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NDSコラム

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介護現場に求められる『デジタルトランスフォーメーション』とは

2021/02/01

介護現場には今、デジタルトランスフォーメーションの対応が広がりつつあります。従来の介護業界は慢性的な人材不足が悩みである一方で、介護を必要とする高齢者は今後ますます増加すると見込まれています。従来の業務方法では介護ニーズに応え続けることは難しいため、積極的にデジタル化を取り入れる時期が近付いているのです。また、昨今の新型コロナウイルスの影響もデジタルトランスフォーメーションの必要性を強く感じさせるものとなりました。今介護現場に求められるデジタルトランスフォーメーションとはどのようのものであり、進めることでどのような効果が見込まれるのかを解説します。

デジタルトランスフォーメーションとは?

デジタルトランスフォーメーション(DX)とはウメオ大学(スウェーデン)のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念で、広義的には「デジタル技術を浸透させることで人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ことを意味し、ITテクノロジーやICTを活用することで社会全体により良い変化をもたらすというイメージです。「DX」と表記されることもしばしばあります。それが転じてビジネスにおいてもデジタル化の活用を図りビジネスモデルの変革が求められるようになり、経済産業省はデジタルトランスフォーメーションの定義を「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」としています。

つまり、介護施設や介護事業所などにも広くデジタル化を図り、デジタルトランスフォーメーションを成功させることが求められているのです。

なぜ介護現場にデジタルトランスフォーメーションが求められているのか

介護現場にデジタルトランスフォーメーションが求められる背景には日本全体で懸念されている「2025年の崖」に関する問題と介護業界が抱える「業界全体の人員不足」が挙げられます。

「2025年の崖」とは、事業部門ごとに構築されて全社横断的なデータ活用ができない、過剰な改造やカスタマイズがなされているなどにより複雑化、システムを活用しているが具体的な構造を理解できていない、いわゆる「ブラックボックス化」した既存のシステムが残り続けた場合、デジタル化の推進が停滞し、2025年以降には毎年12兆円以上の経済損失を生み出すと試算されている問題です。ITテクノロジーが発達し業務の効率化が飛躍的に進化する現在においてAIやICTといったITテクノロジーを活用した情報連携や情報共有、業務の効率化を図ることができない法人は、対応している法人に後れを取ることになり収益などにも響くようになるのです。これが日本全体で起こり得ると懸念されているのが「2025年の崖」という問題です。

もう一点は介護業界の抱える「人材不足」です。介護業界は慢性的な人材不足が悩みとなっています。しかしそれに反して介護を必要とされる方の割合は増加の一途を辿っており、2025年には団塊の世代が後期高齢者に達し、介護ニーズが爆発的に増加するであろうと見込まれている「2025年問題」が迫っています。人材獲得への有効な手立てを打つことと同時に、介護現場の業務にICTやAI、介護ロボットなどのテクノロジーを活用し、積極的にデジタル化を推進して介護現場のデジタルトランスフォーメーションを図っていくことで既存の業務体制を抜本的に改革し、業務の効率化から生産性の向上、職員の負担軽減に繋げることが期待できます。

さらに昨今は新型コロナウイルス感染症の影響も大きく、濃厚接触を防止する手立てとしてテレワークの推進などICTを活用した業務改善などが図られるようになりました。高齢者は新型コロナウイルスに感染した場合重症化しやすいため、介護施設においては感染予防の観点からもデジタルトランスフォーメーションを成功させることは重要な意味を持つといえます。奇しくも日本経済が抱える「2025年の崖」と介護業界が抱える「2025年問題」はともに2025年が重要な分岐点とされています。介護事業所の運営を続けていくうえでデジタルトランスフォーメーションは避けて通れない問題といえるでしょう。

デジタルトランスフォーメーションを進めるための3ステップ

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ただITテクノロジーを活用しただけではデジタルトランスフォーメーションを進めるためには不十分です。
成功させるためには
①アナログなシステムを見つけ出しデジタル化する「デジタイゼーション」
②デジタル化されたものを活用し新たな行動様式を作る「デジタライゼーション」
③組織を変革し事業所の価値を高める「デジタルトランスフォーメーション」

以上の3つのステップを踏むことが重要です。

デジタイゼーション

業務全体の流れからアナログなものでデジタル化できるものを積極的にデジタル化していきます。介護記録を手作業で行っている場合は介護記録ソフトを活用する、各種帳票類をデータ化して管理しペーパーレスを図る、情報共有に連絡ノートを使っていたところをデジタルインカムなどで共有する、フェイスtoフェイスで行っていた会議をオンライン会議に変える、ケアプランの作成にAIを活用し作成支援に活かすなど、介護業界にはデジタル化を図ることができるアナログ業務が多く見受けられます。
アナログなものをデジタル化していくことをデジタイゼーションまたは「デジタルパッチ」ともいいます。デジタイゼーションは変革を進めていくうえで何をデジタル化するかを見極める非常に重要なものです。自身の介護施設や介護事業所のシステムで、デジタル化できるシステムをしっかりと把握することが大切です。

デジタライゼーション

デジタイゼーションを名称が似ていますが、デジタライゼーションはデジタル化されたものを活用した新たな業務のスタイルを確立させていくことをいいます。つまりデジタイゼーションが図られることで既存のシステムがデジタル化されるだけではただ「便利になった」で終わってしまいます。デジタライゼーションでは、デジタル化されたシステムを活用し業務をさらに効率化させる、またはケアの質を高めることが求められます。
例としてICTを活用した見守りカメラやベッドセンサーを利用することで見守り業務を楽にするだけでなく、空いた時間を活用した分利用者へ質の高いケアを提供する、睡眠状態のデータを蓄積し利用者のアセスメントに活かすなど職員の負担軽減とともに利用者に有益となるようデジタル化を通し、業務を変革していくことがデジタライゼーションといえます。既存のアナログ的業務にデジタル化された業務を融合させるため、全職員で検討をしていく必要があるでしょう。

デジタルトランスフォーメーション

上に挙げた2つのステップを踏むことができたら、いよいよデジタルトランスフォーメーション成功が見えてきます。成功のためにはデジタイズ、デジタライズを介護施設、介護事業所にしっかりと定着させることが重要になります。それを通して組織全体の効率化や質の向上に努め、利用者に信頼され選ばれる、満足度の高い介護事業所になることや、地域から信頼される介護施設として価値を高めていくことでデジタルトランスフォーメーションが成功したといえます。
デジタルトランスフォーメーションを成功させることは、以上3つのステップから利用者、介護職員、介護施設の3者に多大なメリットをもたらします。利用者はデジタル化された質の高いケアを受けることができる、効率化された業務でさらに直接的ケアを受ける機会が増える、ケアの情報がデジタルで管理、分析されることで最適なケアが受けやすくなるなど健康的な生活を送ることができます。
介護職員は介護記録や見守り業務、連携など多くの時間を取られていた業務がデジタル化により大幅に効率化され、利用者への質の高いケアの提供が可能になることで仕事のやりがいを感じやすくなる、さらには離職率の低下が期待できるなど自身の仕事に自信を持ちやすくなることが期待できます。介護施設や介護事業所は利用者、職員双方の満足度を高めることができ、利用する側にも働いてもらう側にも選ばれやすい事業所になることができます。満足度の高い介護事業所は地域住民にも信頼される事業所になり、価値を大いに高めることになるでしょう。

デジタイゼーションから始めよう

先述したように、デジタルトランスフォーメーションを成功させることは事業の心得としても知られる売り手、買い手、世間の皆が有益となる「三方良し」を実現させるために現代に必要な改革といえます。そのためには第一歩であるデジタイゼーションを積極的に進めていくことが重要です。
介護施設や介護事業所においてデジタイゼーションを進めていくためには、まず事業所全体の業務を見直し、システムの不便なところや負担の大きいところなどを見つけ出していくことが必要です。介護職員へのヒアリングで困っていることはないか、こうなればいいのにという意見はないかを積極的に集め、事業所内の仕事の流れを「見える」形にしていくことが有効です。先述した中身の見えない状態である「ブラックボックス」となっていた業務を整理し見える形、理解できる形である「ホワイトボックス化」していく作業ともいえます。
介護現場には人手不足の影響からも様々な悩みが多いはずです。利用者の見守り、記録にかかる時間、事業所内や多職種連携において情報の共有が不十分など、現在の悩みをどのようにデジタル化して効率化していくかを考え、総合的な効率化を図ることができるようにしていくことが大事です。
NDソフトウェアではデジタルトランスフォーメーションの成功に役立てるためのシステムを多数用意しております。介護現場の記録や保険請求などの事務作業のほとんどを、ICTを活用することでデジタル化し大幅な業務の効率化をお手伝いする「ほのぼのNEXT」をご活用いただけます。また、音声入力で記録ができる「Care Palette(ケアパレット)」で記録業務の効率化を図ることができ、訪問介護、訪問看護事業所様の業務をサポートする「Care Palette Home/Nurse」(ケアパレット ホーム ナース)は、外出先にて端末で予定・実績の確認・記録ができます。その他、事業所内の連絡や情報共有をスマートフォンアプリでICT化し音声と文字で円滑にする「ほのぼのTALK++」といった各種ソフトを組合せ運用することで業務全体の効率化をお手伝いします。また「ほのぼのTALK++」は首にかけるタイプのスピーカーである「ネックスピーカー」を標準装備しておりますので負担が少なく、手を塞ぐことなく通話が行えます。
事業所様のデジタルトランスフォーメーションを全面的にバックアップさせていただくシステムをご用意しておりますのでぜひご活用ください。

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まとめ

介護現場の既存の業務を見直し、アナログからデジタル化を図ることで組織の変革を図り事業をより良いものにしていこうという「デジタルトランスフォーメーション」(DX)は、2025年までに取り組みたい課題といえます。介護職員と利用者両方にメリットのあるものとして必要なデジタライズを積極的に推進するために、皆さんの介護施設や事業所でデジタル化できる業務やシステムはないかを全従業員で検討していきましょう。

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参考URL:
経済産業省DXレポート2中間取りまとめ
経済産業省 デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会 WG1 全体報告書
デジタルトランスフォーメーションを推進するための ガイドライン
「DX 推進指標」とそのガイダンス
総務省 人口減少時代のICTによる持続的成長

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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