果的です。
NDソフトウェアのほのぼのNEXT 「在宅ケアマネジメント基本システム(AI)」はAIケアプランによる適切なプラン作成の支援と業務効率化をサポートすることができ、ADL・IADL、認知症状等の将来予測、自立支援のためのサービスプランを参照することで自立支援・重度化防止を考慮したケアプランの作成をお手伝いします。 AIそのものは決して万能ではありませんが客観的指標としてデータを提示しますので、より質の高いケアプランを作成したり作成経験の浅い方でも作成に役立てることができるほか、教育ツールとしてもお役立ていただけます。
ケアプラン作成支援以外にも利用者の情報管理やアセスメントを効率よく行えるシステムの搭載など、日々の業務の効率化に活用できる機能が揃っています。円滑な地域包括ケアシステムの推進のためにぜひご活用ください。

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まとめ

利用者の望む生活を最後まで送るための自立支援、重度化の防止は平成30年度に続き令和3年度介護報酬改定でも重点課題となりそうです。利用者の自立支援を有効に進めていくには多職種連携が必要との方向で平成30年度に新設された加算は利用者の状態改善に大きな効果を上げることが立証されました。次回もさらなる推進が図られそうです。
また地域包括ケアシステムの構築のためにも多職種連携の強化は重要で、ケアマネージャーの作成するケアプランの質を高めていくことが利用者の望む生活を最後まで続けていくための自立支援に重要な意味を持ちます。AIケアプランを活用して質の高いケアプランの作成にお役立てください。

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参考URL:
令和3年度介護報酬改定に向けて (自立支援・重度化防止の推進)
令和3年度介護報酬改定に向けて (地域包括ケアシステムの推進)

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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