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NDSコラム

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利用者の心のケアに!
介護事業所でできるセラピーを紹介

2020/07/13

介護施設や介護事業所の利用者に対して介護職はレクリエーションや季節のイベントなど様々な方法で利用者のストレスが溜まらない工夫や楽しんでいただける工夫をしていることと思います。ですが利用者によっては意欲的に参加してもらえず、思うように効果が出ないこともあるでしょう。また最近では新型コロナウイルス感染症の影響で外出などができずストレスを溜めてしまい、心身のバランスを崩してしまっている方もいるのではないでしょうか。また、高齢者は喪失体験が多くなることにより精神機能にダメージを負いやすくなります。

心のケアが適切に行えないと心身に様々な悪影響を及ぼしてしまうため、介護事業所は利用者の心のケアに対して色んなアプローチを行う必要があります。今回は介護事業所でできる、利用者の心のケアに役立つ方法を紹介します。  

高齢者に心のケアが必要な理由

高齢者は歳を追うごとに同年代の友人や配偶者、家族など身近な存在との死別や離別を経験しやすくなる、仕事や家事育児などの今までの社会的な役割を手放すなど、その喪失体験から心身に不調をきたすことがあります。また、身体機能の低下や感覚器機能の低下、将来の不安や健康の不安などが慢性的なストレスがかかる場合があります。そのような心のダメージがメンタルヘルスの不調を招き、脳の機能低下が進むことで認知機能が低下してしまうほか、抑うつ状態になってしまうことで意欲の低下や自己肯定感の低下、意識障害に陥るなど心身機能全体が低下してしまうこともあります。心身機能の低下は生活不活発病の進行を招き、利用者の健康に多大な影響を及ぼします。
そのような慢性的なストレスにさらされやすい高齢者に、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響で生活様式が変化したことでさらに過度のストレスがかかっていることが懸念されます。
利用者の健康を守るためには、介護事業所は常日頃からの利用者の心のケアに努めることが非常に大切だといえます。
介護セラピー,心のケア

心のケアに役立つ様々なセラピー

介護事業所を利用する高齢者の心のケアに役立つ様々なセラピーを紹介します。
各セラピーは民間資格であるものが多く、実施するには研修の受講などが必要になるものもありますのでご注意ください。

シニアセラピー

シニアセラピーとは、足裏のマッサージや顔面のマッサージを行い血行促進させ新陳代謝の活性化、唾液の分泌量をアップさせる効果などが期待できるというものです。筋肉のコリをほぐすことでリラックス効果も期待できるのでストレスの緩和に役立つでしょう。シニアセラピーを行うにはシニアセラピストの養成研修に参加することが必要になります。

タッチセラピー

マッサージ等のセラピーは効果が期待されるものの高齢者の薄くなった皮膚に対して行うため専門知識や技術を要し、かつ発熱や発赤、腫脹の有無などにより実施できる条件が困難な場合があります。
比較的導入しやすいと思われるのがタッチセラピーという方法です。タッチセラピーは高齢者の体に軽くボディタッチするようにスキンシップを取ることで心の安定化、ストレス緩和などの心のケアを行おうというものです。様々な機関で研修を実施しているほかDVDも販売されていますので実施しやすいセラピーといえるかもしれませんね。

メイクセラピー

メイクセラピーは特に女性高齢者に対してお化粧を施すことで心のケアを図るものです。女性にとってお化粧は社会と関わる際に身だしなみとして長く行ってきた行為です。キレイにお化粧をすることで自己肯定感の向上に繋がり、コミュニケーションの円滑化や意欲の向上が期待できます。メイクの際にフェイシャルマッサージも施されるためリラックス効果も期待できますね。マッサージなどを施すにはメイクセラピーを養成している研修を受講するなどするとよいでしょう。

園芸療法

園芸療法は緑に触れ、草花や野菜を育てることでストレスの緩和や意欲の向上を図るものです。畑だけでなくプランターや鉢植えでも始めることができるため実践しやすいものといえるでしょう。同じものを育てることから利用者同士の共感を得やすく、円滑なコミュニケーションにも役立つでしょう。専門的な園芸療法を行うには園芸療法士という民間資格を取得することもできます。

音楽療法

音楽療法は音楽を奏でる、聴くといった「音に触れる」ことによってリラックスなど心の安定、発語の促進、コミュニケーションの円滑化を図るものです。現在の高齢者は当時の流行歌を共通して知っておられる場合が多く、その時代の曲を流すだけで自身の思い出の曲を聴く、歌う、当時について周囲と話すなど安定した心のケアに繋がることが期待できます。専門的な音楽療法を行うには音楽療法士という民間資格を取得することもできます。

アロマセラピー

アロマセラピーは植物から抽出した精油を用いてマッサージを施す、香りを楽しむなどでリラックス効果や精神の安定化など心のケアを図るものです。精油の種類によっては安眠効果や認知症予防に効果があるとされており、様々な実施団体がアロマセラピーを推奨しています。市販されている精油を用いれば実施は容易ですが、アロマの種類によってはアレルギーや皮膚のかぶれ、腫脹などを起こすこともありますので、事業所で行うのであれば実施団体の研修を受けるなどして行うほうが安全です。

回想法

回想法とは、利用者の当時の懐かしい写真や音楽、使用していたおもちゃや家庭用品を見る、聴く、触るなどして当時に思いを馳せることで特に認知症を有する方の心のケアに役立つとされる心理療法です。当時の思いを皆で語ることで不安や孤独感が和らぎ、自身の話を聞いてもらえるという自己肯定感にも繋がることや、当時を思い出そうとすることで脳への刺激を与え、認知症の進行の予防が期待できます。実施には専門的な知識、技術を要するため研修会へ参加するなどしてノウハウを学ぶとよいでしょう。

アニマルセラピー

アニマルセラピーは動物介在療法とも呼ばれ、動物の世話をする、一緒に遊ぶなど触れ合うことで情緒の安定やストレスの軽減、世話をするという役割の獲得や他者とのコミュニケーションの円滑化などの心のケアを図ることが期待できます。アニマルセラピーの歴史は古く、馬を用いたアニマルセラピーやイルカ、猫など様々な動物を介した心理療法が実践されてきました。現在は専門の訓練を受けた「セラピードッグ」という犬が介護事業所で実施されるアニマルセラピーで用いられることが多いようです。
利用者によっては相性やアレルギーの有無が関係する点や、命ある生き物ですので衛生面の問題や健康面の問題などにも気を配る必要があるため、介護事業所で飼育をするとなるとやや導入は困難といえるかもしれません。専門的にアニマルセラピーを実施したい場合は実施団体で研修を受けるなどしてアニマルセラピストとして認定を受ける必要があります。

アクアセラピー

アクアセラピーは水槽を流れる水の音や青いライトを使用するなどで水の色を鑑賞することによりストレスの軽減、リラックス効果などが期待される療法です。さらに魚やクラゲなどの生き物と合わせることでアニマルセラピーの効果も期待できます。導入は比較的容易ですが、水槽や生き物の維持管理が必要な点には注意が必要です。

ロボットセラピー

ロボットセラピーは動物型のロボットを用いて実施され、ストレスの軽減や情緒の安定などアニマルセラピーと同様の心のケア効果が期待できる新しい心理療法です。ロボットなので衛生面や感染症、相性などを心配することなく導入できる点がいいですね。中でもアザラシ型ロボット「パロ」は人工知能を搭載し、本物のような動きや鳴き声をするほか、最もセラピー効果があるロボットして2002年にギネス登録されており、ストレスの軽減のほかにも血圧や脈拍の安定化やコミュニケーションの安定化、自閉症患者への効果やうつ症状の改善など様々な効果が見込まれ世界中で利用されています。

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まとめ

高齢者は喪失体験や役割を手放すことにより過度のストレスを感じている方が多いです。過度のストレスは心身機能の低下や抑うつを招き、健康に多大な影響を及ぼします。さらには新型コロナウイルス感染症の影響で生活様式が変化するなど、介護事業所を利用する高齢者にとってもさらなるストレスに苛まれることが懸念されています。
高齢者の心のケアのためにはストレスの軽減やリラックスなどを図る必要があり様々な心理療法、セラピーが実践されています。ロボットセラピーなど導入しやすいものから積極的に実践し、高齢者の心のケアを図っていきましょう。

参考URL:
シニアセラピー
ボディタッチセラピー
日本介護美容セラピスト協会
日本園芸療法学会
日本音楽療法学会
日本アロマ環境協会
回想法

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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