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NDSコラム

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高齢者の健康維持を担う栄養士・管理栄養士の仕事とは

2021/01/21

日本は2025年に65歳以上の人口が総人口の30%を突破するという超高齢化社会の到来を迎えようとしています。高齢者の増加に伴う介護ニーズの増大により介護施設を利用する高齢者の数も年々増加しています。介護施設の利用者は一人ひとり異なる心身機能や疾病を抱えています。健康管理には運動や療養もさることながら心身の状態に応じた食事をバランス良く摂取できることが何よりも重要です。

介護施設での利用者の栄養ケアを担う職種に栄養士・管理栄養士がおり、高齢者の健康的な生活を守るための多職種連携においても栄養ケアの中心として関わる機会が増加しているなど活躍の場が広がっています。今回は高齢者の健康維持に必要な栄養ケアを担う栄養士・管理栄養士について解説します。

高齢者の栄養ケアは健康維持、増進に必須

介護を必要とする高齢者は年々増加傾向にあり、2025年には国民の3人に一人が65歳以上に達する超高齢化社会を迎えようとしています。それに伴い介護サービスを利用される方も増加を続けており、介護サービスの需要は高まるばかりです。
介護サービスを利用する方々はそれぞれに異なる障がいや疾病を抱えており、心身機能も様々です。介護サービスを利用することで心身機能の維持、向上を図っていくために何よりも重要になってくるのが高齢者の「栄養ケア」です。
高齢者は栄養状態が不十分だと筋力の低下を招いたり病状の悪化を招いたりと様々な悪影響を及ぼします。そのような状態では心身機能の向上のためのリハビリテーションなども十分な成果を出せず健康を損なうだけでなくADLやQOLの低下を招くこととなります。
高齢者のリハビリテーション効果を最大限発揮し、ADL、QOLの向上を図っていくためには栄養バランスの取れた食事を美味しく食べられる環境をつくることで健康増進を図る栄養ケアが非常に重要なのです。そして、介護施設や介護事業所において利用者の栄養ケアを担う職種が栄養士なのです。

栄養士の仕事とは

介護施設での栄養士の仕事は、食と栄養の専門家として利用者に科学と専門的応用技術に基づく栄養指導を行い利用者の健康を守ることが主な仕事です。食を通じて健康を守るためには栄養バランスを考えた献立の作成や調理、利用者一人ひとりに応じた栄養管理などが求められます。介護施設を利用する高齢者は外出の機会などが減少しやすく、介護施設内での生活が主となります。
そういった高齢者にとって食事というものは生活の中の楽しみの大部分を占める行為といえ、日々の生活の中で食事を楽しめることはQOLに大きく関わってくる重要な要素です。介護施設を利用する高齢者は嚥下機能や疾病、服薬の影響などから食事形態や禁忌とされる食品などが様々ですので栄養士は利用者一人ひとりの状態に応じて楽しめる食事を提供することが必要です。介護施設といっても特別養護老人ホームや軽費老人ホーム、老人保健施設やグループホームなど色々な種類があります。栄養士は働いている介護施設の利用者の特性に応じた調理技術や知識が求められます。

また国家資格である「管理栄養士」は利用者への食事への提供以外に利用者の健康管理を担う「栄養ケア・マネジメント」が重要な仕事として挙げられます。栄養ケア・マネジメントとは、介護施設を利用する高齢者一人ひとりに応じた栄養ケア計画の作成・実施を行いながら利用者の栄養状態の管理、低栄養状態の改善を図るものです。
介護保険制度の加算においても医師や管理栄養士、その他の職種が連携して計画的に栄養改善に取り組む「栄養マネジメント加算」として多くの介護施設が算定しており、管理栄養士は算定のために必須の職種です。管理栄養士の数が増えるに応じて栄養ケア・マネジメントの質も向上することが知られており、介護施設を利用する高齢者の健康的な生活を実現するためには必要不可欠な職種ともいえます。
高齢者の自立した生活を支援するためには日々のリハビリテーションを意欲的に取り組むことが欠かせませんが、その効果を上げるためには栄養状態が良好であることが必須です。栄養士は高齢者の健康的な生活、自立支援の一番根幹の部分を支えている仕事といえ、高齢者が健康的に生活できている姿を目の当たりにできることが大きなやりがいのある仕事といえます。

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介護施設における栄養士の役割と令和3年度介護報酬改定

食を通して介護施設を利用する高齢者の健康を守るために重要な役割を担う栄養士は利用者一人ひとりに応じた食事の提供や栄養管理が主な仕事でしたが、昨今は介護施設の特色の多様化によりさらに多くの役割を求められるようになっています。
介護施設によっては食事の楽しみを前面に押し出したサービスとしてメニューを選べるものや目の前で調理しながら食事するものなど高齢者の生活にとって大きな役割を占める食事をさらに楽しみながら健康の増進を図ろうというサービスの個別化が顕著になってきています。さらに介護施設内での給食業務だけでなく施設外の利用者にお弁当を作り配達をする配食サービスなどを行っている介護事業所もあり、栄養士の需要はますます高まっています。栄養士の活躍の場が拡大するとともに、画一的な食事の提供ではなく利用者の個性、特性に応じた柔軟な対応がさらに栄養士に求められているともいえます。

また令和3年度の介護報酬改定においても栄養ケア・マネジメントをさらに推進していくために管理栄養士とのかかわりを強化する動きが見られており、施設サービスにおいては栄養マネジメント加算が廃止され、基本サービスとして状態に応じた栄養管理の計画的な実施を行うために管理栄養士の配置を義務付ける方向で議論されています。実施された場合は、施設の人員配置に大きな動きが必要になると思われます。

ほかに、リハビリテーション、機能訓練、口腔衛生、栄養ケアに一体的に取り組むことを推進するために、それぞれの計画において重複した項目の整理を行うとともに一体的に記入できる統一された新たな様式へ変更が予定されており、管理栄養士の存在がますます重要になると見られています。
さらに各種加算の算定要件に該当する計画作成や会議について、リハビリテーション専門職、歯科衛生士、管理栄養士が必要に応じて参加することを明確化する方針で議論されるなど、栄養ケアは高齢者の自立支援に取り組むための総合的なマネジメントとして欠かすことのできないものになると見られています。多職種連携と一体的なケアを推進する中で管理栄養士はその中心の一角を担うといってもよいでしょう。
高齢者にとっての大きな楽しみである食事というサービスの多様化、自立支援の質を向上させるための総合的なマネジメントの根幹を担うリハビリや機能訓練、口腔衛生と一体的な栄養マネジメントなど、栄養士・管理栄養士の活躍の場は今後も拡大していくものと思われます。

栄養ケアにおける多職種連携の重要性

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介護施設での栄養士・管理栄養士の業務がますます拡大していくものと見られていますが、そのために必ず必要になるのが「多職種連携」です。栄養士は食事の提供においても栄養ケア・マネジメントにおいても栄養士単体では成果を出すことは難しいといえます。
食事を提供する場合においても利用者がどのような反応であるのかを自身で確認する以外に現場の介護職などからの情報提供や情報共有が何よりも重要になります。栄養ケア・マネジメントにおいても関係職種との連携のうえで利用者の栄養状態の改善にあたることが必要です。利用者の自立支援の根幹を担う栄養ケアにおける栄養士の役割は非常に重要ですが、最大限の成果をあげるためには多職種連携を効率的に図り各専門職の役割を最大限発揮していくことが何よりも重要といえます。
しかし栄養バランスを考えた日々の献立の作成や調理など、利用者に質の高い食事を提供しようとする中で多職種連携も図っていくことは業務負担がどうしても大きくなってしまいます。食事提供のための業務と多職種連携のための情報共有をICTで効率化していくことが利用者へのサービスの質を上げていくために有効です。
NDソフトウェアの給食栄養管理システムは管理栄養士の意見を反映した多彩な機能により、栄養バランスを考えた献立作成業務を手軽に作成することを支援することが可能です。栄養価をグラフとして出力できるほか、検食簿などの帳票類の作成や仕入れ業者への発注書の作成も行えるため日々の給食業務の大幅な効率化が可能です。
また、介護施設様向けの栄養ケア・マネジメントにおける情報共有、多職種連携を可能にするためには、ほのぼのNEXT栄養ケア・マネジメントシステムの活用が効果的です。栄養ケア計画書の作成や管理が行えるほか、利用者様ごとの介護計画書や基本情報、日々の状態なども関係職種で共有できるため利用者様の低栄養状態の予防・改善、生活機能の維持や改善に役立ちます。

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まとめ

介護施設を利用する高齢者にとって食事というものは生活の大きな楽しみのひとつです。また疾病や心身機能に応じた食事を楽しむことは栄養状態の改善にも繋がり、自立支援のためのリハビリテーションの効果を上げることに役立ちます。令和3年度介護報酬改定においても利用者の栄養状態の改善を図るための栄養ケア・マネジメントのさらなる強化が意見されており利用者の食事の面から健康、自立支援を支える栄養士の役割はますます拡大していくものと思われます。利用者の健康を多職種で連携して支えていくために、介護施設では実態に合わせた見直しを行い業務と情報共有の効率化をすすめながら体制を整えていくことが求められます。

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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