NDSコラム

仕事 2020/10/08
看取り介護とは?
介護職はどのように関わればよい?(その1)

人は生まれた以上必ず生命に終わりを迎えます。高齢者や難病を抱える方を介護する介護職にとって、利用者の死に立ち合う機会は避けて通れないものでもあります。最期を迎える場所は病院ではなく住み慣れた場所がいいという希望を叶えるため「看取り介護加算」も創設され、昨今は自宅や病院だけでなく介護施設で最期を迎える「看取り介護」が多くなっています。

しかし人の死に触れる機会に乏しくなった現社会において、看取り介護や終末期にある方の介護は不安やプレッシャーが大きく、利用者とどのように関わればよいかに悩む介護職も少なくありません。
1人の人間の人生をより良いものとして締めくくるには、介護職が看取り介護の理念や流れ、関わり方をしっかりと学び看取りケアにあたることが重要です。
 

看取り介護とは

「看取り」とは人が自然に亡くなっていくまでを見守る過程のことをいいます。人という個体の自然な死である老衰と末期がんなどの疾病による死は従来分けて考える必要がありますが、そのどちらにおいても「終末期」という死期が近づくことにより生じる様々な苦痛を緩和し、最期の日まで寄り添うケアを看取り介護といいます。
 
似た言葉に「ターミナルケア」がありますが、ターミナルケアは終末期医療とも呼ばれ、医療を通じて終末期の緩和ケアを図ることです。双方ともに死にゆく人の苦痛を取り除くという考えは同じですが、介護と医療におけるアプローチの方法に違いがあります。
 
1950年代においては高齢者などが最期を迎える場所の8割が自宅でありましたが、今現在は病院で亡くなる方が8割前後です。介護施設での看取りは1割未満でしたが、在宅や介護施設での看取りを推奨するために平成18年に「看取り介護加算」が創設されたことにより、看取り介護を実施する介護施設が増えています。
 

「終末期」の定義とは

 
看取り介護,ターミナルケア,看取り介護加算
 
高齢者は複数の疾病や障害を併せ持つことが多いため病状の進行に個人差が大きく、余命の予測が困難という実情があります。
そのため日本老年医学会は高齢者の終末期を「病状が不可逆的かつ進行性で、その時代に可能な限りの治療によっても病状の好転や進行の阻止が期待できなくなり、近い将来の死が不可避となった状態」と定義しています。
また、一般的に医療における終末期の定義とは治療により病気の回復が期待できないと医師が判断したことをいい、本人や家族もそれを理解していることが含まれます。
 
終末期であると診断された方の最期を介護施設で過ごす方に対して、介護職は心身のケアを通して安らかに最期を迎えられるようにする意識が必要です。
 

看取り介護の理念とは

看取り介護を行っていく際に、介護職が必ず守るべき理念は以下の3点です。
 

尊厳を保持する

普段からのケアでも大切なことではありますが、看取り介護においては「最期までその人らしく生きる」を守ることが何よりも重要です。終末期にある方がどのように生きてきて、どのように最期までを生きることを望むのかを知り、最期までその人の人生を全うできるよう自己決定と自立支援を支えていくことが看取り介護における尊厳の保持といえます。
言うまでもなく死にゆく方の人生の主役は本人であり、介護職は本人の人生を支える役割です。コミュニケーションが困難になった場合でもその方の主体性を奪うことなく、看取り介護にあたることが重要です。
 

緩和ケアでQOLを保ち続ける

看取り介護を行う中であっても、本人が一人の人間として生活できていると満足できるように支援するQOL(生活の質)を重視したケアがとても重要になります。終末期にある方は疾病による身体的苦痛以外にも精神的苦痛や社会的苦痛などに苦しみます。それらの苦痛の緩和を図りできる限りの痛みから解放できるよう支援することで最期までの日をその人らしく、QOLを保った生活ができるのです。コミュニケーションを十分に取り、精神的に豊かな生活を保ち続けるようなケアを行いましょう。
 

人と繋がり続ける社会参加の視点

死とは、最終的には独りで旅立つことです。最期の時が近付くと言葉や表情などによるコミュニケーションが困難になり介護職はその方のそばにいることが辛くなるかもしれません。
しかし人間の聴覚は最期まで機能しているといわれます。最期の旅立ちまで、決して独りではないと安心を感じてもらうことで安らかに逝くことができるよう常日頃から他者と関わり続けられる社会参加の視点が重要です。
 
看取り介護,ターミナルケア,看取り介護加算
 

看取り介護の流れ

介護施設に入所する利用者の看取り介護が始まるまでの流れは以下の流れが考えられます。
 

入所~適応

介護施設に入所し、施設での生活に慣れながら他者との関係性構築や職員との信頼関係を構築していきます。本人らしい生活のために機能の維持、向上を目指しながら施設での生活を続けます。看取りに関しての希望や終末期状態の対応や連絡方法の確認を本人や家族とこの時点でしっかりと行うことが必要です。
 

低下~回復

持病の進行による悪化などで心身機能が低下した場合、医療の介入による回復を図ります。回復の度合いにより生活環境や必要な介護を再構築しながら、今後どのように心身機能が変化していくかの予測を立てておきます。看取り期が近いと想定される場合、改めて本人や家族の意思を確認しておくことが必要です。
 

衰弱~看取り介護

心身機能の低下、悪化により医師が回復の見込みがない終末期であると判断した場合、看取り介護の始まりとなります。本人、家族もしっかり状況を理解してもらい、看取り介護に向けたケア方法についての説明と同意を得ます。看取り介護加算の算定にあたってはこの段階で費用が発生することなどを説明し、看取り介護同意書にサインをもらう必要があります。本人、家族のやり残したことや会いたい人などを叶える最後の機会です。十分な説明とニーズの聞き取りを行い、理念に沿った看取り介護をスタートします。
介護職は異変を感じたら医師、医療職に素早く情報提供や連絡ができるよう普段から利用者の状態を観察、記録するように努め、介護職員間でも密に情報共有を図っておくことが大切です。
 

終末期~看取り後

最期まで苦痛の緩和を図りながら安らかに旅立てるよう支援します。死の1週間前後から、食欲が減退し、飲食が十分にできない状態になってきます。臓器の機能低下から尿量が減少し、意識がもうろうとする、ウトウトするなどの時間が長くなります。
これらの兆候が見られたら医療職の判断のもと家族に死期が近いことを説明し、連絡方法などを改めて確認します。
死が目前になると死前喘鳴といい、排出できない痰が喉に絡みゴロゴロと音がします。呼吸はゆっくり深くなり、体温や血圧は低下していきます。この頃には家族に施設に来てもらうようにするとよいでしょう。
利用者を看取った後、職員は一礼をして退室し、家族の最期の別れの時間を取ります。
 
これらが一般的な看取り介護の流れですが、介護を要する高齢者は疾病や障害がありながらも、いつどのように死を迎えるかが明確ではありません。そのため介護施設では、ある意味で入所の段階から看取り介護は始まっているといえます。
いざ利用者の状態が急変してもしっかりと対応できるよう、日常から看取り介護を見据えた観察や応対が求められます。

 

★オススメ商品


 
次回はこちらの続き「看取り介護とは?介護職はどのように関わればよい?(その2)」をおおくりします。
介護施設で行う看取り介護のケアの内容になりますのでお楽しみに!
 
 
参考URL:
「高齢者の終末期の医療およびケア」に関する日本老年医学会の「立場表明」2012

 
※コラムの内容については、掲載当時のものです。

 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
介護事業所様にお役立ちいただけるよう「eBook」をご用意しました。是非、ダウンロードしてご活用いただければと思います。ダウンロードは無料です。
 
 

★関連記事

 
 

今すぐeBookをダウンロード

 
 

PAGE TOP