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NDSコラム

介護支援ソフト「ほのぼの」シリーズのNDソフトウェアです。介護業界・障がい福祉業界の、トレンドや情報を発信しております。

介護業界のICT化、介護AIや介護ロボットとは

2022/04/07

介護業界は2025年に大幅な介護需要の増加が見込まれており、それに伴い介護の担い手不足がより一層深刻化すると見られています。増大する介護ニーズに対応していくためには、人材確保の手段のほかに介護AIや介護ロボット、見守りセンサーといったICTを積極的に活用していくことが強く推奨されています。しかしICTといっても具体的にどのようなものがあるのか馴染みのない方もいらっしゃるかと思います。今回は介護業界に期待される介護AIや介護ロボットといったICT化について解説します。

介護業界に期待されるICT化

日本は2025年に、いわゆる団塊の世代の方々が後期高齢者になり、それに伴い介護の必要性が増大するという「2025年問題」の到来が懸念されています。

一般に日常生活に何かしらの支援を要する要介護状態は75歳以上からニーズが増加する傾向が強いとされているため、75歳以上の方々の人口が大きく増加することに比例して介護ニーズも上がると見られています。高齢者一人ひとりのニーズに沿った介護サービスを提供していくためには介護サービスに従事する人員確保が必要ですが、介護業界は人手不足が慢性化している業界でもあり、増加する介護ニーズに対して介護職員はまだまだ不足しているのが現状です。

そこで介護業界に強く期待されているのがICT(情報通信技術)等の活用です。昨今のIT(情報技術)の進化は著しいものがあり、介護業界においても人材確保策と並行して介護事業所の積極的なICT及びIT機器の活用を呼び掛けています。

介護の業務は高齢化や疾病により日常生活に何かしらの支援を要する方々への食事、入浴、排せつケアといった直接的なサービスを質と安全に配慮して行う必要性に加え、サービス内容の記録や、保険請求等の事業所運営のために必要な事務作業も並行する必要があります。そのため介護業務は非常に業務負担の大きい業界と言われており、さらに人材不足がその負担感に拍車をかけています。人材不足という問題を補うためには人材を確保することが最短ではありますが、もう一つの解決方法として業務負担に繋がる労力をICT、ITの活用により効率化、省力化することが期待されているのです。

介護業界のIT化の種類

介護業界に導入が推進されているIT機器には、「介護AI」「介護ロボット」「見守りセンサー」など様々な種類があります。以下に一部をご紹介します。

介護AI

AIとは人工知能のことです。私たちが様々な知識や経験から学習し認知や行動に反映するように、コンピュータがデータを解析し学習する機能を持っています。昨今はAI技術も大きく進化し、様々な分野での活用が見られます。介護分野においてもAIを搭載した機器が数多く登場しています。

AIを活用したケアプラン

ケアプランは利用者の状態像を把握し、希望する生活を送るために必要な支援を導くことが必要ですが、プランニングを行う人の知識や経験に大きく左右されるのが実情です。利用者の状態像から希望の達成率の高いサービスの情報を集積してAIに学習させ、提案させることにより知識や経験にバラつきがあっても質の高いケアプランの作成が可能になります。

送迎ルート作成

通所介護や通所リハといったサービスには送迎業務は毎日発生します。一台の大型車で複数の利用者を送迎するのは、順番やルートを誤ると大幅な時間ロスになってしまいます。AIにルート情報を学習させることにより、ロスの少ない最適な送迎ルートや予想時間を計測することが可能になります。ご使用になっている方も多いであろうカーナビゲーションに似た技術です。

介護ロボット

介護ロボットは、以前からも介護業界で活用されていました。ご存知の方も多いであろう移乗用リフトが代表といえます。移乗用リフトは自力で移乗行為ができない方に対し、リフトで吊り上げる形で移乗を行う機械です。利用者、介護者双方の負担を減らす効果があります。 介護ロボットはそこからさらに多様に進化したもので、利用者自身のADLをサポートするものや介護者の負担を減らすものなど様々な種類が見られます。

ロボットスーツ

主に介護者の体の負担を軽減するために活用する介護ロボットです。利用者への身体介護、特に移乗介助は腰に負担のかかりやすい行為です。ロボットスーツは介護者の体に装着することで筋肉の動きを機械がアシストする、動作の際の腰へ一点にかかる負荷を受け流す等の効果が期待できます。

歩行アシストロボット

下肢筋力の低下などにより歩行状態に不安がある方の歩行をサポートするロボットです。シルバーカー型や歩行器型のものが多く見られます。従来の歩行器等に機械制御機能を持たせ、歩幅に合わせて車輪が動く、坂道でブレーキをかけて安全に歩くことができる等の効果があります。私たちの身近に似たもので、電動アシスト自転車があります。

見守りセンサー

介護事業所、特に入所型の施設において重要な業務が利用者の安全を守る見守り業務です。日中の転倒リスクだけでなく、夜間の急変リスクなど介護を必要とする方々は常にリスクが存在します。介護職は昼夜問わず利用者の見守りを要するため非常に負担感の多い業務といえますが、介護職の目以外にIT機器も活用することにより負担の軽減と質の高い見守り業務を提供できることが期待されています。

ベッドセンサー

夜間の見守り業務は利用者が安全に休めているか、状態に変化はないかを定期的に確認する必要があります。そのため介護職は何度も利用者の居室を訪室しなくてはなりません。入居者の数によっては見守り業務だけで相当の時間を消費するばかりでなく、30分前に確認した状態が今も続いているのかは不確定ですので気の休まる暇がありません。

ベッドセンサーは、ベッドにセンサーを敷くことで心拍数や呼吸を計測し、解析することで入眠状態を把握できる機能があります。事務所にいても画面上で確認できるため、介護職の負担軽減につながるだけでなく利用者の安眠にもつながることが期待できます。

見守りカメラ

ベッドセンサーでも述べた通り、見守り業務では安全を確認したからといってその状態が続くものではありません。夜間の排せつなどで目を覚まされた方が離床する可能性は常に存在します。従前から見守りカメラはありましたが、画面から目を離すことができないため負担の軽減にはあまりつながっていないのが現状でした。ITを活用した見守りカメラは、利用者の動きを感知することでベッドから体を起こした、ベッドから体がはみ出した、離床したという体勢変化を判断し、アラートで知らせることができます。居室に行かずとも見守りを安全に行え、体動時にはすぐに状態を確認できることで介護職の負担の軽減ならびに利用者の安眠に役立つでしょう。

IT導入による業務改善をさらに効率的に

介護業界で活用が期待されているIT機器は、有効に活用することで事業所の運営にも恩恵があります。例えば見守りカメラ等を使って夜間の見守り業務の効率化と負担軽減を図った場合は、夜勤に必要な人員基準が緩和されます。あくまでも介護職の負担軽減が目的ではありますが、基準以上の夜勤人員を確保する必要がなくなるため、経営上のメリットは大きいといえます。また、介護事業所の多くが算定しているであろう処遇改善加算の上位区分もIT機器を活用し業務の効率化に取り組んでいることが条件となっています。

このようにIT機器の活用は介護業界全体の流れとして必須となりつつあります。しかし、ただ闇雲に機器を導入しただけでは適切に業務の効率化を図れたとはいえません。個々にIT機器を導入してしまうと、それぞれに操作や確認を要し結果的に「今まで通り、手でやったほうが早い」という状態に陥ってしまうかもしれません。IT機器を活用して業務の効率化を最適にするためには、機器と機器をつないで連動させる「IoT」を意識していくことが重要です。

例として、見守りのベッドセンサーを挙げますと、見守りセンサーで業務負担の軽減を図ることができても、経過の記録を手作業で行っていては情報を転記する必要がでてきます。また、介護記録ソフトを活用していてもそれぞれが連動しておらず独立したものであれば、やはりIT機器であるベッドセンサーで得た情報をIT機器である介護記録ソフトに入力する必要があります。ある程度の効率化は図ることができても、やはり二度手間が発生している感は否めません。

IoT機器を活用していくと、これらの機器を連動させることでその機能を最大限に発揮し大きな効率化につなげることができます。ベッドセンサーが利用者の状態変化を感知しアラートを鳴らせば、連動している介護記録ソフトにもその情報が自動で記録されるという使い方が可能になるのです。事業所にIT機器を活用していくのであれば、その効果を最大限に発揮できるIoT機器の活用を意識しましょう。

NDソフトウェアでは様々なIoT機器と介護記録ソフト「ほのぼのNEXT」を接続、連動させることができる「ほのぼのIoTクラウド」をご用意しております。IoT機器からの通信をオンライン上で受け取り、ほのぼのNEXTに連動させることができるクラウドサービスです。ほのぼのNEXTは数多くのセンサーと連携が行えますので、ぜひとも下記より連携可能なセンサーをご確認ください。

▼ほのぼのIoTクラウド

導入には補助金の活用を検討

IT機器には様々な種類があり、効果的に導入することで介護事業所の運営に大いに役立つものではありますが、まとまった機器を導入しようとなるとやはりある程度の費用がかかってしまいます。それが導入をためらう理由のひとつにもなっているようです。

しかし、現在は日本全体でIT化を推進している背景や、介護業界のIT化を強く推進していることもあり導入の際に様々な補助金を使うことができる可能性が高いです。

介護ロボットでなら「介護ロボット補助金」、AIやセンサーであれば「IT導入補助金」やその他都道府県で独自に行っている補助金などもあり、条件に合えば導入に要した費用の一部を補助してくれますので積極的に活用していくとよいでしょう。

2022年度の補助金の実施はまだ発表されていませんので注意が必要ですが、導入時には必ず確認するようにしましょう。

まとめ

介護業界におけるIT化は、2025年問題に対応できる事業所運営を続けるためにも必須であるといえます。AI、介護ロボット、見守りセンサーといった機器を積極的に活用するだけでなく、IoTで連動させることも考慮し最適な業務効率化を図っていきましょう。

当コラムは、掲載当時の情報です。

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参考URL

介護ロボットポータルサイト 国立研究開発法人日本医療研究開発機構

ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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