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NDSコラム

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看取り介護とは?
介護職はどのように関わればよい?(その2)

2020/10/12

看取り介護や終末期にある方の介護は不安やプレッシャーが大きく、利用者とどのように関わればよいかに悩む介護職も少なくありません。1人の人間の人生をより良いものとして締めくくるには、介護職が看取り介護の理念や流れ、関わり方をしっかりと学び看取りケアにあたることが重要です。「看取り介護とは?介護職はどのように関わればよい?(その1)」の続編です。是非あわせてお読みください。

介護施設で行う看取り介護のケア

看取り期に入ると、利用者の心身は様々に変化します。その特徴を理解してケアにあたることが必要です。

食事は食べられる形状で食べられる分だけ

通常、死期が近付くと体は食べ物や飲み物を受け付けなくなります。それは体の自然な反応です。看取り介護においては利用者の自然な死を支援することが重要です。
「少しでも栄養を」という思いから本人の意思に反して食事を摂らせることは逆に苦痛を増してしまうことになります。本人の食事に関する意向を確認し、医療職や管理栄養士とも連携を取りながら食べたいものを食べられる分だけ摂っていただくようにしましょう。この際に嚥下能力に低下がみられる場合などは誤嚥に注意してトロミをつけるなどの対応が必要です。

入浴、口腔ケアなどの清潔保持

入浴は、心身をリフレッシュし快適さを得るために重要な行為です。本人に入浴の意思がある時は、体調に合わせて無理のない範囲で入浴していただくようにします。体力低下を防ぐために、極力短い時間での入浴を心がけるとよいでしょう。入浴が困難な場合でも足浴やベッド上での洗髪、清拭などを行うことで爽快さを得ることができます。
食欲低下や水分摂取ができない状態であっても、口腔内が乾燥することで細菌の繁殖や感染症にかかることがありますので、濡れたスポンジブラシで口腔内を湿らせるなど口腔ケアを定期的に行いましょう。

本人の意向に合わせた排せつケア

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排せつは、量や形状などで本人の体調を知る大切なバロメーターです。排尿の色や量、排便の量や間隔などを観察し記録に残すことは看取り介護においては重要です。
しかし、どのような状態であってもおむつを着用することは本人にとって苦痛である方がいらっしゃいます。本人の主体性や尊厳を奪うことがないよう、ポータブルトイレの使用やトイレ使用後の十分な聞き取りなど安易におむつを着用するのではなく本人の意向を大切にした排せつケアを心がけます。

苦痛の緩和

看取り期にある利用者は、様々な苦痛は生じます。介護職はその苦痛を最大限取り除けるよう配慮が必要です。

身体的苦痛

がん性疼痛など疾病による身体の痛みは医療職が対応することが原則ですが、そのほかにも看取り期において体力が低下してきた利用者は自分で思うように体が動かせずに長時間臥床することで褥瘡が発生する場合があります。長時間同じ体勢による痛みの解放と褥瘡を予防するために、定期的な体位交換を行うことは身体的苦痛を取り除くために介護職ができるケアといえます。さらに優しくマッサージをすることなども気分の落ち着きを促し、それにより身体的苦痛が和らぐことがあります。利用者の状態をしっかり観察し、極力身体の痛みに苦しむことがないようにしましょう。

精神的苦痛など

死は、生きている者は誰も経験したことがありません。そのため利用者は自身の死について明確な答えを得ることができず、それが不安となって苦痛を感じます。もちろん私たちも死後の世界について利用者を安心させられるような言葉を持っていません。介護職にできることは利用者の不安や恐怖、悩みごとやそばにいてほしいという願いを傾聴し、利用者の心情に寄り添うことです。話を聴いてくれる存在があることそのものが利用者の精神的苦痛を和らげる唯一の方法といえるでしょう。

家族の苦痛緩和

看取り介護の対象は利用者だけでなく、家族に対しても必要です。家族は利用者との死別により深い悲しみを抱いてしまう場合やこころを病んでしまう場合もあります。家族の声にもしっかりと耳を傾けつつ、利用者がどのように逝くことを望むかなどのニーズを把握し、安らかに最期を迎えさせられることが何よりも家族への苦痛緩和に繋がります。日頃から家族との信頼関係を構築しておくことが重要です。

介護職間で助け合おう

看取り介護は利用者のQOLを保持するために利用者の希望を最大限に寄り添ったケアを行います。死が目前に迫った利用者のケアを行っていくことは職員にとって大きな精神的負担となります。中には利用者の死と向き合うことができず大きな不安を持ったまま看取り介護を行う職員もいます。利用者の死と向き合い、寄り添う看取り介護を実践していくためには職員間での助け合いが大変重要です。誰しもが死を実体験として経験することはできません。誰しも人の死は重いものなのです。介護職員間で不安な気持ちや恐怖などなんでも相談し合い、励まし合い、助け合いながら利用者の人生を締めくくるための看取り介護を実践していきましょう。

また、看取り介護はできるだけ痛みの緩和を図りながら自然な死を迎える日まで寄り添い続けます。終末期にある方の状況は緩やかに死に向かって変化します。食事量の低下や表情の変化、意識レベルの低下など利用者の変化を見逃さずに把握し、来たる最期の時まで利用者の希望に寄り添ったケアを提供することが必要です。そのためには日々の食事摂取量、コミュニケーションの度合い、バイタルサインや顔色、痛みの訴えなど状態観察や行ったケアの記録が大変重要で、看取り介護にあたる介護職全員がその情報を常に共有できている状態にすることが大切です。記録に時間を取られすぎては利用者へのケアが疎かになってしまいかねませんので、記録と情報共有をICTで効率化していくことで利用者に寄り添う看取り介護を実践していくことが何より利用者のためになるでしょう。

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まとめ

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介護を必要とする高齢者にとって死は身近なものであり介護職はそれから目を背けることはできません。昨今は看取り介護加算の創設もあり、介護施設での看取り介護を行うことも増えています。今後、本人らしく生き本人らしく死ぬことを支援するためにますます施設での看取りは増えていくでしょう。 死を身近に体験できない介護施設の職員は不安やプレッシャーが大きいものです。施設内で看取り介護の研修などを定期的に開催し死について学ぶとともに、対応の流れを十分に把握し看取り介護にあたりましょう。利用者の人生の完成を締めくくるために介護職の関わりが重要であることを意識して苦痛の緩和を図りながら本人らしい生活に寄り添うことが看取り介護に大切なことです。

参考URL:
特別養護老人ホームにおける看取り介護ガイドライン
施設での看取りに関する手引き

当コラムは、掲載当時の情報です。

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ライター 寺田 英史 短期入所生活介護にて13年間勤務し職責者、管理者を歴任。
その後、介護保険外サービスを運営。その傍らで初任者研修、実務者研修の講師としても活動中。

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